【祝プラネタリウム100周年】特別回 プラネタリウムの勧め
右子(以下右)「少し前まで暑かったのに、だいぶ涼しくなりましたね綾乃様」
綾乃(以下綾)「そうね、少し寒いくらいだわ」
右「もうすっかり秋って感じで・・・紅葉が始まっている所もあるみたいですよ」
左子(以下左)「秋・・・秋の味覚・・・じゅるり」
綾「ふふっ・・・左子ったら」
左「焼き芋・・・栗ご飯・・・秋刀魚・・・じゅるじゅるり」
右「左子、よだれよだれ・・・もうしょうがないんだから・・・って、あの人は・・・」
舞耶(以下舞)「あら綾乃さんに右子さん達、今日も仲が良いのね」
綾「舞耶さま、お久しぶりです」
右「私達の1つ上の先輩で、天文部でプラネタリウムの解説をやってる五月川舞耶さま、お久しぶりです」
舞「なんだかすごく説明くさい台詞ね・・・」
右「や、舞耶さまの事をよく知らない読者も多いはずなので、軽くご紹介をと・・・」
舞「・・・メタいわね」
右「まぁ・・・今回は特別という事で」
綾「右子?何が特別なの?」
右「それはですね・・・せっかくなので舞耶さまからお願いします」
舞「今日10月21日は、ドイツでプラネタリウムが誕生してちょうど100年目になるのよ」
右「そう、今日でプラネタリウムが100周年なんです!・・・あ、ドイツで生まれたんですね」
舞「ええ、ドイツのイエナという所で世界初となるプラネタリウムが作られたの、カールツァイスⅠ型と言ってカール・ツァイス社が設計、恒星球によって4500個の星を投影してドイツから見られる星空を再現する事に成功したわ、恒星原版を使った光学式の投影機はこのツァイスⅠ型から・・・」
綾「ま、舞耶さま?!」
舞「あっ・・・私ったらつい・・・ごめんなさい」
右「好きな分野を語り出すと止まらなくなるやつですね、ええわかります・・・私も綾乃様の事なら結構語れますし」
綾「右子?!」
右「あ、そうじゃなかった・・・舞耶さま、今日はそういう難しい話じゃなくて、もっとこう初心者向けなやつをお願いします」
舞「そうね、今日はプラネタリム100周年という事で・・・各地のプラネタリウムで様々な記念イベントが開催されているわ」
右「今日だけ100円とか無料とか、特別プログラムとかあるみたいですね」
舞「普段はプラネタリウムを観ないような人達も、足を運ぶきっかけになっているのではないかしら」
右「ええ、なにせ100周年、それだけでも興味を持つ人が多いんじゃないかと・・・」
綾「でもプラネタリウムって、慣れていないとどの席が良いのか迷ってしまうわ」
舞「お勧めの席ね・・・ドームの形にも寄るんだけれど・・・」
右「え、ドームの形・・・って、場所によって何か違いがあるんですか?」
舞「ああ・・・じゃあ今日はそれについて解説するわね、ごく特殊なものを除けば2種類に分けられるのだけど・・・」
【水平型ドーム】
(参考画像:中野ZEROプラネタリウム)
舞「オーソドックスなタイプで、『一番高い所がドームの中央』そこから全方向360度に星空を投影する形ね、どちらかと言えばこちらのタイプの方が多いかしら・・・客席が中央の投影機を向いているものと、前方に固定されているものがあるわ」
右「固定されてる方は映画館みたいな感じで良いのかな?中央を向いている方は・・・本当にどこに座れば良いかわからないですね」
舞「このタイプは座る位置によって見える風景が変わるから、席選びは重要になってくるわ・・・気を付けるのは『方角』と『投影機からの距離』の2点ね」
綾「方角についてはなんとなくわかるのだけど・・・投影機からの距離というのは?」
舞「プラネタリウムは現実の星空と違って、ドームに投影する関係上『投影機に近い程、現実の星空に近い』のよ・・・投影機から離れる程、実際の星空とのズレが生まれるわ」
右「なら投影機に近い席が良いんですね?」
舞「それがそうとも言えないの・・・投影機に近いと視野の外になって見えなくなる星も多いわ・・・振り返りながら見ても良いのだけど、首が疲れてしまうのではないかしら」
綾「『投影機から離れれば、それだけ広い範囲で多くの星を見渡せる』・・・どちらも一長一短、好みで選べば良いのかしら」
舞「ええ、そして方角についても、『どの方角を見えにくい背後にするか』で選ぶと良いんじゃないかしら」
右「そう言われても・・・方角の差とかわからないんですけど・・・」
舞「それについては、客席が固定されているタイプが参考になるわね・・・基本的に客席が固定されている場合は南を向いているのよ」
右「南?なぜですか?」
舞「北半球の日本から星空を見た場合は、南の空が変化に富んでいるの・・・だから『北側の席がお勧め』になる事が多いわ」
綾「では北側の席に座れば良いのね」
舞「ええ、北斗七星や北極星を背後にしてしまうけれど、特にこだわりがなければ北側・・・私は少し西に行った北西をお勧めするわ」
右「北西?」
舞「ええ、あm・・・ここは見てのお楽しみにしておこうかしら、うふふっ」
右「??」
【傾斜型ドーム】
(参考画像:多摩六都科学館)
舞「こちらは新しいタイプね、ドームが斜めに傾いているのが特徴で、客席も階段状になっていることが多いわ」
右「ドームが斜めに傾いている?」
舞「ええ、こちらはほぼ確実に客席が前方に固定されているわ、そして前方に広く取ったスクリーンを集中して見て貰う形になっているの・・・より映画館に近いタイプと言えるわね、『後ろの方がお勧め』される事が多いわ」
綾「後ろの方・・・結構高い位置に客席があるのね」
舞「傾斜しているドームの形に合わせて、視野いっぱいに星空を見ることが出来るのでお勧めされているのだけれど・・・正直一番後ろはお勧めしないわ」
綾「そ、そうなの?」
舞「投影機の投影範囲が若干ドームより広めに設定されていることが多くて・・・投影の光が目に入ってしまう事があるの」
右「えっ投影機の光が目に?・・・大丈夫なんですか?」
舞「別に目を焼かれるとかはないけど、1等星や惑星のように強く光る星が目に入ってしまうと、かなり眩しいわね・・・だから一番後ろの席は避けた方が良いのではないかしら」
綾「そうなのね・・・私はもう少し前でも・・・」
舞「もちろん『投影機に近い方が現実の空に近い』のはこちらでも同じなので、投影機の付近も良いと思うわ・・・ただ、投影機の陰に隠れて見えなくなる部分があるかも知れない、けど・・・」
右「けど?」
舞「こちらのタイプは投影中に方角を変える事も多いので・・・プログラムの内容に合わせて星空が横に回るの、重要な星や星座が正面に来るようになっているから方角も気にしなくて良いと思うわ」
右「なら中央付近の席を取るのはありなんですね」
舞「そうね、悪くないと思うわ」
右「よかったですね綾乃様」
綾「な、何の事かしら・・・私は現実の星空に近い方が良いと思っただけよ」
右「そうですね、綾乃様と観る時は中央の方の席にしますね」
綾「もう・・・」
舞「こんな感じで良かったかしら?」
右「はい、とても参考になったと思います」
舞「最近では投影機を使わない・・・ドーム部分がディスプレイになっているLEDドームというのもあるわ、こちらは部屋を暗くする必要がないので飲食も出来るのよ」
左「飲食?」
舞「宇宙をイメージしたスイーツやドリンクを扱っているお店もあるわ・・・これらを味わいながら星空を観るのもなかなか格別じゃないかしら」
左「宇宙のスイーツ・・・じゅるり」
右「左子ったら・・・よっぽどお腹が空いてるのかな・・・じゃあ今度食べに行こうか?」
左「ん・・・宇宙を・・・食べ尽くす」
舞「うふふ、まるでブラックホールね」
綾「舞耶さま、今日はありがとうございました」
右「ありがとうございました」
舞「100周年を迎えるこの機会に、皆さんもぜひプラネタリウムを楽しんでくださいね」




