表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
4/20

宮本

「真島、ふざけるなよ! お前のせいでスマホ没収されちゃったじゃないか!」

「ごめんって奥井〜、お前ともっと仲良くなりたくてさぁ」

「はぁ?」

「まぁまぁ、俺のスマホもバルーンに没収されたからおあいこってことでさ。放課後何か奢るから許してってば」

「おあいこってなんだよ……。それにどうせ駄菓子とかそんなんでしょ」

「じゃあ唐揚げ弁当奢ってあげるよ」

「なんで弁当なんだよ……。もういいよ、早く弁当食べて職員室行こうよ……」

「俺今日弁当じゃなくてコンビニのサンドイッチだよ?」

「どうでもいいよそんなこと、はぁ……」


 真島がふざけるのは日常茶飯事なので奥井は諦めたようだ。

 2人の会話が終わると唐川が戻ってきた。手を洗いにでも行っていたのだろう。


「佐々木の席もーらい」 


 真島が佐々木の椅子に座ったので、俺は千葉さんとやらの椅子に座る。

 奥井はおそらく女子の椅子に座るのは無理だろう。 

 普段は佐々木を含め6人なのだが、今日は体調不良で休みらしい。今朝真島から聞いた。

 皆で昼飯を食べ始めようとしていると、曽我がカバンを持ったまま教室に入り、俺達の側の床にそれを置いた。

「それ中身何なの?まだ秘密?」奥井が尋ねると、曽我が中の物を取り出した。

 小さい炊飯器が出てきた。

 

 おいおい、まさか……。


 炊飯器の蓋を開け、炊きたてのご飯を俺達に見せびらかしてきた。


「じゃ~ん、炊きたてのご飯!めっちゃ美味そうだろう?」

「ハハハハハ!」

「ふふふ」


 越後と唐川が笑っている。

 曽我が馬鹿なことをするのも日常茶飯事だ。


「うわぁ、いいなあ。でも今日俺サンドイッチなんだよぉ……」


 どうやらおかずがあれば貰う気マンマンだったらしい。


「それ大丈夫なの? 先生に怒られない?」


 奥井は曽我が先生に怒られないか心配のようだ。


「大丈夫大丈夫」


 それはバレなければ大丈夫って意味か?


「おかずは?」


 気になったのか越後が聞いた。


「生卵3つと納豆持ってきたんだ。学校で炊きたてのご飯で卵かけご飯食べたくてさぁ。……あぁ! 醤油持ってくるの忘れてた! ……まぁいいかぁ」

「納豆!? おい、俺納豆嫌いで臭いも嗅ぎたくないからどこか他のとこで食ってくれ。ていうか、臭い残るから室内で食うなよ」


 越後は納豆が嫌いなのか。

 成程、良い情報だ。


「えぇ……しょうがない、ベランダで食べよう。誰か一緒にベランダに行かないかい?」

「いいよ」


 曽我の誘いに乗った唐川が、自分の弁当と椅子を持って曽我と一緒にベランダの方へ向かった。


「3組はベランダがあっていいなあ……。やっぱり俺もあっちで食べようかな?」

「いいからお前はさっさと食って職員室行けよ。奥井も早く食え」


 越後が促し、ようやく食べ始める。

真島と奥井が急いで食べ進めるが、俺と宮本は普段のペースで食べていた。


 ピンポンパンポーン

「教頭先生、教頭先生、至急職員室まで来てください」

 ピンポンパンポーン


「教頭先生もしかして学校で迷子になった?」

「んなわけあるか」


 真島のボケに突っ込んだが、その後は誰も喋らないので、少し気まずい。

 普段は真島がふざけたことを喋り、それに対して周りが笑ったり突っ込んだりしながら食べるのだが、今日は真島がほとんど喋らないので、皆黙々と食べている。

 奥井が先に食べ終え「そういえば、真島はどうやって俺のスマホのパスワード解除したんだよ」と真島に疑問をぶつける。

 真島は口の中のものを飲み込むと「だって奥井のスマホのパスワード俺知ってるもん」と返した。


「なんで知ってるんだよ」

「前に奥井がスマホのパスワード入力するとこ背後から見てたからさぁ〜、だからいたずらしてみたんだ」

「はぁ?! なんだよそれ……。くそぉ、パスワード変更しなきゃダメじゃん。スマホどこだっけ? あれ?」

「あははは、スマホはバルーンに没収されてるでしょ〜。奥井おっちょこちょいだなぁ」

「あぁ、そうだった……。一緒に職員室来いって言われてるんだから真島早く食べ終わってよ!」


 自分から話しかけておいて無茶なことを言うな。


「大丈夫、もう行けるって」

「まだ残ってるでしょ」

「行きながら食べるから無問題」

「えぇ……職員室入る前に食べ終わるよね?」

「まかせろ」

「……はぁ、じゃあ行こうか……」


 奥井と真島が職員室へ向かった。

 越後と2人になったがむしろ好都合だ。

 しかしまだ自分も越後も食べ終わっていないため、まずは弁当を食べ進める。

 ほぼ同じタイミングで完食すると「宮本さ、もしかして真島が奥井のスマホにいたずらするの知ってた?」と越後が先に聞いてきた。

 鋭いな、その通りだ。

 そもそも、さっき真島が奥井のスマホをいじっているところを目撃していたのに、俺はやめさせなかった。

 奥井には申し訳ないが、真島にも考えがあってやったことなのだ。


「ああ、知ってた。どうしてわかった?」

「真島がずっと黙ってたし、何かお前にも違和感があった。なんで止めなかったんだ?」

「真島がさっき言ってただろ、奥井ともっと仲良くなりたいって」

「それ適当に言ってたんじゃないのかよ」

「たぶん本音だろ。奥井ってまだ真島と少し距離感あっただろ? だからあんな馬鹿なことしたんだ。おかげでだいぶマシになっただろ」

「ハハハ、確かにあんなことされたら奥井も真島に遠慮とかしなくなるな。まあ、あんなやつには最初からそんなの必要ないけど。にしてもあれ本音だったのかよ。適当に言ってただけだと思ってた。さすが幼馴染なだけあるな」


 俺と真島は幼馴染だ。

 幼稚園、小学、中学、高校までずっと同じなので、謂わば腐れ縁だ。

 クラスが違うことも当然あったが、家が近いためしょっちゅう一緒に遊んでいる。

 この前なんか、ガキの頃の恥ずかしい秘密を自分から暴露して赤っ恥をかく羽目になった。

 誰にも言うなと釘を刺しておいたが、真島のことだから誰に言うかわかったもんじゃない。

 しかし、絶対にバレたくない秘密はまだ知られてはいないようだ。それだけは絶対に隠し通さなければならない。

 そのためにも越後のことを探る必要がある。


「越後、お前血液型何型だ?」

「なんだ急に。Aだけど、何?」

「いや、たぶんAだと思って聞いてみただけだ」

「なんだよそれ。お前は?」

「ABだよ」

「真島もABだろ?」

「正解」

「だよな。曽我もABぽいよな」

「ああ」

「佐々木は何型だろうな」

「わからん」


 越後の血液型がAだと判明した。

 誕生日や体重はまた今度にしておく。

 一度に聞き出そうとすれば流石に怪しまれるだろう。

 できれば真島がいない時の方がいいんだが……。

 体重は、背の小さい唐川が軽いだろうからまず唐川に聞いて、その流れで越後にも聞けば違和感はないはずだ。

 誕生日はどうするか……。


 ピンポンパンポーン

「教頭先生、教頭先生、至急職員室まで来てください」

 ピンポンパンポーン


 またか。教頭はいったい何をやっているんだ?


「佐々木が見ていたら止めただろうな」


 越後の言うとおりだ。

 確かに佐々木は生徒会に所属するくらい根が真面目だから絶対に止めただろう。


「ああ。だから佐々木が休みの今日やったんだろ」

「お前ももしかしてグル?」

「いや、見て見ぬふりしただけだ」

「そうか……。今度佐々木に話したら笑うだろうな」


 おそらく真島がふざけるのは佐々木のためでもあるのだろう。

 まぁ、真島がふざけているのは昔からだが。

 その後、4時間目にフーセンが2組に突撃してきたときの話をしていると、救急車の音がしてきた。

 音は徐々に大きくなり、かなり近い場所で音が止んだ。


「もしかしてここ?」

「誰か大怪我でもしたのかな?」

「具合悪くなったとか?」


 憶測が飛び交う。


「誰だろうな?」

「さぁ?」


 わかるわけがない。


 昼休みが終わりに近づいてきたので、そろそろ自分の教室に戻ることにする。

 周りに怪しまれないためにあいつとは目を合わせないようにしつつ、窓のほうに目をやると、まだ唐川と曽我はベランダにいた。

 わざわざあのデコボココンビに声をかける必要もないので、机などの片付けは越後に任せ2組へ戻った。 

 こちらでは救急車の話題がまだ続いていたが、誰も何も知らないようだ。


 キーンコーンカーンコーン


 5時間目開始のチャイムが鳴った。

 だが真島の姿がない。

 救急車の1回目の音がすぐ近くで止んだ上、真島がまだ教室に戻ってきていないため、教室内がざわざわしている。

 しかし少しすると真島とフーセンが教室に入ってきた。


「なんだうるさいな、授業始めるぞ!」


 真島にいろいろ聞きたかったのだが、席が遠いため5時間目が終わったら聞くことにする。

 数学なのでフーセンが担当なのだが、4時間目に真島がやらかしたせいでいつもより緊張感があった。

 授業中また救急車の音が聞こえてきた。

 今度はどんどん遠ざかっていく。その瞬間のみ多少騒がしくなったが、フーセンの「静かにしろ!」の一声で、一斉に沈黙した。


 キーンコーンカーンコーン


「予習復習しっかりしておけよ。あと真島、ちょっと来なさい」


 真島が呼び出された。

 真島がフーセンのもとに駆け寄る。

 何を話しているのか? 昼休みの時間だけでは説教が足りなかったのか? 小声のため会話が全然聴こえない。

 少しするとフーセンから解放されたようなので、こちらから行って聞いてみる。


「フーセンと何話してたんだ?」

「んー、言えない。秘密」

「は? なんでだよ?」

「秘密ったら秘密」


 これ以上は無駄なので質問を変える。


「5時間目遅れてきたのはなんでだ? ずっと説教されてたのかよ」

「え? ……あー、説教はされてない」

「なんで?」

「それも秘密」

「はぁ?」

「明日になったら教えるよ」


わけがわからないが、どうやら明日までは喋らないようだ。

 今日はこれ以上追求しても意味がないので諦める。

 放課後奥井にも聞いたのだが、「ごめん、一応明日までは先生に黙ってろって言われてるんだ」

 こちらもダメだった。

 ただ奥井はすでにスマホをフーセンから返されていた。

 翌日、朝のホームルームで担任から、昨日教頭が倒れたので救急車が来て入院するため今日からしばらく休職だ、という説明を受けた。

 真島に再び話を聞くと、あのあと職員室に行く前に職員室に近いトイレに寄ると教頭が倒れていたという。

 何故わざわざ職員室近くのトイレに寄るのか全く理解できないが、そんな真島のおかげで早期発見に至るのだから皮肉なものだ。

 真島と奥井はその場にいたため、混乱を避けるため今日まで口止めされていたらしい。

 放課後も含め説教どころではなかったのだろう。

 ちなみに真島のスマホはまだ没収されたままのようだ。

 3時間目の授業が終わったあと、校内放送が流れた。


 ピンポンパンポーン

「2年2組真島禄斗、昼休み職員室に来なさい」

 ピンポンパンポーン


「えー? これは弁当食べたあとでもいいのかな?それとも食べる前に来いってこと? 宮本はどっちだと思う?」

「知るか!」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ