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機械腕のレヒト  作者: 生牡蠣
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所持金ゲット

そうして紹介された店は、フォレンドよろず店というらしい。

フォレンドの街によろず店ってのはここしかないのだろうか。


「おーっす!ヘンドラーはいるかー!?」


「いるよ。というかバルド、お前今日は門番の仕事じゃなかったか?」


「いや、訳ありの奴が来たもんでね、身分証もなければ通行料も払えないっていうんで、持ってるもの売らせてその金で払わせる事にしたのさ。」


「ってことは、後ろの若いのがその訳ありクンか?」


「…ああ、その通りだ。」


俺はヘンドラーにも出身地と、ここに来た経緯を説明して、自己紹介までやった。


「…なるほど?それでうちに来たわけだ。

確かに値段をどうするかは見ないと決められないけど、本当に魔獣なら通行料くらいは軽く払える。

バルドの紹介なら俺も安く買い叩くわけにいかないしな。

それで、これからどうするのさ。通行料払って残った金でずっと生活できるわけじゃない。住む場所だって必要だろう。」


「仕事についてはこれから探す。できれば気ままに世界中を旅しても問題ない職業がいい。」


「それなら冒険者だな!冒険者ギルドがあるからそこまで案内してやるよ!ま、登録料は取られるが、それはどの仕事でも変わらないから仕方ないと思えよ。」


「わかったよバルド、ありがとう。」


これで一応、次の目標も決まった。

とりあえずこの売却が終わったら、すぐに冒険者ギルドに登録しに行こう。


「まぁ話はそこまでだな。魔獣の素材ってやつを見せてみろ。背中に背負ってるバッグの中にあるのか?」


「あぁ、毛皮と牙なんだが、見てもらえるか。」


バッグをカウンターの上に置き、その中から魔獣の素材を取り出して見せた。


「…こいつはすごいな。この毛皮もなかなかのものだが、この切り口が綺麗すぎる。俺でもこんな事にはならない。これ、本当にお前がやったのか?」


だなんてバルドが言ってくる。

俺でも、なんて言うあたり腕には自信があるのだろう。剣でも使うのだろうか。


「あぁ、俺がやった。家族の(かたき)だったもんで全力を出した。」


リンクの力と、アイレの魔石が無ければ勝てなかったのだが、それについて話す必要もないのでそこは言わない。


「見たところ刃物は持ってなさそうだが…いや、むしろ刃物ならもっとズタボロになってるか。ってことは、お前は魔法士(まほうし)か?」


「まほう…?確かに魔法は使えるけど、魔法士ってなんだ?」


「あぁ、森の中じゃそんな呼び方はないよなぁ。魔法を使えるやつの中で、特に攻撃魔法が使えるやつはみーんな魔法士っていうのさ。

お前はこれから、自己紹介するときに魔法士だって言えばいいってことさ。」


「なるほど、そういうことなら覚えておく。」


「それでこの毛皮の値段なんだが…そうだな…10万ゴールドといったところか?」


「どうなんだバルド?これは高いのか?」


「魔獣の毛皮としては普通の値段だな。だが、この切り口とか、毛皮の状態とか、どう見ても一級品だろう?ヘンドラー、もうちょっと高くてもいいだろう。」


「…その通りだバルド。あと、そこでバルドに聞いたのはいい判断だ。こうやって値段をごまかして安く買おうとするやつも居るって覚えておけ。安く買って高く売るのが商人の理想だからな。」


「そうなのか。それで、本当はいくらくらいになるんだ?」


「こいつは剥ぎ方は丁寧でほとんど傷んでもいない。毛皮そのものの材質も触った感じ、ここまで綺麗に切れてるのが不思議なくらい丈夫だ。腕のいいやつに鞣しを頼めばもっと丈夫になりそうだし、最低でも20万にはなる。俺なら加工のあてもあるし、25万ゴールドで買おう。」


「バルド、今度はどうなんだ?」


「なかなかの値段だぜ。魔獣の毛皮だけでここまでいくってのはなかなか見ないな。というか俺も15万くらいだと思ってたから、逆に25万って聞いて驚いてるよ。」


「…バルド、さっきのもっと高いって発言で、やっと目利きができるようになったかと思ったけど、まだまだだったみたいだね。」


「仕方ねぇだろ?本職には敵わねぇよ。」


「またお前からだけ安く買い叩いてやろうか?」


バルドはヘンドラーに安く買い叩かれたことがあるらしい。それにしては仲がいいのが不思議だ。


「あ、あとあの2本の牙は1つ1万ってとこだからな。合計27万ゴールドだ。持っていきな。」


そう言って、金色のコインを27枚渡してきた。コイン1つで1万ってことか。あ、そういえば。


「ヘンドラー。金を入れる袋がない。ベルトポーチを1つくれ。」


「あいよ。この大きさのポーチなら5000ゴールドだ。」


1万ゴールドのコインを渡すと、ポーチと銀色のコイン50枚が返ってきた。1万から5000引いて、残りが5000で…つまり、銀色1つで100ゴールドってことか。

なんとなくわかってきたぞ。


「あぁそうだ、金が入ったんだから通行料貰わなきゃな。500ゴールドだ。」


「そうだったな。じゃあこれで。」


そう言って俺は、1万と500ゴールドをバルドに手渡した。


「おいレヒト。この金貨1枚はなんだ。」


「さっき話しただろう?高く売れたら紹介料も払うって。」


「…まじかよ、人が良すぎるぜお前。でも流石に金貨を受け取るわけにはいかないからな。こっちをもらうぜ。」


そう言って、バルドは1万返して、100ゴールドだけ取った。本当にそれだけでいいのだろうか。


「商人として言わせてもらうけどね、値段と価値は釣り合うべきなんだよ。紹介料に1万なんて高すぎる。紹介料で1万かかる相手とか、俺は貴族様かよ?ってな。こんなちょっとした店の紹介料なんて百ゴールドで十分さ。」


ヘンドラーが言うにはそういうものらしい。まあ、それで満足してもらえるならいいか。


「おっと、銀貨をもう1枚だ。冒険者ギルドまでの案内するぜ。」


「…あぁ。案内、よろしく頼むぞ!ヘンドラーもありがとうな!」


「いやいや、これが仕事だからね。またのご利用をお待ちしてます…ってね。」


「あぁ!またくるよ!」


俺はバルドにもう1枚銀貨を渡して、よろず屋を出た。

ちなみに銅貨1枚1ゴールド

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