表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
人生初の異世界で~俺だけ何も貰えなかった~  作者: 氷鬼
一章 始まりと絶望
14/81

13話 忌神子姫

何とか2話、連続更新できました!。

日に日にに読んでくれてる方が、増えていきてるので嬉しくってしょうがないです!。


今回もよろしくお願い致します(///∇///)



王座の間に着きました、来る途中で鐘が7つなり今の時刻は19時となりました。


まさか、こんなに時間が掛かるとは思ってなかった......。

王座の間には約30分ぐらいで着いたと思うし?、アイとの会話で結構使ちゃたな。

でも、楽しかったし何よりも可愛かった!。

それだけでも、出会えた価値はあった....。

こんな国じゃなかったら、毎日遊びに行っていたかも?。

あっ、騎士がこっちに来た。


派手な扉を守護してる、二人の騎士が此方に気づき一人の騎士が近寄ってきた。

険しい顔して、昨日会った人物だと知ると警戒心を解いた。


「本日はどうなさいましたか?」


優しく問うてくる、その笑顔は人に不快感を与えない程爽やかだった。


「朝にガース陛下(ク ズ)に謁見が出来ましたので、お礼を言いに来ました」


「お気持ちだけで結構ですよ、私達は任を受けてここにいるのですから。伝言を伝えるのも仕事の一ですから」


仕事としてやっただけだから、気にしないで良いと。

実に出来た人だ、後輩や先輩とかに好かれそうな気の良い人。


「では、これを.....。交代の時にでも食べてください」


袋収納メッシスから干し肉を出して、二人分を騎士に渡して。

受け取った騎士は何故と言う顔をして?、此方を見るが「一口食べてみてください」と言って。

騎士に促しって食べさせる、言われた通りに干し肉をかじり。

口をモゴモゴ動かし、パッと顔を輝かせてもう一口かじる。


「うまい!......これは本当に干し肉ですか?!、これ程の物は食べた事が有りません!。うますぎます!」


干し肉の味に絶賛して、二人分を全て食べてしまった。

扉にいた騎士が、相方の反応が異常過ぎて近寄ってきた。


「おい?、大丈夫か?」


「平気だ....。ただ、今まで食べてきたどの料理よりも美味しかった....」


幸せそうな顔して、口の中に残ってる干し肉の味をまだ堪能していた。

それを見た兵士が、まだあるのかと聞いてきた。

相方を見て自分も食べたくなったのだろう、今度は少し量を増やして二人の騎士に渡す。


「ありがとう!ありがとう!。これで最高の酒と一緒に味わうぞ!、今度はゆっくりと.....」


「相方の方は気にしないでくれ、干し肉でここまでの反応をするとはな....。ちなみに何の肉なんだ?」


歓喜極まった騎士が、干し肉を片手に持ちもう片方で酒を飲むポーズをしていた。

それを見た相方騎士は、見て見ぬフリをして干し肉を見る。


「名前は言えませんが、高級食材を使った贅沢な干し肉です。値段は....」


適当な事を言って、値段を言おうとした時に騎士の言葉が遮る。


「ね、値段まで言わなくって良い!。聞いたら後悔しそうだ.....」


って言っても父さんのだから、俺にも分からないし.....。

言える事はメチャクチャ上手いって事だ!、袋収納メッシスを整理していた時に出てきた。

結構な量の食材が有って、どれも腐ってはいなかった。

そこで気づいた、父さんの袋収納メッシスは普通じゃないって。

そこで考えるのを辞めて、出した食材をしまいましたよ?。

だって、中の時間が止まってるだもん!。


「気に入って貰えて嬉しいです、二方は何時ぐらいに交代するですか?」


「あぁ~。それなら0時に交代だ、聞いてどうする?」


どうするって?、決まってますよ。


自分の左手の人差し指に魔力流す、紫色の光が二人の騎士に当たる。

"催眠歪み(ヒプノディスト)"で洗脳した騎士は、茫然と立ち尽くしていた。


「交代するまで誰も通らせるな、俺に会った事を忘れてろ」


受理されて目に星が表れる、派手な扉を開けて中に入っていく。

騎士は交代まで定位置で待機する、今さっきまで会っていた人物を忘れて。


その光景を見ていた黒い人物は、何処かえと消えていく見た物を報告する為に。




王座の間に入った真樹は見渡す、真ん中に伸びる赤い絨毯、天井には派手なシャンデリア?、外から入る月の灯りが部屋を照らす。

それ以外の灯りは無く、うっすらと見えるぐらいだった。


中央まで静かに歩き、袋収納メッシスから王族の証を取り出す。

指に嵌めて魔力を流していく、ポッ~と赤い宝石は光り空中に込められた術式が展開する。

幾重にも重なった模様が空中で割れて、その後に音が鳴り出す。

ゴッゴゴゴッーーと何かが動く音を聞いて、王座の後ろの壁が上に動き。

中から下に続く階段が現れる、近くまで寄り除き見る。

ずっと続く暗闇が下えと下に延びていた。


「本当に地下が合ったのか.....。それにしても暗すぎて踏み外しそう.....」


灯りに使える物は無いか探す、壁に飾られていた燭台を見つけるが。

火種が見つからず袋収納メッシスにも無かった、使えないと知って意を決して階段を降りていく。

ある程度降りた後、上から壁が降りてきて出口を塞いでしまった。


「まてまて!.....」


急ぎ壁に触れて開かないか確認する、ペタペタとドンドンと何か無いか探した。


ダメだぁー何も無いよ~!、灯りが有れば見つけれた筈なのに。

諦めないで灯り持ってくれば良かった......、王族の証にも魔力流すけど反応なし....。

........摘んだな、降りた先に違う出口が有ったら良いな~。


淡い希望を持って壁に伝って、慎重に降りていく一歩とまた一歩と。


隔離する為に作った地下なのに、違う出口が有ったら本末転倒だよな。

暗いし、ジメジメしてるし、それに臭い!。

何とも言えない臭さ、鼻にツーンって来る感じだろうか?。

我慢できなくないけど、その内気分が悪くなりそう。


まだ降りて数分だが、真樹には何時間も歩いた気がした。

何も見えず足に伝わる固い感触、呼吸と一緒入ってくる異臭の匂い。

かなり速いがゆっくり腰を降ろし座る、真っ暗な中で足を踏み外して、転がり落ちたくない一心で。


はぁー疲れる...、灯りが今すぐ欲しい~。

でも、火種が無かったのは盲点だった....。

こうゆう時に火魔法か光魔法あれば~、階段も楽だったのに....。

そう言えば、ステータス確認してなかったな~、意味が無いけどね....、ちゃんとした身体(・・・・・・・・)だったら今の今までどうしてたんだろ?。


真樹は考える、不完全な肉体じゃなかったら。

父さん()と戦い勝てたろうか、クラスに混じって訓練してクズどもに洗脳されただろうか。

人を沢山殺していただろうか、神モルータ、リック、スタラ、トッペ、マスノエ、アイに会っていただろうか。


いや、全部無かったはずだ。

完全な肉体で強力な天恵ギフトが有れば、父さんと話す事も無く殺されていた。

クラスと一緒に訓練すれば、死闘を繰り広げていた。

いつか分からないけど、クズと山田皆瀬に洗脳されてたはず。

俺とは関係ない人達の命を奪って、沢山殺して最後は死んでいたはず。

善人の彼等にも会う事はなく、名前すら知らなかったはず。


そう思うと、不完全な肉体で良かった.....。

弱く脆い俺で良かった、弱かったから父さんは力加減されて会話をして家族だと知った。

弱かったから訓練に参加できなかった、死闘をする事も無かった。

価値が無いから、洗脳される事も無く真実を知れた。

力が無いから彼等と繋がれた、互いに知って友となった。

良かった.....、俺が何も持って無い(・・・・・・・・・)から起きた出来事。

不完全な肉体で良かった、これも父さんと母さんのお陰だよ......。

父さんが......死ぬ事だけは無かった事にしたい。


真樹は考え尽くした、クラスの奴等と同じ"力"を持っていたら自分はどうなるのか。

色んな物を持っていて、それに溺れて自分を見失って。

会えた筈の人達にも会う事が無く、クズ達と仲良く楽しく過ごし、殺し合いの日々を過ごしていた。

実際は現実にそんな事は無く、弱く何も無かったから会えた人達がいた。


充分休んだから行きますかね、まだまだ先は長い。


立ち上がり壁を伝って、階段を降りていく慎重に一歩と歩む。

だが、それは急に終わる。

天井に伝っていた液体が真樹の首に落ちる、ピチャッと音が鳴り.....。


「うひゃゃゃゃゃゃゃゃゃゃゃゃ!」


悲鳴を上げて慌てる、一体何が起きたのか分からず慌てる。

最も注意していた筈なのに、恐れていた事が起きてしまった。


「あっ.....」


素の声を出し、階段を踏み外してしまった。

重力に従って下えと転がり落ちていく、体のあちこちを派手に打ち付けていく。


「あぁぁぁうぇ!、あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」


奇声に近い悲鳴を上げながら、転がる速度は増していく。

日本なら誰も長い階段を転げ落ちた事が無く、生きてれば奇跡だろう。

どんどん階段を下っていく、転がりながら.....。


..............


..........


......



真樹が王座の間に入る前に遡る。


影から真樹を監視していた、全身が黒い服で覆った人物は不可解な行動した事を確認して。

その場から駆ける影から影えと、暗部なら持ってる影魔法"影歩み(シャドーウォーク)"。

影の中を自在に歩く事が可能だが、影が無ければ歩く事も出来ない。


今も影を駆けていく、人に見られず音も立てない正に裏を生きる者達だ。

.....彼の名な暗部序列ナンバー3、暗部達は皆捨て子で作られた組織だった。

元の名を捨て序列ナンバーで呼び合い、常に身は死と隣り合わせで何時死んでも可笑しくない。


目的の場所に来たのか影から身を出して跪く、目の前にいる執事服を来た"幽影"のサイルに。


「何用ですかな?」


「此方に大臣マリス・アルミナ様はおられますか」


「成る程.....、御用件を伺います」


「例の御仁が王座の間で、不可解な行動をしましたとお伝えください」


「お伝えしておきます、下がりなさい」


「御意に」


ナンバー3は影魔法を使い、その場から消えていく。

また真樹を監視する為に、王座の間えと向かっていく。

執事サイルは報告を聞いて、部屋の中にいる主と大臣マリス・アルミナ伝えにいく。

ドアをノックして主の返事を待ち、許可を貰い開けて中に入っていく。


「何かあったか?」


目線だけを此方に向けて、用件を聞いてくる我が主様。


「先程、暗部の者が来ました。マリス様に伝言を承っています」


暗部と聞いて耳をビクつかせて、手にしていたカップをテーブルに置く。


「聞こう」


短いが体を此方に向けて、耳を傾けて聞く体勢になる。


「例の御仁が王座の間で、不可解な行動したと言っていました」


真剣な顔付きで陛下に向き合い、確信した用に口が開く。


「陛下。はやり勇者マサキ・フルサトは、賊と繋がってる可能性が有ります....」


「先程から言っていた御仁とは、マサキ殿で合ったのか...。しかし何の根拠も無いだろマリス?」


一体どんな会話をしていたのか分からないが、サイルはある程度推測していた。


マリス様は、勇者マサキを監視していた。

それが今回の暗部の報告で、確信に変わったと....。

しかし、マリス様の感は良く当たりますし~。

何とも言えない状況ですね、はて主はどんな決断をするのか....。


何があってもサイルは、主の決断に従うつもりであった。


「陛下と勇者フルサトの、内容は可笑しいです。暗い路地で話すバカはいません、人目の付かない屋内が当たり前です。もし、これが本当の事なら罠の可能性が高いのです」


言われてみれば、確かに変ですな?。

この幽影の私が気づかないとは、失態ですな....。


陛下も同じ考えをしたのか、後から後から疑問が溢れてくる。


「確かに、今思えば可笑しいな点が有り過ぎる?」


「そこが問題なのです!、暗部からの報告ではフルサトは人に向けて魔力発してると有りました。この事から勇者フルサトは、何かしらの準備をしています!」


一理ありますな....、こんなに不可解な事が有れば繋がってる可能性が、出てきても可笑しくないですな。

一体マサキ・フルサトは、どうしようとしてるのか?。

フフフッ.....、実に楽しくなりましたね。


「此方もマサキ殿の真偽を調べる為に、サイルに動いて貰った」


「はい。調べた結果ですが、賊と兵士が会っていたのは事実でした。詳しく話し(・・・・・)を聞いた所、頼まれたと言っていました」


あらゆる拷問で、色々と吐いてくれましたが。

ただの下っぱで大した情報は持ってなかったが、その変わりに面白い事を聞けましたしね....。


「頼んだ者は調べはついてるのか?」


「はい、調べはついております」


マリス様は、身を乗りだして聞いてきた。

陛下は分かっていたのか、椅子に背をつけて深く座っている。


「サイル殿、それは一体誰なのですか?!」


「それは.....、伯爵バル・デオ・ヌウシュです」


的が外れたのか、ポスッんと椅子に座り直し短い溜め息をする。

先程までの真剣身が消えてしまい、カップを手に取り一口飲んで気を落ち着かせていた。


「それで、その伯爵....が黒幕なのか?」


「陛下。バル・デオ・ヌウシュです」


名前が覚えられ無かったのか、貴位で濁していた所をすかさずサイルがフォローする。


「すまぬな、それでバル・デオ・ヌウシュ以外の関係者はいたのか?」


サイルは首を横に振って否定した、陛下は「そうか」と言ってマリスに向き合う。


「どお思うマリスよ?」


「どおとは?」


「繋がってると思うか?」


「それは、無いと思います。伯爵と勇者フルサトが会う機会など無かったと思いますが?」


考えるまでも無く即答するマリスに、陛下も同じ考えなのか頷く。


「やはり、この度の件には関係が無いようだ。これでもまだ疑うか?」


「この件には関係は無いでしょう、ですが勇者フルサトが起こしてる不可解な行動には納得出来てません」


「陛下。また暗部の者が来ましたのだ、少し失礼します」


陛下の頷きで了承えて部屋から退室する、それから廊下で待ってると。

少し前に来た暗部が影から現れる、同じ体勢で跪いてる。


「また、何か有りましたか?」


頭をすっぽり覆っていて、口が見えないのに開く事を確認して待つ。


「例の御仁が、城中の何処にもいません。気配や足跡も匂いも、全て王座の間で消えてます」


「分かりました、引き続き貴方は探しなさい」


「御意に」


暗部が消えるのを目の端で確認して、部屋にノックして入室する。


「急ですので失礼致します」


暗部から何を聞いて、そんなに急いでるのか?。

マリスが口を開く前に、陛下が口を開く。


「何を聞いた?!」


「はい。勇者マサキ・フルサトが消えました」


驚愕する、話題にしていた人物が消えた事に。

マリスは目付きを鋭くして、サイルに話しの続きを促す。


「王座の間を最後に、気配、足跡、匂いも全てが途絶えたと暗部から入りました」


陛下が椅子から立ち上がりサイルに詰め寄る、焦燥な顔付きで問い詰める。


「そ、その話しは本当か!」


「あ、暗部からですので、情報は正しいかと?」


サイルもマリスも、ここまで取り乱した陛下を見た事がなかった。

今にも鬼気迫る表情で髪を掻き乱し、独り言で「そんな筈はない、知る筈もない」と繰り返していた。


「陛下、落ち着いてください....」


陛下を落ち着かせようと声をかけ、テーブルにあった陛下のカップを渡す。

それを受け取り一気に飲み干すが、やはり熱かったのか蒸せてしまう。


「ゴホッ.....ゴホ..、すまない少し取り乱してしまった。それでマサキ殿は、本当に消えてしまったのか?」


空いたカップに水を注ぎ陛下に渡し、サイルはもう一度同じ内容を聞かせる。

それを聞いてガックリと肩を落とし、頭に手を当て何かを考え始める。

マリスもサイルも黙って陛下を見守る、二人は考える何故陛下()が取り乱してしまったのかを。


何故、主はここまで取り乱してしまったのか?。

勇者マサキが、一人見えなくなっただけなのに。

一体主の身に何があったのか?。


サイルは検討も浮かなかった、マリスも同じなのか互いに顔を見てしまう。

頭から手を外して顔を上げる、ゆっくりと口を開き重い口調で二人に向けて発する。


「勇者マサキを至急に探して、余の前に連れて参れ」


「そ、それは。どうゆう事でしょうか?」


陛下から冷たい眼差しがマリスを射抜くが、それを堪えて疑問を声にする。


「大事な勇者の一人だ、探すのは当たり前じゃないか?。ここで探さなかったら、他の勇者達に何と説明する?」


先程までとうって変わり、明るく振る舞い心配する素振りを見せるが。

突然の急変ぶりに、マリスは戸惑いを隠せないでいた。


「し、しかし。何故、陛下の前まで連れてくるのですか?。見つかれば他の者が報告して、勇者フルサトを部屋で待機でも良いのでは?」


マリスの言いたい事に頷きで相槌を返し、マリスの目を見ながら答える。


「この際に全てを、明らかに仕様じゃないか?。マサキ殿の不可解な行動も、襲撃も全てをだ。不安の種は速い内に潰すのが良いだろ?、マリスも気になっていたのではないのか?」


人の顔色を伺いながら話し、的確にマリスの疑問点を潰していく。

全てでは無いがある程度の疑問が消え、陛下に一礼する。


「時間を取らせてしまい、大変失礼しました。直ぐに勇者フルサトを捜索します」


「すまぬが、よろしく頼む」


「はい。それでは私は準備が有りますので、失礼します」


陛下に臣下の礼をして、部屋から出ていく。


「それで、私はどうしますか?」


「余が合図したら、食ってばっかの勇者達を王座の間に入れろ....」


「内容は此方で考えてよろしいのですか?」


「任せる」


「確かに、承けたまわりました。では私も失礼致します」


スゥーと影に消えていくサイルを、確認して椅子に座り直す。


「マサキは一体、どうやって知ったのだ....」


ガースは真樹が消えた事に、ある程度の目星を付けていた。

いや、そう判断しないとならない、この城で気配や足跡も匂いも消える場所は一つしかない。

だが行くにはある物が必要の筈だった、それが何だったのかが思い出せないが。

それがなきゃ、行ける筈のない場所には行けない。


奴はどうやって、あの場所を知ったのだ.....。

この事を知ってるのは、余と妻のミーファだけのはずだ。

これが、外に拡がればヘルズ国が、終わってしまう。

それだけは阻止しなければ、化物さえ居なければこの用な事に成らなかったのに....。

本当に忌々しい化物だ.....。


真樹が、どうやって知り得たのか分からず。

苛立ちながら最奥にいる、化物に恨み言を内心で吐き散らかす。

外が騒がしく鳴り初めて、椅子から立ち上がり王座の間に向かっていく。


..............


.........


....


「痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い!」


長い階段を転がり落ちた、真樹は頭だけは両腕で囲み守っていたおかげで。

首の骨や頭には怪我はなかったが、肋骨、足、腕の骨は折れていた。

体中に打撲や痣が浮かび、見るからに重症な状態だった。


痛い痛い痛い痛い痛い痛い、痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い。

マジで痛い、絶対骨折れてるって!。

水にビビって踏み外すとか、何やってるだよ俺.....。


転げ落ちた理由に呆れてしまい、袋収納メッシスから液体が入った瓶を取り出す。

暗い場所の為に瓶を取り出してみたが、それが本当に回復ポーションなのか不安に駆られる。

それでも飲まないといけない、頭以外の全身に拡がる痛みを消すには。


父さんのだから大丈夫、父さんのだから大丈夫。

父さん持ち物だから信用できる、それに確認した時もこの目で見てたろ....。


飲む事を決心して、手探りで瓶の蓋を外し。

口に付けて一気に飲み干す、口一杯に拡がる苦味に吹き出そうとするが我慢して。

喉を通らせ胃に納めていく、暗い為に体に変化が起きたのか視認出来ない。

暫くして痛みが消えていき、歩けるぐらいには治ったと思う?。

立ち上がり痛みがあった箇所に触れて、痛みや折れてる感触がないか探していく。

頭以外の全身を触り、治ってる事を確認して満足する。


治ったんだよな?、痛みは消えたけど?。

それにしても一番下まで、転げ落ちたけど良く死ななかったな.....。

やっぱり灯りが無いと、さっきみたいのが起きるよな。

.............待てよ?、発光する奴があるじゃん!。

何で気付かなかったかな....。


灯りに成りそうな物を思い出し、袋収納メッシスから魔柔石ミーヤを取り出す。

今まで魔柔石ミーヤに魔力を流すと、少し光ことを思い出していざ実行する。

ただ光を強くするイメージを持ちながら、魔力を流しそれにそって魔柔石ミーヤも光を強めていく。

辺りが明るくなり、足元が見えるまで成功したことに内心ガッツポーズする。


よしゃぁぁぁぁー!、上手くいった!。

これで普通に歩けるな、もう魔柔石ミーヤ様様です!。


魔柔石ミーヤに感謝の念を送りながら、奥に向かって歩いてく。

暗かった時には見えなかった天井や壁に床、苔が生えていたり水溜まりに穴があったりと。

見えなかった部分が見えて、気分が高揚としてきていた。


やっぱ俺もまだ子供だな~、こんな危険な場所に来て死にかけたのに。

何故か、ワクワクしちゃうだから可笑しな話しだ......。


知らない場所を、探検する子供のような気分になり苦笑する。

真っ直ぐな道を歩いているだけで、どうしても変な事を考えてしまい。

一人でテンション上げて、楽しむことにしていた。


奥さん見てください!、我が社が開発しました新商品!。

見た目は悪いですが....、性能はもちろん保証致します!。

魔力を流すだけで、形や色耐久性も変わる!。

高い場所に手が届かない、花を愛でたい、家の補強材が欲しいって一回でも思った事は有りませんか?。

そんな時に役立つのが!、我が社の新商品その名も"魔柔石ミーヤ"です!。

これが一家に一つ有れば、家族も喜ばれますよ。

えっ?、お高いでしょうって?。

その点は御心配は無用ですよ!、魔柔石ミーヤのお値段はなんと!...タダです!。

0ですよ・ゼ・ロ・!、こんなお買い得品は今日までの原点品ですので。

お求めは御早めにお願いします、それでは皆様のお電話お持ちしております!。


日本にいた頃、深夜に流れてる新商品を宣伝する番組を、思い出してそれを一人で魔柔石ミーヤを使って紹介していた。

やり終わった後、無表情になり残念な気持ちになった...。


その後は何も考えずに、ひたすら歩いて途中で休憩もした。


もうどれぐらい歩いたんだ?、この場所に入ってから?。

数時間は歩いた気がする?、正確な時間は分かるわけないし...。


歩くのも終わりに近づき、暗闇の先に小さい光が見え始めた。

魔柔石ミーヤ以外の光に反応して走り出した、オレンジ色のようにも見える灯り段々と近付いっていた。

少し広い四角い部屋に踏み入った時、真樹は立ち止まり呼吸を止めてしまうほど、唖然としてしまった。


手足を鎖で繋げられ空中でぶら下がってる、まるでY字のような状態だった。

黒髪で身長的に小学低学年だろう子供、肌は白く透き通っているが、来てる服はボロ雑巾のようだった。

それだけなら驚く必要もない、真樹の双眸は子供の一点に釘付けだった。

胸に刺さってる短刀から、真っ赤な血が今も流れ続けて床を赤く染めて侵食する。

子供を中心として内側が新しく、外側は黒く固まっている。

その量を見るからに、子供が内包してる血の容量を遥かに越えている。


訓練に見た死闘よりも、子供に起きてる悲惨な状態に、胃から込み上げる異物を吐き出してしまう。


「うっ....おぉろろろろろ....うっ...うっ」


ビチャビチャと音をしながら、黄色い吐瀉物が血が黒く固まった床に拡がる。

まだ消化しきれてなかった、緑色の回復ポーションもあった。


「ゼェ..ハァ~..ハァ~....」


鼻で呼吸が出来ず口で呼吸をする、鼻ですれば血生臭い匂いと吐瀉物の酸っぱい臭いが、同時に鼻腔に入ってくる為にそれでも微かに侵入してくる。


何なんだよ!、忌神子姫タブシビルセスだからって!。

こんな小さい子供が何をしたんだよ!、この子だって生りたくなった訳じゃないだろぅ.....。


目の前の子供に起きてる事に、真樹は憤慨し同時に悲嘆してしまう。

真樹は子供に近寄り、胸に刺さってる短刀を抜こうと掴む。


「グァ...何だ...いきな..り..力が.抜け....る」


身体から物凄い勢いで、何が吸われていき膝を血の床につけて倒れしまう。

意識が朦朧としてきて、瞼が重くなり少しずつ閉じていく。

子供から流れる真っ赤な血が、真樹の目や口えとゆっくりと体内に侵入(・・・・・・・)してくる。


ごめんな.....何も知らないのに同情しちゃて....。


意識が完全に途絶える前に、子供に向けて謝罪するどんな気持ちかを、知らないのに同情してしまった事に。

それが最後として、鮮血な血の海に眠ってしまう。





2話連続読んでくださり、ありがとうございました。

少し読みづらかったり、誤字や可笑しな点が有りましたら。

何でも言ってください、直ぐに修正したりして直します!。

本当なら3話、連続更新したかったんですが。

時間が足りず出来ませんでしたm(__)m。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ