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異界の転移者

 平和な日常。


 平和な世界。


 そんな物、本当にあったら良かったのにな。


 雷鳴響く嵐のなか、俺は当ても無く逃げ続けていた。


 何から逃げていたんだろう。

 勇者としての使命から?


 それとも、この世界の悪意の目から?


 炎の国、ブレイズ。

 この国では、明日。

 新たな勇者の誕生を祝う盛大な催し物が行われる。


 その新たな勇者と言うのが俺。

 白崎影司(しろざきえいじ)


 平和な国、日本からこの世界に転移して来た。


 何の個性も、何の強さも持たない俺が。

 ただ一つだけ、持たされた物。


 太古の勇者が自ら創り上げた、原初の魔導具。


 こんな規格外な武器を持ったって、俺自身の強さは、何も変わらないと言うのに。


 どれ程走ったのかは分からない。

 でも、夜の街明かりがあまり見えない場所までは来れた。


 俺を囲む、狼達。


 ああ、ここで俺が死ねば、勇者としての使命から解放されるのかな。


 俺に向かって、喰らい付こうと飛びつく狼。

 その狼に、まるで狙っていたかのように、雷が落ちる。


「世界は、俺が死ぬのも許してくれないのか」


 この世界の神は、何を考えて俺なんかをこの世界に転移させたんだろう。


「お前達も、俺が一人になる事を許してくれないのか」


 人間の言葉を、この狼達が理解してるのだろうか。

 理解していたとしても、この獣はただ、今を生きる為の肉が欲しいだけだ。


 複数の狼に飛びつかれるが、全て雷に貫かれる。


「そうかよ。俺がどんな思いで、あの場所から逃げて来たか分からないんだな」


 この世界は、俺が身を亡ぼしてでも魔王を倒せと、そう言うのだろう。

 戦いの末に身を亡ぼす事が、この世界の願いなら……


「望み通りにしてやるよ」


 決意の声に呼び寄せられるかのように、狼の一匹が腕に喰らい付く。

 激しい痛み、流れ出る血液。


 でも、俺が感じる痛みなんて、この世界にとっては、ほんの些細な物だから。


 腰のホルスターから、純白の回転式拳銃を引き抜き、天に掲げる。


 これが、俺が勇者から受け継いだ、原初の魔導具。

 純白の銃、その名はレクイエム。


「願うのは、連鎖する雷撃の弾丸(チェインライトニング)


 銃口から、稲妻が放たれ、周囲から、命の気配が消えてしまった。


「ごめん、ごめんよ。お前達だって、生きる為に仕方なかったんだよな」


 でも、本当は俺だって、死にたくないんだ。


「どうせ、逃れられない運命なら。絶対に生き残ってやる。勇者として、魔王を倒す!」


 俺だって、普通の男子高校生だった筈なのに、どうしてこんな事になったんだろうな。


 そう、全てはあの日から始まってたんだ。

 傷だらけの少女と出会った日から。


 桜咲き誇る大地で、あの子と、想いが通じ合った日から。

 俺の運命は変わってしまったんだ。

ここまで読んで頂きありがとうございます!

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