ボロアパートから見える素晴らしい景色
俺は田村源三。
クソニートだ。
暇だから今日も窓の外(現実逃避)を眺めようと思う。
ここは王国から離れた荒野、周りには山や砂浜、数本の木ぐらいしか存在していなかった。
「イナエ! 危ない!」
「きゃっ!」
イナエが敵の攻撃にあたりそうだったところを僕が手を引いて、なんとか回避させる。
「危なかったね、イナエ」
「ありがとう、ロック」
「それにしても、なんて攻撃なんだ」
僕たちは王国に向かう途中に賊の襲撃に合ったのだ。やつらは金色の直系15センチほどの球を撃ってくる。
その攻撃はすさまじく、耐えられず命を失った仲間もいる。
そして何よりやばいのが、やつらの素早さだ。
100センチほどの小さいからだから生まれる俊敏性はすごいものだった。
一人でさえも厄介なのに、さらに数でさえもこちらより三倍以上もいる。
戦力差は一目瞭然であった。
「きゃはは」
やつらは奇妙な奇声を上げながら攻撃をしてくる。
その声は不気味で聞いているだけで戦意を失ってしまいそうだ。
「クソ、化物め」
「ロック、もうだめよ。私たちみんな死ぬのよ!」
「落ち着けイナエ」
僕はしゃがみ込み絶望するイナエの頬、美しい黒髪をなでながら続ける。
「君のことは絶対に僕が守り抜く。だから帰ったら結婚しよう、イナエ」
「ロック......ありがとう、わたし目が覚めたわ」
イナエは僕の手を引っ張り、一緒に立ち上がる。
「絶対に一緒に生き延びましょう」
笑顔でそういう彼女はとても美しかった。
「ああ、そうだな」
僕の言葉が彼女を助けたかもしれない。
でも、彼女の存在がまた僕を助けている、ということも確かだ。
「イエナ! 行くぞ!」
「ええ!」
その時だった。
―キーンコーンカーンコーン
「あ、岩本くん。チャイムなったよ。早く学校に行かなくちゃ遅刻する」
「もう行くか、佐藤。じゃあな、ガキとも。また遊んでやるよ」
「バイバイ、お兄ちゃん。お姉ちゃん」
黄色のボールを片付けて、あっという間に子供たちは解散してしまう。
「っふ。今日も目のいい保養になった。さて、寝るか」