はじまりの始まり
初投稿の物を全年齢用に設定を変えました。
見てくださっていた方、ユニークアクセスやお気に入り登録をしてくださった方には申し訳ない気持ちでいっぱいです。
いっそR-18でもいいんじゃないかな―とか思ったんですが、
エッチィ描写をすることがないだろうと考えたのと、出来るだけ多くの方に見て貰いたいと考えた結果全年齢用にしました。
まぁ人切ったりとかで若干グロくはなるからR-15にはなるんですが(汗)
「この画面を見ている者に良い物を上げよう」
昼休み
某県某市のとある高校のとある教室で昼食を摂っていた吉田義明は突然動き出した教室に備え付けのテレビをマジマジと見ていた。
学食に行かず教室にいた他の生徒も義明と同じようにしている。
若干一人、我関せずと黙々と購買で買っただろうアンパンを食している者もいた。
「男子7人、女子11人か。いいね、足したら18、偶数だ」
テレビの中の男はまるでこちらを見ているかのように指差しで人数を数えて言った。
教室は突然の事態にざわざわと騒ぎ始める。
「なんだよこれ」「誰の悪戯だよ」「っていうかテレビの電源切れてなかったか?」「リモコンで付けたんじゃね?」「おいこのテレビ、コンセント刺さってねぇぞ」「マジかよ!」「キャー何これ手品!?」「うそ!手品なの!!」「写メ撮って圭子に教えたげよっと!」「あっ私も撮っとこ!」
映像は騒いでる皆を無視して何かをしゃべっているが、
音量が小さくて教室の後ろの席に座っていた義明には聞こえない。
何を言っているか気になったが皆を鎮めることは出来ないと考え、テレビの音量を上げようと席を立つ。
ちょうどその瞬間だった。
「!!」
床に穴が空き、義明の体は落下した。
不思議なことに穴は下の教室に通じてはいなかった。
真っ暗な筒の中をひたすら落下していく。
辺りを見ても何もない、完全な黒、黒、黒。
落下は何時しか速度が落ちていき(あくまで義明の体感だが)、浮遊になっていた。
落ちていると感じなくなったのと同時に目の前に四角く光が灯った。
光は人形の映像を写しており、頭、胴、腕、足の4ヶ所で色が違った。
右上には10と表示までされている。
義明はこれを見て、ネットゲームのキャラクター作成画面を思い浮かべた。
試しに一度、人形の足を触る。
ピーンと電子音が聞こえ、人形の脚部の横に1と数字が新たに表記されていた。
視線を右上に向けると10と表示されていたのが9になっていた。
(思った通りだ)
義明は自分の予測が正しいものだと確信した。
ゲームと同じだとすれば、頭が魔法の攻撃力となる知力、腕が物理的な攻撃力、胴体が体力や防御力、足が移動速度や回避能力といった感じだろうか。
義明は少し迷った後、人形の足を9回触った。
どうせなら自分のキャラと同じようにしようと考えた結果だった。
しばらくすると人形が消え、代わりにいくつかの立体の絵、ホログラムが浮かんできた。
西洋の剣や斧、ダガー、日本刀、弓、ボウガン、杖、フレイル、鎌、鉄の爪とゲームで出そうな武器だった。
何にするべきか義明が考え、ふと上を見ると頭上にも光が出ていることに気がついた。
頭上の光にも同じように武器が表示されていたが、正面の光にはない武器がいくつかあった。その中に2本の剣が交差した物があり、義明はそれを指で触った。
一度電子音が鳴り、表示されていた武器が消え人形が2本の剣を持って構えているグラフィックが明滅を繰り返しながら表示された。
今度は何を操作すればいいのだろうと義明は首を傾げる。
いつまで経っても新たに表示がされる物はなく、ただ武器を構えた人形が点滅するばかり。
(もしかして触ればいいのかな)
今出ているのは設定の最終画面ではないかと義明は推測し、恐る恐る人形を触る。
ポーン
電子音が鳴り、世界が白に染まった。
あまりの眩しさに義明は目を閉じる。
「異世界へようこそ――」
誰かの声が聞こえた。