言葉
かつて私はこの世界そのものであった
心地良く包まれ
体は存在しながらも
その瞬間指先から溶けていくよう
言葉によって私と世界は分離した
言葉は切れ目である
言葉は壁である
言葉は境界である
愛も
動物も
天気も
病も
時間も
死も
全て私が生み出したのだ
誰もが自分自身でこの世界に切れ目を入れている
そこに正しい切り方など一つとして存在しない
そして切れ目はまた作られ壊される
私の発する言葉次第で
世界が天国にも地獄にも成りうる
言葉が無ければ全て煙となって消えていく
どんなに言葉を恐れようと
私は言葉から離れられない
意味を抜き取った言葉に希望を託して
這い上がらず沈んでいこう
以前ここ後書きに書いた文章はあらすじに載せました。