表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
37/102

成敗

 そんなかっちょ悪い状況をだいちゃんに悟られてはならん。急いで右手を大きく振りかぶり腕を振り下ろすと、人差し指をだいちゃんにビシッと突きつけた。

「貴様を成敗いたす!」

 とっさに出た言葉が、時代劇のようになってしまった。言っちまったものはしょうがない。言い直すのもこっぱずかしい。このまま突き進めるほかないのだ。

「極悪非道の限りを尽くし、世の民を恐怖に貶めるたぁ、不届き千万。お天道様が許しても、おいらは許しちゃおけねえ。このミラクルジャックが成敗いたす! 覚悟しやがれ!」

 決まった。のか? だいちゃんは銃を構えたまま、目をパチクリさせている。

 むむっ……勢いだとはいえ、なんか恥ずかしい。顔どころか耳まで赤くなった感じだ。顔がポッポポッポ火照ってしまう。

「そ、そんな感じだから覚悟しろよ。ヤーッ……」

 今さらウルトラマンのファイテングポーズなど、遅いかも知れんな。今回の失敗は失敗として十分反省し、今後の課題にしよう……。

「なにを訳のわからねえこと言ってんだ! 死ねバカヤロウ!」

 バン! バァン! だいちゃんが立て続けに銃をぶっ放した。

「おっ、ごっ」

 肩と胸に当たり、衝撃はあるが痛くない。それに今回は慣れたもんだ。よろめいただけで、両足で踏ん張った。ニヒルに髪をかき上げ、その手でサングラスのフレームを摘み、ゆっくり横ちょにずらしながら外した。

「効かねえよ、そんなもんは。へへへっ」

 だいちゃんは動揺しているようだ。猟銃のあちらこちらを、舐め回すように確認している。一通り確認し顔を上げると、眉間に皺を寄せて首を捻った。

「な、なんでだ?」 

 俺は目を細めてだいちゃんを見ると、口をひん曲げて笑ってみせる。

「へへっ、今度はこっちから行くぜ。とりゃ!」

 サングラスを横に放り投げると、疾風の如くだいちゃんに突進した。

 だいちゃんはいきなりの行動に、はっとして立ちすくんでいる。チャンス到来とばかりに、だいちゃんの一歩手前で華麗にジャンプ。空中を飛び跳ねたまま、二メートルの高さにある頭めがけて右手を伸ばす。

「いただき!」

 叫んだと同時だった。俺の横っ面を、だいちゃんが猟銃の柄でぶっ飛ばした。横にすっ飛ばされ、洗面台のカガミに頭から激突。

 ガシャン!

 なんのなんの、痛くも痒くもないやい。すぐに体勢を立て直し、再びだいちゃんの頭に飛びついた。だがヒラリとかわされ、二度目の横っ面ボンバーを見事に食らう。今度は床にビタンと派手に叩きつけられた。とっさにフンガッと起き上がり、低い体勢でだいちゃんの腹にタックルをお見舞いする。が、後頭部にゲンコツをお見舞い返しされた。床に這いつくばっていた体を、四つん這いにした途端、だいちゃんのつま先が目前に迫った。眉間に突き刺さり、サッカーボールよろしく、簡単に弾き飛ばされる。仰向け状態で宙を飛び、便所の外まですっ飛ばされた。

 なんというバカ力。でも痛くないもん。平気な顔で立ち上がると、だいちゃんの怒りが爆発した。

「てぇんめーっ! いったい何者なんだてめえは! もう頭きた」

 だいちゃんは体につけたダイナマイトを一本むしり取った。ポケットから百円ライターを取り出すと、導火線にすかさず着火。バチバチ火の点いた導火線を見て、だいちゃんはニヤリと笑った。

「ヒヒヒッ、これで終わりよ。ほれ」

 ポンとダイナマイトを投げると、便所の壁に素早く隠れる。宙を舞っていたダイナマイトが、バチバチ音をたて俺の足下に転がった。

 むむむ……これは初体験。気持ちのいい初体験でないことは、見ただけですぐに分かる。とりあえず逃げておこう。背を向けた瞬間、

 ドッガァーン! 眩い閃光と共に、爆風で体がぶっ飛ばされた。

「ウッホ~」

 今日は実によく飛ぶ日だ。

 飛行距離も十分で、走り幅跳びなら世界新を出していただろう。爆風の勢いで着地が上手くいかず、床に倒れるとゴロゴロと転がった。飛んで倒れて転がって、気がつけば窓口カウンターまでたどり着いていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ