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孤道  作者: SHIBAKU
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例えば角谷零とはこういう少年である

 高校生活最初のイベントと言えば、な〜んだ?

 正解はクラス分けである。

 だが、その話をする前に少し自己紹介といこう。

 俺の名は角谷零。この春高校生になったピチピチの15歳だ。

 誕生日は5月5日、好きな食べ物は鯛の刺身。アニメと小説をこよなく愛する、どこにでもいる普通の学生である。

 もし俺の特殊な点をあげるなら、それは交遊関係だろう。

 即ち、俺には仲の良い人間がいない。端的に言うならばボッチ。

 携帯のアドレス帳を開けば、『登録件数2』の文字が燦然たる輝きを放っている。ちなみに、この二人とはおとーさんおかーさんの事です。

 最近流行りのLINEとやらもやっていない。そもそも時代の最先端を行く俺は、スマホではなくガラケーである。

 いや、ガラパゴス素晴らしいよ。世界の遺産だよ。流行の波に完全に乗っていて、俺ってばまじ時代の寵児。…全力で時代の波に押し返されてるだろこれ。

 まぁ、友達がいない事で別段困ったり、生活に支障をきたすことは無い。圧倒的ノープロブレム。なお心に傷は負います。

 さて、俺について語れる事はこれ位しか無い。

 なので、次は俺が入学した学校の話をしておく。

 俺が入学した高校は聖園学院という。聖園学院は中高一貫の進学校であり、国内でも指折りの名門校だ。

 どの程度の名門かと言えば、あのハンカチ王子が属していた某校とか、万札先生が作った某校とかとネームバリューにおいて肩を並べる位だ。

 勿論前記の二校は大学系列の学校なので一概には言えないが、その凄さは解っていただけたと思う。

 さてさて、先程聖園学院は中高一貫校と申し上げたが、大方の中高一貫校よろしく高校受験も行っている。

 小中と公立校で生活してきた俺は、家から近いことと、目指す大学への進学率が高いことからこの学院を受験先に選んだ。

 今思えば安直だなと感じなくもないが、別段その決定に異論はない。予定通り合格できたんだから問題もない。

 とにかく、そんなこんなで今月から俺は聖園学院の生徒となったのである。

 さて、ここからやっと本題に入るわけであるが、冒頭でも述べたように高校にはクラス分けというものが存在する。

 中高一貫校の高一のクラス分けというのは、大変煩わしい。

 と言うのも、既に中学から上がってきた生徒達の中には、確固たる人間関係が出来上がっているのだ。

 イメージ的には、田舎の学校に転校してきた都会っ子が方言が分からなくて虐められる、みたいな。・・・ますますイメージしにくくなったな。

 まぁ俺の分かりにくい例えは綺麗さっぱり忘れてしまって構わないので、是非自分で想像してください。これは俺の説明能力の限界だ。

 何にせよ、この学校には既に内部生によるコミュニティが数多く存在している。我々外部生からすれば、やりにくい事この上ない。

 俺は先日入学式に出席したが、内部生と思われる連中がそれぞれ固まっていて、騒がしくしていた。

 一方、塾に通わず家勉だけで受験に望んだ俺は、この学校に一人も知り合いがいない。ただ隅っこで小さくしているのが精一杯だった。

 だから、例えどんなクラスになっても構わないし、関係もない。だって知り合い居ないしな。どうせ誰とも知り合わねぇしな。あはははは・・・ふぅ。

 いずれにしろ、大学を目指して勉学に励む予定の俺としては、何事もなく淡々と三年間過ごしたいのである。多くは望まないので平穏が欲しい。

 さて、こうして冒頭に戻ったわけだが、実は俺も今クラス分けとやらに直面している。

 正直クラスメイトとか一切興味ないので、サクッとクラスだけ確認しよう。

 俺はクラスが書かれた紙の前に立つと、端から丹念に眺める。

 角谷角谷…お、あった。えっと、俺はE組か。

 まぁ繰り返すようだが何組とかマジどうでも良いので、1年E組の教室へ向かうとしよう。

 …どうかこのクラスで平穏無事に過ごせますように。

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