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Welcome Another World  作者: Cl
2/20

異世界の始まり

移転する前にユニークアクセスが500越えしてたんですよね。


1日でそれだけ多くの人に見られていると考えると嬉しいですね。

まぁ同等に恥ずかしくもあるんですがねー


恥ずかしい、でもアップしちゃう。

これも一種の露出趣味になるんかな―

それは嫌だなー(笑)

吉田義明(よしだよしあき)は凡人である。

いいとこ上の下程度の学力、体力面は中の下。

部活にも属さず、これといった特技もない。

背は170㎝と高くも低くもない。

運動も体育の授業か暇潰しの散歩ぐらいしかしていない。

交友関係もあまり広くなく、休日のほとんどが家でゲームか読書、散歩のいずれかであった。

吉田義明は凡人である。


だから現状を理解するのに時間が掛った。


「教室にいたよな?」


今、義明は木々の生い茂る森の真っ只中にいた。

並んでいた机の代わりにあるのは木、木、木――――

床を照らしていた照明の代わりに、重なり合う葉のわずかな隙間からうっすらと覗く光が落ち葉交じりの大地を点々と照らしていた。


義明は自分の体に変化がないか調べた。

服装――毎日のように来ている学校の制服だ。

荷物――制服に入れてあった物以外は何もない。

生徒手帳、ハンカチ、ティッシュ、緊急セット(中には爪切り、小型のハサミ、ピンセット、ガーゼ等が入っている)、家の鍵にボールペンが一本。


「これだけか……」


携帯電話は持込みを校則で禁止している為、バッグの中にしまっていた。


「ん、何だこれ?」


ガチャガチャと金属が当たると音がし、背中を見ると二本の棒状の物があった。

制服に元からあったわけもなく、先程光に包まれる前に行っていた事を思い出す。

左右に持ち手があるようで整列時の先頭のように手を腰に当てるようにして引っ張り出す。


「うはぁ」


思わず声が出た。

義明の両手には剣が握られていた。

右手に持つ剣は青龍刀を若干短くして全体を黒く塗装した物だった。

左手の剣は右手の物より短く、白い短刀といった感じだ。

左右で統一されてないんだなーと思いながら軽く振ってみる。

両手に持つ二本の剣は不思議と重さを感じなかった。

数分で剣に対する興味も薄れ、背中にある鞘に仕舞った。


「さて、と」


義明はこれからどうしたものかと考える。

教室にいた筈がいつの間にか森の中にいて、二本の剣をいつの間にか手に入れていた。

もし誰かにそのままのことを言ったら確実に精神病院へ送られるだろう。

というか、そもそもここは自分が今の今まで生きていた世界と同じなのだろうか?

おかしな疑問だと自分でも思うが、

武器やらを決めたあの空間を抜ける時、知らない声で「異世界へようこそ」と言っていた。

その言葉を鵜呑みにするわけではないが――――


「んー」


考えども答えは出ない。

わからないことだらけだ。


「とりあえず移動しよう」


義明は歩きだす。

ここにいても何もわからないだろうし、夜になった時のことを考えると森に一人で野営の準備もないままだと危険だ。

野生の生き物に襲われるかもしれない。

武器を持ってはいるが、使い慣れていない道具はかえって危険でもある。

だから、ここは一刻も早くこの森を抜ける。

迷わない様に時折黒い青龍刀で木に印を付けておく。

一度と追った道である事が認識できているか、いないかは生死を決めかねないとテレビで誰かが言っていたのを思い出したのだった。


2時間が経った。


未だ義明は森の中を彷徨っていた。

自分が付けた印を見ていない事から単純にこの森が広大なのだろう。

木の根や石などに足を取られ、元々少ない義明の体力は限界に近付いていた。

川もなく、喉も乾いてきている。

ここに来る前に中途半端にしか昼食を食べておらず、空腹感もあった。

時折草むらから飛び出てくる生き物に恐怖する。

別にそれらが襲ってくるわけではなかった。

ただ、見た事のない生き物であっただけだ。

ウサギのような耳をはやしたネズミみたいな動物、蛇のように移動する足のない豚、聞いた事のない鳴き声を上げながら飛翔する大きな鳥。

昆虫も見た事のない物ばかりで毒があると考え必死に避けて移動した。

ここが自分の生きていた世界でないことを知ったが、嬉しくはなかった。


空腹と緊張で摩耗しながら歩き続け、ようやく森を抜けた。

草原が広がっていたが、遠くに煙が見えた。

人がいる。

義明は疲労も忘れて走り出す。

その速度が異様なまでに速いことに本人はまだ気付かない。


「……ちょっと待てよ」


義明は煙の昇っていた所が見えるとこで足が止まった。

最初は一つだった煙は今では八本に増え、近づいたことで声が聞こえるようになっていた。

聞こえてくる声は複数の笑い声と――――




――――それ以上の数の悲鳴だった。




小さな集落は何者かに襲われていた。

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