覚醒の始まり
さすがに一度に移転してくと前書きに書く事が無いなー
後書きは完全に無視しちゃってるしな―
新しく書きだす時は書くと思うよ(多分)
吉田義明は愕然としていた。
森の中で見つけた生き物から、ここがどうやら自分が今まで生きていた世界ではないと理解した。
慣れぬ森に苦戦し、歩き続きで喉も乾き、空腹になり、見た事のない生き物に恐怖し、精神も摩耗していた。
それでも何とか森を抜け、ようやく人がいると思しき煙を見つけたら、それが襲撃者による火災のものだったのだ。
何本もの煙が立ち上り、襲撃者たちの笑い声と集落の人間の物であろう悲鳴が交差していた。
平和な国で生きていた義明の目に映るあまりにも残酷な世界。
―――――――シュカカ
呆然と集落が襲われていく様を見ている義明の数メートル前に数本の矢が刺さる。
こちらから集落が見えるように集落の方からも彼の姿が見えていたのだ。
「うわあああ!!」
義明は攻撃をされたということでパニックになり、森へと全速力で逃げて行った。
争い事などと縁遠かった彼からしてみれば、突然の事態に足を竦ませずに動けただけで大したものである。
「うわ、うは、っは」
森の中に隠れ、とある木に登った所で息を整える。
怖い、怖い、コワイ、こわい
森の中で感じた死んでしまうかもという漠然とした恐怖とは別の、殺意を向けられ殺される恐怖を義明は感じていた。
体中が恐怖で震える。
あいつ等がこっちにまで来たらどうする?
死にたくない。
「―――――――――」
(!!)
何かの鳴き声が聞こえた。
森の中からではなく、集落のあった方向からだ。
来た!
目撃者である自分を殺すつもりに違いない。
義明は必死に体の震えを納めようと強く己の体を抱きしめる。
――ッザ、ッザ、ッザ、ッザ
段々大きくなる何かの足音、
義明はゆっくりと音をたてないように下の様子を見る。
彼のいる木のすぐ近くに襲撃者はいた。
大きく伸びた鼻としわしわの肌が特徴的で、鋭くとがった目が凶悪さをより際立たせた。
襲撃者は黒い体毛に包まれた馬のように大きい犬に乗り、ボウガンのようなものを構えて周囲を探っている。
襲撃者が乗っている生き物は鼻を地面に擦りつけるようにしてフンフンと匂いを嗅いでいる。
そして犬が義明のいる方向を見て吠えた。
(見つかる!!)
義明は死の恐怖に目をきつく閉じた。
もう駄目だ!殺される!!そう思った。
が、彼の体は思考とは別に、無意識に動いていた。
音もなく木から飛び降り、落下しながら背中にある二本の剣を抜き、襲撃者の首を切り飛ばした。
義明が地面に着地するのと同時に首を失った襲撃者の切断面から勢いよく血が噴き出し、それに驚いた犬は首のない襲撃者の体を上にのせたまま森の奥へと走り去って行った。
犬の走り去る音を聞いて、義明は恐る恐る目を開けた。
「えっ?」
いつの間に自分は木から落ちた?
何故自分は剣を持っている?
剣についている赤い液体は何だ?
直ぐそこに落ちているあの丸い物は何だ?
義明は自分が何をしたのか理解できず、
手に持つ血の付いた二本の剣と地面に転がった襲撃者の頭を交互に何度も見て、ようやく理解する。
「は、はは、は」
自分がやったんだ、と……
それを理解した瞬間、義明の胸がカッと熱くなり、頭に膨大な情報が入ってくる。
情報の内容は、
殺し方。
あらやる生き物の殺し方が頭の中に入ってくる。
その入ってきた情報から転がっている首がこの世界でイージェ族と呼ばれていることもわかった。
『イージェ族は集団で狩りをする生き物であり、殺す場合は分断させて一匹ずつ狩っていくのが常套手段である。だが、今の自分の身体能力なら五人までなら一度に殺せる』
根拠もない情報だが、義明はそれを信じて疑わなかった。
彼はおもむろに走り出す。
森の奥へではなく、先程の集落へと
義明は体を震わせながら集落へと駆ける。
今度の震えは恐怖からの物ではない。
これは――――――
―――――――歓喜の震えだ!!