表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ある男の異世界人生  作者: 庁一
2/3

2話 初めの一歩

「先輩!起きてください!」

 酔っぱらいが役に立つかわからないが、ひとまず起こすことにしよう。


 先輩 春日博司。たしか三十八歳だったと思う。バツイチ独身

 前は同じ職場の上司で、今は別部署に異動にしている。

 何かと、俺に絡んでくるが可愛がってもらっていると思う。

 棗先輩とは犬猿の仲だったのは有名な話である。

 


「あぁ、うるせえなぁ。何騒いでんだよ。 ‥‥ここどこだ。

 お前どこに連れてきたんだよ!」

 酔っぱらいがやっと起きたようだ。


「お前いい加減にしろよ!何してんだよ!」


 怒鳴り散らす酔っぱらいに、ひとまず現状の説明をするが、俺にも何も

 わかんねぇよ。


 一通りに説明を聞いた後に呆然としている春日先輩の横で、俺も天を仰いだ。


「月が紫‥‥」

 俺の呟きを聞き、春日先輩も空を見て固まっている。


 月が異常に大きく、紫色に発光している。というか月なのか?

 あんなもの地球には絶対にない。

 ここは本当にどこだ。夢ではない。これはすでに確信している。

 視覚が、空気の触れる感じが、自分の思考が現実をものがたっている。


 そのとき、ギュャーという叫びにならないような音が空より響く。

 二人で空を見ると、巨大なワニのようなものが大きな翼を広げて飛んでいる。

 全長で10m近くはあるだろう。見るからに肉食だ。


 春日先輩は横で座り込んでいる。もしかして腰を抜かしたか?

 そういう俺も足が動かない。


 さいわいワニは俺たちに気付かなかったのか、そのまま通り過ぎていった。

 

「先輩。ここを離れましょう。ここに居るとやばいですよ。」


「どこに行くんだよ!っていうか、ここどこだよ!」


「わかんないっすよ!でも、どこか隠れれる所へ行かないと

 マジでやばいですよ!」


 少し黙った後に、先輩は立ち上がりよろよろと立ち上がった。

 腰抜かしてなかったんだな。


 紫の月の下どこに向かうでもなく、二人で草原を歩き始めるのだった。


 これが俺のこの世界での最初の一歩となるのだった。



 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ