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人生初の異世界で~俺だけ何も貰えなかった~  作者: 氷鬼
一章 始まりと絶望
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9話 謁見



スターリックから帰宅後、ガース陛下が何処に居るのかを見回りの兵士に聞いて回った。


「ぁ~それなら、王座の間にいると思うよ?...」


ふむふむ、どうやら他国からの使者が来てて。

それの対応をしてるらしい、何処の国の使者?。


王座の間って、簡単に言えば御偉いさんが面会する場って感じだよね?。

褒美、労いの言葉?、謁見とかそんな式にも使われる。


なんやかんやで、王座の間近くまで来ました。

扉を守護するように、両端に屈強な騎士が二人いた。


「やっぱ、デカいなぁー」


王座の間扉を見上げる、高さは6~7Mぐらいから?

頑丈そうで、派手な装飾がしてある。

騎士の一人が此方に気づき、近寄ってくる。


「これ以上は進めませんので、お引き取りください」


何人も通さん、って感じな雰囲気で止められた。

体の隅々で見られる、武器を所持してないか。

それはもう~ギランーって擬音がつく目で見られましたよ。


「此方にガース陛下が、居ると聞きましてので、謁見は可能ですか?」


「今はダメだ、"商業都市ダマハ"から使者が来られてますので。謁見は出来ません」


「商業都市?」


?を浮かべていたら、騎士が教えてくれました。

〈商業都市ダマハ〉

商人達で作られた国らしく、品揃えが豊富で食べ物が旨い。

武器も扱っていて、その手の者達には良い国だと。

まぁ観光にも良いとかで、人気な場所です。


「成る程...じゃ今王座の間に御偉いさんがいるですね?」


頷きながら、返答してくれる騎士。


「そうです、だから今は謁見は出来ません。なので要件と名を言ってくだされば、後程王に伝えておきますよ?」


おぉーサービスが良いですね、騎士さん!。


「内容は言えませんが、古里真樹が来ましたって。伝えてもらえますか?」


「了解しました、必ずお伝えしときます」


礼を言って、元の位置に戻っていく騎士。

もう一人の騎士と、喋ってから仕事に戻っていく。

その場に立ち止まって、王座の間をみて。

来た道を戻っていく。


ーーーー王座の間ーーーー


王座に座ってる、ヘルズ国の王...ガース・ヘルズ。

その隣に大臣の、マリス・アルミナが立っている。

赤髪のロングで、容姿はそれほど悪くはない。

彼女ら才覚を発揮して、一から上り詰めた強者だ。


「でわ、この度は商談成立でよろしいですか?。商業都市ダマハの使者、ニルギヤ・タサ・ダマハ殿」


「ノフォホホホ、それで手を打ちますぞ」


呑気に笑ってる、年老いた老人が商業都市ダマハの使者である。

大国の権力者で、一番の欲深い商人でもある。

国の商談事には、必ずいるとさえ言われてるい程だ。


「商談内容を、紙に纏めさせて頂けませたので。確認をお願いします」


すぐ側まで一人の文人が、歩みより紙を渡し元の位置に戻っていく。

渡された紙を、齟齬がないか隅々まで見ていく。

最後まで確認して、問題が無いって分かり顔をあげる。


「ふむ、問題はありませんぞ。後は都市に帰って、品物を運ぶだけですな」


「すまぬな、ニルギヤ殿...」


すまなそうな顔するが、ニルギヤは手で押し止める。


「よいよい、友が苦しんでるなら。助けるのが友の務めよ、ノフォホホホ」


「ニルギヤ...、お主らしいな...」


若りし頃二人は、とある国の事件で出会っていた。

幾度の衝突で、強敵(友)として絆を深めあっていった。


「ところで、ガースよ勇者はどうじゃ?」


唐突に何でもないように、訪ねてきた。


「...あぁ~、それなら順調に育ってきているな」


「そうか、近々この目でみたいの~?」


「今日は、流石に遅いが。明日なら会えるぞ」


「まぁ、よい。...遅くまで商談してしまった、儂はもう帰るさ」


「流石に、夜に移動は危険だ。今日は城に留まっていかないのか?」


夜に移動となれば、危険な魔物が活発に動く為に見張りを立て。

夜を過ごすのが常識だ、だがニルギヤは独りで来た為に見張りを立てられない。

いや、立てる必要が無い、そんじょそこらの魔物や盗賊じゃニルギヤに傷をつけられない。


それが分かってるのは、世界に二人だけだ。

一人が、ヘルズ国の王...ガース・ヘルズである。

もう一人は、商業都市にいる。


「ガースも知っているだろう、儂には必要無いのじゃよ。まだダマハにも仕事が、有るのでなノフォホホホ」


笑いながら王座の間を、出ていくニルギヤ・タサ・ダマハ。

廊下には今も笑い声が聞こえてくる、鼻唄混じりに。

出ていった扉を眺め、溜め息を吐く。


「ニルギヤ殿も、相変わらずでしたね陛下?」


マリス・アルミナが呆れ似た声を出した。


「~~いつもの事だ、ニルギヤは金が絡むと人が変わるからな。金が絡まなければ、気の良いただの老人の友さ」


「....陛下もお疲れでしょう、部屋でお休みください。後は此方でやっておきます」


軽く頭を下げ、ガースにお休みになる事を進言する。


「そうじゃな、後はマリスに任せる。何か有れば知らせてくれ」


「了解しました」


再度頭を下げる、王座から立ち上がり扉に向かっていく。

一人の騎士が此方に、向かってくる。

王の前まで行き、膝を降り跪く。


「失礼します、陛下」


顔を下げたまま、申し上げる。


「顔を上げよ、何用で参った?」


「はっ!、先程ですがフルサト・マサキと名乗られる方が謁見に来ました」


名前を聞いて、思い当たる人物を浮かべた。


「おぉーマサキ殿が、何用で来られた?」


「ご内密な話しだそうで、詳しくは聞いておりません」


それ程、何か急な要件だったのか?。

明日の朝にでも、話しを聞いてみるか。


「ご苦労であった、戻ってよいぞ」


「はっ!」


扉の守護に戻っていく、騎士。


「マサキとゆう方は、サラ様を助けた勇者でしたね陛下?」


「そうだ、しかしマサキ殿から急な要件か....」


「詳しく調べるますか?」


「よい、明日の朝にでも聞くさ」


王の意思を読み取り、行動に移す。

明日の朝話せる場を準備するために、何人かのメイドに指示を出す。


「流石...行動が速いなマリス」


「ありがとうございます」


「部屋で休む、後は任せるぞ」


全てをマリスに任せ、自分は部屋に向かっていく。

ガースが見えなくなるまで、頭を下げ続けて見えなくなったら頭を上げた。


「...マサキか」


サラ様の急死の所を、寸前で助けた最弱勇者か。

陛下にご内密の話しか、詳しく調べる必要があるな?。


独りで何か考え、王座の間から出ていく。

廊下の曲がり角で、暗部を呼ぶ。


「何用でございますが?」


「少し、調べて欲しい事がある」


「承知してる」


まだ何も言ってないのだか?、どうせ暗部の事だ事情は察してるか。


「なら、行け。くれぐれも、ヘマはするなよ」


「我らに失敗は無い」


スッ~と、影に溶け込んで消えてしまった。

行った事を確認して、自分も歩を進める。


............


.......


....



目の前に壁が....、あっ、もう朝か。


「ふぁー、久し振りにベットで寝た気がする...」


あれから謁見が、出来なかったし。

酒を飲んでいたせいで、ベットダイブで爆睡したんだった。

てか、酒入った状態で謁見するつもりだったのか...。

我ながらビックリですな、良かった謁見出来なくって~。


「酒を飲んだら、二日酔いってイメージがあったけど。俺って酒に強いのか♪.....そもそも2杯で酔うわけ無いだろ、はぁ~くだらな」


深い溜め息を吐き、自分のテンションに悪態つけて。

洗面所で顔を洗い、服を変える。

着てた服と、そんなに変わらない同じ色ばっか...。


これだったら、服買ってくれば良かったな。

そもそも金持ってないだった、言えばくれるけど、それだけは...嫌じゃん。


ーーートントンーーー


うん?、朝から誰だまた咲音か?。

出るor出ない、どっちするか。

正直めんどくさい気がするしな、ガースに会いに行かないといけないしな。


相手が痺れを切らしたのか、叩く強さを増してドンドンと響く。


「はい!、今出ます!」


ドアを開けて、相手の顔を覗く。

そこに居たのは、茶色の髪をした青い瞳で。

白と黒をしたフリフリな服装、いわゆるメイド服である。


「えっ...と?、何か用ですかアテラさん?」


メイド長のアテラさんが、音の正体だった。

佇まいが上品と言うべきか、朝から良い者を見ました。


「王様がお呼びです」


「えっ?」


「王様がお呼びです」


聞き取れなかった訳じゃ無いですよ?。


「どうして、ガース陛下が俺を呼ぶんですか?」


「昨日、勇者マサキ様が謁見を申されたましたので。王様が話し合いの場を用意しました」


あー確かに言ったな、騎士に伝言お願いしたんだよな?。


「分かりました、すぐに準備してから向かうので。場所を教えてもらっても良いですか?」


「それには心配いりません、メイド長である私が責任持って御案内しますので」


メイドとして責務なのか、アテラ個人の性格なのか?。

分からないが、並みならぬ決意そこに感じた。


「...すぐに準備しますので、少しだけ待っていてください」


「承知しました」


両手を前で合わせ、頭を少し下げて廊下で待機する。

その間に必要な物を着けて、廊下に出る。


「すみません、お待たせしました」


「御案内します」


先頭を歩きガース陛下が居る、場所に案内する。

その間は両者とも、言葉を交わさなかった。

沈黙を先に切ったのは、アテラだった。


「....勇者マサキ様は、何用で王様に会うのですか?」


「.....」


「勇者マサキ様?」


「...すみません。少し考え事してました」


後ろを振り向き、真樹を確認してくる。

真樹は少しだけ驚いていた、メイド長アテラさんが理由を訪ねたことを。


「謁見の理由ですか?、....ガース陛下の口からどうしても知りたい事が有るんです」


「余程、重要な事みたいですね...」


「.....」


「.....」


また沈黙が訪れる、それからは話す事もなく、目的の場所に向かって歩いていく。

先頭を歩くアテラが止まり、真樹も歩を止める。

質素だが、やけに重みのある扉に2回ノックして。


「勇者マサキ様をお連れしました」


『お通ししろ』


中から渋いが、強みを感じる声がした。

アテラがドアノブに手をかけ、開けて中に入るように促す。


「し、失礼しま~す...」


部屋に踏み入り、椅子に座ってる人物に目が入る。

気品に威厳に満ち、上等な服を着ていた。


「良く来てくれたマサキ殿」


朝から、爽やかな笑顔でむけられた。

白で統一されたテーブルに椅子、窓から入る日の光で明るく照らせられていた。


「おはようございます、ガース陛下...」


右手を心臓の位置につけ、頭を下げて礼をするが。

ガースの手で止められ、「気楽でよい」と声をかけられた。


「マサキ殿、朝食はまだだろう?」


「はい、まだ食べてないです」


何処からかベルを取り出し、2~3回鳴らす。

扉を開けて、ダンディーな執事が料理を台に乗せて入ってきた。


「なら一緒に、朝食を食べるか」


テーブルに料理を並べていく、白パン、スープ、スーテキ。

朝からスーテキは、キツいでしょ...。

並べ終わったのを確認して、椅子に座ろうとすると。

椅子を引いて、座りやすいようにしたダンディー執事。

お辞儀して、一歩後ろに下がって待機する。


「ありがとう、サイル」


「当たり前の事です...」


献奏するけど、その顔をは少しだけ口角を上げていた。


「立ってないで、座ったらどうだね?」


「はい、失礼します」


向かい合うように座り、ガース陛下、執事、左手を順番に見る。

いつでも発動できるように、左手の人指し指に着けた。

"催眠ヒプノディストみ"を、確認した。


「要件は食べてからでも、大丈夫かな?」


「そうですね、食べてからで平気です」


「うむ、早速食べよう。冷めたら美味しくなくなる...」


「ですね、折角の料理ですからね。...頂きます」


手を合わせて、料理を口に運び咀嚼する。

良く噛んで飲み込み、ドンドンと口に運ぶ....。

ジッーと見られてる事に気づき、顔をあげる?。


「....顔に何かついてますか?」


「あぁ、すまないな。あまりにも、食べっぷりに見とれてしまって」


笑いながら、そう言うガース。

実際に並べられた料理の、大半はもう空っぽだった。

ガースの方は、まだスープと白パンにしか手をつけてない。

ダンディー執事サイルも、微笑んでいた。


....今思ったけど、執事を初めて知った気がする?。

最初に会ったのは、召喚された日だったな。

それ以降は会う事無かったもんな、そう思うとダン執のサイルは謎が深いですな...。


「お代わりは、いかがですか?」


空いてる食器を下げて、お代わりを聞いてくる。


「すみません、頂きます...」


笑みで返答して、料理を目の前に並べていく。

飲み物も補充する、気遣いその仕事ぷりに感激ですね。


「あっ、そうだ。ガース陛下に謝らないといけないと思ってたんです」


思い当たる事を探したが、検討つかなかったみたいで。

少しだけ、困惑して問うてきた?。


「はて?、何かマサキ殿にされましたかな?」


「えっと、召喚された日を覚えてますか?」


「勿論、覚えている」


「その日にガース陛下が、お願いする時に土下座をしたじゃないですか....。真剣になってる、人を笑った事を謝りたくって...」


サイルとガースは、その時の事を思い出してるのか。

二人で目を合わせて、執事のサイルが口を開く。


「陛下...、マサキ様は頭を下げた陛下を笑った事を覚えますね?」

「確か...一人だけ笑っていた者がいたな?。その物がマサキ殿っと事だな」


「はい、そうです。笑っていたのが自分なんです、いつか謝らないとって思っていたので....」


申し訳なさそうに、下に俯く真樹。


「顔をあげてください、確かに笑ったのがマサキ殿としても。勝手に召喚した立場上、謝らないといけないのは此方だ」


椅子から立ち上がり、頭を下げて言葉を紡ぐ。


「すまなかった、国を救う為といえ。無関係な勇者様方を巻き込んだのは全部、余だけだ恨んでもくれても良い...」


悲痛で顔を歪ませて、頭を下げ続ける。


「確かに、ガース陛下達がやった事は許せません。ですが陸達がこの世界の為に動いてます、命にかけて....」


ガースとサイルは、ゆっくり顔を上げていく。

目を潤ませて、顔を歪ませて此方を見る。


これをチャンスだと思い、左手に魔力を流す。

紫の光が集まり、二つの光がガースとサイルに当たる。

内に、吸い込まれるように溶けていった。


そう真樹は二人にどうやって、"催眠歪ヒプノディストみ"を当てるかを考えていた。

ダンディー執事は、王の護衛で力が強いのを分かっていた。

少しの魔力でも察知されて、警戒され発動する事も出来なくなってしまう。

そこで考えたのが、召喚された日を使った心情作戦だ。


この二人は俺が笑った事を、確実に覚えていた。

二人で、目を合わせていた事が何よりの証拠に近い。

「ますね?」で、サイルは確実に覚えていたし。

その時にも、眉毛がつり上がって怒りを表せていた。

....すぐに怒りは引っ込んでしまったけどね。


まぁ賭けに近かったから、成功して良かった。

怒りで魔力が出れば、向こうも何かしらすると思っていたけど。

杞憂に終わって、何よりだ...。

さて、今から質問タイーーム!。


「ガース、今から言う質問には正直に答えろ!。サイル、他の奴等が来ても適当にあしらって追い返せ」


二人の目に星が現れ、命令を受理された。

サイルは部屋から出て、他の人達を追い返す為に待機する。

ガースは質問が来るまで、放心状態でいた。


「まず、今までの勇者達えの発言に嘘はあったか?」


放心状態だった、ガースはおもむろに口を開く。


「はい。有りました」


「例えばどんな、嘘を言った?」


「はい。帰る手段、魔王と戦い、召喚した理由、勇者.....等です」


やはりか....都合が良すぎると、思っていたけどクラスの連中は何で気づかなかったんだ?。


「1つずつ話せ」


「はい。召喚した勇者を帰す手段はありません。魔王が奪ったは全くの嘘です」


「召喚する方法があって、帰す方法がないだな?」


「はい」


この世界には、帰還する手段が無い....。

そもそも、こいつの知識には無いだけで知ってる奴が居るってことだよな。

そうしないと、必死に探した父さんが。

母さんと俺を、帰した意味が無くなってしまう。


「次だ」


「はい。魔族との戦いは土地の確保と、妻のミーファを殺された事が理由です」


「その為に勇者を召喚したのか?」


「はい。召喚された勇者は必ず、何かしらの天恵ギフトを持っていて戦力確保にはうってつけです」


勇者を捨て駒に、するつもりだったのか。

召喚すれば天恵ギフトを必ず持っている、戦力増大には良いよな....。

異世界から来る人だけの、限定特典だよな。

でも、必ず戦う奴が召喚される訳じゃ無いよな...。


「必ず戦わない奴も出てくる筈だが、そこはどうしてる?」


「はい。幻惑級アルシオンの"無意識オブリー意思ウィル"で、少しずつ洗脳していきます」


「その効果は?」


「はい。対象の無意識に時間をかけて、使用者の意思を刷り込み。意識を上書きするです」


相手の深層心理に、意思を刷り込ませて。

あたかも自分の、意思で行動してるようにするってことか?。


「"無意識オブリー意思ウィル"デメリットは?」


「はい。洗脳するのに物凄い時間がかかるのと、効果を知っているだけで効かないと事です」


「どのくらい時間を有する?」


「はい。一人に対して完全に洗脳するには、一ヶ月ぐらいです」


そんなに時間がかかるなら、今洗脳されてるのは一人だけの筈だよな?。

効果を知っている、或いは見た事が有るで無効にされるのか?。


「今、何人ぐらい洗脳してる?」


「はい。先日もう一人洗脳できたので。今は13人程完了してます」


ーーーー!!。

....13人も完了してる!、可笑しいそれじゃ時間が合わない。


「どうゆう事だ、時間のデメリットはどうした!」


「はい。最初に洗脳した勇者の天恵ギフトで、効果を高めて。本来の効力を、10倍に高めたお蔭でより早く出来るようになりました」


3日に一人で、洗脳を完了してるのか。

二ヶ月もしない内に、勇者全員終わってしまう。


「それは何処にある?」


「はい。ミナセ・ヤマダが所持してます」


山田皆瀬...確か文化系の男子だったな?。


「皆瀬は今、何処にいる?」


「はい。場所は分かりませんが、次の洗脳を始めてると思います」


「解く方法は?」


「はい。一回洗脳されたら、解く方法は無いです。魔法による解除、新しい洗脳の上書きも出来ません。上書きするには、使用者がもう一度洗脳しないと、解くこと出来ません。最後の手段は殺すしかないです」


最悪な状況だ、魔法もダメ、洗脳の上書きもダメ。

方法は使用者が、もう一度やるしかない。

問題なのが使用者の、意思の洗脳でマトモな判断が出来てる事だ。

やってる本人は、疑問すら浮かべないで。

自分の意思で、やってるって事が問題だ...。

洗脳されていない奴にも、防ぐ手段をしないとダメだな。

もうこれ以上、増やす訳にいかない.....。


「効果を知っていれば、防げるだよな?」


「はい。効果を知っていれば、防げます」


洗脳されていない奴には、"無意識オブリー意思ウィル"の効果教えれば防げる。


「洗脳せれている奴を、見つけ出すにはどうすれば良い?」


「はい。使用者なら見つける事が可能ですが、他の人には見つける事は出来ません」


手詰まりか、使用者なら何かしらで分かってるって事か。

いや待てよ、洗脳されてる奴には他の洗脳は効かないだよな?。


「"無意識オブリー意思ウィル"には、他の洗脳が効かないだよな?」


「はい。"無意識オブリー意思ウィル"で洗脳されれば、他のじゃ洗脳されませんが。先に洗脳していれば、"無意識オブリー意思ウィル"でも洗脳する事は出来ません」


先に洗脳さえしていれば、"無意識オブリー意思ウィル"でも洗脳する事が出来ない。

"催眠歪ヒプノディストみ"で先にやってしまえば、それだけで防げるのか...。


こいつらの嘘は全部聞いたな、なら本題に入るか。

それを聞いてから、王族の血を手に入れる。


忌神子姫タブシビルセスについて話せ」


「はい。『災厄をもたらす者』と世界で呼ばれています、村、街、国等幾つも滅ぼすほどの力を持っています....」


「まてまて、それは知っている。この城に居る忌神子姫タブシビルセスは、何処にいる?」


「はい。城の地下深くで隔離してます」


「この城には、地下は無い筈だか?」


暇な時に、城を歩き回っていた時期があったけど。

地下に通じる部屋、場所は無かった。


「はい。普通では行けませんが、王族の証で行けるようになります」

「王族の証?」


「はい。これです」


出されたのは、赤い宝石が付いてる指輪だった。


「コレが証?」


「はい。王族の証を、王座の間で魔力を流せば。術式が反応して、地下に通じる道が開きます」


王族の証が無いと、絶対に行けないのか。


「サラは持っているのか?」


「はい。持っています」


「それも使えるのか?」


「はい。使うことは出来ません、術式を組んでいないので」


成る程、実際に使えるのはガースが持ってるのだけか。


「他にこの事を知っているのは?」


「はい。これを知っているのは、余と妻のミーファだけです」


二人しか知らない事だったが、今はガース一人だけか。

そう言えば、リックさんが推測していた事があったな?...。


忌神子姫タブシビルセスはお前の娘か?」


「はい。違います。余の娘はサラ一人です」


全然違った!、ちょ、リックさん!。

正解だって感じで言ってたのに、全然違うよ!。


「五年前に産まれたのはどうした?」


「はい。ミーファから産まれたのは、サラ一人だけです」


アーレー?、リックさん話が違いすぎませんか?。

五年前に、産まれた子の話しは何処にいったですか?。

謎が謎を呼んだけど、知りたい事は知ったから良いか....。

でもな、こう悶々とした物があるなー。


一回、整理しよう。

召喚した理由が、妻のミーファが殺された事で。

一気に戦力増大には、異世界人からの勇者だったわけで。

そのついでに、魔族の土地も取れれば良いぐらいだな。


幻惑級アルシオン"無意識オブリー意思ウィル"で、着々に勇者を洗脳していってる。

無意識に使用者の意思を、刷り込ませて自分の意思で動く。

山田皆瀬の天恵ギフトで、効果を10倍に高めている事。

30人中13人が完了してる、残りの17人がまだ無事で。


幻惑級アルシオンより以下だったら"催眠歪ヒプノディストみ"で、上書き出きったのに。

強さ的に言えば"無意識オブリー意思ウィル"の方が強力だし、その分デメリットが大きかったが...今は無い。


忌神子姫タブシビルセスの事を知っているのが、ガースと妻のミーファだけで。

その他の人には、知られていない。


得た情報を整理したら、こんな感じか....。

やっぱりこの国は...、いや違うなガースと協力してる奴がクズなんだな。


「お前の、計画を知ってる奴は他に誰がいる?」


「はい。大臣のマリア・アルミナ、執事のサイル、だけです」


三人だけか?、もっといると思ったんだかな?。

元帥とか将軍はいないのか?、信頼できる人だけしか知らない事柄なのか?。

.....まぁいいか、知ってる奴が少なければそれだけ動きやすい。


これ以上、時間をかけるのは危ないな。

さっさと血だけ回収して、国から出よう。


「痛みで声を出すを禁ずる」


「はい」


袋収納メッシスから、短刀と瓶を取り出す。

短刀をガースの指に当て、一気に引くとプクッと赤い液体が出てくる。

その血を取り出した瓶に、少しずつ溜めていく。


ある程度溜めて、廊下にいる執事サイルを呼ぶ。

部屋に入ってきて、サイルは放心状態でガースの横に立つ。


「うん。こんぐらい溜まれば平気か、サイルそいつの怪我を治してやれ」


「はい」


サイルは怪我してるとこに、手を持っていき魔法を発動する。


「傷有る者に癒しを"キュア"」


切られた傷は、みるみると塞がっていき元通りにする。

直し終わっても、サイルは動く事が無かった。


「二人とも最初の状態に戻れ」


二人は腰を曲げて、頭を少しずつ上げる状態に戻る。

その姿勢のまま止まり、固定する。


「おっと、いけない忘れてたよ。王族の証は必要だから、貰っていくね」


ガースの指に付いてる、王族の証を無理矢理に外す。

外した王族の証を、袋収納メッシスに入れ腰にぶら下げる。


左手の"催眠歪ヒプノディストみ"に魔力を流し、紫の光を二人に当てる。

吸い込まれ溶けたのを、確認して命令する。


「えっーと、王族の証の事を思い出す事を禁ずる。最後にした会話の状態に戻れ」


二人は徐々に顔を上げて、ガースの口が開いていく。


「...確かに、許される事ではない。国や民は召喚には関係ない、どうか余の命で穏便に済まして欲しい...どうか...」


「陛下....」


再度、頭を下げ隣のサイルが、涙で顔を濡らしていた



「許されたいなら、陸達の為に力を貸してください。それで無事に帰れるなら...それだけで充分なので...」


「勿論だとも!、その為の金や物資に武器は、出来るだけ支援する!」


「マサキ様、私も微弱ながらお手伝い致します」


目を爛々として力強く誓言する。

サイルは、深く深く頭を下げる。


「この話しは、これで終わりにしましょう。折角の料理が冷めてしまいます」


「そうじゃな...冷めしまえば作った者に失礼だな」


「陛下、その通りでございます」


「じゃ食べましょうか」


白い椅子に座り直し、中断していた食事を始める。

それからは、楽しい楽しい会話を三人で語った。

.....料理を全て食べ終わって、謁見の偽の放題に入る。

その間に皿を、片付けていくサイル。


来た時と同じで、台に皿を乗っけて。

部屋から出ていく、それ少ししてからガースが口が開く。


「さて。マサキ殿のこの度に謁見は、どういった物かの?」


最初に見た時と違い、堂々した王の姿が見える。

その目には、相手を見定めるように鋭い視線が突き刺す。

言動や、動き、表情、全てを逃さないように。


「街に行った時に、聞いてしまった話なのですが。近い内にまた賊が襲撃して来るらしいく、一刻も早くガース陛下に言わないとって思ったので...」


静かに此方の話しを聞いて、少し驚いていた。


「その話しは本当か?」


「はい。この前の賊に似た格好した人と、城の兵士が暗い路地で話してるのを、この耳と目で見ました!」


更に話しを聞いて、予想外の事に「そんなバカな」と呟いてた。

一回目を閉じて、少し間を開けて目を開ける。


「真偽が分からないが、此方でも調べるとしよう。マサキ殿この事は内密に頼む...」


「はい、陛下。本当なら、昨日の内に伝えないとって思ってたんですが。信憑性にかける事を言って、混乱させる訳にはいかなかったので...」


「いや、マサキ殿のその判断は間違っていない。直ぐに調べて事実なら早急に手を打つ」


表情に真剣身を纏わせて、考え出していた。


「伝えたい事も言えたので、私はこれで失礼します」


「あぁ、気をつけて帰ってくれ、この事をくれぐれもお願いする」

「はい。絶対に言いませんので...」


ベルを鳴らして、部屋にノック音がした。


「お呼びでしょうか?」


メイド長のアテラさんが、部屋に入ってきた。

ほんの数時間前に、見たのと一緒の格好だった。


「部屋まで、案内してやってくれ」


「畏まりました、では勇者マサキ様此方へ」


丁寧なお辞儀をして、廊下に出る事を促す。

ガースの方に振り向き、挨拶する。


「ガース陛下、今日はありがとうございました」


「食事なら、何時でも待っておる」


「はい」


互いに微笑んで、部屋から出ていく。

先に廊下で、待っていたアテラさん。


「よろしいですか?」


「.....」


もう大丈夫ですかと、言葉に含まれた意味に気づき。

慌てて返事をする。


「もう大丈夫です!」


「......」


微笑みで返し、先頭を歩き先導する。

こちらも無言で、付いてく行く。


ーーーガース・ヘルズーーー



「行ったか...」


部屋から出ていった、マサキを確認して。

ベルを掴み三回鳴らす、部屋の端から影が。

蠢きだし、ゆっくりと人の形を取る。

そこから出てきたのは、執事のサイルだった。


「お呼びですか陛下?」


「奴の話しどう思う?」


「どう、とは?」


何を言ってるのか、分からないと首を傾げる。

それを見て溜め息を吐き出し。


「話しを聞いてたろ、"王直轄暗部団長サイル"が聞いてないのはあり得ないからな」


「元ですよ、元。それに買い被りすぎですよ」


何でもないと肩を上げ、フッと笑う。


王直轄暗部団長サイル、別名"幽影のサイル"。

影からゆらゆらと背後に回り、気づかれず背後に迫り敵の首を刈る。

その独特の出現と、仕留める姿から着いた二つ名。

だが、それだけなら暗部の連中にだって出来る。

彼の恐ろしさは、天恵ギフトによるもの。

誰もその力を知る事はない....。


「真実だと思うか?」


「私が見た限りは、嘘は言ってませんでしたね」


「...そうか。この件調べてくれるか?」


「もう既に、マリスが暗部を動かして調べてますよ」


何処か納得したのか、椅子に深く座り。

深い溜め息を吐き出し、それからサイルを見る。


「流石だな、ならこの件は真実味を増すの...」


「どうします?、事が起きる前に潰しますか?」


「その必要はない、食ってばっかの勇者どもにやらせよう」


愉快そうに口角を吊り上げ、笑いだした。


「それは、良い名案ですね...フフフフ。陛下もお人が悪い」


「ふん、それは貴様も言えよう」


黒く歪んだ思考が、二人の異常さを際立たせる。

愉快に醜く、歓喜して笑っていた。


自分の右手に違和感を感じたが、直ぐにそれを思考の外に追いやり忘れた。

本来そこに有る物が、右手にはなかった。

真樹が奪い取った、王族の証が無かったが。

"催眠歪ヒプノディストみ"だ思い出す事を、禁じていた。



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