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機械腕のレヒト  作者: 生牡蠣
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ギルドに登録する

冒険者ギルド前まで案内してもらったところで、バルドは門番の仕事をするために門に戻った。その時、


「受付はちょっとふくよかな感じのおばちゃんにしてもらえよ。あの人は細かいこと気にしないし優しいからな。ただ、ちょっと隙を見せると話が長くなるからそこだけ気をつけろよ。」


と教えてもらった。ありがたいことだ。


扉を開けると数人の冒険者らしき人にこちらを見られた。やはりこの左腕が珍しいのかしばらくは視線を感じたが、やがて興味を無くしたらしく視線はほとんど感じなくなった。

バルドの言っていたおばちゃん受付は…あの人かな。


「おや、見ない顔だね。冒険者ギルドにどんな用事だい?」


「ギルドに冒険者として登録したい。あと、ここの決まりごととかがあるなら教えて欲しい。」


「おやおや登録かい。冒険者ってカッコよく言ってるけどやってることは何でも屋だよ?あんた細身だけど大丈夫かい?」


「はい、風の魔法を使えるので戦えます。世界を見て回るのが目的なので、これ以上の仕事もありませんから。」


「なるほどねぇ、それじゃあまず登録といこうかい。名前と年齢、あとは特技とか言ってごらんよ。」


「名前はレヒト。15歳だ。力には少し自信がある。あと、さっきも言ったが風魔法を扱う魔法士だ。」


「十分だね。これであとはこの魔道具に魔力を流せば登録完了さ。ギルドカード、つまり身分証の発行には1000ゴールド必要だよ。どうする?」


「カードも頼む。それがなくて通行料を払わされた。」


「おや、街の外から来たのにカードがなかったのかい?どういう理由か聞かせておくれよ。」


というわけで、シルフが家族だということは伏せて、物心ついた時から森暮らしだと言うこと、どうしても森から出るしかなくなったことを話した。


「はぁーなるほどねぇ。あぁ、ギルドカードが出来上がったね。間違ってないか確認しときなよ。」


えーと、内容は…


レオン:15歳:Fランク冒険者

筋力:自信あり

魔力:あり

備考:魔法士(風)


なるほど、さっきの問答には意味があったわけだ。


「大丈夫だ。間違ってない。ちなみに、この筋力とか魔力ってのは自己申告で大丈夫なのか?」


「王都にあるギルド本部には魔力からその人の能力を確認できるアーティファクトがあるらしいからね。その表記に合わせるために筋力と魔力については一応枠を作っておくのさ。

もちろんウチにはないから自己申告で大丈夫さ。

本部に行けば、その欄にランクが書かれたギルドカードと交換できる。

でも本部には、Cランク以上かつ、どこかのギルド支部の推薦状持ちしか入れないからね。筋力や魔力にランク付けされた身分証を持ってるってのは、本部に入ることが許された冒険者っていうステータスでもあるのさ。」


「なるほど、ここにランクが書かれた冒険者はすごいやつってことだな。覚えたよ。じゃあ俺はそろそろ宿を探さなきゃいけないから、今日のところは失礼する。」


「あいよ。明日は仕事受けにくるんだろ?初心者向けの依頼を整理して待ってるよ。」


「あぁ、ではまた」


「ちょっと待てよ、そこの兄ちゃん!」


…俺か?今から宿探そうって時に誰だ?

と思って振り返ると、筋肉モリモリスキンヘッドなマッチョが立っていた。


「話聞いてたぜ、魔法士なんだってな。ちょっと魔法見せてくれよ。な?」


「いや俺宿探さないといけないから…」


「じゃーわかった。見せてくれたら俺が宿屋紹介してやるから、頼むよ。な?」


ふーん、宿屋を紹介してくれるって言うなら悪い話じゃない。せっかくだし見せてやるか。


「じゃあ控えめに1つだけ。『ウィンド・ツイスター』。」


手の平を上にして右手を突き出し、その上に小さなつむじ風を発生させる。風魔法は薄く見えにくいが少し緑がかっているのだ。至近距離で見ればわかるだろう。


「おい見えねーぞ!ガセじゃねーのか!?」


なんて遠くからヤジが飛ぶ。悪いね、風魔法は見にくくて。だけどこのマッチョにだけ見えれば交渉整理だからな。


「…すっげぇ!まじの魔法士じゃん!お前ら!確かに見ずらいけど風が渦巻いてるぜ!

普通の魔法士って都会にしかいないから、俺達魔道具無しの魔法なんて見る機会がなくてさぁ!すっげぇ感動した!」


「…あぁ、ありがとう。それで宿は…」


「もちろん案内するぜ!俺についてきな!俺のオススメの宿屋に案内してやるよ!」


俺はマッチョの案内に従って宿屋に向かったんだが…


「ほら、ここが俺のオススメの宿、熊の肉亭だ!んじゃあいらっしゃい!1人部屋だな!」


「マスクル!今日もギルドで1日呑んだくれてたんじゃないだろうね!?あら、お客さんかい?1人で、何泊の予定だい?1泊500ゴールドだよ?朝飯付きなら600ゴールドさ!」


「いや、母ちゃん!ちゃんと今日は客引きしたし、肉だって狩ってきただろ?」


「……とりあえず5泊、朝飯付きで。」


どうやらこのマッチョの名前はマスクルというらしい。そして、俺はこいつの客引きに引っ掛かったらしい。

とはいえ、実際に宿には連れてきてもらったわけだから細かいことは言わないことにした。とりあえず2階にある部屋まで案内してもらう。


宿についた頃にはすでに7の刻。もうすぐ夕食の時間らしく、食事は1階の食堂で食べることになる。

その時にはまた魔法を披露してくれと頼まれるだろう。


俺はちゃんと、バッグに魔法書も入れてきたからな。

夕食の前にこれを読んで予習しておくか。

※本部で手に入る筋力、魔力ランクを数字からランクに変更

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