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人生初の異世界で~俺だけ何も貰えなかった~  作者: 氷鬼
一章 始まりと絶望
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1話 異世界議論

1話を読んでくださってありがとうございます

今後ともよろしくお願いいたします\(^^)/



「まずはさ、状況?。私らのさ現状説明してくれない?」


唯一の大人である望月粋が落ち着いた様子で生徒の前に立つと、見知らなぬ怪しい人達に向けて言う。


「そうだお前ら誰だよ」


「家に帰してよ!」


「「や、やば、ガチの異世界ヤッッホー!」」


先生が前に出て言葉を発する姿に触発され、他の生徒たちも各々言いたい事を好き勝手言い始めた。

自分達の不満、恐れ、悲哀それと一部興奮してる奴等が。

きっと心の中で整理出来なくなった物が、次々と声に出していく。

俺も同じ様な状態だったが、それよりも周りや出てきた人達を見ていた。


変な格好のオッサン、名前を知らないから略して"変っさん"と呼ぼう。


その変っさんの隣にいる、いかにも執事みたいなダンディーなおじさんが一歩前に出てくる。


「ここにいらしゃる方は、ヘルズ国の王ガース・ヘルズ陛下です」


執事が手のひらを向けて座ったままの人物を紹介する。


変っさんの名前が判明した、ガース・ヘルズと呼ぶらしい。

ガースが下の名前でヘルズが名字みたいな感じで良いのかな?。


「余がガース・ヘルズだ。ヘルズ国の王を担ってる者だ。まずは勇者様方を、ヘルズ国に召喚させて頂いた」


従者に紹介されて初めて、自分から名乗りを上げるのが作法という奴なのか。

まぁ、国の王が自分から言うのは格好つかないもんな。


「「「.....召喚?」」」


「そうだ、召喚させて頂いた。国を救って欲しく、勇者様方のお力を貸して貰えないだろうか?」


いや、国を救うとかどうでも良いので。

"帰れるか"を知りたいだけど、そもそも俺ら関係なくね?。


「....わ、私達は帰れるですよね?」


「.........」


えっ何で、何も言わないの?。帰れないの?、マジで?。


真樹の内心は茫然自失していく、元の場所に帰れない事に心が折れる。

それは真樹だけではない、他の皆も同じ思いであった。


「...すまない、帰る方法が今"この国"には無いのだ.....」


「"この国"には無いって、どうゆう事ですか?!」


「もう....帰れないだ~」


「..う、家に帰してよ~」


谷風少し落ち着けてって、今からそれを話してくれるだから。

それと周りがうるさい、声が聞こえないだろうまだ帰れないって決まった訳じゃないだから。


変っさん言葉に希望を抱けた、皆が騒ぐから雑多な音に混じって聞き取れない。


「魔王が帰る手段を奪ってしまい、今のヘルズ国には無いのだ.......」


....ま、魔王何そのテンプレ倒せば帰れるの。

国に取って都合良くね?、俺らただの高校生で子供だ。

ほら皆も唖然としてるじゃん....。


「その手段を取り戻せば、元の世界に帰れるですか?」


「取り戻せれば勇者様方を帰す事は可能だ、ただ魔王が強大すぎる為に国の軍事力では魔族どもに敵わないのだ。その為に勇者様方を召喚させて頂きました、勇者様方のお力なら未曾有の危機から脱する事が出来るのです」


能弁に語り強く話す変っさん、直訳するなら「帰りたいなら、魔王と戦うしかない」に聞こえてしまう。


「...ふ、ふざけるな良い大人が子供達に、命懸けで戦って死ねと。そんな事は、許される事じゃねぇだろう...何の権限があって子供を....」


変っさんの勝手な言いに望月粋は憤慨する、自分の教え子が知らない場所で利用され人殺しさせようとするこいつ等に。


「「「「「先生!!(スイちゃん.粋先生)」」」」」


望月先生...自分の事よりも俺達の為に.....。

怒鳴ってくれるなんて泣けるじゃねぇか、つか、この場で誰よりもカッコ良すぎだよ。

生徒と教師の枠を超えて、惚れそうになる。


「どれだけ罵られようが、決断したのは余だけだ。国の民は関係ない、恨むなら余だけにしてくれ煮るなり焼くなり、好きにして欲しい」


スゲーな俺達に、国の王が頭下げるのか。

椅子から降りて"土下座"、これを見せられたら何も言えないな。

他の奴等も真顔で見てるし...プッぷ。

あっ....ヤバい変っさんと目が合ってしまった。

俺しか笑ってないし、ダンディー執事にも見られた..これは....ヤバイ。

こんな茶番を見せられたら笑うしかないと思う、なのに誰も笑う所が真剣な表情さえしていた。


「「「「陛下!!」」」」


「頭をあげてください、国の王が頭を下げてしまうのは他国に、知られたら終わりなのですよ!」


「知られ用が今はどうでもよい、勇者様方だけしか戦える者がいないのだ。頭を下げろと言うなら、いくらでも下げってやる!」


臣下達に止められても、勇者達の方に頭を地面につけていた。

国の王が日本式の土下座をした事が、皆には衝撃を受けるが粋先生だけが今も怒りの形相で睨み付けてる。


ーーーギィ....ギィギィーーー


「「「「「「............」」」」」」


再び開く音の方を見ると言葉に表せられない程の、美少女が気品に溢れた歩きで自然と目が釘付けになってしまう。

その美貌に、その場の誰もが声を発しられなかった。

キレイな絹のような金色した髪、作り物じゃないのかってぐらいの顔が整っていた。

胸はそれほど大きくないが、それでも無駄が一切無い。

100人に聞けば全員が認める程の美人だった...。


美少女は変っさんの側まで近付くが、変っさんの表情には困惑と言った物をしといた。


「サラ何を...しにきた?」


「お父様、一人に頭を下げさせる訳にはいけません。私もヘルズ国第一王位継承者"サラ・ヘルズ"として、勇者様方にお願いしに来ました」


ヘルズって事は変っさんの娘なの?、顔が似てなさ過ぎるでしょ。

クラスの男連中も顔真っ赤にして眺めてるし、まぁ気持ちは分かりますよ....。


「異世界から、来て下さった勇者様方。お願いします...、どうか国を救って下さい」


目から1滴の雫が頬を伝い地面に落ちた、表情も悲痛なぐらい必死になりながら、頭を下げた王女サラ・ヘルズ。

その涙は多くの勇者達を虜にして、クラスの女子も目を奪われてしまう。


それは突如現れた美少女によって、さっきまでの気持ちが皆からなくなってしまった。


「...俺達で、国を助けないか皆?」


おいおい谷風、何を言ってるだよ自分から"死"に行く必要ないだろ。

無駄に正義感ぶってるなよ、それで巻き込まれる奴の身にもなれよ。それが言えたら良かったんだけどな。


「...ほ、本気なの、陸君?」


「咲音、俺は本気だよ帰る為にも戦うしかないだ。それに困ってる人達を助けないと!」


「はぁ~りっくんは、相変わらずだね言った事を曲げない頑固さぁ...まぁ良いけどね」


「まい....ありがとう」


「....うん、そうだね困ってる人達は助けないとね!」


............え、やる前提で話し進んでるけど君達以外は誰も言ってないけど。

宮田さんは渋ってるけど、ねぇ周りを見てください。

でもリーダー的な存在の谷風が乗り気なってしまった以上、誰も何も言えないだろう俺は勿論言えなかった。


「私は反対だ、生徒を死地に送るつもりは無い。一人でも死んだら私は、君達の親御さんに何と言えば良い?。異世界で"死にました"でも言えば良いのか?」


大人であり教師である先生だけが反対派に回る。


「それでも、俺達がやらないと助かる命だって助からない....」


「谷風....それでお前が死んだらどうする、お前を想ってくれた人達は...悲しむぞ」


「...........そ、それで死ぬ人が一人でもいなくなるなら。俺は助ける為に戦いたい!」


その場の誰でも分かる"死"を、決意し覚悟を持った男の顔をした

"英雄"がいた望月先生さえ声を発する事を許されなかった。

もうこれで、戦わないという選択が消えた。


「あぁ...谷風となら死ぬ気がしねぇな~、俺は着いていくぜ」


坂巻忍さかまきしのぶ学校一の不良で最も不良らしくない、行動で後輩や先輩に好かれてる人物。

そんな不良が谷風に賛同する、すると次々と賛同の声が上がる。


「「「「「「「俺らも(私達も)着いていくよ」」」」」」」


一部の男子も女子も、谷風の言葉と姿に惹かれ名乗り出し。

変っさん達も助かると思い希望を声に出し喜び始めた。


「お前達!!...死ぬかもしれないだぞ!、もう家族にも会えなくなるだぞ良いのか?!」


「それでも俺らは..谷風と一緒に戦いたい」


「粋先生、私達もやれる事はやりたい」


男子も女子も自分達の、意思と想いを先生にぶつけてた。

正面から想いの拳を受けた、望月粋は苦虫を噛み締めたような顔して決断する。


「..........分かった、それがお前達の意思なのか。これ以上は何も言わない.....。だが、忘れないで欲しい死んだら悲しむ人達がいる事を...。..........戦う意志がない者は先生の所に来なさい」


全員が全員戦う訳じゃない、その証拠に戦う意志がない生徒も何人かいた。

その人達は、おぼつかない足取りで先生の元に移動していく。


「「「「望月先生、(先生っ)ありがとうございます」」」」


あぁぁぁ!、唯一止められる先生が折れてしまった。

何で死地に行くの馬鹿なの死ぬの?、でも先生の側に居れば大丈夫ですよね?。


「えっと何て言えば良いですかね....俺達はこの国を救うために戦います、いえ戦わせてください」


「国を代表して感謝を申し上げる....、気軽にガースと呼んでください勇者様方」


こうして谷風・八重・宮田・佐藤・坂巻・一部の男子・一部の女子が、戦う幕が降りてしまった。


俺は、戦わないし死にたくない。

自分の命が大事だからね、戦うとかバカな奴等がやれば良いと思う。


ーーーツンツン....ツン「ねぇ」ーーー。


「誰ですか?」


色々内心で、想ってたら不意に袖を引っ張られて振り向いた。

そこに間近の八重さんがいた、上目遣いでどこか照れた感じを出しているのが不覚にもドキッとした。


「...あ、あのさマサキ君は...そのさ....どっちにするの?」


「どっちって?、決まってるじゃん戦わないよ?。死にたくないし」


その質問に即答で返した、質問の答えを聞いた八重さんは悲しげな表情を見せる。


「そうだよ...ね、死にたくないよね...」


「八重さんはどうして戦うって決めたの?」


「どうしてかな、ただ困ってる人達を助けたいって思ったの。私の大切な人も守れたら...良いなって.....」


絶対に戦いません、今にも泣きそうな目で見てこないで下さい。


「私....マサキ君に守られたら、う...嬉しいなぁ」


そのセリフはズルいと思う、学校一の美少女にそんな風に言われてしまえば....。


「はぁ~俺も、できるだけ手伝います。それで良いですか?」


決心も揺らいで、考えが変わってしまう。


「うん、それで大丈夫だよ.....ありがとうマサキ君♪」


満面な笑みを魅せる八重さん、跳ねるほどに嬉しいらしい。

そして俺もバカの一員でした、ごめんなさい。

自分に謝ってしまう程に、呆れた。


「それでは勇者様方、食事を用意して有りますので。そちらで話の続きを致しましょう」


最初に入ってきた出入り口に変っさん(ガース・ヘルズ)と娘のサラ・ヘルズ、臣下達が出ていく。

ダンディーな執事がクラス連中を案内しながら出ていき、真樹も最後尾で着いていく。



最後までありがとうございます

基本は1話づつ日曜日の23時に更新いたしますm(__)m

ゆっくりですが、長い目で見守ってください。


※1話を所々修正しました、話しは事態はそんなに変わってはいないと思います。




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