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銃で撃たれても無敵なのか?

「ずいぶんと荒っぽい起こし方すんじゃねえか、なぁ兄貴、ギャハハハ~」

 キリリフグが大笑いしながら、だいちゃんの横に腰掛けた。だいちゃんと同じように背もたれに両手を広げ、短い足を組んでふんぞり返る。デコと後頭部にコントのようなタンコブをこしらえているのに、偉そうにすかしている。

「おう、すまねえ。俺はこの木偶の坊が酔っ払ったおかげで表に出られたけどよ。兄弟はこうでもしないと、表に出られねえと思ってな。勘弁してくれ。ヒヒヒ」

「まあいいってことよ。出られりゃなんでもしてくれ。どうせ俺の体じゃねえからよ。ギャハハハ」

 もっさりしていただいちゃんと、ぼんやりしていたプーやんの、人格がガラリと変わってしまった。

 ジジイが俺の耳元で囁く。

「こいつら、地獄から来た奴らに乗っ取られちまったようだな。悪そうなツラしやがって」

「さっきまでの、のほほんとした奴らと違って、こいつらは扱いづらそうだな。面倒くさくなりそうだ。どうするよ?」

「ああ、一つだけ方法がある。実はな――」

「おい! お前らなにコソコソ話してんだ」

 プーやんが身を乗り出して睨みつけている。そのままゆっくり立ち上がると、猟銃を担いで歩いて来た。

「兄貴、こいつらぶち殺しちまおうぜ」

 プーやんは薄ら笑いを浮かべ、俺の額に銃口を突きつけた。その目は殺意を帯びている。俺は恐怖のあまり、思わず一歩後退してしまった。

 イヤホンから、『どうしたジャックさん!』飛田の叫び声が聞こえる。

 撃たれても大丈夫なのか? 銃で撃たれても本当に無敵なのか?

 プーやんの目がランランと輝いている。情けないことに、俺の膝はガクガクと笑い出した。神様のジジイに助けを求めようと顔を動かすが、全身の筋肉が突っ張りうまく向くことが出来ない。それでもちょろりと横目で見た。

 ジジイはいつになく真剣な眼差しで、プーやんを睨みつけた。

「待ちやがれ」

「なんだじいさん。お前が先にすっか?」

 今度はジジイのデコに銃口を向ける。ジジイは臆すことなく、自ら銃口にデコを押し付けた。

「おもしれ。やってみやがれ、小僧」

 ジジイはサングラス越しに睨みつけ、グイグイとデコを銃口に押し付けた。プーやんはジジイの気迫に押され半歩下がる。

 おぉ~っ、サルだボケだとバカにしていたが、これほどかっちょよく頼もしいジジイとは知らなんだ。黒のウエットスーツが眩しく見える。これこそ正しく、真のヒーローではないか。ヒップホールマンここにあり、ではないか。

「この野郎。お望みどおり、じいさんから先にぶち殺してやるよ」

 プーやんは怒りで頬をピクピク痙攣させ、真っ赤な顔で引き金に指をかけた。

 やばい。勇敢なジジイに見とれている場合ではない。いくら小汚いジジイでも死なすわけにはいかん。俺も男度胸を見せなくてはいかんのだ。

 腰を引きつつ、びびりながらも、

「あ、相手が違うだろ」

 グイッとジジイばりに、男度胸で顔を近づけた。が、その瞬間、

 ドガッ! プーやんの蹴りが俺の腹に突き刺さった。男度胸はいいのだが、恐怖で体が硬直している。サンドバック状態で後ろに吹っ飛ばされた。飛行距離二メートルほどすっ飛んだあと、綺麗に尻から着地を決める。だが、車も俺も急には止まれない。床に背中をズザザザッと擦りながら走行したのち、後頭部がブレーキになりクルッと一回転。後ろデングリ返りを鮮やかに決め、着地は正座で見事に決めた。

「ほ~っ、すげえなジャック。てえしたもんだ」

 鮮やかな着地に、ジジイも鮮やかに感心する。

 男度胸を見せつけるはずが、なんともこっぱずかしい感じになってしまった。

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