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2:初陣

 カーシャは色々とやらかす性格らしい。

 手を引かれ、道なき道を突き進んだ僕たちは気づけば森の中に入っていた。

 ……彼女の行動には注意しておかないといけないかな。

「ごめんなさい主様……私、調子に乗りすぎました……」

「うん。盛大にやらかしちゃったね。」

「本当にごめんなさい……」

 カーシャは僕に泣きついてきた。

 その目からは大粒の涙が溢れ出ていた。

 カーシャは僕と同い年だ。小1くらいの女の子が親を引っ張って連れてくるようなものだと感じると、思わず僕は彼女の頭をなでた。

「失敗したくないって思えるなら、それだけで十分価値があるよ。」

「そうなんですか?」

「うん。だって、失敗を笑って終わらせる子より、泣いて謝る子のほうが、ずっと強いから。失敗しないように気を付けるからね。」

「……けど失敗しない方がいいですよね。」

「できればそうした方がいいけど、世の中絶対に失敗しない人なんていないよ。大丈夫。」

 そう言って僕はモンスターの方を向く。

 僕だって戦ったことはない。せいぜい前世授業で剣道をかじったくらいだ。

 ……にしても3種類ほどの種族が居るなぁ。

《楓雅。一応名前教えておくよ。》

≪楓吾!助かるよ。≫

《緑の奴はゴブリン。水色の奴は食人スライム。蜘蛛はスパイダーだね。

 特徴はゴブリンは一定の知能を持ってるよ。5歳児ほどの知能があったはず。

 食人スライムは弱い人間を体当たりで襲ってくるよ。

 スパイダーは毒を吐いたり、蜘蛛で動きを止めてくるからこの中だと一番厄介かもね。》

 それを聞くと思わず身震いしてしまった。

《主。体の制御権を儂と菫にくれ。意識はお前のまま儂が補助として戦ってやる。お前の体に武術というものを叩きこんでやろう。》

≪鎌三じいちゃん……!分かった。お願いするね。≫

《気合を入れろ。剣を構えるぞ。》

「カーシャ、離れてて。」

「主様。まさか戦うんですか!?」

「うん。できるだけやってみるよ。」

「無茶ですよ!って言いたいところですけど、頑張ってください…無茶だけはなされないように。」

「ありがとう。」

 逃げるわけにもいかない。頼ることができるのは中の多重人格達みんなだけ。けど、いつまでも頼るわけにもいかないよね。

 そう考えているのも束の間、鎌三じいちゃんはゆっくりとその剣を引き抜く。

 その感覚は僕にも伝わってくる。

 ……重く無い?

 僕は剣をまったく重いと感じなかった。あ、みんなが僕の体を鍛えてくれていたのか。

 鎌三じいちゃんは剣を引き抜き、空に高く放り投げると剣は上空でくるくると回転していた。

 《あの手の相手には素手の方が合う。菫!》

《分かりました。あれが落ちるまでの時間をください。》

《儂がキャッチできるまでに元居た場所に1分と45秒で戻ってくれ。》

《分かりました。》

 僕の体を操る菫は軽く屈むと、ロケットスタートした。菫はあっという間に小鬼ゴブリンに接近していた。

《眠りなさい。》

 そしてそのまま小鬼ゴブリンの顔面を殴りつけ、吹き飛ばされたゴブリンは他のゴブリンを巻き込んで遠くに飛ばされていく。

「次!」

《今ので20秒。まだまだ猶予はある。》

 レンがストップウォッチを構えているのを感じる。

《分かりました。それでは次へ行きます。》

 次は粘魔スライムの元へ走り、1匹を蹴り上げる。

 分かった。菫は……

「逃がさない!」

《分かったようですね。》

 僕の予想通り、菫は空高く飛んだ。

 スライムを右手で掴む。

 スライムは思わず気色の悪いような感触をしていた。

「うわっ。」

 思わず手を放してしまいたくなる。

《駄目です。このまま群れに投げます。》

 そのスライムをスライムの群れに思い切り投げつける。

 衝撃波と共に大きな土煙があがった。

《あれほどのダメージ、まずスライムは耐えられません。》

 ヒュンヒュン!

 甲高い空気を切り裂くような音が真隣からしていた。

 そう、僕の隣には先ほど投げた回転する剣があったのだ。

《鎌三さん。ずいぶん早いですが移行です。》

《ずいぶん早いな。ここまでにおよそ52秒か……了解した。残りの蜘蛛は儂に任せておけ。》

 鎌三じいちゃんは回転している剣を掴むと大の字で降下し始めた。

 蜘蛛めがけて落ちて行くと剣を逆手に持ち替え、スパイダーの中でも特段大きいものの腹部に背中から剣を突き刺す。

 蜘蛛がもがき、振り降ろそうと体をゆする。

《止めだ。》

 何をする気!?

《歯を食いしばれ主!》

 一度1メートルほど飛び上がり、体をくるりと180°回転させると剣を横に大きく振りかざし、頭部と腹部を分断させる。

 僕は冷静に叫んだ。

「……まだ、やる者は!」

 すると残ったモンスターたちはぞろぞろと帰っていった。

 鎌三じいちゃんは剣を振り払って血を振り払い、ゆっくりと剣を鞘に戻した。

《これで戦い方はなんとなく分かったな?》

≪……無理じゃない?≫

《できる。お前の体でやったんだ。可能だ。》

≪ご教授お願い。≫

《夢の中でだぞ。》

≪助かるよ。≫

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