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機械腕のレヒト  作者: 生牡蠣
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武器も使えるようになりたい!

「…まぁ、キサマが娘に惚れていようがなかろうが腹が立つのは変わらんからこれ以上はやめておく。まぁ、娘を助けてくれたことは感謝してるぞ。」


「いや、さすがに拐われていく場面を見て見ぬふりはできなかったからな。あまり気にしなくていい。」


「そうか。気にしなくていいか。じゃあ報酬はいらんな。だってキサマのこと気に入らんし。」


「お父さん?私がお礼をするって言ったんですからレヒトさんに何かしらの報酬、というかお礼はします。私の面目を潰す気ですか?」


「む…面目を潰すわけにはいかん。貴族にとっては大事なことだからな…。仕方がない、なにか望みはあるか。なんでも言っていいぞ?聞くだけ聞いてやるから。」


なんでもか…うん、聞くだけですまされるのは嫌だけど、全く聞き入れないってこともないはずだ。


「…それじゃあ、武器の使い方を教えてくれ。身体強化に頼った格闘戦しかできないから、剣や槍なんかも使えるようになりたいんだ。」


「いいだろう!そういう頼みなら全力で支援してやる!本当は半分程度しか叶えてやるつもりはなかったが、お前が満足するまでやってやろう。」


「親父?どうしたんだ?さっきまで明らかにやる気なかったじゃないか。急にやる気を出しやがって、明日は槍の雨が降るのか?」


「ふむ、槍の雨か。そういうのもありだな。

よく聞けバルド、我も若い頃は騎士団長だったのだから、コイツの訓練は我が行う。そうすれば騎士団の仕事は増えず、コイツは望み通り武器の扱いを学べ、我は合法的にコイツをぶちのめせる。

まさに負けるものなしのウィンウィンな状態ではないか!」


「あぁ、そんな理由?じゃあ明日も快晴だな。」


いやこの人ぶちのめすって言ったよ?稽古じゃなくてぶちのめすって言ったよ!?

なに平和な顔で快晴だな!なんて言ってるのさ!?

あれ、アイリーちゃんがこっちきて、俺の手を取って、


「えーと、その、頑張ってくださいレヒトさん!私、応援しますから。」


あぁ、まともなのは君だけか。


「あぁ、ありがとう。俺が望んだ訓練だからね、しっかり頑張ってくるよ。」


「なっ…な、なな…」


な、しか出てないけどこの領主大丈夫か?


「なーにぃー!?手を取って、頑張ってくださいだとぉ!我だって最近そんなこと言ってもらえないのに!!よーし決めた今から訓練してやるからついてこい!騎士団の修練場まで連れて行ってやる!!」


「いや待て親父!領主の仕事はどうするんだよ!?」


「そこの書類はぜーんぶハンコを押すだけじゃないか!ウィルにやらせておけ!次期領主の予行練習だ!」


いや、待て!待ってくれ!俺にも心の準備ってものが!!


「親父!待て!…あぁ、ダメだなこりゃ。兄さんにやれって言うの気がひけるなぁ…。」


「いってらっしゃいませ、レヒトさん!」


「…アイリーはわかってるのかなぁ。今みたいな発言があると親父の訓練が厳しくなりそうってこと…。」


「どうだいろんな武器があるだろう!好きなものを使うがいい!我も同じ武器で叩き潰してやる!」


「見て覚えろってことか?」


「そうだ!まずは見て覚え、次にやって覚えろ!約束通りしっかりと教えてやるからなぁ!」


なるほど、じゃあシルフィードソードに似た形を選ぼうか。


「なるほどそいつか!では、その武器の扱い方と、我の1番得意なランスの使い方を教えてやる!ついでに冒険者としての活動も好きにすればいい!」


「俺のことを嫌いという割には優しいな。」


「…ま、まぁ娘を助けて貰ったことは本当に感謝しているしな。冒険者の質が上がれば倒せる魔獣も増える。それはここだけではなく、世界にとっていいことだ。それはそれとして…」


ん?領主の雰囲気がなんとなく殺伐とした感じに…


「ここで簡単に負けるようならそこまでの奴だ!やはり腹が立つのでなぁ!ここで合法的に死んでしまえぇ!!」


「はぁぁ!?えっ、ちょっと待っ…くそっ!」


とっさに剣でガードしたが、衝撃が重い!


「やはり反応は早いが動きがなってないな!これも食らえや!」


「くそっ!身体強化ぁ!!」


そんな簡単には負けたくねぇ!!


「はぁ…はぁ…はっはっは!!我の勝ちじゃあ!!」


くそっ!さすがに負けた!けど技術が無いにしてはけっこう食いつけたぞ!評価はどうだ!


「技術が全く無い割には良くここまで食いついてきたな。新種の魔獣を倒しただけはあるようだ。だが、本当に剣の技術が全く無い!元の力と身体強化に任せてるだけだ!まずは正しい筋肉の使い方だ!素振りだ素振り!」


そこで、バルドが汗拭き用の布を持ってやってきた。


「よう、お疲れだなレヒト。親父とあれだけやりあえるのは流石ってとこか。ま、振り方めちゃくちゃだったけどな。それに、本当に親父はお前を倒したいだけだったようだし…今日はこれからどうする?騎士団の詰所にでも泊まっていくか?」


「いや、まだ宿の日数は残ってるし宿に戻るよ。それより、本当に領主様にこんなことやらせて大丈夫なのか?仕事残ってる感じだったけど…」


「あぁ、いいんだ。今日の書類は昨日の夜のことが原因で多かったからな。明後日くらいからはむしろ時間が余るし、その時間で訓練すればいいさ。

ただ、明日は親父は忙しいからな。その時間は俺が構え方、素振りの仕方を教えてやる。

あと、親父がお前を気に入らない理由は自分がアイリーを助けに行けなかったせいだと思うから、あんま気にすんなよ。」


ちゃんと仕事はしてたのか。長男らしき人に仕事を投げていたから少し心配だった。まぁ、それはそれとして…


「…正直、領主様ってとんでもない親バカだよな。」


「いや?アイリーに対してだけだ。俺も兄貴も結婚についてまで口を出されたことがない。俺たちだって一応領主の息子で貴族なのにだぞ?

だから、あれは親バカじゃなくてアイリーバカなんだ。もう治らない。」


実の息子に治らないと言われるとは…

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