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機械腕のレヒト  作者: 生牡蠣
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見た目通りとは限らない

『レヒト。魔法の勉強はいいのですが、近接戦闘も覚えてください。これは必要なことですよ?』


「なんだよリンク。魔法はダメなのか?」


『いえ、しかし魔導外装の起動にはレヒトの魔力を使っていますので、あんまり調子に乗って魔法を使われるといざという時に変身できません。

それに、ゲーデの使用中は確かに身のこなしも良くなりますが所詮借り物の力ですので。魔導外装無しでも戦えるだけの技術と筋力は無いともしもの時にお荷物になりますよ。』


「マスクルくらい筋肉をつければいいのか?おれあそこまでムキムキになるのはちょっと…。」


『戦いに使う最低限の筋力さえあれば大丈夫です。それに魔導外装は分類としてはちょっと特殊な鎧ですので、中身の筋力や戦闘技術は強さに直結します。』


「そうなのか。じゃあ筋トレして、あとは誰かの動きを真似てみるとか?やってみようかな。」


新しく増えた目標だったが、それで強くなって旅がしやすくなるならいうことはない。

ただ、変な筋トレでマスクルみたいになるのは嫌だから今日は魔法書を読もう。

特に身体強化!無属性魔力ってどう使うんだ?


「魔法士の兄ちゃん!飯の時間だぞ!」


マスクルがきた、夕食の時間らしいので1階に降りる。


「おいみんな!今日から泊まってくれる魔法士の兄ちゃんだ!いや、若いけど本物だって!俺魔法見たもん!」


「じゃあ俺にも魔法見せてくれよ!」「そうだそうだ!」


やはり魔法が使えるのは珍しいのだろうか。

だけど、ヘンドラーもバルドも女将さんも驚いてなかったし、マスクルが生まれる前にはいたのかもしれない。

他のやつらは心から珍しがってるのではなく、酒を飲んで、その場のノリで騒いでる感じもするし。


そういえば酒って飲んだことがないけど、飲み物別料金か…。

払えるんだけど、魔法を見せたら奢ってもらえるだろうか。


「そうだなぁ…じゃあ酒を奢ってくれたら見せる。俺は酒を飲んだことがないから興味があるんだ。」


「いいね!酒くらい奢るさ!」


奢ってもらえるのか、じゃあちょっとサービスして魔法を見せることにしようかな。

風魔法は見えにくいから、酒を巻き込んで見えやすくする。


「じゃあ見てろよ、『ウィンド・ツイスター』。」


「へー!兄ちゃんこれ、もっとデカく出来んのか?」


「もちろんだ、もとは巨大な竜巻を起こす魔法だぞ。」


「なるほどなぁ、それじゃその辺の獣は瞬殺だな!ゴブリンくらいの雑魚魔獣なら簡単にやれるだろうよ!」


「はぁー…やっぱ魔法使えるの羨ましいなー!」


という感じで、見えやすくした魔法は好評だった。

そのまま酒を飲んだけど、うん、まぁなんというか、酔っぱらうって状態にはならないな。

酒を飲んだら酔っぱらうって聞いたことあるけど、俺は酒に強い体質なのだろう。


「それで、俺はその左腕気になってたんだけどさぁ。兄ちゃん左腕どうしたのよ?魔獣にでも喰われた?」


流石にリンクは見た目が異質で目立つから、いつかは言われると思ってた。

嘘はつきたくないけど、全部話しても信じてもらえないだろうから、いくつか掻い摘んで話すか。


「腕がないのは生まれつきだ。そのせいで本当の親には捨てられたんで結構長く森暮らしだった。」


実際には昨日…いや、今朝まで森暮らしだったが。


「それで、森に魔獣が出て住めなくなったから森を出たんだ。この左腕は森の中で姉みたい接してくれた人からのプレゼントなのさ。」


「…へぇー!すっげえなお前!物語みてぇだ!」


マスクル、本当は精霊がいてもっと物語っぽいけどそれについては話せない。


「それで兄ちゃん、その姉貴分は一緒にいないのか?」


「……いや、いない。世界樹に行くとか言ってたから、俺も世界樹を探すつもりだ。」


「世界樹!?そりゃ大変だ。あるって言い伝えはあるけど、結局どこにあるかわからんものだからな。俺も若い頃は憧れたけど、結局諦めちまったなぁ。ま、頑張れよ兄ちゃん!」


みんな、けっこういい奴ばかりだな。

会ったばかりで全部は話せないけど、このフォレンドはあったかい。


その後も、酒を奢ってもらいながら魔法を見せたり、話をしたりしていたらいつのまにか俺以外の全員が眠ってしまっていた。


「あら、最後まで残ったのはあんたかい?初めてらしいのに、ウワバミだねぇ。あ、そうそう。マスクルの話し相手になってくれてありがとうね。」


「いやいや、俺も楽しかったんで。酒も奢ってもらったし。でも流石にちょっと眠くなってきたから寝ようかな。」


「それがいいね。もうだいぶ遅い時間さ。それにしても、マスクルが笑いながら眠っちまうなんてねぇ。酒飲んだりしてないかねぇ。」


「マスクルって酒飲んじゃダメなのか?」


「そりゃそうさ。酒が飲めるのは成人、つまり15歳からさ。マスクルはこんななりしてるけどまだ13だからね。」


「…本当か?俺よりデカくて筋肉あるのに。」


「本当さ。産んだ親が言うんだから間違い無いね。」


今日1番の驚きだった。いや絶対年上だし20歳くらいだと思ってた…。

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