表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
7/16

エピソード1‐6 物語はかくしてはじまる

話は戻るが、都立学院エヴェロヒカでは若き獅子達が日々牙を磨いでいる。


彼ら彼女らの中には去る『厄災』において親兄弟を亡くした者も少なくない。


ミーア・ヴァルファもその一人だ。


やさしい母だった。


彼女の記憶にあるのはそれだけ。


共に積み重ねた時間は限りなく短い。彼女に自我が芽生えてから2、3年くらいのものだ。


それはとても残酷なことで、しかしこの世界ではごくありふれたことでもあった。


永遠に失われた母親のぬくもり。今もよく夢に見る幸福の残滓と、あの日の悲劇。


心がズタズタに切り裂かれながらも、父と共に立ち上がり、生きてきた。


彼女が都立学院へと進むのはもはや運命とも言えた。


彼女に心にあるのは一つの信念にも似た想い。


『繰り返してはならない。理不尽に晒される悲しみを』。


鏡に映る、自身の濡れた顔を見つめ、心で唱える。


忘れることなど出来もしないが、決して忘れぬようにと毎日欠かさず行う、日課のようなもの。


気持ちを引き締め、ミーアの一日は始まった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ