ヲタッキーズ179 恋と脱獄のハッピーエンド
ある日、聖都アキバに発生した"リアルの裂け目"!
異次元人、時空海賊、科学ギャングの侵略が始まる!
秋葉原の危機に立ち上がる美アラサーのスーパーヒロイン。
ヲタクの聖地、秋葉原を逝くスーパーヒロイン達の叙事詩。
ヲトナのジュブナイル第179話「恋と脱獄のハッピーエンド」。さて、今回は秋葉原を見下ろす丘の上の病院の女医が殺されます。
捜査線上に浮かぶ、ヤタラ愛想の良いイケメン看護士、ホテルのスイートに住む元麻薬王、毎度華麗な主人公の元カノ達の中からは、今回はついに…
お楽しみいただければ幸いです。
第1章 空の空気
「マンクことエレム・マンク。彼は、10人の子に恵まれ、実り多き人生を送りました。その毎日は洪水の祝福に溢れていた…」
アキバの新興宗教"洪水教"の司祭が厳かに葬儀を執り行う。教会の壁一面には棺の引き出しが並ぶ。
棺、入場。
宗教上の理由から"箱舟"と呼ばれる荘厳な棺は、片側5人、両側で10人により運ばれるのが慣例だ。
"箱舟の担い手"に選ばれるコトは名誉であり、誰もが誇らしげ。"船長"の合図で棺を持ち上げる…
ん?重い?
何人かが不審に思った次の瞬間!何と棺の底が抜けて中から遺体が転がり出る!ややっ?遺体が2体?
「キャー!」
「コッチはマンクの遺体だ。ソッチは…」
「誰なの?この女」
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
「私は"バブルの想い出"にしようかな?ソレとも"凍った白雪姫"も悪くないわ」
「私の勝負香水は"悶絶レッド"で決まり。あら?来たわ…おかえりなさいませ、お嬢様」
「失礼。我々は大統領直属シークレットサービスだ」
御屋敷のバックヤードをスチームパンク風に改装したら居心地良くて常連が沈殿。今宵はSSまで現れ…
商売は上がったり←
「ヒカリがスパに誘ってくれたの。タダ券があるみたいなの!」
「アキバD.A.の大統領がタダ券でスパに逝くのか?ミユリさんまで?」
「テリィ様の前推しと逝うのが気になりますが、スパの誘惑には勝てズ」
全身黒黒の男達に囲まれ、地下アイドル出身のアキバD.A.大統領ヒカリが御帰宅スル。起立し迎える。
「こんにちは、どうも。ミユリ、今日も素敵ね」
「ヒカリ。僕も逝こうか?」
「ダメょ。今日は女子会だから。女子だけで遊びに逝きたいの」
そのシークレットサービスは男だろw
「うーん3人で何か企む気だな?」
「大丈夫。他に話すコトはいくらでもアルの」
「そうそう。スピアの新しい彼氏について本人の口から聞きたいわ。思い出の曲があるんですって?」
「そうなの。"山田省吾"の曲ょ。この前、初キスした時に…」
僕は、思わズ耳を塞ぐw
「わあああ。もう聞きたくナイな」
「だ・か・ら!今度の"山田省吾"のアコースティックライブのチケットは狙ってたの。どーしてもシュリと行きたくて。でも、チケットはもう完売だって」
「じゃネットオークションか、テリィたんにお願いしてみたら?」
シークレットサービス以外の全視線が僕に集中。
「おいおいおい。ネット見たら6年間お小遣いを貯めても買えない値段がついてたぜ?」
「テリィ。私達の曲は?」
「もちろん"All night long"さ」
大統領の一言にSS以外の全員が耳を塞ぐ。
「あぁヤメて。聞きたくないわ」
「…楽しんで来るんだぞ。まぁ僕が行った方が絶対楽しいに決まってるけどな」
「いってきます」
ヒカリをハグしてキス…スマホが鳴るw
「あら。もう貴方は予定が入っちゃったみたいね」
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
殺人現場。洪水教の練塀町教会に覆面パトカーから降り立つ僕とラギィ。咄嗟の一言が口から出る。
「検視が終わってないのに、もう葬式か」
呆れ顔のラギィは万世橋の敏腕警部。
「…で、状況は?」
「棺の中に死体があった」
「ソレって…めっちゃ普通だけど」
先行してたヲタッキーズのエアリとマリレの報告。因みに2人共メイド服だ。ココはアキバだからねw
「マンクさんの葬儀をしてたら、もう1人の死体が棺に入ってた」
「ソレでか。マンクさん、死んでる割にはニヤケてるょね」
「お連れの彼女は女医。バレリ・モンロ。丘の上の病院に勤める内科医ょ」
僕のスマホから声がスル。勝手にハッキングし超天才のルイナが"リモート鑑識"で手伝ってくれる。
「医者?マンクさんとの関係は?」
「今、確認中」
「死因は?」
見知らぬオバちゃんが割り込む。
「肝不全!飲んだくれ亭主だったの」
「奥様?…マンク氏は肝不全だけど、彼女の死因は謎のママね。銃槍も刺傷も索痕もない。死ぬ前後で首にアザを作ってるけど、この感じだと致命傷ではナイ。死斑を見る限り、死んだのは昨夜の7時から9時頃と思うけど、死因は検視スルまで何とも言えないわ。誰かが彼女の遺体を処分しようとしたのね。バッグとスマホも一緒に」
「しかし、ルイナ。棺の中に遺体を遺棄スルとは賢いょな。しかも、洪水教は直ぐに埋葬スル慣習だから、バレるリスクが超低い」
僕のスマホは本人よりも能弁だ。
「なるほど。棺を落とさなきゃ一生気づかれなかったカモね。ラギィにココ24時間で棺に触れた人がいないかを調べてもらいましょ」
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
ココ24時間で棺に触れた司祭は…怒ってるw
「全く身に覚えがありません。なぜ異教徒である彼女の遺体が棺に入ってたのか。因みに、今朝、出勤したら教会の裏の窓が割れていました」
「え。つまり、誰かが侵入していたのですか?」
「通報したのに警察が何もしないから!その時、調べてくれれば、私もマンク夫人に怒鳴られるコトもなかったモノを。洪水の呪いあれ!」
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
万世橋に捜査本部が立ち上がる。ホワイトボードが持ち込まれて、時系列の描き込みを始めるラギィ。
「病院に確認が取れたわ。モンロ医師は昨夜、病院を出たのは18時頃だそうょ。つまり、殺害される1〜2時間前ね。その後の行き先は同僚に聞いてみるわ」
振り返ると…僕はスマホをいじっているw
「テリィたん。ソレ、被害者のスマホでしょ?」
「遊んでるワケじゃない。昨日の18時以降のネット履歴を見てたんだ。彼女は…蔵前橋の重刑務所について調べてたようだ」
「え。そーなの?」
ラギィは"蔵前橋重刑務所"と出てる画面に目を落としてから、僕にスマホを返す。僕は正直に告るw
「婚活アプリもちょっち見ちゃったけど…つまり、モンロ医師は蔵前橋に知人や浮気相手が収監されていた可能性がアル」
「嫉妬による突発的な犯行なら、遺体に証拠が残るハズだわ」
「テリィたん!」
馴染みの婦警さんから封筒を渡される。
「あらあら。捜査本部は私書箱じゃナイのょ」
「スピアに見られたくなくてね」
「"山田省吾"のチケット2枚?ファンなの?」
ドン引かれるw
「スピアが喜ぶぞ。新カレとの思い出の曲があるらしいンだ」
「あら?私達にもアルわ」
「私達の曲…か?」
女子って思い出の曲が好きだなw
「"僕達はおしゃべり"…you talk too much」
「ねぇ!葬儀場は侵入されてた」
「指紋は残ってなかった」
ヲタッキーズが駆け込んで来て口々に報告。
「でもね、諦めるのはまだ早いわ。モンロ医師のカード履歴に不審な点があったの。彼女は毎朝コーヒーを買ってる」
「そりゃトンでもなく怪しいな」
「でも、そのコーヒーショップは家から20ブロックも離れてるの」
おや?
「通勤の途中じゃナイの?」
「ソレが病院とは正反対の方向」
「…恋人かしら?」
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
万世橋の検視局は地下にアル。超天才ルイナの"リモート鑑識"で、画面には顕微鏡写真が映ってる。
「遺体についてた。灰色のナイロンね」
「ナイロン?カーペットかしら」
「今、ラボで製造元を調べてる。ココからちょっとずつ面白くなってくけど、彼女は首を殴られ、気絶したけど、その時点では未だ死んでなかった。そしたら、首の横にこんなモノを見つけた」
目の前の遺体の首筋に赤い点がアル。
「注射の痕ね」
「え。毒殺ってコト?」
「ちょっと違う。犯人は、モンロ医師の頸動脈に空の注射器を刺した。そして、プランジャーを押し込み、脳に空気を送り込むコトによって重度の…」
ありったけの雑学で割り込むw
「"空気塞栓"…かな?」
「テリィたん、良く出来ました。でね、注入スルにはスキルが必要だから、きっと医療のプロね」
「不倫だ。相手は病院で勤務する同僚医師だ」
初めて画面にルイナが映る。赤いスクラブ。
「何ソレ?注入された空の空気は20CCだから」
第2章 グレグ・トック太陽系
丘の上の病院の廊下は、人がゴッタ返している。
「今の医療制度、患者や患者の家族のストレスを考えると、病院関係者が狙われるのも納得ね」
「病院内では性関係も乱れてるしな。海外ドラマの医療モノとか見てると、きっと今、この瞬間にも何処かの部屋で医者達がヤッてルンだ。ヤッてるって逝うのはつまり…」
「テリィたん、教えてくれなくて結構。ソレにそんなのウソょ。5人中4人の医者は同業者以外を求めているの」
マジで驚く僕。話が違うw
「えっ!5人中4人?その中に刑事好きの医者は?」
「1人だけいるわ」
「前話の終わりに、唐突に登場した"お面ライダー野郎"か?」
ラギィの新カレw
「だから"野郎"じゃなくてドクターでしょ」
「え。アイツは医者なのか?」
「YES。そーみたい」
ココは突っ込むしかナイw
「何科かな?泌尿器科?肛門科?まさか婦人科?」
「心臓外科ょ」
「心臓外科医って…鉄板だなw」
しばし酸欠状態になる僕w
「…ご立派な推しゴトで」
「でしょ?今朝もバイパスのオペをして人の命を救ってるの。テリィたんは、今朝何をしたの?」
「納豆食べたょ」
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
院長から話を聞く。ラウンジの雑踏の中で立ち話w
「重篤な患者さんでも、モンロ医師を見ると、笑顔になる方がたくさんいた。病院としても大きな損失です」
「彼女の御家族は?」
「池袋の乙女ロードにお兄さんが」
蝶ネクタイに縞ジャケットのおしゃれな院長だ。
「恋人はいませんでしたか?」
「聞いてないです。いつも、病院が家族だと言っていました」
「同僚とモメるようなコトはありましたか?」
少しの間、院長は考え込む。
「実は昨日、彼女は帰る前に看護士と話をしていたようでした」
「個人的な話でしょうか?」
「恐らく。ただ、看護士の方は激しく動揺していました。後で、モンロ医師に何の話をしてたのかと聞いたら、個人的な問題を解決しているトコロだったと言われました」
ラギィが身を乗り出す。
「その看護士と話をさせてください」
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
院長は、ラウンジの雑踏の中に消え、僕とラギィはモンロ医師と口論?していた看護士を待つコトにw
「病院内で個人的な問題と逝えば1つしかナイ」
「え。何のコト?」
「三角関係さ。被害者のモンロ医師には、イケメン医師の彼氏がいた。しかし、ある日待機室で目撃してしまう。イケメン医師がケツ丸出しで、絶対エロいに違いないグレグ・トック看護士とお楽しみのトコロを。モンロ医師は、そのエロ看護士と女の闘いを繰り広げ、白衣プロレスの挙句リング上で殺されてしまう。コレ良いかも。タイトルは"死の病棟プロレス"だ」
「テリィたん。どんだけ海外ドラマを見てるの?」
その時、僕達を呼ぶ声。振り向くと…
「警部さん。何かお話があるとか?」
「君は?」
「看護士のグレグ・トックです」
え?男?しかも"超イケメン爽やか系"だw
早くも目尻が下がってるラギィが情けナイ←
「貴方(様)がグレグ・トック…さん(様?)?テリィたん、さっきの訂正スル?」
「意外だったけど…未だMIXプロレスの線もアル」
「あーらグレグ?」
その間も"秋波"の大波小波が打ち寄せる。金髪センセが手のひらをヒラヒラさせながら通り過ぎるw
「アッカ先生…で、何の用ですか?」
「モンロ医師の件ょ。昨夜、彼女が帰る前に話をしましたか?」
「あぁ話しました…ところで、警部さん。貴方の髪型、素敵ですね。いつもそのスタイル?」
げ。もう口説いてるw
「え、えぇ。まぁ仕事の時はね。でも、余り気にしてナイの…さて!モンロ医師の件だけど」
「ハーイ、グレグ」
「フェル先生」
今度は車椅子の医師が彼を杖で突いてるw
「君は、ホントにみんなと仲が良いようだね。ただ、モンロ医師とはそうでもなかったようだ」
「そ、そうだった。昨夜は何の話をしたの?」
「いいえ。大したコトではなくて、ちょっと注意されただけです。貴方は女医と仲が良過ぎると言われてしまって」
だろうなw
「で、その後は?」
「僕は、センセに気をつけマスと約束して、救急ER出入口まで見送りました。すると、彼女は知らない男と連れ立ち、歩き去りました」
「スゴーい偶然だな。彼女が"謎の男"といるのを見たなんて」
もはやボヤきにしか聞こえない僕の相槌w
「でも、事実ナンです」
「昨夜の19時から21時の間、何をしてましたか?」
「もしかして、アリバイを聞いてる?マジ?」
僕とラギィは異口同音。
「マジ!」×2人
「わかった。わかりました。確かコーヒー飲んでました。コニィ…フェル先生と…待って。違いました。ロンダといました。チャズ医師。彼女に聞けば必ず証言してくれますょ!」
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
「絶世美女のチャズ医師がグレグ・トックのアリバイを証明したわ。何でもグレグは無類の聞き上手でプレゼントをいつもくれるって、延々と褒めてたわ」
捜査本部。ヲタッキーズと情報共有。
「うーんコレはきっとグレグをめぐる三角関係カモしれないな」
「そう思うでしょ?でも、チャズ医師とはあくまでプラトニックな関係だった。ソレで他の病院関係者にも話を聞いてみたら…ついに発見したの」
「え。何を?」
固唾を飲む展開だ。ホワイトボードの裏から、突然もう1枚のボードが出現スル。おおっ!コ、コレは…
「グレグ・トック太陽系ょ!」
中央にグレグのニヤけた、大き目の写真は太陽。その周りを回る、8人の美人女医?の写真は…惑星?
「太陽の周りを回る惑星達は、みんな特別な存在と称して、グレグの周回軌道を回っているわ」
「ソレは恋愛関係じゃないの?」
「愛人関係?肉体関係は?」
次々と質問が飛ぶ(僕から)。
「ブ、ブー。彼と寝ている惑星は皆無。ただヒタスラに引力に捕らえられて、彼の周りをグルグル回ってるだけょ。なお、被害者のカラダに付着してたカーペットの繊維は、病院のモノじゃなかったわ」
「あり得ないな。ヤラないのに、何で女の話を聞いたり、モノを買ったりスルのかな?」
「テリィたん、声がデカい。ラギィが来たわ」
ファイルを見ながらラギィが現れる。
「そういえば、例外としてラギィがいたな」
「そいつ、ゲイじゃナイの?」
「違うわ。私を口説いて来たモノ」
げ。何処まで話を聞いてたのかなw
「じゃ何か巨大なる計画や隠しゴトが?」
「被害者にも隠しゴトがあった。モンロ医師は、医大の奨学金4400万円を少しずつ返済してた」
「その他にも寄付金とかアルのかしら」
溜め息つくヲタッキーズ。
「病院のお給料は上がってないハズなのに、半年前から週100万円ずつ返済スルようになった」
「ええっ。月400万円?お金の出所は?」
「引き落としじゃなく郵便為替で払ってる。誰かが代わりに払ってるってコトょ」
続いて近くのモニターに動画を流す。
「病院から救急ER出入り口の防犯カメラ画像を送って来た。グレグ・トックの言う通り。相手の男は、病院関係者ではなさそうょ」
「モンロ医師と最後に会ったのは彼だな」
「犯人の可能性が高いわね」
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
"秋葉原マンハッタン"の夜景。摩天楼は光の塔。首都高は光の川だ。僕は"潜り酒場"に御帰宅。
後ろ手に"山田省吾"のチケット。
「ただいま。スピア、実は…」
スゴい勢いで駆け寄って来たトランジスタグラマーが全力で抱きついて来る。巨乳をグリグリするw
「テリィたん!ヒカリがチケットを取ってくれた。最前列で、しかもバックステージにも入れるパスだって!」
「え…スゴいじゃん!」
「たまたま、地下アイドル時代のコネがあって」
「ありがとう、ヒカリ!シュリが喜ぶわ。スマホしなくちゃ」
ソファでワイングラス片手にクスっと笑うヒカリ。後ろにはシークレットサービス。僕は、詰め寄る。
「なんてコトをするんだ!」
「え。余計なコト?」
「僕も買ってたンだ。先ず元カレに一言確認すべきだろ?」
狼狽えるアキバD.A.大統領閣下。
「ま、まさかテリィが怒るとは思わなかったわ」
「そうじゃなくて…」
「テリィ。貴方っていつもそう。私は、元カノ同士で楽しくやりたいだけなの。でも、貴方は自分で元カノを喜ばせないと嫌なのょ。自分勝手だわ!」
何とシークレットサービスが一斉に音波銃を抜き、赤い点が僕の胸をチラチラ…待て、話せばワカル!
「もう嫌!帰る!」
そそくさとヒールを履きバッグを掴み出て逝くヒカリ。ドアが閉まる瞬間まで銃口は僕に向いているw
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
同時刻。捜査本部のホワイトボードの前でマグカップ片手にラギィ。メイド服のエアリが帰って来る。
「ずっとコーヒーを飲んでたわ」
「今までずっと?」
「被害者のモンロ医師が通ってたコーヒーショップの裏が悪の巣窟ホテル"レコル・アクシオム"だった。そこで被害者の写真を見せたらビンゴ。彼女は"レコル・アクシオム"のプレジデンシャル・スイートに長期滞在してる客に会いに来てた」
古い新聞記事をモニターに映す。ライフル片手に迷彩服、ちょびヒゲの男。新聞写真。見出しに"セサル・カデロ、"覚醒剤"密輸に関与か?"とある。
「麻薬王ょ。またの名を阿修羅と言って、2000年代に流通してた"覚醒剤"の半分を牛耳ってたが、ついに誰も彼を逮捕出来なかった」
「おいおいおい。真っ当な女医なのに何で麻薬王とツルむんだょ?」
「悪の巣窟ホテルに通ったり、大金をもらってたとなると、モンロ医師は、阿修羅の愛人だったのかしら」
首をかしげるラギィ。
第3章 麻薬王と脳卒中
アキバに開いた"リアルの裂け目"の影響で腐女子が"覚醒"、スーパーヒロイン化する事例が多発。
一方"覚醒"を誘発スル"覚醒剤"による腐女子の廃人化も相次いで、深刻な社会問題となっている。
「悪の巣窟ホテルのスイートで暮らす麻薬王か。アル・カポネみたいだ。残忍な麻薬王が愛人を殺害?ライバル組織の犯行?密売失敗の報復とか。あ、殺すのが、彼なりの愛人との別れ方なのカモしれない」
「相変わらズ妄想全開ね。でも、麻薬王が注射器で人を殺すかしら」
「え。うーん敢えて病院関係者が疑われるような手口を使ったのさ。見つかった時の捜査を撹乱スルためだ」
"レコル・アクシオム"のマホガニーぽい内装のエレベーターのドアが開く。スイートは1フロア1室。
ホールに向いたドアは1つしかない。
「でも、どうも理解出来ないのょね。真っ当な医者がなぜ麻薬王と関係を持つの?」
「だって、女はワルが好きだろ?彼は別名が阿修羅だなんて、超バッドボーイだ。ドアの向こうには邪悪で罪深い世界が広がってるハズさ」
「とりあえず、会ってみましょ」
スイートの金属プレートが付いたドアをノック。
「警部のラギィとテリィたんです。セサル・カデロさんは?」
「悪いが部屋を間違えてる。そんな人は…」
「テリィたん?SF作家の?」
薄く開いたドアから神経質そうな男の顔が覗く。対照的に背後からは豪快な声が轟いて、ドアは開く。
「マニル、入れてやれ…ようこそ、いらっしゃい。私がセサル・カデロだ」
「カデロさん。警部のラギィです。コチラは…」
「警部さん、どうぞよろしく。君は自己紹介は要らないな」
ラギィと握手。続いて僕と向き合う。上機嫌?
「ワシは君のSF小説の大ファンでな。昔から超リアルな仕事ばかりしてきたが、フト夢を見たくなる時もアル。そんな時には、君のSF小説を読むんだ。中でも"宇宙女刑事ギャバ子"は大好きだ」
「ギャバ子?カデロさん。実は、ギャバ子のインスピレーションは彼女なのです」
「何?!貴女がモデルとな。てっきり、ムーンライトセレナーダーだと思ってたが…さぁ、どうぞ座って」
ソファを勧められる。
「どうも」
「それで?ベストセラー作家と美人警部がワザワザいらっしゃった。なぜだ?」
「殺人がありました」
眉がピクリと動くカデロ。
「刺激的だな。被害者は?」
「医師のバレリ・モンロです」
「バレリ・モンロが死んだ?なぜだ。なぜバレリが死ななきゃならない?」
明らかに衝撃を受けているカデロ。
「モンロ医師と貴方の関係は?」
「彼女は…バレリは、私の個人契約の医者だった。私は心臓が悪くて、半年前も発作を起こしたんだ。弟のマニルに病院に送ってもらい、バレリに出会った。よく世話をしてくれてね。私から彼女に個人契約を結ばないかと提案したのだ」
立ち上がり、グラスにブランデーを注ぐ。
「週2日は弟が私の面倒を見て、残りの5日は彼女に世話を頼んでいた」
「その代わり、彼女の奨学金の支払いは貴方が?彼女のお仕事は診察だけだったのかしら」
「何と言われても良い。ただ、彼女は奇跡を起こしてくれた。バレリは、老いて塞ぎ込む私を、散歩や夜のドライブに連れ出し、生きる気力を与えてくれたのだ。犯人は必ず罰しないと」
どーやらホンキの恋だw
「カデロさん。そのために捜査してます。昨夜の19時から21時までは何をされてましたか?」
「この部屋にいた。ルームサービスを頼んだからホテルのスタッフに裏をとってくれ」
「ラギィ、部屋のカーペットは灰色じゃないぞ。ココでは殺されてナイ」
最後は僕で、小声でラギィに耳打ちだ。
ラギィは、ER出入口の男の画像を示す。
「この男に見覚えはありますか?」
「ないょ。犯人はコイツか?」
「わかりません。ただ死ぬ直前まで一緒にいました。バレリが最後に会った男と思われます」
神経質そうなマニルが口を挟む。
「この男を俺は見たコトがアル。車でバレリを近くのダイナーまで送った時、こいつがいた」
「そのダイナーの名前を教えて」
「アメリアズ」
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
覆面パトカーの前で待っていると"アメリアズ・カフェ"の扉が開いてラギィが出て来て…首を振る。
「この写真の男、ランチの常連だって。でも、名前とかはわからない」
「バレリの殺害後に何処かに逃亡した可能性があるしな。海外とか」
「まぁね。でも、とりあえずちょっと待ってみるわ。チョコバーもあるし」
ダッシュボードから国民的チョコバー"ブラックパンダー"を取り出す。新発売のミルクパンダーだ。
「カデロのアリバイは?」
「ホテルに確認出来たわ。スピアのチケットは?」
「ソレが…」
僕は、溜め息をつく。
「何とヒカリが先にプレゼントしてた。最前列で、しかもバックステージまで逝けるパスだ」
「ソレが不満なの?」
「だって、元カレに相談もナシにだぜ?」
不満だょ!
「まさに元カノ同士の相互扶助の精神の発揮じゃないの。やっぱり、私も元カノ会に入ろうかな…来たわ」
え。未だ入ってなかったのか?
黄色いタクシーからコート姿の男が降り立つ。ツカツカと歩み寄り、男の前に出て声をかけるラギィ。
「ちょっと失礼。万世橋警察署ょ。モンロ医師について質問があります」
「所轄か?私のオフィスに連絡してくれ」
「協力しないなら司法妨害で逮捕スルけど」
ラギィのバッジを一瞥して歩き去る背中に向かって声をかける。ところが、男は懐に手を突っ込んで…
「止まりなさい!ゆっくりと振り向いて!」
音波銃を構えたラギィの前でゆっくり回れ右。
「君も銃を置け。法務省のレナル・マロニだ。一体何の騒ぎだ?」
身分証を示す。音波銃をしまうラギィ。
「モンロ医師殺害の捜査ょ」
「バレリが死んだのか?」
「アンタ、どーゆー関係なの?」
衝撃を受け暫し絶句するマロニ。
「潜入捜査だった。私の下で」
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
路面カフェ。オープンエアのテーブル席に3人。
「まるでヒッチコック映画だ。美人医師に麻薬王に潜入捜査」
「麻薬王?」
「セサル・カデロの潜入捜査でしょ?」
キョトンとスルMr.法務省。
「おいおいおい。セサル・カデロって麻薬王のか?まさか。私の給料じゃソンな危険を犯す気にはならないょ。ソレにカデロはもう引退したンだろ?」
「じゃターゲットは?」
「丘の上の病院だ。実は、会計監査官が不正支出や処方箋偽造、機材盗難を内偵中」
医療詐欺の潜入捜査?広がる"なーんだ"感w
「病院内部の事情が知りたかった。ウチの情報源になるよう依頼したんだ」
「ソレで何か発見はあったの?」
「ない。だけど、一昨日、彼女が突然会いたいと言って来た」
すかさずカードを切るラギィ。
「救急ER出入口で?」
「なぜソレを?処方箋の偽造と薬の流失ルートについて、何か掴んだのカモしれない。ただし、未だ調べてるので"東の方"で何か証拠をつかんだら、また報告スルと言って来た」
「"東の方"」?
東西南北の…東?
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
万世橋の捜査本部。
「モンロ医師は"蔵前橋重刑務所"について調べてた。まぁアキバから見ると"東の方"だけど…」
「ソンなモン調べてどーする気だったのかしら。万一自分が収監された時に備えての予習?とりあえず、ここ半年間の面会者リストを調べてみるわ。被害者につながる受刑者がいるカモしれない」
「リストを見るとかのツマラナイ仕事だったら、超能力で速読出来ちゃうヲタッキーズに任せて僕は帰るょ。コレからヒカリに謝らなきゃ」
立ち上がる。スマホしながら大きく頷くラギィ。
「大統領閣下に賄賂を送るのね?」
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
その夜の"潜り酒場"。
「テリィ、来たわょ。シークレットサービスは外で待たせてる。重要な話って何?あら?誰もいないの?」
御帰宅したヒカリは、紫のブラウス黒のスカート。僕は、風船を持った手をカウンターの中から出す。
「何なのソレ?」
「見ての通りだ。"僕はバカだ"と逝う証に、風船を持って立っている…目が笑ってないね」
「うれしくないワケじゃない。私も今日1日、気が重かったの。私達、前にも同じようなケンカをしたわょね?私がスピアのお誕生日に"ライダーベルト"をプレゼントしようとした時ょ」
僕は、風船を持ちながら歩み寄る。
「お誕生日?確かクリスマスだったね」
「どーでも良いわ。テリィもサプライズで"ライダーベルト"を買って来てた。スピアがどちらのベルトを喜ぶかでバトルしたっけ」
「アレは、ヒカリにとってはバトルだったのか?」
僕にとっては愉快な思い出だがw
「そうょ私にとってはバトル。そして、いつも通りテリィが勝った」
「だって、君のベルトは平成ライダーので、ギミックが壊れてた」
「私が気にしてるのは、正にこのコトょ。私が現カノだった頃も、テリィは元カノ達を壁で囲って、決して他の人を近づかせなかった。私は、いつも仲間外れだったわ。もう、そんな気分を味わいたくない。だから、出て行ったの」
ある日、突然、僕は捨てられたのだ。
「ヒカリ。スピアはオトナさ。彼女(の胸w)は成長し、今では彼氏も出来た。実のトコロ、僕も仲間外れの気分なんだ。今では、ヒカリが正しかったとわかってる。僕が悪かった。今回は君の勝ちだ」
やっと微笑むヒカリ。僕の前に立つ。美人だw
「ウレしいわ。優しいのね」
キス。手を離れた風船が天井を漂う。
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
"秋葉原マンハッタン"の夜明け。摩天楼がオレンジ色の朝焼けに染まって逝く。ラギィは徹夜明けw
デスクにスターボックスのベンティカップを置く。
「あら?どーやら我等の大統領閣下は賄賂に弱かったみたいね」
「まぁ誠意を見せたからな」
「誠意じゃなくて精子でしょ?」
ラギィ、サエてるな。話題を変えよう。
「ヲタッキーズの方は収穫あった?」
「大量にあったわ。蔵前橋の面会者のリストを確認してくれたけど、モンロ医師は刑務所に行ってなかった。その代わり、別の病院関係者が毎週のように通ってた」
「知ってる人?」
ラギィはホワイトボードを指差す。
「看護士のグレグ・トック?マジ?」
「マジ。3年前から。毎週エイミ・ポータと面会してる。エイミは懲役30年。強盗殺人事件で逃し屋のドライバーとして犯行に加担。グレグは裁判で彼女の情状証人となり、彼女の性格について証言してる」
「つまり、恋人なのか?」
単刀直入な確認。
「YES」←
「そっか。きっとモンロ医師は、内偵スル内にグレグが病院の薬を盗み、エイミに横流しをしているコトに気がついた?」
「刑務所内で売るためにねw」
ビジネスモデルが浮上スル。
「病院薬の横流しシンジケートだ。グレグは、そのために女医軍団を味方につけた。全て処方箋を描かせたり、薬をゲットしたりスルためだった」
「今、蔵前橋に連絡してエイミの監房を調べさせてる。もうじき本人もコチラに来るハズょ」
「ラギィ、タイヘン!」
マリレが駆け込んで来る。
「蔵前橋重刑務所の看守から電話があった。エイミ・ポータが脳卒中を起こしたわ!」
「脳卒中?25才ょ?」
「今、丘の上の病院に担ぎ込まれた」
何か変だw
「何で丘の上の病院?もっと蔵前橋に近い病院がアルのに」
「警備の関係って聞いてる」
「あの病院にはグレグ・トックがいる」
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
覆面パトカーで丘の上の病院に駆けつける。
杖をついてる女医を見つけ詰め寄るラギィ。
「フェリ先生!蔵前橋から送られて来たエイミ・ポータは?」
「あぁ私が担当だったんだけど、MRIの途中に亡くなったわ」
「死んだ?」
絶句スル僕。ラギィは現実的。
「遺体は?」
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
丘の上の病院の霊安室は地下にアル。
"洪水教"の教会ほどではナイが壁一面に引き出しがあり、その1つを引き出すと…まるで別人の遺体w
そもそも男性だ。顔を見合わせる僕とラギィ。
「グレグ・トックの仕業ね」
「YES。薬を横流しする計画なんかじゃない。コレは、刑務所から人を運び出す計画だったんだ」
「脱獄だわ」
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
捜査本部で超天才ルイナの"リモート鑑識"拝聴。
「現場の証拠と集積された情報で、脱獄計画の全貌がホボ見えたわ」
「教えてくれょルイナ。グレグ・トックは、仲の良い女医達から数種類の薬を巻き上げてた。でも、女医達とプラトニックな関係を保ち、決して寝なかったのは、他に本命の彼女がいたからだ」
「つまり、グレグ・トック太陽系の惑星達は、そうとは知らずに、彼の脱獄計画に加担していたのね。死亡証明書にサインしたり、処方箋を切って薬を注文したりして」
当然の疑問が湧く。ラギィが代表して質問。
「でも、ルイナ。エイミは死んだんでしょ?」
「薬剤師のアマンが"アセチルヘキサペプチド3"を横流ししてた。少量をお肌に塗ればボトックスのような効果が得られるわ」
「因みに、グレグは母親にプレゼントしたいと誤魔化し、薬剤師から巻き上げてた」
ルイナの医学的説明に、俗物的注釈を加える僕w
「…ソレでエイミは、そのクリームを塗って顔の筋肉を弛緩させたワケね」
「ソレで…脳卒中のように見えた?」
「蔵前橋重刑務所の急病人は、主に警備コストの関係から、令和の頃より丘の上の病院に送られるルールになってルンだ」
またまた俗物的な補足。さっき知ったばかりだがw
「そこで、丘の上の病院の優秀なフェリ医師は直ちにMRIを実施したけど、コレは完全にグレグ・トックの思惑通り。彼は、薬剤師のアジンからモルヒネとナロキソンも入手してた。先ず、ERに運ぶ間にエイミにモルヒネを投与。バイタルサインは急激に低下し、エイミは死んだように見える。蘇生処置拒否指示もあり…」
「その指示は、グレグ・トック太陽系の最後の惑星シャア医師によるモノだ」
「ソレで死が確定した…の?」
ようやくラギィも結論に到達w
「いいえ。も少し先がアル。仮死状態の恋人エイミ
を安置所へ移動したグレグ・トックは、エイミにナロキソンを投与し蘇生させ、モルヒネの過剰摂取から命を救った」
「コレでやっと"the end"だ」
「まるで映画みたい!」
既に捜査本部は感動の嵐だ。
「リスキーだけど…考えたわね。全ては恋人のため?私、何だか涙が出てきちゃった」
「最後に、安置所担当の女事務員に書類にサインさせ、エイミを運び出し、代わりに身元不明のホームレスの遺体を安置所の棺に入れた」
「そして、恋人達は腕を組み、朝焼けの電気街へと歩き出す。全てを犠牲にして」
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
その夜の"潜り酒場"。
「コレで誰かがモンロ医師を殺してなければ、ロマンチックな脱獄ストーリーで終わったンだょ」
「でも、テリィ様。グレグ・トックにはアリバイがアルのでしょ?共犯がいたのでしょうか」
「ミユリさん。今、グレグ・トックおよび彼の"太陽系の星々"の部屋には家宅捜査が入ってる。あとラギィが彼のクレジットカードと車を"指名手配"した。でも、きっと逃亡ルートも用意周到のハズで捕まるかどうか…」
僕は、ラギィから借りた紙の束を出す。
「ミユリさん。グレグからエミリに宛てた手紙だ。脱獄計画について触れてると思うンだけど」
「エイミが描いた手紙もゲットされたのでしょ?」
「モチロンだ。ソッチは女子目線で、ミユリさんに読み込んで欲しいな」
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
「何の変哲もない普通のラブレターばかりだなw」
「脱獄計画のコトは何にも描かれてませんね」
「こーゆーのは、恋愛小説だと思って読むのが1番だ。運が良ければ"ジワタネホ"が何処かがワカル」
ニッコリ微笑むミユリさん。萌え。
「その映画なら見ました…とにかく!エイミは重要なコトを描いてません。自分が潔白だと言うコト、グレグが恋しいというコトだけ」
「グレグもかなり恋しかったようだ。"1日がとても長く感じられる。君への愛は…"」
「募るばかり?」
小首を傾げるミユリさん。激萌え。ところが…
「"デカくなる"?うーん文才はナイな」
「誰もがベストセラー作家のようなワケにはイキません。確かに文才はナイけど愛がアル。エイミの手紙はこうです"グレグは苦しまズに、別の人と一緒になって。グレグには幸せが似合うわ"…キャー!」
「ミユリさん、グレグがその返事を描いてるぞ。"僕は2人の愛を信じてる。君が離れようとしても、僕は君から離れない"…うぉー!」
ふと見つめ合い、慌てて視線をそらす僕達w
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
捜査本部のラギィに手紙を持ち込む。
「何ょ!コッチが全国指名手配でテンテコ舞いしてる間に、ミユリ姉様とラブレターの甘い読み合わせをしてニヤニヤしてたの?プンプン」
「おいおい。ただの証拠の読み込みだぜ?」
「テリィたん…3年ぶりに恋人と会えるとしたら何処に行く?」
率直な感想を述べる。
「ラブホだな」←
「マジ?もっと特別な場所は?」
「だって、出所直後はお金がナイし…」
ラギィに完全否定される。
「あり得ナイから」
「じゃラギィならどうスル?」
「えっ?…でも、もっとロマンチックな想い出の場所があるハズょ」
僕は、手紙の束から封筒を抜き出す。
「コレだ。"出会った時のコトを忘れナイ。アレは乙女ロードのホットドッグスタンド"マチガイバカリ"だった…"」
「待ってょホットドッグスタンド?ソコが特別な場所なワケ?」
「うーんヲタクはソレをロマンと呼ぶ」
強硬に異議が申し立てられるw
「フン。私は指名手配に期待スルわ」
第4章 僕が麻薬王と対決した顛末
「…OK。また教えてね」
スマホを切るラギィの顔は憔悴。僕はロングサイズの珈琲カップを2つ持ってる。1つ受け取るラギィ。
「神田リバー水上空港にもグランド末広町ステーションにもいない。カードも使ってないわ。ただ、グレグ・トックは1週間前に10万円を引き出してるわ」
「その10万円で、今頃きっと半島に向かってるぞ」
「思う壺。この国を出ようとすれば、全国指名手配の何処かで必ず捕まるハズょ」
ヤタラ強気のラギィ。エアリが割り込む。
「共犯が手助けしてなければね…ラギィ。遺体についてたカーペットの製造元がわかった。"ドビル"って車のトランクに敷いてあってモノらしいわ」
「遺体を運んだ共犯の車の話?葬儀場近くの防犯カメラを調べて。その"ドビル"のナンバーがわかれば、誰が共犯かがわかるわ」
「あら、ラギィ。共犯が誰かかはグレグ・トックに直接聞けば?」
僕はビックリw
「直接?直接って…」
「乙女ロードに来た2人を張り込んでたマリレが捕まえたわ」
「おいおいおい。ラギィ、乙女ロードをヲタッキーズに張らせてたのか?」
シレっと答えるラギィ。
「そうょ」
「あのな。ヲタクのロマンをバカな話と切って捨てたのは君だぞ!」
「いいえ。ソレはテリィたんょ。バカバカしいと言ってたのは、ア・ナ・タ!」
何だって?時空の歪みか?
「ア・ナ・タはハ・ズ・レ」
「待て。僕が当てたんだ」
「いいえ。テリィたんは外したの」
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
万世橋の取調室。
「エイミを愛してルンだ。どうしろ、と言うんだ。蔵前橋の重刑務所にいる彼女を黙って見てろと?コッチの立場になってみろ。最愛の恋人が無実の罪で収監されたんだぞ」
「その話、関係ナイから」
「いや、聞くんだ!エイミの車は、盗まれて強盗に使われただけだ!」
強弁するグレグ。爽やかで愛想の良いイケメンだった面影は完全に失せ去り、修羅の面になっている。
「いい加減にしてグレグ。私達は、彼女の事件には興味がナイの。コレはモンロ医師殺害の捜査。キチンと説明して頂戴」
「ナゼだ?僕にはアリバイがアル!」
「そのアリバイを作るために、貴方は共犯を使ったでしょ?」
即答。
「共犯なんかいない。彼女の事件には、誰も関与してない。全て僕1人がやった」
「ホントに?モンロ医師は、薬や脱獄について気がついてた。だから、貴方は彼女を消した」
「違う。僕は殺してない。確かに、彼女は脱獄計画に感づいていた。だから、急いで実行に移したんだ」
ほくそ笑むラギィ。
「殺人を実行に移した?」
「違う。殺してない。予定してた脱獄の日を早めたんだ。モンロ医師に全てが暴かれる前に!」
「マジ?でも、モンロ医師は既に全貌を暴いてたんじゃないの?」
再び即答。
「いや、ソレはナイ。彼女は、何か勘づいてはいたが、証拠が足りズ手探りで探ってる段階だった。だから、上手く切り抜ければ、彼女は翌日から2連休だったから、未だ脱獄のチャンスはアルと思った」
「どうやって切り抜けたの?」
「話を逸らした。そのブレスレット、恋人からのプレゼントですか?とか。何分か粘ったら、彼女のスマホが鳴って、話は終わりさ」
ヤルな、グレグw
「とても良い話だわ。でもね、彼女に恋人はいないの。そんなに、誰も彼も恋人がいてたまるモンですか!」←
「いいや。あの口調だと、恋人がいたコトは絶対に確かだ!」
「だ・か・ら!いないの!」
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
その夜の"潜り酒場"。
「しかし、ミユリさん。ラギィの取調べ、ヒドかったな。マジックミラー越しに隣室で聞いてたけど、少し休んだ方が良いカモ…確かに、急にグレグの恋人の存在が浮上して捜査が混乱してる」
「テリィ様、ソレはグレグがウソをついてたから?他にも何か見落としはありませんか」
「え。ミユリさん、脅かすなょ」
捜査本部でダウンロードして来た画像をカウンターを挟んでミユリさんとチェック。顔接近で激萌えw
「コレは葬儀場近くに設置された防犯カメラの画像だ。モンロ医師の死後1台だけ"ドビル"を捉えてた」
夜の東秋葉原を走る"ドビル"の画像。
「"ドビル"って海外ドラマで悪漢が乗り回す定番車種ですょね?」
「通称"悪の巣窟車"だ。恐らく"ドビル"のトランクに被害者は押し込まれてた…でも"ドビル"が映ってる画像はアルけど、ドライバーやナンバーが見えるショットは皆無だ。何度も見返したけど」
「近くの駐車場の画像でモンロ医師が写っている画像がありましたね。もう1度。ソレから現場の鑑識画像と見比べたいのですが」
ミユリさんがドンドン乗り出して来て、僕とミユリさんの顔は数100年に1度の大接近だ!超萌えるぜ!
「テリィ様、見て。モンロ医師が殺される前にしていたブレスレットがありません」
え。ブレスレット?
「あら、ホントだわ」
「え。エアリ、いつからいたんだ?」
「最初から。でも、姉様。棺の中にはブレスレットはなかったの」
げ。マリレもいる。慌ててミユリさんと顔を離すw
「高価なブレスレットだから犯人が奪ったンだ。ヲタッキーズ、ネットオークションを探してくれ」
「嫌ょテリィたん。だって、犯人はバッグは奪ってナイのょ?ブレスレットだけオークションに出るハズないでしょ」
「あのね。ミユリ姉様は、犯人はお金のために殺したンじゃないと言ってるの。どーしてソレがワカンないの?ソレでも姉様のTO?」
悪かったなw
「マリレ、そこまで。テリィ様。私、このブレスレットに見覚えがあります」
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
悪の巣窟ホテル"レコル・アクシオム"のプレジデンシャルスイート。今度はいきなりドアは全開だw
「ミユーリ!久しぶりだな。しかし、まさか国民的SF作家がミユーリの新しいTOとは!」
自らドアを開け、満面の笑顔で迎える麻薬王のセサル・カデロ。茶色のシャツに黄金のブレスレット。
ブランデーグラス片手の大歓迎を受けるw
「コチラこそ、お久しぶりですセニョール。セニョーラが亡くられて以来ですね。実は、バレリ・モンロの殺人事件に関して、どうしても、セニョールとモンロ医師の関係を確認スル必要があって」
「おぉそうか。捜査に協力は惜しまない。ミユーリのTOにもお話ししたが、彼女は、私の個人契約の医者だった」
「ソレは確かに伺った」
え。ミユリさん、アキバのメイドが長いから、色々知り合いは多いだろうが…麻薬王ともお友達とはw
ムーンライトセレナーダーに変身しなくて大丈夫?って逝うか、とりあえず変身しといてくれないか!
何しろ今日は僕が"悪い刑事役"でw
「カデロさん。そうは逝うが、万世橋は腑に落ちてナイ。恋人ならともかく、医者と麻薬王が真夜中のドライブに逝くナンて」
「ミユーリのTOにして国民的SF作家のテリィたん。この秋葉原では、コスプレイヤーを推すコトは罪ではナイょな。しかも、白衣の女医だぞ!」
「(ゴクリw)ただし、ソレが原因で殺人となる場合を除けばの話だ」
麻薬王の眉が吊り上がる。もう怖いょー。
「随分と素敵なブレスレットをしてるじゃナイか。どーも見覚えがアルと思ったら、モンロ医師が事件の夜につけてたブレスレットと、とてもよく似ているぞ!」
「ソレは"行為"…じゃなかった"好意"の印に私が彼女にプレゼントしたモノだ。アレは、私の母親のモノだった。そして、私がつけているのは父親から譲り受けたモノだ」
「2つで1セットか。大切な家宝だから死体から取り返したンだな?」
「おい!一体何のコトだ?!」
麻薬王、激怒w
怖いょ。ミユリさんのメイド服の影に隠れる…隠れたら何とミユリさんは僕を急かすように肘で突くw
神田明神も照覧あれ!
「あのな、誰かが遺体からブレスレットを外した。一体何があった?フラレちまったのか。推しに拒まれ、コニャックが似合う教養ある紳士の顔ではいられなくなって、冷酷な殺人者の顔に逆戻りしたのか?」
「ヤメろ。現実は君のSF小説のようなパルプフィクションではない。彼女を愛して、失礼、推してはいたが、殺してはいない。私は、犯行時刻には、間違いなくココにいたんだ!」
「フン。お得意の買収でアリバイなんて量産さ」
威勢は良いが、実はほとんどミユリさんのミニスカの影から言ってるwミユリさん、変身してくれぇ!
「ヘッポコSF作家!戯言を言うな!」
「何だと?インチキ麻薬王、この防犯カメラの画像を見ても戯言と逝えるか?コレはATMに設置された防犯カメラの画像だ。モンロ医師が殺された日、遺体が捨てられた葬儀場の1.5ブロック先で撮られたモノだ」
「見せろ!」
喧嘩腰で僕のタブレットをひったくる麻薬王。
「アンタの"悪の巣窟車"だろ?あの夜、モンロ医師とロマンチックなドライブをした。そして、キスでも迫って拒まれたか?推しに手を出せば出禁だぞ!」
初めて戸惑いを見せる麻薬王。
「…違う。何かの間違いだ」
「モンロ医師の遺体には、灰色のカーペットの繊維がついていた。アンタの"ドビル"のトランクと同じ灰色さ。あのな。この画像の"ドビル"のトランクには、彼女の遺体が詰められていたんだょ!」
「待て。待ってくれ、テリィたん。私は、ココにいた。だが、私じゃなく…お前、確か車のキーを持ち出したな」
振り向くと顔面蒼白の弟w
「何てコトだ!お前だったか?お前の目を見ればワカルぞ、マニル。お前が…殺したのか?」
「仕方なかった!全て兄貴のためにやったんだ!」
「どーゆーコトだ?」
僕とミユリさんも顔を見合わせる。
「彼女は潜入捜査官だった。兄貴と会った後、彼女がダイナーで会っていた男を尾行した。その男は、法務局の奴だった。彼女は、兄貴を裏切ったンだ!」
「ソレをなぜ俺に黙ってた?」
「兄貴は、彼女にノメリ込んでたろ?兄貴がお袋のブレスレットを彼女にプレゼントするのを見て、兄貴がホンキだとわかった。だから、俺は兄貴が傷つく前に、あの女を処分しようと決心したンだ!」
激怒する麻薬王。
「彼女に何をしたんだ?」
「頭を殴り気絶させた。兄貴の世話で、俺は注射に慣れてる。だから、注射器を使った。そして、遺体は、司祭を買収して他人の棺に入れ紛れ込ませたのさ。兄貴には絶対にバレないハズだった」
「…彼女の血は流れなかったのだな?」
天を仰ぎ、十字を切る麻薬王。絶望は深い。
「マニル。お前、ナンてコトをした」
「いつも兄貴が教えてくれたろ?"死体が出なきゃ事件にならない"ってさ」
「マニル・カデロ。モンロ医師殺害で逮捕ょ」
ミユリさんが手錠をかける。叫ぶマニル。
「傷つくのは兄貴だ!」
「違うわ。全ては貴方の勘違いなの。モンロ医師が内偵してたのは、丘の上の病院の医療詐欺ょ」
「無駄な殺しをしたな」
ガックリ肩を落とすマニル。
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
その夜の"潜り酒場"。ワイングラスを片手に、ソファでくつろぐミユリさん。
「ミユリさんが麻薬王と懇ろとはな」
「"アキバ皇帝"の"覚醒剤"シンジケートと内戦を起こしたコトがあって」
「ソレは、未だミユリさんが"覚醒"する前の話じゃナイか。生身で麻薬王とやり合ってたのか?」
僕はミユリさんにワインを注ぐ。
「テリィ様は、今でも"生身"でしょ?しかし、グレグは感心な男ですね。恋人を脱獄させるために全てを犠牲にしてどんだけ。少しは、テリィ様も見習わなきゃダメですょ」
「はーい」
「ただいまー」
スピアが御帰宅。
「おお、おかえり!"山田省吾"どうだった?」
「省吾、最高だったわ!思い出の曲の時は、シュリと手をつないだの。素敵だった。テリィたん、ホントにありがとう!」
「え。なぜ僕?」
戸惑う僕。ところが、スピアは構わズにスイカ級の巨乳をグリグリ押し付け、ウットリと目を閉じる。
目を閉じたいのは僕だょhallelujah!
「ヒカリから聞いたわ。あのチケットは2人からだって。お礼だけ言いに来たの。じゃお出掛けスルね。おやすみ!」
ウィンクしてお出掛けして逝くスピア。もしかしたら、シュリが何処かで待っているのカモしれない。
「ヒカリもなかなか気が利きます。良かったですね、テリィ様」
「ま、まぁね。ミユリさんもヒカリを好きになってくれた?」
「…テリィ様の元カノで1番好きなのはスピアです。テリィ様が、なぜ彼女をフッたのかわかりません」
「あれ?何でだったかな?」
ミユリさんと会ったからだょ!ニブいなw
「まぁテリィ様が今、ハッピーならソレでハッピーエンドですけど」
「え。僕なら、アキバに来てから毎日がハッピーエンドさ」
「でも、迷った時は、自分に聞いてみたら良いと思います。イザと逝う時に、彼女を刑務所から救い出せる?もしYESだとしたら、ソレこそが真実の愛、真実のハッピーエンドだと思います」
ワイングラス片手にふふふと微笑みながら立ち上がるミユリさん。僕は、彼女の言葉の意味を考えるw
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
万世橋の留置場は地下にアル。手錠に繋がれたエミリ。その手の甲にキスする、コレも手錠のグレグ。
「グレグ、心から愛してるわ」
「僕もだょエミリ」
「私のせいで、貴方までこんな目に」
悲嘆に暮れる恋人達。鉄柵の扉をラギィが開く。
「安心して、お2人さん。ね、テリィたん?」
「エミリ。君が有罪となった事件の捜査ファイルを見直したトコロ、矛盾ばかりだった。ヒドい弁護人に当たっちゃった見たいだね」
「だから(テリィたんの元祖元カノの)最高検察庁ミクス次長検事から法務省のマロニに話してみたトコロ、色々と相談に乗ってくれたワケ」
バッドエンドの恋人達は身を乗り出す。
「エミリの公選弁護人は、重要な証拠を見逃していた。証人の精神疾患を理由に見逃されていた証拠もあった。法務省のマロニは、貴方の再審を許可してくれた。無罪になる可能性がアルとも言ってたわ」
驚き、恋人を振り向くエミリ。改めて手の甲にキスをするグレグ。しかし、エミリは瞬時に僕に問う。
「でも、グレグは?」
「貴女の嫌疑が晴れたら保護観察で済むようマロニが手配してくれるわ(多分w)」
「何で…何で、こんなに親切にしてくれるの?」
ラギィが振り向く。僕は明後日を向く。
「ある人に影響されて、こんな素敵なラブストーリーはハッピーエンドで終わらせなきゃ、ってみんなが突然思ったの。ただソレだけ。でも、こーゆーコトが良く起きるの。この秋葉原では」
手をつなぎ合いながら、恋人達は泣き笑い。僕もニヤニヤしてたらラギィに肘で突かれる。またかょw
「そうだ!君達、乙女ロードでハンバーガーを食べる前に捕まったンだって?ソレを聞いて気の毒に思ってね。だから、お持ちしました。乙女ロードのバーガーセットに負けてない"マチガイダサンドウィッチズ"のホットドッグだ(僕が食べたいょ)!」
恋人達からは歓声が湧き起こる。僕は親指をコッソリ立てグレグに男同士のナイショの耳打ちをスル。
「オニオン、抜いといたぜ」
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
解散が決まり後片付けが始まる万世橋の捜査本部。留置場から戻る僕達を、ミユリさんが待っている。
「ミユリ。イキなコトするじゃナイの」
「ラギィ、グレグの滅私奉公な愛を考えると、少しはチャンスを上げたかったの。ソレだけょ」
「そうね。貴女のTOなら到底脱獄は無理だモノ。だって、誰も助けに来ないから」
え。そーなの?
「おっと。ミユリさん、僕を助けてょ」
「ムリです。アキバでは自分の身を守るだけで精一杯ですから」
「おいおい。さっきと逝うコトが違うな。ミユリさんにとってのTOって、そんなモノ?」
ミユリさんは微笑む。
「大丈夫です。ミユリがダメでも、テリィ様は"ムーンライトセレナーダー"が助けますから」
足早に僕の前を歩き、ミユリさんは振り返る。
「テリィ様、今宵は御帰宅を?」
「喜んで。メイド長」
「お待ちしています、御主人様」
ミユリさんを追いかけて走り出す僕。そして、僕達は、春の日差しの中を電気街へと飛び出して逝く。
おしまい
今回は、海外ドラマによく登場する"脱獄"をテーマに、洪水教の司祭、丘の上の病院の華麗な女医達、イケメン看護士、その収監された恋人、主人公の元カノ界の大物、有名ロックンローラー、元麻薬王とその弟、女医殺しを追う超天才や相棒のハッカー、ヲタッキーズ、敏腕警部などが登場しました。
さらに、主人公の元カノ界の大物の登場などもサイドストーリー的に描いてみました。
なお、私はパルプフィクションの世界観に憧れを持つ者であり、決して軽薄SFとは思っていません笑。
海外ドラマでよく舞台となるニューヨークの街並みを、すっかりインバウンドのファミリータウンと化した秋葉原に当てはめて展開してみました。
秋葉原を訪れる全ての人類が幸せになりますように。