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人生初の異世界で~俺だけ何も貰えなかった~  作者: 氷鬼
一章 始まりと絶望
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11話 武器庫

道中、ずっと喋りぱっなしだったトッペだが。

ずっと聞いていた為に、疲れの顔が表に出てる真樹は正に青白になっていた。


「おい、マサキもうすぐて着くぞ」


その言葉に希望に近い感情が表れる、もうすぐでトッペと別れる事に。


長かった....、トッペの話しは途切れる所か勢い増して饒舌になっていく。

その地獄に似た話し、それが毎回違う話だったら良かったのに。

必ず同じ話が、か・な・ら・ず!。

聞かせられる、それだけでも苦痛だった。


「それでよ、マサキ。家の娘のチゴメが六歳になってさ、贈り物にさ可愛い服をあげてさ。それを着てさ見せてくれたんだよ、それがもう~可愛いくって...」


ちなみにこの話しは6回目だ、トッペの子供がチゴメで妻がナベリだと。

娘のチゴメがトッペから服をプレゼントされて、それを着たくれたチゴメが可愛かったって話し。

6回目も聞けば内容まで丸暗記だ、だか絶対忘れてやる!。


密かにトッペの話しを忘れる決意をする。

だか忘れたくっても、忘れられない程頭の隅にこびりついてる。


「ほれ到着だ、マサキここが城の武器庫だ!」


そう言われ目の前の建物を見る、入り口は木でその回りを石が囲む。

少し不格好な建物だったが、自然と合ってる気がした。

木の入り口を、トッペは押し開き入っていく。

真樹も後に続いて入っていく、....壁には色んな武器が飾っていた。


「元気にしてたかマスノエ~?」


気楽げな声が武器庫に響く、それに反応して奥から一人のおっさんが来る。


「またお前かトッペ!。仕事サボって来るじゃねえー!」


おっさんの怒声が外にまで響き、トッペは笑いながら武器を手に持ち眺める。

一切反省の色を見せないトッペに、おっさんは何を言っても無駄だと知り眉間に皺寄せながら此方を睨み付ける。


「で、お前は誰だ?。分かっていると思うが、許可がないと入れないぞ?」


知らない奴に警戒心剥き出しで、注意を促し睨み付ける。


「始めまして、私はこの度。勇者召喚された町人以下の、マサキ・フルサトです。本日はそちらのトッペさんに、武器庫を案内されここに越させて頂きました」


失礼が無いように注意して、来た理由でトッペを差し。

簡潔な自己紹介を済ます、我ながら完璧だと思った。


「おい!トッペ!、案内したならさっさと仕事に帰れ!」


武器に夢中だったトッペの尻を蹴り、仕事に戻れと怒鳴る。

蹴られたトッペは尻を擦りながら、マスノエを睨む。


「蹴る必要はないだろ!、尻に痣が出来たらどうするだよ!」


蹴られた事に不満を言い、マスノエはただ冷めた目を見下ろし。

無言でトッペをジーと見つめる、可哀想な子を見るかのように。

それに耐えかねたトッペは、此方に視線で助けを求めるが。

真樹は視線を反らし、武器を見る振りをする。

助けは期待できないと悟り、真正面からマスノエとぶつかる....と思えば。


.......逃走した、一目散に逃げ出した。

一瞬で後ろに踵を返し、駆け出した木の扉にぶつかって行く。

その姿に真樹は、どう反応するのが良いのか分からず呆然とする。

マスノエは分かっていたのか、そんなに驚く事無く近くの椅子に腰を降ろし座る。


「たく、逃げるぐらいなら来るじゃえねぇ。そんでお前さんはどうするだ?」


「さぁ~、どうしましょうか?。街に行こうとしても、陛下クズの命令で行けないし....」


トッペに呆れの溜息を吐き、頭を掻きながら此方に問うてくる。

街行けない事を内心でクズ(ガース)に悪態をつけ、どうするかを考える。


「なら武器でも見ていくか?、勇者の一人なら追い返す必要ないしな...」


先程まで部外者を嫌っていたのに、突然の申し出に困惑する。


「い、良いですか?。嘘だと思わないですか?」


「嘘でも良いさ、トッペが連れてきたなら。あー見えて彼奴は人を見る目が有るからな、そこだけは信用してる。だからお前...フルサトなら武器を、大事にしてくれると思ったんだか?」


喧嘩するほど仲が良いって言うけど、おっさんとトッペは普段から仲が良いみたいだ。

トッペが連れてきた友人なら、それだけで信用に値すると..。

お人好しと言うか、何て言えば良いか取り敢えず悪い人じゃない。

「はい、大事に見させて頂きます!」


「なら、好きに見な。....おっとまだ名乗ってなかったな、この武器庫の番をするマスノエだ。以後よろしくな」


マスノエは手を前に出して此方を伺う、真樹も手を出し互いに握手する。

手から伝わるゴツゴツした感触と力強さを、それに負けじと力を入れ握り返すが。

更にマスノエの力が増して、メキメキと音がなり。


「いたい、痛い痛い!」


あまりの痛さに声を荒げて手を引き剥がす、それを見たマスノエは笑いながら。


「すまねぇねな、案外非力なんだな...。もっと肉食って力つけろよフルサト!」


非力な事を小バカにされるが、別に腹が立つことじゃなかった。

自分でも非力なのは知ってるが、この..じゃ何も出来ないことも。


「気軽にマサキと読んでください、それに肉を食ったからと言っても力はつきませんからね?」


笑いながらに軽口を叩き、それを聞いたマスノエは豪快に笑い出した。


「ガッハハハハハ、言うじゃねぇかマサキ!。成る程トッペも気に入る訳だ、道中ずっと喋り通しだったろ?」


「そうです!、ずっと何回も同じ話しをするですよ!。どれ程辛かったか....」


やっぱりか見たいな顔をしたマスノエ。


「あいつは、いつもそうだ。一回話し出せばもう止まらねぇぞ、マサキの気持ちは充分に分かるぞ!」


ガシッともう一度握手し、互いに男通しの友情が生まれる。

マスノエとは仲良くなれそうだなと、主にトッペ関係でと思った。


「しゃーない、マサキにだけ取って置きの物を見せてやる!」


そう言って奥に消えて、ガサゴソと音を立てて。

暫くしてから紫柄の袋携えて戻ってくる、長物だと分かる形状をしていた。


「これわな、100年前に作られた業物よ。魔族の一人が持っていたが、勇者が倒して戦利品になるはずだったが...」


「だった?」


真妙な顔つきで話すマスノエに、此方も真剣に聞き入る。


「あぁ、持ち主が死ねば独り出に何処かに飛んでいき、次の主を探すだが。ちょうど勇者召喚された日に、近くの森で見つかったがソレから発しられる魔力に、近くの魔物どもをが引き寄せられて大変だった」


危ない物を魔族が持っていて、勇者に倒されて何処かに飛んでいき。

勇者召喚の日に見つけたと?、それまでは不明な状態で何処に有るのかすら分からなかったと?。

で、魔力を発していて近くの魔物を引き寄せると。

何で!そんな危険な物持ってるですか!。


「ちょ、危ないですって!」


「大丈夫だ、今は袋で魔力を遮断してるから」


危険はないって言ってもな~、袋が外れれば終わりですよね?。

でも近くの森で見つけたなら、次の主がいたって事か?


「じゃ近くにいたって事ですよね?、持ち主が」


「その筈だ、だが持ち主が現れなかっただよ。で、そこで俺は思うわけよ勇者の中にいるじゃねぇかと!」


「まぁ勇者召喚の日に見つかれば、そう思いますね?。でも勇者の中には、いなかったじゃないですか?」


図星を打たれたのか渋い顔して、しょんぼりするマスノエ。


「そ、そうなんだよ~勇者達に見せても誰にも反応しないし。これじゃただの良く切れる刀だよ...」


刀?、まじで異世界でも刀が有るの!。

異世界物の定番武器!、それがカ・タ・ナ・日本人なら一目は見てみたい物だよな。

あれ、でも、待ってくれ、俺は見た事が無いぞ?。


「勇者達には見せたって?、私は見た事が無いですけど?」


真樹の言葉にハッと顔を上げ、量肩をおもいっきり掴む。

逃がさんぞと言うかのように力が入っていて、まじまじと正面から見つめるマスノエ。

少しでも動けばぶつかる程近く、不用意に動けない状態に身の危険を感じる。


「少しだけ触ってみてくれ...な?!。ほんの少しで良い、先ちょでもいいから...な!」


やめて!、そんな卑猥に聞こえそうな風に言わないで!。

他の人が見たら誤解される、それだけは嫌だ!。

おっさんと出来てるとか言われたら、もうお外出歩けないないよ。


「取り敢えず離れてください!、てかそんな危険な物触りたくない!。......いいから離せ!!」


必死に抵抗をするがビクともしない程、ガッチリ量肩を固定されてる為に動けない。

マスノエに怒声とも聞こえる、身の危険の際に出る甲高い声を出す。


「大丈夫!、危険は無いから。なぁすこーしだけ触ってくれよ、一生のお願いだよ~!!」


少し猫なで声で言うマスノエに、おぞましさを感じ更に必死に身をよじるが。

やはり外す事が出来なかった....、自分の非力さをこれ程恨んだ事は無い。


「分かりました!、触りますから!。速く離れてください!」


言質を取ったのか量肩を掴んでいて手をどかして、紫柄の袋を近付ける。

解放されたい為に了承してしまった事を、悔やみながら恐る恐る手を伸ばし触れる。

......何も起きなかった、ベタベタ触っても反応がしない。


よしゃーーーーー!、何も起きない!。

怖かった~~、モルータ様に感謝します何事も起きなかった事に。


ガッツポーズし一人ではしゃぐ真樹だが、マスノエは肩をガクッと降ろし落ち込んでいたが。

この際一切気にしない、誰にもこの場見られなかった事に謎のテンションが上がる。


「何も起きなかったですね~♪、これで勇者の中に持ち主がいませんね♪」


真樹の言葉が気に触ったのか、紫柄の袋を外し刀の柄が見える。

血で染まったかのように紅黒かった、それを此方に向ける。


「最後にもう一回触ってくれ!、速くしてくれ魔物が集まってくる!」


えぇー!じゃ取らないでくれよ!、他の勇者達には袋越しじゃなかったのか?。

何で俺だけ直なの意味分かんないですけど、アレかさっきの気にしてるなら謝りますから。


「なら、閉まってくださいよ!」


「つべこべ言わず触れ!」


強引に手を取り紅黒い柄に触らせる、充分に非力さを分かってるのに抗ったがダメだった。


「どうだ?」


何か感じたかと聞いてるマスノエ、無性にその面を殴りたいが俺が殴っても意味が無いと分かってる。


「いえ、何も感じませんね?。後で文句ぐらい言わせて貰いますからね!」


力じゃ敵わないから罵倒してやる!。

それか何かお詫びで貰ってやるか?。


「そ、そうか。こいつの持ち主は現れないか...」


膝を地面につけ手をつける、馬の状態と言うべき格好してる。

その姿から、明らかに落ち込んでしまったマスノエ。

柄から手を離して袋にしまい、近くのテーブルだろうか場所に置く。


「元気出してくださいよ、勇者には主がいなかったでけじゃないですか?。他の所に...いるだけかも知れないでしょ?」


顔をゆっくり上げて、そうだと頷きながら立ち上がる。

手、膝に付いた埃を叩き落としていく。


「そうだな、まだ終わった訳じゃないな!。マサキありがとうな、協力してくれて!。さてやる事がいっぱいだ!、今日はこれで解散だな!」


置いてあった紫柄の袋を手に持って、奥に消えて行こうとするマスノエ。

肩を掴んで引き留める、その顔はひきつった笑みをするが。

子供でも分かるお怒りだと、マスノエの額に汗が出始める。


「お礼を言うぐらいなら、何か寄越せ!。危険な物を無理矢理触らせておいて、解散って言われて解散する訳無いだろ?」


「はい、仰る通りです...」


真樹から出る気迫に圧され、敬語で喋り初める。


「ですよね、で、何をくれるのかな?」


「ここに有る物なら、なんでも持っていっても良いですから...」


「良いだな?、後で返してくれって言われても返せないぞ?」


言質は取ったぞ、後は再確認するだけだな。


「大丈夫です、絶対に言いませんから!」


「言質は取りましたからね、....じゃこれ貰っていきますね...」


そう言ってマスノエが持ってる、紫柄の袋を奪い取る。

いきなりな事に気を取られ、スンナリと取られてしまった。

それに気づいた時には遅かった、真樹の手には紫柄の袋を持っていた。


「....そ、それだけは勘弁してくれ~!」


「いや、ダメに決まってるじゃないですか?。何でも良いって言ったじゃないですか、当然これも入ってますからね?」


良い年をしたおっさんが泣き言を言うが、真樹には関係がなかった。

ちゃんと言質は取ったし、この中からって言うから紫柄の袋を奪い取った。


「それ以外でお願いします!!」


「それ以外って言われてもな~、そんなに魅力が感じないだよな~」


必死にお願いするマスノエ、見てるだけで罪悪感が....出てきそうだがそんなに大事なのか?。


「す、少しだけ待ってくれ!」


「まつ..わ..け...」


返事を聞く前に奥に走って消えていく、またガサゴソして何かを探してる。


これよりも良いのが来たら良いな~。

紫柄の袋って刀の名前?、とかないのかな?。

マスノエが戻ってきたら聞いてみるか、おっ戻ってきたな。


「これならどうだ!。.....ゼェ...ハァ...」


そんな息切れするぐらいなら、諦めれば良いのにって思うけど。

それは無理だよね、今までの行動から大事な物だって教えてるようなものだしね。


「で、それは何ですか?」


白い金属が覆ったシンプルな、人の腕と同じ形をしてるそれを指差す。


「....義手です!」


「義手?」


「俺が独自で作った、魔力で動く義手でよ。どこか無くなった奴等の為に作った...、魔法じゃ再生できないからさ....」


何処かに思い出すように言う、その表情は悲しく自分に言ってるような印象を受けた...。

なら、答えは決まってる....。


「それと交換で良いですよ?」


「.....え?!」


聞こえなかったのかな?。


「それと!、交換で良いですよ?」


紫柄の袋をマスノエに渡して、代わりに白い義手を貰い受ける。

こんなので良いのかと、顔をで訴えてくる。


「この義手にはマスノエの、想いが詰まってます...。私からすれば紫柄の袋よりも、価値がありますから...」


「ありが..と...う。ぅぐ..うぅ...」


「泣かないでくださいよ....」


涙を豪快に拭って息を整えて、会った時と同じ状態で良いのかな?....目はまだ赤いけど?。


「すぅ~は、すぅ~は。.....すまねぇな、みっとも無い所を見せちまって」


「落ち着いたみたいですね、....一つ良いですか。この刀には名前は無いですか?、紫柄の袋って読んでますけど?」


「名前か?、それが100年前の文献探しても見つからないだよ。取り敢えずは無名刀って呼んでるな、それか紫柄でも良いな...」


「なんと言うか...、適当なんですね?」


「ならマサキが名前つければ良いだろ?」


おっさんのキョトン顔なんか見たくないし。


「嫌ですよ、そんなめんどくさいの。名前つけたら呪われそうですしね...」


「名前つけただけで呪われるとか、ガキみたいな発想だな」


.....ガキ?、あーアレか喧嘩売ってるだな?。

よし買うよ、ボコボコにされる自信が有るけど買うよ?。

ーーー痛い身に会うって分かってて行く奴はいないな、よっぽどのドM野郎しか行かないよ?。

って言いながら、族に向かっていった奴がいました。


「取り敢えず、名前つけるのは嫌です」


「まぁ別に良いけどさ~、で、義手ついてだか?」


「はい?」


「使い方知らねぇで、渡す訳にはいかないからな。説明するから黙って聞いておけ?、一つでも聞き逃すと使えないからな?」


黙って聞けって、さっきまで泣いてた人が何を言ってるだ。

泣かした原因はって言われたら、俺ですけどね....。

はいはい、黙って聞きますよ~。


「まず、正式な名前はまだ無いが、それはのちに作るから置いておく。使い方だが無くなった部位に装着して、魔力を流しながら形をイメージするんだ。その際に激しい激痛が襲ってくるが、まぁ耐えられなかったら死ぬだけだけどな。で、イメージで自分の腕を想像し義手に投影する、そこまでの工程が終われば後は魔力を、流し続ける事で固定される。.....ここまでは理解できたか?」


「すみません、何を言ってるのか分かりません?」


そんな呆れた顔をしないでくださいな、全然理解できる訳無いじゃ?。

途中で聞いちゃいけない単語なかった?、ねぇ激痛で死ぬとかリスクが大きよね?。


「分かった、もう一度説明するから耳をかっぽじって聞けよ!」


「いやいや!、もっと簡潔に説明してくださいよ!」


「簡潔にか.......」


「......」


「つけると死ぬ」


「なんでだぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」


「いきなり何だ?!」


「いきなり何だ?、じゃねぇよ!。何で簡潔に説明すると死ぬんだよ、可笑しいだろ!。マスノエが使い方の説明するって言うから、黙って真面目に聞いたのに!。使ったら死ぬだぁ!、何だお前の説明は死に方の説明か!。ふざけろぉぉぉぉぉぉぉぉ!」


使い方の説明にぶちギレて、声を荒げながら詰め寄り怒鳴り散らす。

再度マスノエに説明を、求めた自分と適当さに憤慨する。


「こんな事が有ろうと思って、説明書を用意しましぜ」


出された白い紙を疑いぎみ睨み、マスノエの方を見る。


「大丈夫だ、本当に義手の説明書だ!」


マスノエの慌てぷりっに、先程までの憤慨が嘘のように消え。

明るい笑顔をでマスノエの肩を叩く、力加減する事無く。


「なんだよ~マスノエ、有るなら速く出してくれよ~。怒って悪かったな~、でもマスノエも悪いだぜぇ~説明が適当にするのが~」


甘ったるい声を出し、マスノエに絡む....ハッキリ言って他者から見れば気持ち悪いの一言に尽きる。

同様にマスノエも、真樹の絡みに抵抗する..気持ち悪いゆえに。


「離れてくれぇー、てかさっさと読め!」


腹を殴り物理的に距離を取った、食らった方はその場で倒れ、腹を押さえながら地面に蹲る。


「ぐほっ!、....いてぇ~よ。何しやがる....だ....マジでいてぇ~」


「もちろん、加減はしたから直ぐに立ち上がれるぞ」


数分は腹を押さえた状態でのたうち回り、暫くしてから立ち上がる少し足をふらつきながら。


ゴーン~ゴーン~ゴーン~ゴーン~ゴーン~ゴーン~


外から鐘の音が響き渡る、6つの音が一定になり今の時刻を表す。


6つの音か、って事は今は.....17時になるんだよな?。

この世界の時間って、今だに混乱する一刻で一つ鐘を鳴らしてくれれば楽なのに....。

でももう17時か、ガース(クズ)との謁見が8~9時で終わったのが11時だったはず?。

その後に訓練場....は思い出したくから、逃げ...出て来たのが15時で合ってる筈だな。


トッペに出会ってマスノエがいる武器庫で、二時間も過ごしたのか暇潰しにはなったけど、なんかなぁー?。

こう?、納得出来ないな?、この二時間が濃密過ぎた。

同じ会話におっさんの涙、危険な刀とか説明が適当な義手?。


少し待ってくれ...、最近泣いてる奴に出会うの多くない?。

いや、気のせいだなーーー気のせいであってくれ...。


やっと腹の痛みが無くなり、普通に立っていられるようになった。

マスノエから説明書を貰い、袋収納メッシスに義手と一緒に入れる。


「じゃ、そろそろ自分は帰ります」


「おうよ、また暇な時は来な。そん時には義手よりも、凄いのを作って待ってるぜ」


「...そうですね、次いつ来るか分からないですけど。トッペやマスノエに会いに行きますよ...」


互いに笑いながら会う事を約束するが、真樹の中にはもう会えないと知ってる。


(トッペ、マスノエ、ありがとうな....)


入った時と同じで、ドアを押し開き出ていく。

その足取りは明確に目的地に向かって歩を歩む、....王座の間に。




「....行ったか、人騒がせ奴だったぜ。次に来る時には度肝う抜ける物作ってやるぜ、マサキ楽しみにしてろよ」


真樹の姿が見えなくなるまで、ドアを凝視して見送っていた。

自分のバカ息子を思い出し、マサキに面影を重ねて微笑する。

冒険者になるって言って家を飛び出し、久しぶりに帰って来たと思えば量腕を失ったバカ息子...。


「エディー...」


マスノエのバカ息子エディ...、冒険者を夢見て悪逆冒険者の罠に引っ掛かり量腕を斬られ。

家にたどり着いてから数日で、眠るように息をひきとった。

エディー量腕からの出血で死んでも可笑しくなかったが、最後まで諦めず自分の足で家族に会い。

『育ててくれてありがとう、迷惑かけてすまない』。

その言葉を最後にベットで、逝ってしまったエディーの体にすがりつき一晩中泣き続けた。


「感傷に使ってる場合じゃねぇな、片付けて酒屋でトッペと一杯やるかの」


紫柄の袋を手に持ち、奥の定位置の棚に立て掛ける。

紫柄に向かって声をかけてから、「必ず持ち主を見つけてやるからな」。

武器庫を軽く掃除して入り口に魔法で千錠し、トッペのいる所に向かう。






『探シタゾ...忌々シイ勇..者ノ血...ヲ受...ケ継グ..者ヨ..』


怨念がましい声が棚の中震える、ガタガタと小刻みに震え。

憎き敵を見つけ歓喜してるようにも、捉えるようなドス黒い魔力が溢れだす。


『必ズ....ソノ血デ...身ヲ真ッ赤ニ....染メテ...ヤロ..ウ』


誰も知る事が出来ない、死刀が奮い立つ日がもうすぐだと。


少しずつですが、読んでくれる方が増えていき。

大変嬉しく思います!、これから者の楽しみにしてくれる方を。

楽しませるように頑張ります!!。


(о´∀`о)

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