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閑話 友の為の友チョコ

本日『友チョコ』なるものを頂きました。


三本木右子さま。

妹の左子さまと共に、二階堂綾乃グレース様の従者をやっておられると聞いております。

聞くところによるとご本人も二階堂の分家らしいのですが、ごく普通の庶民の家だったとか。

なかなかに不思議な方です。


その右子さまにチョコレートを頂いたのです。

綺麗に放送された、かわいらしい箱。

右子さまは『友チョコ』と言って、これを私に下さりました。


私ったら『友チョコ』というものをよくわかっておりませんでしたが、相手が同性でも親しい友人にチョコレートを贈る習慣があるのですね。

貰うばかりでは申し訳ないので、私も右子さまに持っていたチョコレートを差し上げました。

流也さまに差し上げるように、と両親に持たされていたチョコレートを・・・ええ、その事でしたら問題に感じておりませんわ。


私は元々乗り気ではありませんでしたし・・・たしかに、流也さまには常日頃お世話にはなっておりますけれど・・・期待をかけてくださった両親には申し訳ないのですが、そういう異性としては見ておりませんし・・・流也さまの方も私なぞ歯牙にもかからないのではないかと思います。


それに流也さまは皆様にとても人気で・・・おそらくはあのまま待っていても渡せたどうか・・・

いいえ、私には渡せなかったと思います。


でありますので、きっと私の判断は間違っていないはず・・・

戴いたチョコレートを開封した瞬間、その思いは確信へと変わりました。


何と美しいチョコレートでありましょう。

一羽の鳥が今まさに羽ばたかんとする姿を模ったそのチョコレートは、芸術品と言っても差し支えない優雅さで・・・

このような素晴らしいチョコレートを頂いた私は、きっと右子さまからも素晴らしい友人と思って頂けている・・・そう感じるに充分なものがありました。


此れに比べて、斎京に取り入ろうと両親の用意したチョコレートなどを渡してしまったのが申し訳なく思えてきます。


来年こそは、私自身の手で用意したチョコレートを贈ろうと思います。

私も彼女に素晴らしい友人だと伝えられるような『友チョコ』を。

どうか楽しみにしていてくださいませ。

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