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白星の聖剣♚黒星の瞳  作者: 東雲 滉那
三章 武術大会
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出逢い①

「やっぱり、王都は他とは賑わいが違うね」

 ティルカはテイラーの隣でキョロキョロと周りを見渡している。

「何かほしいものがあれば言ってちょうだいよ。ティルカは珠の髪飾りなんか似合いそうだけど」

 テイラーが言った。彼女はティルカの黒く真っ直ぐな髪を気に入っている。

「ゼンから頼まれたお使いは大丈夫なんですか」

「あぁ…、あれは街で遊んでこいっていう意味よ。買うものはなにも言いつかってないもの」

 シェーラはテイラーの話を聞いた後に提案した。

「テイラー、待ち合わせにしない?…四人じゃ多いわよ」

 女四人とはいえ、シェーラは装飾品を、ルルーは舞台用の服を、テイラーは靴をそれぞれ見に行きたいのである。ティルカは剣に合う飾り紐がほしいと考えていた。

「そうだね。…夕飯はみんなで食べるみたいだから、5時半に泊まる宿"香露亭"に集合しよう」

ティルカは時計を見た。今は10時。香露亭の場所は先程皆で確認した。

「それじゃあ、解散!」

ティルカはすぐにシェーラに駆け寄った。

「シェーラは髪飾りを見にいくんだよね?…途中まで一緒に行ってもいいかな」「ティルカは…剣の飾り紐だもんね。いいよ」


 王都は皇帝の住まう王城を中心に、貴族の屋敷があるハルク街、市場や専門店があるクリュー街、宿があるファス街と蜘蛛の巣状に形成されている。

 クリュー街の一角に装飾品を扱う店が多く建ち並ぶターゴ横丁はあった。

「ティルカは髪飾り買わないの?」

シェーラは不思議そうに訊いた。いつも髪飾りをつけるシェーラには、なぜティルカが無造作に垂らしているだけなのかが理解できないのだろう。

「飾り紐は意外と高いし、髪飾りを買うお金がないと思う」

ティルカは苦笑いをするとシェーラと別れ、店を探しだした。

 どの店も品物を店先に出して売っている。しかし、飾り紐を売る店がどこにあるのかわからなかった。

前方に男がいた。汚れのない飾り紐をつけた剣をベルトに吊るしている。旅をしてきたようには見えず、すべて新品の服ではないかと思う。

ティルカはこの男が飾り紐の店を知っているような気がしたため、勇気を出して声をかけた。

「あのっ…すみません」

男は怪訝そうに振り向きかけ、ティルカを見て、目を大きく見開いた。

「…チェー…。…なにか」薄いオレンジがかった金髪に深い青の瞳が印象的な少年だった。

「その剣の飾り紐、どこで買ったか教えていただけませんか?」

「あ、あぁ…。この飾り紐なら、ここから歩いてすぐ右にあるタグサ屋という店で買いましたが、…案内しましょうか」

ティルカは瞳を輝かせた。 なんて紳士的な人なんだろう。見知らぬ小娘に案内してくれるなんて。

「ありがとうございます。お願いします」

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