Sランクってそんなに怖いの?
「間に合ってくれよ。」
俺は今凄く急いでいる、それはもう今までに無いほど急いでいる。
何故俺がこんなに急いでいるかと言うと、ゴブリンを取り逃がしちゃいました……テヘペロ
うっおおおぉぉぉぉぉぉおお!自分で言うのもなんだが、男がやると凄く気持ち悪い。
だが残念な事に逃がしたのはゴブリンだけではない。
その上位種のゴブリンソルジャーを約10体。
しかもゴブリンキングまで逃がしてしまった。
あと少しでゴブリンに所につくだろう。
どうして分かるかって?それは、ゴブリンキングにマーカーを付けているからだ。
マーカーは、マッピングの能力で対象に自分の魔力を付けて追跡することができる効果を持っている。
幸か不幸か、群れに遭遇したときは最上位種にマーカーをつけるようにしているのだ。
そうだなぁ。ゴブリンが見えたら全員に停滞を使うか。
「まずは一体、二体目、三体目・・・・・・・・・・四十七体目!
ふぅ~。全員に掛け終わった。」
ん?どうしてゴブリン倒さずに動きを遅くしたのか?
それは、俺が武器を持って居ないからだよ。
格闘術を使って戦うからどうしても、一体一になっちゃうんだよ。
それなら、ゴブリンの動きを遅くして対処しやすいようにした方が良くない?
少なくとも、俺はそっちの方が良いと思う。
それからは、ゴブリンを爆散させるだけの簡単な作業。
だが助けられた彼らからしたら、驚き桃の木山椒の木だろう。
そりゃ、急にゴブリンの動きが遅く成ったと思ったら、ゴブリンが爆発するんだもんな、
俺ならその爆発に巻き込まれるんじゃなかろうかと気が気じゃない。
今はそんな事より安全確認だ。まぁ、怪我をしてても俺にはどうしようもないんだけど。
「大丈夫ですか?」
「キャアアァァァァァァァ・・・・・ァァァァ!」
え!?何!?俺、何かした?
「ど、どうしたんだ!ミリア!」
「お、お兄様。あ、あちらの方から声が……」
少女はそう言うと、こっちにゆびを向けてきた。
え!?俺が声をかけたから悲鳴を上げたの!?
「や、やぁ。」
取り敢えず返事をする。
「何者だ!」
あらら~。警戒心煽っちゃったか~。どうしたものかね~。ほっほっほ。
「ま、まぁ落ち着けよ。俺はお前らの命の恩人だぜ。」
「命の恩人だと?証拠は有るのか。」
「証拠ね~。ゴブリンが居たら見せられるよ。」
「どう言う事だ?」
「さっき、起こったことをもう一回してあげようかと。」
「できるのかい?」
「やろうと思えば。」
「そうだったかぁ。いや、疑ってすまなかった。」
「随分とあっさりしてるんだなぁ。」
「僕は『真の魔眼』を持ってるんだ。」
「魔眼?なんだそれ?」
「知らないのかい?」
「知らないなぁ。」
「そうか、なら教えて上げよう。魔眼と言うのは、人が生まれながらに持つスキルだよ。
まぁ、誰しもが持っている訳じゃ無いけどね。そして、魔眼はそれぞれ効果が違うんだ。
僕の魔眼、『真の魔眼』は本当の事が分かるんだ。」
「それで俺が嘘をついていない事が分かったのか。」
「そう。他にも今までに発見されている魔眼は色々有るんだけど、一番凄いのは、『視覚の魔眼』だね。」
「『視覚の魔眼』て、どんな効果なんだ?」
「視覚の共有だよ。」
「……?…それの何処が凄いんだ?」
「わからないかい?なら、教えて上げるよ。
視覚の共有は生物ならどんな奴とでも視覚の共有できるんだ。」
「千里眼見たいな奴か?」
「それがそうでもないんだよ。『視覚の魔眼』は自分以外の生物の視覚も共有出来るんだ。」
「そりゃあ、便利だな。」
「それだけかい?」
「どう言う事だ?」
「君は脳が処理しきれる情報の量を知っているかい?」
「そう言う事か。つまり一度に脳が処理しきれない量の情報を流し込んで、脳の回廊を焼くのか。」
「ご明察。君の言うとうりだよ。」
「そう言えば、名前をまだ聞いてなかったな。」
「そう言えばそうだったね。それじゃあ僕から名乗らせて貰うよ。
僕の名前はクリスチュナ。クリスチュナ アルファス。此処の領主の長男だ。
それでこっちが、妹のミリア。」
「ミ、ミリア アルファスです。」
「何かあれだな、和むなぁ。」
「君にも分かるかこの愛らしさが!」
「あぁ、分かる。いや分からない奴が居たらそいつの眼を疑う程だ。」
「そうだろそうだろ。いや~、やっとミリアの事について語り合える相手に巡り会えた。」
「そうだった。まだ名乗ってなかったな。
俺の名前は、サタケ クラマだ。これから宜しくな。」
「此方こそ宜しく頼むよ。」
「…ん?……何か忘れているような………そうだった!」
ラルを置いて来たのを忘れてた。絶対怒ってる。
「どうしたんだい、急に大きな声を出して?」
「あぁ、悪い。家族を待たせてるのを思い出してな。」
「それってヤバくない?」
「ん。結構ヤバい。そう言う事だからちょっと呼んでも良い?」
「別に構わないがどうして僕に聞くんだ?」
「それは、俺の家族が人間じゃないんだ。」
「人間じゃないと言うことはモンスターかい?」
「そうなんだけど、ただのモンスターじゃないんだ。」
「ただのモンスターじゃない?」
俺はクリスチョナに耳打ちで教える。
「それがSランクのドラゴンなんだ。」
「そ、それは本当かい?」
「嘘をついて要るように見えるか?」
「それは……見えない。だがさすがにそれは自分の目で確かめない限り信じられない。」
「なら呼ぶけど、驚き過ぎて失神するなよ。」
「善処するよ。」
俺はテレパスを使いラルを呼ぶ。
因みにテレパスは《全能:無》の能力だよ。
「Gooooooooooo!!!!」
「うわ~。めちゃくちゃ怒ってらっしゃる。」
「お、お兄様。こ、此は!?」
「だ、大丈夫だ!……大丈夫だよな!?」
「ど~だろね。」
「少しは危機感を覚えろよ!」
「何で?」
「何でじゃないだろ!Sランクモンスターだぞ!一体で国が滅ぶんだぞ!」
「いや、俺の方が強いから。」
「僕達はどうなんだ!?」
「……考えてなかった。
まぁ、攻撃の余韻で爆風が起こって吹き飛ばされて、
全身骨折か意識不明の重体のどっちかだけど、命は助かるから安心しろ。」
「安心出来るわけないだろ!」
「しゃあねえな、何とかしてやるよ。」
俺はテレパスで怒りを納めてくれたらご馳走をやると伝えた。
「此で大丈夫だと思うよ。」
「その理由は?」
「た、多分大丈夫。」
「多分なの!?」
「お兄様。」
「ミリア。」
命の危機を感じて最後の言葉を言い合ってるよこの二人。