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26話 全面戦争

この話だけのイメージ挿入歌を概要に追加しています。ぜひ素敵な楽曲と共にお聴きください


正門が一番、攻撃の波が大きいと思わざるを得ない。それほどの犠牲者を生んでいる。辺りには、昨日までは一緒に囲んで飯を食っていた仲間たちが死んでいる。そんな悲しみに浸れるわけもなく、四方八方から迫り来る能力者の大群が押し寄せてきている。。雨の如く降りかかる攻撃をバリアで防ぐも、限度がある。


そんな状況が俺(蓮)の脳内では描かれていた。脳内に描かれる情景がリアルであればあるほど、俺(蓮)は、青木、楓、美穂、朱莉と共にポータルの先へと踏み出した。全能者だから、ポータルも自分の手で生み出せるようになりました。(拍手!!パチパチ!!!)


その先に広がる光景へと踏み出した。正門に位置する結城、紫苑、桐島、そしてみんな無事でいてくれと。荒れ狂う戦闘と思いきや、激しい爆発音や怒号はそれほど聞こえてこない。戦闘を終えたということだ。ゆっくり視線を向けると、煙の中から現れる複数のシルエットが顔を出す。如月紫苑さん、桐島慎也、前川結城だ。そして目標の門は、見事に破壊することに成功させていた。


*  *  *


やっと門の先へとつながる道へと歩み出した。辺りは荒れ果てたビルとアスファルト道路はひび割れ、隆起している状態。足場の悪かろうが、目標の京東城へとかけ走っていた。だがおかしい。いつもの能力者なら、道中で反撃を仕掛ける頃なのだが。特に見張りもいなければ、罠を仕掛ける者もいない。


だが、次の一手が彼らの狙いなのかもしれない。ビルやアスファルトの道路といった人工物は、時空が歪むと同時に新たな景色を生み出した。まるで嘘だったかのように、そこには広大な草原が広がっていた。障害物もなく、建物もない。だがそれだけじゃない。これほどにも見たことない軍勢が視界の大半を占めていた。能力者が攻撃してこなかったのは、この全面戦争のためか・・・綺麗な隊列で待ち構える群の塊が3つ。おそらくそれぞれの隊列を仕切るグループのリーダーが3人いるということで間違い無いだろう。


一方、それぞれの門から流れてきた仲間の部隊たちは先に隊列を作っていた。張リリに次ぐ副隊長のおかげだろう。俺たちも急いでその隊列へと加勢した。


*  *  *


ここからが勝利の決め手となる。

今我々の隊列は横3つの塊となっている。前線がいわゆる突撃班。中央が本領を発揮する本部。そして後方が背後からの襲撃を防ぐ防御班。だが紫苑と俺は違う考えを持っていた。

『横3つじゃなくて、横4つの班で形成したい』

『それはどういう構成なんだ?』

副隊長の疑問に、印をつける紫苑。

『前線が突撃班。中央がリーダーが仕切る本部。その間に新たな防御班を作る』

紫苑の作戦に、副隊長は首を傾げる。

『人数を削る分、突撃班の威力が弱まってしまう』

『だから強い奴で構成された突撃班を用意しろ。それに、今は城付近の高層ビルに待機班がいる。彼らの加勢もあれば、アイツらを押し倒せるはず』


挿絵(By みてみん)



『・・・わかった。だが、突撃班のメンツはある程度決まってんだろうな?』

紫苑の視線は、彼らの行く末を見据えるように目を合わせていく。

『青木、安村(楓)、前川(結城)、咲白(朱莉)って奴がメインだな』

『私は?』

そう江田美穂が口を挟む。

『君は、前線の後方・第一防御班に入ってもらう。そして蓮・・・』

『俺は、京東城へと乗り込む』

『蓮だけで!?』

朱莉には、蓮だけで本部に突っ込む作戦が無謀に見えた。俺は、彼女に本気であることを真っ直ぐな眼差しを突きつける。

『大丈夫だ。みんな城内に入れるよう、バリアを打ち破るだけだ』

続けて、城へと指を差す。

『どうやら城付近は強力な結界で防御を固めている。所詮、そのバリアも能力者が生み出している。つまり、俺の任務は、そいつを機能停止させることだ』

俺の作戦を共有した後、次は現場の指揮権をここにいる部隊に知らせる。

『現場の指揮は、紫苑さん、あと副隊長・高川たかがわに任せたい』

これは満場一致の賛成だ。では、作戦決行へ。


*  *  *


吹く向かい風。隊列の完成させた両者は睨み合うよう、互いに向き合う。ここで決着をつけようと、みんなの意志の強さがこの草原へと集まっている。選ばれたメンバーも紫苑さんに選ばれたことより、これから起こる戦のことばかり考えてしまう。みんな死んでしまうのではないか・・・いや。今そんなことは考えないようにしないと。だが最初に導くのは、私(朱莉)たち突撃班。そりゃあ、みんなの顔がこわばるのも無理はない。

『みんな、ビビってんの?』

『朱莉は怖くないの?』

『まさか。むしろ楽しみだよ!!!』

『朱莉が・・・壊れちゃった』

楓は、ぽかんと開けた口を披露しながら、"武器を構え!!!"の指示が下される。一斉に、戦闘体勢に備える銃や刀が手元に強く握られる。次の命令を今か今かと。

『朱莉がそう来るなら、男勢の俺たちはビビってられねえな』

結城の発言に鼻笑いを見せる青木。挑発的ではあったが、現場の士気が高まっている。そうだ。人類の力をここで思い知れ。


『突撃いいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいい!!!!!!』

副隊長の張り上げる声を受け取った私たちは、全速力で草原を駆け走る。能力者の軍勢へ向けて。一斉に並ぶ仲間たちは、先頭を駆け抜ける私に追いつこうと青木、結城が距離を縮めていく。私たちの突撃に能力者も動きを見せる。


『撃てええええええええええ!!!!』

微かだが、聞こえてきた声に攻撃に備える。

『バリアを張れえええ!!!』

私の声に続き、手の甲に身につけたアームカバーで結界を作るも、遅れた者は次々と砲弾並みの攻撃を喰らう。

『怯むな!!!このまま突っ込めええええええ!!!』

私の士気に負けまいと、加速していく仲間たちは、能力者の前線へと近づいていく。このまま、砲撃の波を喰らえば、本来突撃隊の目的が達成されない。攻撃開始してから数分もしない間に、焦りが汗として頬へ流れる。


草原のカサカサと揺れる音のリズムは早く、20メートルの距離まで追い詰めた。

『撃てえええええええええエ!!!!!』

能力者の手から繰り出されるエネルギーから、草を抉るほどの攻撃に瞬時に躱す。

『こいつ・・・』

なかなか狙いの定まらず、回避し続ける私に、能力者の焦りの顔が見れる。そういうのが見たかったんだよ。前線へとたどり着いた私は大きく振りかぶる刀に怪力を込める。鋭い風が遅れてやって来ると、一本道を拓くよう能力者は吹き飛んでいく。


『どんどんかかって来いよ!!!』

私の何かが壊れた。きっとストッパーが外れたんだ。これ以上の犠牲は見たくないし、終わらせたい。そう思えば思うほど、握りしめる柄の原型はへこんでいくようだった。挑発に乗った能力者は囲うも、鋭い線を360度に描くと、次の視界には地面と同化した彼らが映っていた。それだけじゃない。次々と移っていく能力者の対処に流暢な動きを描いていた。一本の線を描くように、胴体へ刃を当てることに苦はない。


私に続き、青木や結城も大きい胴体と手慣れた拳をぶつけるよう、突進していく。その勢いは(能力者側)前線の隊形を崩すのに値する。私らの戦略に押し潰されまいと、強敵となる標的に集中攻撃へと重きを置く。それは加わる攻撃の手数が増えたことで彼らの狙いが読めた。なら・・・刀を手から離し、落下していく隙に空いた両手。深く吸う呼吸のリズムと同時に、弾いた(アームカバーの)両腕は強烈な衝撃波と共に突き出す。360度から包囲されたはずの視界はまた拓ける。


だが、大群の押し寄せる勢いに、拓けたはずの視界は能力者の怒り狂う表情でうめ尽くされる。さすがにやばいかも・・・怪力と加わるエネルギーに呼吸さえ失われそう。その時に押し潰される何かに、能力者がドミノ倒しを繰り広げる。綺麗に力強く入る技。素早い攻撃で加速していく人影が私の周りを駆けていく。


『なんだ!?こいつ!?』


そして解き放った衝撃波で能力者の軍勢を押しのけていく。私の視界に映る後ろ姿、それは覚醒した安村 楓の姿だった。


*   *  *


『おいおい!!!アイツら!!!ハハハハハハハ!!!』

笑い声を上げながら、小柄な能力者を投げ飛ばしていく青木。

『俺たちも負けてらんねえな!!!』

朱莉たちに負けまいと、右手の奴に左拳、左の能力者に右拳、そして正面へ彷徨く能力者に顔面へ拳をぶつける。

迫り来る怪力には、アームカバーの青を宿す。加わる怪力が弱まると同時に弱体化させた能力者には、回し蹴りを顔面へお届けする。一方、青木はアメフトの如く突進していくと、能力者の群れは後退していくばかり。仕上げとして、奴らの溜まり場となった群れへと、高らかに飛び上がる。こっそり、仲間の背中に跳躍力を込めた俺(結城)は誰よりもこの戦場を宙を舞う。放物線状の先へ群れる能力者へと鋭い拳は、衝撃波付きであたりを蹴散らしていく。


『やるじゃん!!!例のやつ貸して!!!』

朱莉の微かな余裕の声に、俺(結城)は笑みで応える。

『青木!!!例のヤツよこせ!!!』

例のやつは、青木の大きな胴体である背中に乗せられていた。

『今、待て!!!』

身長の高い彼は、目立つ標的として能力者が群がる。なら戦闘に加わるまで。

『邪魔だ!!!どけ!!!』

蹴り上げる蹴り足に、背中を打ち付ける能力者たち。黒い手提げバックに朱莉の欲しいものが入ってる。

『これか?』

『そうだ!!!』


『殺せえええええ!!!!』

何度も何度も襲いかかってくる能力者たち。

『結城!!!俺を盾に進め!!!』

一瞬戸惑いがあった。それじゃあ、青木が犠牲になるだけ。だが、今は彼を信じた。重量感ある手提げバックを左手に、青木の背中を頼る。青木は、大きい棍棒を振り上げることで、能力者の何人かは高らかな弧を描く。だが追い詰めてくる軍勢。

『結城!!!』

能力者側に加勢が加わったことで、これ以上先に進めない青木。俺は彼の背中へと駆け上がり。手提げバックを宙へと投げ入れる。放物線の頂点へたどり着く手提げバックは重みに優ってしまったのか、飛距離は届かず。それほどにも及ばない手前へと溢れる。そこに鋭く早い楓がカバンを手に入れる。風よりも早く駆け抜ける楓は最後の手綱である朱莉の元へと。


*  *  *


『朱莉!!!』

名を呼ばれると共に、また投げ入れられる黒カバン。この中には、辺り50メートルにいる能力者への麻痺を繰り出すことができる。私ら(朱莉)が思った以上に追い込んだことで、視野の届く一人目のボスへとたどり着く。そいつに向けてこの黒カバンをぶん投げることが私の目標。見事な回転を活かし、宙から降りて来るカバンを手に握る。あとは目の前のボスに投げつけるだけ。

『一旦、引く』

そんな声が微かに聞こえてきた。私らの計画にびびったのか、背を向け、後退していく後ろ姿。

『逃すかよ!!!』

また仲間たちの背を利用し、飛び上がった私の身。その好機に乗っ取るよう、打ち上げた黒カバンは一人目のラスボスへと降りかかる。

『いっけええええええええええええええええええええええええええ!!!!!!』

そのまま一人目のラスボスへと降りてきたカバンを目に焼き付けたまま、辺りは蒼く眩い光と共に一帯の能力者を一斉にとねじ伏せていく。


*  *   *


なら、次は俺の出番か。

ワープで移動してきた俺(蓮)の身は、城内へとたどり着く。目標は城に結界を張る能力者の駆除だ。全能者である左眼を利用し、結界と同じエネルギー、分子、原子を生み出す能力者を可視化する。まだ標的は見つかっていないが、匂いがする。その匂いにたどるように、次々と城内の深い内部へと侵入していく。

『侵入者だ!!!』

同時に迫り来る能力者たちは周囲を囲むよう飛びかかる。もはやアームカバーなんて必要ない。俺は右手で炎を、左手で氷の結晶を生み出す。次はエネルギーをぶつけてくる能力者に対抗すべく、空気中から描き出した盾で守りを固める。さらに地面へと手を当てたと同時に、地面から湧き上がる大きな手が能力者の胴体に掴みかかる。さらに、空の上から得たエネルギーを利用し、強烈な雷で門を、木も同然の木っ端微塵にする。


『やっと現れた』

左眼で捉えていた能力者をやっとかぎつけた。その時!!!


『俺もお前が現れるのを楽しみにしていた』

いつの間に迫ってきていた!?耳元へと迫る人影に気づくもすでに遅し。突きつけられたナイフで首筋を掻っ切られてしまう。噴き出る大量の血飛沫。それと比例して霞んでしまう視界と失われる体力。だが、ここで倒れるわけにはいかない。四つん這いまで追い込められるも、必死に堪える自分の意識。だが蹴り上げる脚が顔面へ襲いかかる。あっという間に歪む視界。


ここで負けるわけにはいかない。そう思えば思うほど、相手からの攻撃が増えていく。気づけば心臓を貫いた刃がさらなる出血を生み出す。またもや加わる蹴り足で体勢を崩される。

何度も歪む視界。そこには・・・西山晴人の後ろ姿が映っていた。



*   *  *


紫苑の陣営近くにて。近づいて来る一人の影。手に握るのは大きな矛。

『紫苑さん、こちらに近づいてきます!!!』

(前線の防御班のうち)複数の部隊が攻撃を仕掛けるも、一度振るだけの矛に胴体を切り刻まれてしまう。そのあと、息を吹き返すこともなく息たえる部隊たち。

『一斉に撃てええええ!!!!』

一斉に構える部隊の銃口により集中攻撃を繰り出され、矛を握る能力者の立ち位置にはこれほどにもえない煙が湧き上がる。

えぐられた草は茶色がかった土の表面まで浮き上がってくるも、無傷な能力者。そもそも、こいつはいつの間に迫ってきていた!?それも一人で大胆に迫り来るなんて・・・

『紫苑さん!!!後方から無数の敵が!!!』

一人の部隊の報告で振り返ると、静寂の中から攻撃を仕掛けてきた能力者たちが群れを成していた。


『よそ見はよくないな』

大群を向けて聞こえてくる敵の声。気づけば、振りかぶる矛でパワーストーンで作り出していた馬は、塵と共に消えた。大きく体勢を崩された俺(如月紫苑)は身を強く打ち付ける。

『お前・・・何もんだ!?』

質問に微笑みを見せる矛の能力者。

『久しぶりだな。紫苑』

は?・・・・もしかして・・・

『貴島裕平か』

コイツ!!!前回、怪物狩りの組織で悪事を働いていた首謀者。確か、監獄生活をしていたはず・・・だがどう脱走したかは見当がつく。



*  *  *



京東城にて。

『連れてきましたよ』

晴人に引っ張られながらも、まだかろうじて、視界に映る者が目に見えた。

『おかえりーって、死にそうだな』

すげえ、こいつの顔見るの気持ち悪い。なのに、顔を覗き込むように、屈む瓜生新生。



『なあ、もう抗うな。全て終わらせよう。蓮・・・』


*  *  *



現在の状況


篠崎蓮

レイジ

以下2名は京東城にて、捕らえられる。


咲白朱莉

前川結城

青木隆三

安村楓

以下、4名は前線で戦闘中。


如月紫苑

江田美穂

桐島慎也

以下、複数の部隊は隊列後方からの襲撃に遭う。


山下おじさん

西野明奈

以下、複数の部隊は近くのビルにて、待機中。


成瀬宗介-不明

西山晴人-瓜生の命により、蓮を捉える。



篠崎仁明

張リリ

村宮灯

以下3名はこの戦争で死亡。





挿絵(By みてみん)

ここまで読んでくださり本当にありがとうございます!!!!そしてここまでお疲れ様でした!!!!


いやいや!!まだ話終わってないです!!!

その件に関しては、本当にすいません。この度、Season2の最終回を得て、THE FINAL SEASONの執筆決定と発表させていただきます。


今から"完結"という設定になってる理由ですが、少しお時間を頂きたいからです。そして再開する時に”完結”から”連載中”へと変更することで、The FINAL SEASONが始まるというサインだと気づいていただけるかなと思い、このような対応をすることにしました。


今のお気持ちですが、完成度の高い最終章にしたいと考えています。なので、また投稿再開した時には、戻ってきていただけると嬉しいです。自分勝手ではございますが、よろしくお願いします。



最後は読者さんの選択が決める・・・


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