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とある国の姫は小説家志望です  作者: 西瓜太郎
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脱出大作戦





私の名前はマリナ。大陸の中でも中規模の領土と軍事力を持つエルフォート王国の王女をやっている16歳だ。父はこの国を治める王エルフォート・ラーンス。自分で言うのもなんだけど結構甘やかされて育った自覚がある。欲しいものはなんでも与えられた。宝石、服、本、高価な時計本当になんでまだ。そんな私でも外出だけは強く制限されていた。5歳になるまで自室から出してもらえなかったし、やっと庭に出られるようになったと思ったら、王室区域のみでそれ以上は城内の庭であってもその外に出ることを禁じられていた。こう考えてみると、甘やかされたというより過保護の方が正しい表現なのかもしれない。


そんな生活が続き、どうしても今の生活が窮屈に感じることが多くなってきた。本で読んだ城下町に行きたい。城の外の生活に強く興味を持つようになっていた。

「城の外に出てみたいわ。本屋に行ってみたりあと最近流行ってるケーキのお店に行ってみたい、あとは、、、、」

そこで私はお父様に直訴することにした。

しかし返事は

「ならん、本が読みたいなら図書室に行けばよい。新のが欲しいのなら商人を呼ぼう。ケーキが食べたいなら職人を城に呼び作らせよう。だからそんな危ないことは考えてはならない私のかわいかわいい大切な一人娘。もしマリナが危険な目に遭っていると考えるだけ仕事が手がつかなくなってしまう。わかったな」

そう言われて私は「申し訳ありませんでした。お父様」としか言えなかった。

父の説得は無理だと感じだ私は城の外に出るための計画を立てることにした。


まずは外に出る方法だ。もちろん正面突破は無理だし、そもそも私と同じくらいの歳の子供は王室区域にはいない。そこで考えたのは一般区域から外に出るという方法だ。一般区域ならば侍女見習いの子がいる。そして、侍女見習いとしてなら外にお使いに行くという名目で城下に出ることがあると聞いた。私と同じくらいの歳の子も多くいる。ということで、見習いとして外に出る作戦を立てた。そこで目をつけたのは王族図書館だ。王族図書館は文官も使えるように、一般区域にある。基本は侍女に欲しい本を言って取りに行かせるのだが、自分の目で見て本を決めたいといえば基本的に図書館であったら行けるはずだ。一般区域とはいえ王族区域との隣に位置するため、お父様もそこまでは渋らないだろう。それに図書館には一般区域の地図もあるため、城下までのルートも知ることができる。あとはどうやって自分付きの侍女を巻いて侍女見習いに、紛れ込むことができるのかだ。まずは見習い服を手に入れなければならないのだが、それはもう手配済みだ。布染をやってみたいから侍女に見習い時代の古い服を持ってくるようにいっておいた。そんな恐れ多いとかなんとかいっていたけど、この服でやって汚すよりいいじゃないと言って説得した。そうして見習い服は手に入れた。

そうして色々なものを揃え、王室図書館通いの許可をとり、とうとう計画実行の日がやってきた。


「午後からは王室図書館に行きますわ。準備をお願い」そう侍女に声を掛けた。

しかし最近の図書館通いの多さからなのか侍女頭が

「マリナ様、最近図書室に行き過ぎです。欲しい本があるなら私たちがこのお部屋にお持ちいたしますのに」と声をかけてきた。

「最近読書がマイブームですの。それに自分で表紙を見て決めたいじゃなの」そういって今日もいつもと同じ調子で図書室に向かった。


「今日はこの席でしばらくこの本を読んでいるからみんなは各自仕事をしていて。用があったら呼び鈴で呼ぶから」そう侍女に伝えた。今週は式典があり、その準備で皆忙しい。そのため私の世話はもちろんだが、それ以外仕事が立て込んでいる。侍女頭は新人の侍女を1人つけて、別の仕事に向かった。よしよし作戦通りだ。

「アンナ、この3冊の本取ってきてくれるかしらここでこの本読んでるから行ってきてちょうだい。」

「しかし姫様私がここを外しては、俺1人になってしまいます。それはいけません。別のものを呼んで参りますので少々お待ちください。」

ダメだここで人を呼ばれてしまっては、計画が破綻してしまう。なんとしても行かせなければそんな思い出私は侍女に「いいえ、今みんな忙しいみたいだし、私なら大丈夫だから行ってきて」と言った。

私の勢いに押された新人侍女アンナは「かしこまりました、すぐにお待ちします。」といい本を探しに行った。

そうして私はアンナが奥の方まで行ったことを確認し、一般区域のお手洗いに向かった。今日はそこまで派手ではない日常使いのドレスであったため、どこかの令嬢だと思われて、特に文官にも止められなかった。そこで侍女見習いの服に着替え、窓から外に出た。そこから式典の使いということで外に出るため一般区域南門に向かった。ちなみに通行許可証は自分で書いた。基本王族の許可があれば外には出られるということは調査済みだ。


城下で何をするか考えながら歩いていると、南門に到着した。

「通行証はあるか」

「こちらです。今日はマリナ姫様の侍女アンナ様の使いです。」

「よし、通行を許可する」


こうして私は自由を手に入れたのだ。何にも縛られない、気ままに歩いていきたいところに行こう。胸に期待を膨らませ、城下町に向かっていった。


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