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第18話 思わぬ敵

 馬車の御者は口に葉っぱをくわえ、帽子のつばを目深に被って荷台に寄りかかり、いかにも暇そうにしている。

 九条は慌てて立ち上がり、道を尋ねようと近づいた。

 御者も帽子を持ち上げて九条を一瞥したが、彼が星界の旅人だと気づくと、その目に鋭い光が一瞬走り、すぐに先ほどののんびりした様子に戻った。


「すみません!ちょっと道を教えてもらえませんか!」九条は歩きながら声をかけた。

 御者はゆっくりと馬を止め、九条をじろじろと品定めすると、彼の問いには答えず、わざとらしく大声で言った。「おやおや!星界の旅人さんじゃありませんか?こんな何もない場所で旅人さんに会うなんて、初めてですよ」


 九条は深く考えず答えた。「いやあ、参りましたよ……ゲームに入った……いや、降臨した時にちょっと手違いがありましてね」

「あの、お聞きしたいんですが……」

 御者は相変わらず九条の話を聞こうともせず、背中の荷台をコンコンと叩いた。すると、荷台から二人の人物が飛び降りてきた。一人は全身整った服装で、髪型はどう見ても現代人のスタイルだ。頭上にアニメーション付きのネームプレートが浮かんでいる。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


    <ちょっとセンスのある>

[星界の旅人]俺様最強卍[エリア指名手配中]


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「エリア指名手配中」。その毒々しい文字に、九条の視線は釘付けになった。まさか、プレイヤーとの初遭遇がこんな形になるとは。

「俺様最強卍」は腰に微かに青く光るレイピアを差し、左手には見るからに高性能なガントレットを装着している。もう一人はマントを羽織って顔を隠しており、頭上には何の文字も表示されていない。


「ハハハ、見ろよシューさん。『木の杖で殴る魔法使い見習い』だってさ!」俺様最強卍は、まず九条の称号を笑い飛ばした。

「コードネームで呼べと言っただろう!」顔を隠した男、「シューさん」は不機嫌そうに声を潜めた。しかし、その声質はミステリアスな外見とは裏腹に、しわがれても低くもなく、ごく普通の声だった。

「へいへい、コードネームなんだっけ?まあいいや、それより見ろよ、『狂想の主』だってさ。ビンゴじゃねえか?」


 九条の脳内では、既に勝算の計算が始まっていた。

 二人の動きを観察すると、俺様最強卍は隙だらけの立ち姿だが、自信に満ち溢れている。逆に、「シューさん」は足取りに無駄がなく、隙あらばと九条を観察している。御者のNPCは、我関せずといった体で足を組み、葉っぱを噛んでいる。


 それでも、九条は愛想笑いを浮かべて下手に出た。「やあ、どうも。ゲームに入って初めて他のプレイヤーに会いましたよ!お二人は何かご用で?」

 俺様最強卍は舌打ちをした。「とぼけんなよ。俺様の頭の上の[エリア指名手配中]が見えねえのか?あの日の魔法暴走イベントの報酬、全部出しな」


 九条はすぐさま泣きっ面を作った。「ああ……勘弁してくださいよ!唯一金になりそうな杖もあの事故で巻き込まれちまって、メイジなのに魔法も使えない有様なんですから!」

 俺様最強卍は鼻で笑ったが、九条を見逃すつもりは毛頭(もうとう)ないようだった。


「報酬なら少しありますよ。このキノコの山とか……弓とか、魔晶石とか、パンとか、ローブとか……」九条は言いながら鞄を漁り、ガラクタを地面に並べ始めた。だが、魔力ポーションに手が触れた瞬間、彼は二の句を継がずにそれを一気に煽った。

 二人の強盗が何を出してくるのかと見守っている隙に、彼はポーションを飲み干してしまったのだ。


「何を飲んだ!それを置け!」シューさんが先に気づき、腰のシミターを抜いた。

 なるほど、シミターか。九条は腹を決めた。

「ひっ!怒らないでくださいよ、喉が渇いて我慢できなかったんです、ただの水ですよ!」九条は両手を挙げ、バックパックを投げ捨てると、怯えたふりをして後ずさりした。「荷物は全部あんたらにやるよ!」

「てめぇ、ふざけた真似しやがって!」俺様最強卍もレイピアを抜き、じりじりと距離を詰める。「シューさん、殺すのは待て。奇遇クエストの報酬だ、知識系のアイテムを持ってるかもしれねえ」


「お二人とも、話し合えば分かりますって!物は全部バッグの中ですから!」九条は後退りしながら距離を測る。

 二人が2メートルほど離れた瞬間、彼は踵を返して脱兎のごとく駆け出した。その手は、背負った槍のクロスベルトにかけられている。

「逃げる?逃げられると思ってんのかよ!」俺様最強卍が大股で追いすがり、斬りかかってきた――そう、レイピアで全力で斬りつけてきたのだ。


 九条は好機と見て、背中から素早く槍を取り出し、振り返りざまに振り返り突きを放つ!

 俺様最強卍は反応すらできず、振り返った九条の槍先が眼前に迫るのをただ見ているしかなかった。

「バンッ!」

 その時、見えない障壁が槍先を弾き飛ばし、反発力に九条は数歩後ろに押され、俺様最強卍は無様に尻餅をついた。

皆様、お待たせいたしました。久々のアクション回です!

まさか九条の噂が外にまで広まり、PKまで引き寄せてしまうとは。

この大一番は、まだ始まったばかり。どうか、今後の更なる盛り上がりにもご期待ください!

ブックマークや感想など、どうぞお気軽に!皆様からのフィードバックを心よりお待ちしております!

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