第39話「お前も気付いていたのか」
メイドハンバーグ喫茶のチャレンジメニュー『ステーキ the エベレスト』
運ぶのにも苦労した巨大な霜降り肉の塊に挑むのは、あろうことか九谷要さま。
「随分と盛況なようだが、それもここまでだ!ご自慢のその肉、俺が食い尽くしてやる!」
「ふん、売り上げ勝負では勝てぬと見ての思いつきだろうが、その意気は認めてやろう・・・ルールにはなかったが、この肉を全て食べ切れた時は売り上げの半分を賞金としてくれてやろう」
「な・・・」
賞金と言う言葉に周囲がどよめく。
元々このチャレンジメニューは1人で全部食べ切るようなものじゃない、本家のハンバーグの枚数と同じ5枚のステーキを食べきればクリアというものだ。
それが急遽、要さまの言葉を受けてのルール変更。
「流也さま、いくらなんでも無茶な・・・」
「そうか?本人はやる気のようだぞ?」
要さまは自信満々といった表情で中央の席にどかりと腰を下ろすと、ナイフとフォークを手に取った。
「さぁ、どこからでもかかってこい!」
まだ肉を焼き始めてもいないのにすっかり臨戦態勢だ。
「よし、制限時間は・・・」
「ちょちょ、ちょっと待って!」
今にもチャレンジをスタートさせようとしている流也さまを慌てて止めに入る。
さすがにこれはまずい、まずいって・・・
「どうした右子?」
どうしたもこうしたもない。
要さまは見た目は元気なスポーツマンだし実際バスケ部のエースだけど、実は重い病気を患っている事を隠しているのだ。
今ここでこんな量の肉を食べて無事に済むとは思えない・・・下手したらこれがきっかけになって一気に病状が悪化なんてことも・・・
「流也さま・・・その、ええと・・・」
なんとかこのチャレンジを止めたいけれど、肝心の要さまはすっかりやる気になっている。
ああ・・・そう言えばこの時期は一切の治療を諦めていて、好きな事を精一杯するっていう考えなんだっけ・・・
このままではその好きな事すら出来なくなるっていうのに。
「おい、早く始めてくれよ」
ってもう!誰のために私が足りない頭をフル回転させていると思っているのか。
くぅ・・・何か・・・何かいい方法は・・・
「右子、何が言いたいのかわからんが、話は勝負の後で聞こう」
「だ、だからその勝負をね・・・勝負・・・」
そう、勝負だ・・・勝負とは勝ち負けを競うもの。
この肉を要さま1人で食べ切る事が今の勝利条件になっているけど、勝負と言うならもっとそれっぽい形があるはず・・・そう、例えば・・・
「ほら、クラス同士の勝負なんだから、うちのクラスからも『肉を食べる代表』を出すべきだと思うのよ!」
「ほう・・・つまり、クラスの代表同士でどちらがより多くの肉を食べるか、大食い勝負を行うべきだと」
「そ、そうよ!その方が何というか・・・こう・・・フェアだと思うの」
「なるほど・・・一理ある」
「で、でしょう?」
よし、これなら要さまが食べる肉の量は半分。
むしろこっちが多く食べれば食べた分だけ減らすことが出来る。
なんたって、うちのクラスには食い意地の張った頼もしい子がいるんだからね。
「それで代表は誰にする?」
「それはもちろん左・・・」
「無理・・・私には肉を焼く使命がある」
「へ・・・」
ひ、ひだりこさん?
何を言ってるのかな、お姉ちゃんちょっと理解できないぞ。
「そうだな、これほどの肉になると調理する者の腕に味が左右されてしまうだろう」
「今・・・この肉を焼けるのは・・・私だけ」
え、そうなの?別に味とかどうでもいいんだけど。
「それに調理に関わった人間では、不正の疑惑も出るだろう・・・同様にこの肉を手配した俺も相応しくない」
となると、他にやれそうな人は・・・
さすがにメイドの女の子達に務まるとは思えない。
基本的に男子は調理担当だし・・・あ、八朔くんがいるか。
「いや、俺ダメっすよ?食細いんで・・・」
「・・・」
たしかに・・・八朔くんの体型は男子にしては細く、ひょろ長く・・・もやしのよう。
彼にやらせるくらいならまだメイドの子の方がいけそうな気がする・・・それもどうかと思うけど。
となると、もう候補は限られてくる、と言うか・・・
「えーと・・・ひょっとして、代表に適任なのって・・・」
あふれ出るこの嫌な予感を肯定するかのように、皆の視線が一点に集まるのを感じだ。
「・・・私、しかいない?」
「こくり」
満場一致だった。
まじかー私なのかー。
「いつまで待たせる気なんだ、内輪もめなら後でやってくれよ」
なかなか始まらないのでしびれを切らしたのか、要さまは自分たちの事を棚に上げてそんな事を言い出した。
クラスの出し物でさんざん揉めてたのはどこの誰だったかな。
「悪いがルール変更だ、九谷要・・・お前にはうちのクラスの代表と戦ってもらう」
「戦う?」
「安心しろ、やることは変わらない・・・お前ひとりに挑戦させるのはフェアではない、と物言いが付いたのでな」
「つまり大食い勝負ってことか・・・いいぜ、受けてやる・・・で、対戦相手はお前か?」
「いいや、お前の相手をするのは俺ではない・・・」
そう言いながら流也さまは私の肩に手をかけると、要さまの方へと押し出した。
く・・・もうここまで来たらやるしかないか。
「君はたしか・・・二階堂さんと一緒にいた・・・名前は確か・・・右子さん?」
微妙に憶えられてたか・・・かろうじて名前が出てきたみたいだけど、ほとんど覚えられてなさそう。
まぁ綾乃様の方はしっかり認識してくれているみたいだからそれで良しとしようか。
「はい、名前を憶えて頂きありがとうございます、要さま・・・本来は綾乃様にお仕えする身ですが、今はこのクラスの・・・メイド長という事になってます」
綾乃様の印象を悪くしないように、隙のない所作を意識して丁寧に礼をする。
・・・でも自分でメイド長を名乗るのは、ちょっとはずかしいな。
「でも君みたいな女の子が対戦相手で良いのか?こう言っちゃ悪いけど大食いをするようには見えないと言うか・・・」
ええそうでしょうとも!私だってそう思うよ!
「あまり右子を甘く見ないことだ、なにせルール変更を言い出したのはこいつなのだからな」
いやたしかにそうだけど、それは左子をあてにしてたからで・・・
「秘策の一つもあるってことか・・・そうこないとな」
「お、お手柔らかにお願いします・・・」
「ああ、手加減なしでやらせてもらうぜ」
「お手柔らかに、お願いします」
「お、おう・・・」
私の願いが全く通じてなさそうな要さまに、もう一度念を押すように告げて隣の席に座る。
頼むから手加減して、お互いのためだよ。
私が席に着くのを見て左子が肉の塊に手をかけた。
「では改めてルールの確認・・・と言っても至ってシンプルだ、制限時間は2時間・・・この間により多くのステーキを食べた者の勝ちとする」
「食べたステーキの枚数が同じだった場合は?」
「良い質問だ、今回人の手で肉を切り分ける都合上、全く同じ量の提供が出来ない・・・故にそれぞれ肉の重さを計って提供させてもらう」
流也さまの説明に合わせたかのようなタイミングで、八朔くんが業務用の計量器を運んできた。
その上に左子が切り分けた肉が乗せられていく・・・
「本来のチャレンジでの量と同じく、5枚からスタートさせてもらうぞ・・・九谷要、967g」
ほぼ200gのステーキが5枚分・・・これだけでも充分な量だろうに。
・・・出来れば先に食べ切った方の勝ちにしてほしかった。
「食べた分の数字がはっきり出るわけか・・・いいだろう」
切り分けられた肉を前に要さまはやる気充分、闘志を燃やしている。
そして、次に私の分が・・・
「三本木右子、1121g」
へ・・・なんかさっきのより分厚くない?
いやグラム数も一枚分くらいの差がついてるんですけど?
「・・・ぐっ」
なんか左子がこっちに親指を向けてきた。
あまり表情が出ない子だけど得意げな雰囲気を感じる・・・ひょっとしてサービスのつもりか何か?
勝負の性質上は特に意味がないんだけど、分厚い肉が重なり合った光景はなかなかのプレッシャーを与えてくる・・・うへぇ。
網目状に霜の降った10枚の肉が鉄板の上でジュウっと音を立てていく。
そこだけ見ているとすごく美味しそうで・・・私のお腹が空腹を訴えてきた。
ああ・・・今日は忙しくてお昼を食べてる時間がなかったっけ・・・あ、今パチって脂が弾けた、アレぜったいに美味しいよ。
さすがは神戸の牛さん、あんなお肉ならいくらでも食べられそう・・・いくらでも?!
そうだ、私だってあの左子と同じ遺伝子を持っているんだ。
その気になれば私だって左子と同じ事が出来るはず・・・同じ胃袋なら同じ量を食べられるはず!
体育祭で見せた双子パワーを今再び見せる時だ!
「両者準備は良いな?皿が置かれた瞬間から勝負開始だ」
流也さまのその言葉が早いか遅いか、朦々と湯気を立てる皿が私達のテーブルに置かれた。
「よっしゃあ!」
雄叫びをあげながら、要さまがステーキに食らいついていく。
その手にナイフを握ってはいるものの、ほとんど切ることなく齧りついている、さすが体育会系、豪快だ。
私も負けてはいられない、さっそくナイフでステーキを・・・
スッ・・・
うわ、柔らかい。
特に力を入れなくてもサクサク肉が切れていく・・・まるで豆腐かプリンでも切っているかのようだ。
たしかにこれなら要さまの食べ方でもいけるか・・・いや、大食いは咀嚼回数を少なくした方がいいって聞いたことがある、フードファイターの人達はみんな噛まずに飲み込んでいるのだとか。
全部一口サイズになるように切って・・・ぱくり。
おお・・・これが高級肉か、溶ける・・・口の中で溶けるぞ。
意識して飲み込む必要があると思っていただけに、これは嬉しい誤算だ。
後は速度の勝負だ、切ってた分の遅れを取り戻す勢いでパクパクと食べ進む・・・これならもっと大きく切っても良かったかも知れない。
「ほう、今の所は互角か・・・」
「・・・さすが・・・姉さん」
私達の勢いを見て、左子が追加の肉を切り始めた。
「おい、面白いのやってるぞ!」
「なんか美味そうな匂いがしてくると思ったらこれか」
「大食い対決か・・・しかしなんでメイドさん?」
大食い対決を観戦するギャラリーも集まってきている・・・これは当初の目論見通り。
この中からもお客さんが見込めるはず・・・なんだけど今の私はそれどころではない。
「おかわりをくれ!」
「くっ・・・」
私が食べきるよりも早く、要さまが最後の一枚を齧りながらお代わりを要求した。
「九谷要、1151g」
最初の肉の量の分を考えればまだ同じくらいだ。
まだ焦ることはない・・・んだろうけどリードされたのも事実だ。
ちょっとペースを上げた方がいいかも知れない・・・もぐもぐ。
「お、お代わりをください」
「三本木右子、1320g」
よし、再び私がリード。
病気を隠してる要さまと違ってこっちは健康体だもんね。
このままのペースで食べられれば普通に勝てるんじゃ・・・
・・・なんて思っていられるのも、その辺りまでだった。
「・・・」
「ここでメイドさんの手が止まったか・・・」
「まぁ・・・女の子にしてはよくやった方じゃないか」
・・・気持ち悪い。
さっきまであんなに美味しかった高級肉が、まるで異物になったかのうように、身体が受け付けてくれない・・・手が、口が、喉が全力でステーキを拒むかのよう。
もうフォークで肉を口に運ぶ動作さえ出来なくなってしまった。
「よし、おかわりだ!」
「九谷要、1532g」
差が広がっていく。
要さまはペースを落とすことなく食べ続けていた。
どうしてそんなに食べられるの?・・・病気のはずなのに・・・ダメだよそんなに食べちゃ・・・
「すげぇ、さすが九谷だ」
「このままいけばギネスの記録とか塗り替えるんじゃないか?」
「いけ、もっと食え!」
ギャラリーも要さまを煽っていく・・・何も知らずに無責任な事を・・・
あいつらは知らないんだ。
要さまがスポーツサプリと言いながら薬を飲んでいることを。
要さまが女の子とデートという名目で病院に通いだすことを。
要さまが試合中の発作をごまかす為の小芝居の相談を主人公にしてくることを。
「食べなきゃ・・・私が食べないと・・・」
全部覚えてる・・・私は覚えてるんだ!
正直に言うと今、葵ちゃんが要さまと仲良くなっているのを私はどうにかする気がないんだ。
あのゲームの中で九谷要ルートは私のお気に入りのシナリオだから・・・葵ちゃんにはゲームのように要さまを支えてあげてほしいんだ。
それを・・・あのストーリーを、こんな所で台無しにしてたまるか!
震える手を動かし肉を口に運ぶ。
身体が受け付けてくれなくたって、口にさえ入れてしまえばこっちのもの・・・
「うっ・・・!!」
「姉さん?!」
そんな私をあざ笑うかのように、身体の中から蠢く大きなうねり・・・
胃の許容量を超えた肉を排除すべく、生存本能が強制的に胃壁を収縮させる。
つまり・・・激しい嘔吐感が私を襲ったのだった。
「おい、右子・・・お前・・・」
溢れ出すこの奔流を自力で抑え込むことなんて、とても出来そうにない。
このままではこの教室が、皆で作り上げたメイド喫茶が惨劇の舞台になってしまう!
口を抑えて駆けだす・・・トイレだ、トイレにいかないと。
この非常事態を察してくれたのか、教室を囲むギャラリー達はまっぷたつに分かれて私の進むべき道を作ってくれた。
皆、ありがとう・・・おかげでどうにか間に合いそうだよ。
幸いな事にトイレは空いていた。
勢いよく駆け込んだ私は、そこで全てを・・・
「ふぅぅ・・・あぶなかった」
周囲の床は汚れていない、メイド服もきれいなまま・・・余計な被害は出さずに済んだようだ。
しかし、このトイレには本当にろくな思い出がないな。
本当に全てを出し切ったようで、身体が軽い。
さっきまでの気持ち悪さもなくなって、気分は壮快そのもの。
お腹の具合もむしろ空腹感があるくらいで・・・これはひょっとして・・・
「・・・ただいま」
教室に戻った私を流也さまが出迎えた。
さすがにあんな事になったばかりとあって心配そうな顔だ。
「右子、大丈夫か?」
「ん、大丈夫大丈夫」
「姉さん・・・」
「ああ、左子・・・次の肉を用意しておいて」
「え・・・」
そう言いながら私は席に着く。
そして、食べかけになっていたステーキをぱくり・・・うん、冷めてもおいしい。
「お前・・・まさか続ける気なのか?」
「うん・・・もぐもぐ・・・そうだけど何か?」
「いや・・・いいけどよ」
要さまが驚いている間にステーキを平らげる。
リセットされた私の胃袋はまだまだ余裕だ。
「お代わり」
「三本木右子、1517g」
要さまの方は・・・あれからもう一枚食べて1856gに挑戦中か。
さすがにペースは落ちてきているみたいだ。
悪いけどこれ以上は食べさせないよ。
「お代わり」
再び全速力で食べ進む。
「お代わり」
5枚までは問題なくいけるってわかっている、ためらう必要はない。
「お代わり」
「三本木右子、2019g」
よし、追い越した。
「お代わり」
10枚目、そろそろ限界がくるはず・・・
「お代わり」
うん、気持ち悪くなってきた。
・・・ここだ。
「ちょっとトイレに行ってきます」
「お前・・・まさか・・・」
要さまもさすがに気付いたみたいだけど、もう遅い。
私は余裕の笑みを浮かべ・・・たい所だけど、ちょっとお腹が苦しくて無理だった。
「トイレに行ってはいけないというルールはありませんので・・・失礼します」
「な・・・お前、汚いぞ!」
失礼な、ちゃんときれいに出してるよ、どこも汚してないし。
私が再びトイレから戻ってきた時にはもう諦めたのか、要さまのテーブルのステーキは全く減っていなかった。
「まだ時間はありますが・・・続けますか?」
「いや、もう降参だ、俺の負けで良い」
こうして大食い対決は私の、うちのクラスの勝利という形で幕を下ろした。
我ながらちょっとせこいけど、ルールは破ってないからね。
「まさかこんな秘策があったとはな・・・」
「これくらしか思い付かなかったんですけどね・・・」
なんか妙に感心されてしまったけど、秘策も何もただの思い付きというか偶然の産物なんだよね。
流也さまがもっと細かい性格してたら、ルールの穴を突くような事は出来なかっただろうし。
「食べた物を吐き出すのだって楽じゃないだろうに、無茶しやがって」
「それを言ったら要さまだって、病気なのに無茶な挑戦を・・・」
「・・・お前、どうしてそれを・・・」
「あ・・・」
しまった、油断してついぽろっと・・・ど、どうしよう。
なんか誤魔化さないと・・・ええと・・・
「誰にも気付かれていないとでも思っていたのか?」
「流也・・・お前も気付いていたのか」
え・・・流也さま?要さまの病気の事知ってたの?!
確かにシナリオ上ではこの二人はあんまり絡まないと言うか、要ルートに入ったら流也さまの出番ないもんな・・・主人公がいないとこうなる可能性もあるってことか。
「誰がお前の薬を作っていると思っている?斎京製薬はうちの系列だぞ」
「なるほど、な・・・流也、この事は部の皆には・・・」
「安心しろ、言いふらしたりはしない、お前の気持ちもわかるつもりだ」
「・・・そうか」
なんか良い流れになってきたし、ここは流也さまに任せてしまおう。
私は残ってた肉でも食べてよ・・・うん、美味しい。
「だが、いつまでも隠し通せるものではないだろう・・・身の振り方は考えておいた方が良いな」
「そうだよな・・・」
「あまり1人で抱え込まない事だな・・・こうして秘密を知ったのも何かの縁、話くらいは聞いてやろう」
「ああ、すまない・・・」
うんうん、良いねー男同士の友情ってやつだねー。
もぐもぐ・・・やっぱり美味しい物はゆっくり味わって食べるのが1番だ。
「とはいえ、俺は中々忙しい・・・だからそこのメイドの方が適任だろうな」
「もぐも・・・へ?」
「何かあったら右子を頼ると良い、俺よりは暇しているはずだ」
「そうなのか・・・三本木さん、その時はよろしく頼むよ」
何かよくわからない流れで、頼まれてしまった。
私に出来る事なんて・・・あ、でも恩を売っておけば綾乃様が有利になるか。
「あ・・・ええと、とりあえず今回みたいな無理は二度としないでくださいね」
「ああ、そうだな・・・気を付ける」
そう言いながら要さまったら私の手を握ってがっつり握手を・・・
や、そういうつもりじゃないだろうけど、けどっ・・・うわ、要さまと握手しちゃったよ。
その後も、うちのメイド喫茶は繁盛を続け・・・無事にお肉は完売。
葵ちゃん達のクラスの焼きそば屋台と比べても2倍近くの売り上げだって・・・我ながらがんばったもんね。
明日は私と左子が抜けるので、控えめに営業するらしい・・・そう言われるとちょっと責任を感じるけれど、こればっかりは仕方ない。
成美さんの方もリハーサルが上手くいったみたいで、なんか上機嫌だった。
「すごいステージになるから、楽しみにしていてくださいませ」だって・・・体育祭の時とは逆に自信満々な感じだ。
きっと本当にすごいんだろうね、楽しみだなぁ。




