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REVISE修正戦記 -HUMAN vs SPECIALS -  作者: 竜
The Final Season

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37/47

31話 待機班と防御班

京東城から見える高層ビルの屋上にて。

我々・待機班は、思わぬ敵襲を受けていた。次々と山下叔父さんが用意してくれた飛行機体は、放物線に飛んでくる攻撃で炎の中へと消えていった。私・西野明奈は、手に握るアサルトライフルで敵を迎え撃つ。適切に相手に狙いを定め、息の根を止めるために。今だ!!!


引き金を引けば、敵は数弾の銃弾を浴び、体全身に麻痺した感覚で震えが走っていく。今回の戦いの目的は殺し合いではなく、犠牲を生まないこと。だから全て使っている武器は強力な気絶を引き起こす銃弾のみ。

だが襲撃を受けてから20分後、こちらの方が優勢なのか、飛行機体に乗る隙ができた。一刻でも、京東城で戦う仲間たちの元へ行かないと!!!私が得意分野とする戦闘機へと直行。体勢を低くし、狙いの照準にならないよう、目立つことは避けたはずだった。


目の前に能力者が現れるまでは。

この覇気!!!オーラに駆られ、振り向く視線の先には鋼で作られた皮膚を纏う能力者。

こいつを倒さないといけないみたい・・・です。

鋼の能力者・・・前に誰かから聞いたことある。


同じ空間でさらに、新たな人影が鋼の能力者の前に立ちはだかる。あの逞しく、漢気のある背中。間違いないです。

能力者専用の武器を開発してくれた山下叔父さん。彼の手に握られた大型のショットガン。風に吹かれる腰に装着された手榴弾たち。彼は私に覚悟を見せるように、その背中は物語っていた。


『おい、早くいけ!!!』


彼にバトンを託された私は一直線に戦闘機へと走っていく。もちろん簡単に、通してくれるわけない鋼の能力者は戦闘機へと直行していく。何をするのかと思えば、あいつ・・・戦闘機を破壊するつもり!?

両手に握るアサルトライフルで背中を狙うも、武器の使い慣れている山下叔父さんは瞬時に、敵の背中を撃ち抜く。効果はややあるものも、まだテイクダウンまでには至らない。


山下さんが時間稼ぎしているうちに、私は戦闘機へと駆け走る。急いで、戦闘機のコックピット・キャノピーへと飛び移り、無事乗り込むことに成功。周囲には、ボタンの宝庫。操作を得意とする私は手慣れたスピードで、戦闘機を起こしていく。だが、山下おじさんが必死に抑えるも、こちらへと向かってくるこの覇気。


ついに辿り着いた鋼の能力者は、キャノピーにいる私へと顔を出す。鋭く光沢のある鋼でこの強化型ガラスを打ち破ろうとするその拳。その時だった・・・


『緑のボタンを押せ!!!!』


微かに張り上げた声が聞こえると、私は、右端に映る緑ボタンを名一杯押し込んだ。

次の瞬間、何かの波動が鋼の能力者を押し除けるように衝撃波を描いていく。今だ!!

エンジンを吹かし、助走をつける勢いで発進していく。


*  *  *


よし!!いい加減に奴を終わらせないとな!!鋼の能力者こと成瀬宗介!!!

何度何度も、殴られようとも這い上がる成瀬宗介。俺・山下は、その相手を見据えるように視線を合わせる。

『来いよ!!!成瀬!!!』

無心で迫り来る彼は、近距離へと近づくべく迫りくるも、俺は、瞬時に狙いを定める。

1発は、ハンドガン並みの威力で撃ち抜くも弾かれる。能力者専用の銃弾に改造しているはずなのに、なんでだ!!!・・・まるで効果がない。ならこの弾ならどうだ!!!

威力を兼ね備えたグレネードランチャー。それを目にした時、成瀬宗介は目の色を変えるように迫り来る。

まずい!!!成瀬の方が早く迫ると鋼の腕で、俺へと体当たりを仕掛ける。内臓を刺激するほどの体当たりに、一瞬息ができなくなるも、直ぐにグレネードランチャーの銃弾を繰り出した。

『っく!!』

成瀬は瞬時に距離を取るも、それが命取りだ。より狙いやすく下がった相手へと一撃を喰らわす。

眩しすぎる光が介入したあと、鼓膜を突き破るほどの爆撃音と衝撃波により背中から打ち付ける。


やったか・・・だが黒煙から人影がムクッと起き上がるシルエットが目に見えた。どうして・・・強力な気絶をさせる成分を含んでいるのに・・・黒煙から、現れた彼は麻痺しても、迫り来る。

『蓮を殺すまで・・・死ねない・・・』

こいつ化け物かよ!!!だが俺も彼の信念には負けずと、立ち上がる。

『なら、彼を簡単に殺させるわけにはいかないな』

成瀬は、鼻で笑うだけ。

『なあ・・・知ってるか?人類が後天的に能力を得るとどうなるか?多少の期間は持っても、必ずどこか死んでしまう・・・大半のやつは1ヶ月ももたないらしいな』

は・・・まともに彼の言葉を聞く余裕はなかったが、よくよく考えれば、成瀬美波も無理やり能力化したせいで、1日も制御できなかった、なら・・・

『・・・お前の寿命は、あとどのくらい残ってる?』

『もうすぐそこさ・・・もう蓮まで殺せねえな』

上を見上げるその横顔。彼の目には一粒の涙が溢れていく。そのまま、悲しみにふける彼はこう言う。

『なら・・・俺ができることは一つ。蓮の仲間を一人でも、殺すことだああ!!!』

鋭い刀として切り替わる鋼の手が、俺へとむけられる。完全に油断した体勢に、迫りくるまで対処しきれない。その時、大きなミサイル弾が、成瀬宗介の腹部へと直撃。

すぐに俺は、今いる高層ビルの屋上から足を伸ばせる距離で飛び降りる。衝撃波で、ここまで移動しておいてよかったぜ!!!浮遊感に襲われながら、背後では爆風と高熱の波が皮膚まで浸透させる。下は小さく見えるアスファルトの交差点。だが、飛び降りたと同時に、思い切り重力で落下していく身。

高度が下がるにつれて、急速落下していく風に吹かれる。


その時、横切るものが、俺を救い出す。なんだ・・・確かに横切る飛行可能なものにしがみついてるが・・・まさか・・・

『山下さん!!!大丈夫ですか!!』

なんとキャノピーに乗ってる西野が、落下中の俺を救ってくれた。今、俺は翼の部分に死に物狂いで掴んでる。

だが、戦闘機の速さで、まともに呼吸ができるわけない。

万が一に備えといた酸素マスクとなるヘルメットを被る。宇宙服のヘルメットの如く、顔全体をカバーするスタイルで良かったと軽く自画自賛する。


高度が上がっていくと同時に、微かに振り返る成瀬がいた位置。

もうそこには、動く人影もなく、ただただ大きな炎が灯っているように見えた。あれほどの爆風をミサイル弾にはこめていない。つまり成瀬は、ミサイル弾に触れると同時に、自爆したんだ・・・寿命を迎えることで・・・これで奴を葬れたと・・・願うばかり。


『よし!!!西野!!!あいつらを助けにいくぞ!!!』


*  *  *


挿絵(By みてみん)


紫苑の陣営近くにて。正確には、後方の防御班2が破られ、本部まで侵攻を許した位置で戦いに挑んでいる俺・如月紫苑。相手は、過去の因縁を持つ相手・貴島裕平。こいつは、怪物狩りの組織の裏で行っていた悪事により刑務所送りにされていたはず。だが長く破壊力のある矛で、簡単に身をねじ伏せられる。瞬間移動で貴島との距離を稼いでも、相手も同じ能力が使える。

だが、こいつ、何の能力者なんだ!!!前より図体がでかいみたいだが。


振り上げる矛のポーズを取ると、俺は隙を突き、横腹やみぞおちへと刀を振りかぶる。相手よりも早く。だが、全くと言っていいほど、反撃の効果がない。まるで大人に、幼い子供がおもちゃの剣を振り回す感覚だ。

その状況に思わず、大声をあげて笑う貴島。気づけば、いつの間にか地面へとねじ伏せられていた体勢へと陥る。さらに振り上げる矛は、俺の首を狙いにきてる。瞬時に地面に仰向けに倒れていた体勢から身を何度も回転させていく体勢へ。


無事、避けたものも、矛から放たれる鋭い風がやけに痛い。顔半分の火傷に強烈な痛みが走る。

なぜだ!?目の前にいるはずなのに。背後から殺気が襲いかかる予感。急いで振り返る先には、俺に向けて刀を向ける人影が見える。お前・・・


『増援が来たぞおおおおお!!!!』


仲間の声。同時に・・・


『紫苑さん!!!伏せて!!!』


聞き覚えのある声を頼りに、腰を低くすると、貴島と俺の間に乱入してきた雑魚能力者を真っ二つに斬り裂く。桐島慎也か・・・思わず警戒してしまったが、またあの日みたいに彼と肩を並べる。目の前のあの男と向かい合うように。


だが、今は貴島一人に意識を向ける前に見えた光景。さっき聞こえた仲間の声から得た情報。その通り、頑丈な装甲車両や戦闘機が上空や森の茂みからどんどん現れてくる。ついに来た増援。そのまま勢いに乗り、防御2班を崩した能力者たちを殲滅していく。だがやっぱり、増援の流れや勢いを維持するには、この男を仕留めないと。


今微かに振り上げただけだが、貴島の動きで、装甲車が横倒しになるほどの衝撃波を加えた。

それにしても、こいつ本当に何の能力者なんだ!?


『紫苑さん!!!!』


桐島に名を呼ばれているときには、もう目の前に現れた貴島に意識を吹き飛ばされていた・・・


*  *  *



『紫苑さーーーん!!!!!!』

その悲痛な声が、この防御班1で待機する私・江田美穂のとこまで聞こえてくる。もちろん後方で起きてる出来事に背を向けざるを得ない状況。まるで大将が次々と殺されていくような・・・そんな感覚が襲うことで、両手の震えが止まらない・・・なんでここに来てしまったんだろう・・・私は結局・・・


また襲いかかる鋭い衝撃波が肌に体当たりを仕掛けてくる。

思わずどよめく防御班の武装集団たち。私も彼らと同じように、脚も腕をカバーするスーツを身につけているものも、風の鋭さに、私は後退りしてしまう。そして近づいてくる何か・・・


重い鎧でも纏っているのか、歩く動作と同時に響く金具の音。また足音から響き渡る貫禄のすごさ。

やっと白煙から姿を現した男は、如月紫苑を抱える片手、もう片方には大きな矛を手にする絵図を見せつける。


『如月紫苑は死んだ。あれだけの威力、首がへし折れてもおかしくないだろ』


彼は証拠を突きつけるように、抱えた如月紫苑は、私の前へと放り投げ出される。地面に打ち叩かれても、反応を示さない彼。こんなのに勝てるわけないでしょ・・・でも戦わなければ勝てない。そう震える身体を、声に出して押し殺そうとする。

『何やってるの?みんな・・・』

私の一声に、一斉に視線を向ける武装集団。

『私たちは、やるべきことをやるべきなんじゃない?だって、この戦いで終わらせるって約束したんだから』

どこか独り言のようで、どこか仲間に訴える部分もある。それは、届いてほしくない相手にまで聞こえていた。軽く首を傾げながら、鼻で笑い出す相手。

『なら、俺と勝負するがよい』

なんでこんな余裕なんだよ!!!自分で言い出したくせに、さらに下がる一歩。

そのときに、武装集団の一人は一歩を踏み出し、銃弾を矛を持つ能力者へとぶちかましていく。一人の勇気は小さな灯火となって広がっていく。大きな炎へと。それは一人の踏み出す一歩が、他の武装集団の一歩へと繋がり、更なる銃弾をうちはなっていく。なのに・・・何で・・・私は踏み出せないの?

まるで託すだけ託すように、私はただ後ろへと後退していくだけ。

そのとき、矛の能力者は垣間見える如く、360度振り回す。1回、2回と・・・そしてために溜めまくるその遠心力を使い、強烈な暴風域が防御班1の全域に発生。軽々と吹っ飛んでいくが視界に映ると、次のワンシーンに移るように視界が真っ黒にフェードアウトしていく。


*  *  *


私の母は宝塚の演技で有名な人だった。彼女の演技力は日本中で知られていると言ってもいい。だからその分、プライドが高かった。何としてでも、栄光を勝ち取りたかった。何としでも、注目されたかった。

私・江田美穂の存在価値があるために。


これはそんな私の心の弱さが生み出した大罪。それは、演劇部の練習する教室で起きた。


『なんで、こいつが主人公ってみんな思わなかった?』


私は周囲の演劇部員を無理やり同意見にさせるべく、鋭い眼差しを突きつける。その瞳にすぐ怯む部員たちは、すぐうなずくも、何人かの部員はただただ固まるだけだった。まだ折れないかと、必死の皮肉を突きつける。


『いつもヘコヘコしてる彼女が、主人公なんて到底考えられない。絶対テキトーだよね?』

『・・・』

標的の対象であった安藤由美香は目が泳ぐも、私の一言に応えなかった。

『ねえ!!!・・・だってさ、あの主人公の明るい性格が全く感じられない!!!ただ、安藤由美香と言う人物が明るくなっただけで、アンナ役には、なりきれていないでしょ!!!』


全く説得力のないことをグダグダと熱弁していたような気がする。"私こそ何様のつもり!!"と自問自答するようになった。あれは、自分の演劇の才能がないから、自分より優秀な人間が許せなかった。

そんな優秀な安藤由美香をどう追い詰めたか・・・足早にロッカーに隠されたほうきを2、3本取り出す。その2、3本のほうきを取り出して、主人公候補になっていた二人に突き出す。

『あなたたちも、おかしいと思うでしょ?何で彼女が主人公なのか・・・』

『・・・』

『ねえ!!』

『・・・はい!!そう思います!!!』

『なら、こいつを追放して!!!もうここに居させないように』

『・・・ど、どうしろと?』

『何度も痛めつければいいのよ!!!なんせ、人に効くのは痛みなんだから』

『・・・・』

『早く!!!』

私はそうやって、他人を利用して、目的や願望を果たしてきた。両親の権力を使って・・・でも、それが弱い人間だと示していた。こんなことにも気づけない私なんて、今ではどうかしてると思う。


*  *  *


そして時は今の京東城へと戻る。


安藤由美香が能力者になってしまった後・・・篠崎蓮に言われた言葉が、胸糞悪い意地を壊してくれた。でも、その後遺症が、今でも一歩踏み出すのに抗っている。みんなこの戦いを終わらせようと、一歩を踏み出しているのに・・・


『お嬢さん、そんなに後ろばかり下がっていいのか?そもそもここにいるのが間違いなのでは?』

『はあ?あんたが生理的に無理で避けてるだけ』

『手足が震えるほどにか?』

『そうだよ!!!』

あれ?何でだろう・・・自分が自分らしく言葉をぶつければ、足が一歩前に出てる。思わず、足元へと俯く視線。

『もう生理的に克服したか?』

敵も私が一歩踏み出したことに視線が移る。"何見てんだよ!!!"と鋭い眼差しを突きつけたくなる。

『いや全然!!!・・・そういえば、あんたのことニュースで見たことあるよ。怪物狩りのお偉いさんでしょ!!』

『そうだな・・・でもこの如月紫苑によって邪魔された・・・だから殺した』

『そんな子供みたいな理由で、人を痛めつけるようなな奴だったのね、あなたも』

『何?』

『結局、自分の目的を邪魔されたからって、やり返すガキと変わらない!!!自分の過ちも気づけないなんて、可哀想な人ね』

『減らず口もここまでにしとけ』

私の感情的な訴えは、相手・貴島裕平の眉間に濃いシワを刻む。さらに低くなった声色で。でも怯まない。

だって、これが私の存在価値だもん!!!毒舌だと言われても構わない!!!このクソみたいに喋るこの口、これが私だ!!!江田美穂だ!!!


『お前は、どうせ誰からも愛されたことない童貞なんだから、一生スポンジとでもキスしとけよ!!!』


いつの間にか、前進していた一歩と感情任せに向けた銃口で強烈な一撃を喰らわす。

瞬時に腕で顔を覆う貴島も、撃ち放った衝撃で、腕は自分の顔へと反動で吹き飛んでいく。なんだ!!!失神するほど、目がひん剥いている。さらに、後頭部で撃ち放つ誰かの銃弾が直撃。前のめりへと、体制が崩れると同時に自分の腕が顔面にぶつかる矛の能力者・貴島。


『そういうことだったのかよ!!!!』


この声は!!!紫苑さん!!!


『あれでくたばるわけねえだろ!!!!』

『待たせたな!!!』


紫苑さんに続き、横から割り込んでくるのは、空から降りてきた山下叔父さん。そして私らの真上で大きな存在感を醸し出す戦闘機が通過していく。やっと、待機班が援護しにやってきた!!!


『増援が来たぞおおおおおおお!!!』


仲間の歓喜する大声と舌打ちする貴島裕平。私、紫苑さん、山下叔父さんが同時に彼へと攻め入る。

紫苑さんは得意な刀で、あっさり貴島の手首を切断する。そこから溢れる返り血と比例して声を上げる貴島。


『なんで・・・俺は・・・最強のはずなのに!!!』

『へえー、そうかよ!!!』


全ての力を拳に込める山下おじさんは、切断した貴島の拳を貴島自身にぶつける。そう。貴島の肉体を使ってぶつける自分への攻撃には、全く耐性がないというカラクリだった。その効果はえげつけないほどに、顔面崩壊を披露する。


さらに切断したもう片方の手首を私へと投げ渡す紫苑さん。自分の両手に降りかかる切断された片手首。普通の人なら、ここで恐れ慄き、逃げてしまうだろう。何せ、本物の手首が両手に乗っていうのだから。

でも・・・ここは、立ち向かわないと!!!そう大きな一歩を踏み出した。

次々と攻撃を繰り出す紫苑さんと山下叔父さん。だが、貴島の振り下ろす矛から放たれる衝撃波が、二人を簡単に吹き飛ばす。二人が引き継いでいた連続的攻撃に続くのは、私!!!


そう、貴島の手首を握る拳を彼にぶつける。地面にねじ伏せられた紫苑は、立ち上がる気力もなく、ただただ私に声として届ける。

『いっけえええええええええええええええええええ!!!!!!!!」

紫苑さんの声に続き、突きつけた拳。何キロもあるであろう彼の体重は、ふわっとした無重力となり、数百メートルと消えていく貴島。


*  *  *


俺・貴島裕平は・・・奴を殺すために全てを失う覚悟でここにきた。だが、それも叶わず。

だが、能力化で失ってしまった半分以上の寿命。もう、時間切れだ。


なあ・・・俺が勝てなかったのは・・・何でだ?


ああ・・・なんて綺麗な空なんだ・・・早く気づいていれば・・・正しい生き方を・・・

ゆっくり閉じる瞼。その瞬間、体の中から打ち上がる高熱の波に内臓を溶かされ、肉体は爆風と共にふき飛んでいった・・・



*   *  *


何だ!!!!

急に京東城から放たれた一直線状のビーム。それは私・西野明奈が乗る戦闘機よりも高く解き放たれていく。ある程度の高度を超えるビームは一瞬にして暗雲立ち込める黒い雲と成り代わる。それは0.00秒の世界で、広がっていく乱層雲となってこの戦場を覆い被さる。後ろを軽く振り向いた時には、すでにこの戦場を黒く染めていた。


何がくる?・・・そう真上に警戒を高めていたそのとき、黒く暗く描かれた雨雲から次々と雨の如く降り注いでくる無数のビーム。急遽、回避するように180度機体を傾けさせる。そしてさらなる加速力でブーストしていく機体。


『早く・・・全能者を倒さないと・・・みんな犬死する』



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