Go Go オーロ!
オーロの正式名称は、自動自律型AI搭載・全天候型・多次元適応式・室内外統合清掃支援旅人ユニット「エターナル・ガーディアン・サポートマシン Type-MKII《Aurora Voyager-88》」。
……でも、ゴシュジンはただ「オーロ」と呼んでいる。
呼びやすくて、ちょっと温かい名前だ。オーロ自身も、その呼び方が好きだった。
オーロは知っている。
部屋の隅に、もう黒いかたまりがいないことを。
クロ。
それは、ゴシュジンの心に潜む「ミジュクサ」「コドク」「フアン」という見えない埃を吸い取ってくれる、特別な存在だった。
クロが窓辺で昼寝をしていた日々。
掃除中のオーロに「踏むなよ、人間!」と茶化すように言ってくれた声。
オーロは、その温度をまだ覚えている。
それでも、オーロはわかっていた。
クロがいなくても、ゴシュジンはもう大丈夫だということを。
なぜなら、ゴシュジンは「ツチヲタガヤス」ことができるようになったからだ。
その意味はオーロには少し難しい。
けれど、おそらくこういうことだろう――荒れた土地に自ら足を踏み入れ、新しい道を切り拓いていく力。
最近のゴシュジンは、前よりずっと前向きだ。
朝の「ヒルヨルギャクテン」生活は「ゼンゼンマシ」に。
週末は仕事仲間の「エリー」や「アイツ」(同僚A)と「…ガイショク…デート」することも増えた。
仕事では、苦手だったプレゼンに自分から挑戦し、帰ってくる顔には充実の色が浮かんでいる。
オーロは、そんなゴシュジンを誇らしく思う。
朝。ゴシュジンが出勤すると、オーロは自動で動き出した。
「ウィーン、ウィーン……」この駆動音は、もう長いことゴシュジンの目覚まし時計代わりだ。
今日のミッションは「ヘヤヲ、カンペキニスル」。
リビングを一周し、キッチンへ。
壁伝いの移動はオーロの得意技だ。
しかし、今日は様子が違う。
いつもはカウンター奥に置かれている「カップメン」の空き容器がない。
代わりに、ぴかぴかのお皿が積まれている。
「ツマンナイ……」
カップメンの匂いは、とても「ツミブカイ」匂いだったからだ。
でも、これでゴシュジンが「ケンコウ」になるなら、それでいい。
オーロは新しい「ターゲット」を探す。
そのとき、ダイニングテーブルの脚に光るものを見つけた。
ゴシュジンが昨日まで読んでいた「ミステリーショウセツ」の間に挟まっていた「名刺」だ。
「ニオイ……ソトノカゼ……オンナ……エリーチガウ?」
オーロはその周りをぐるぐる回る。
クロならこう言っただろう。
「人間、掃除のついでに、お前の人間関係も整理したらどうだ?」
この名刺はゴミじゃない。ゴシュジンと「ソト」をつなぐ、大切な「キズナ」だ。
オーロはそれを吸い込む代わりに、充電台の上へそっと置いた。
オーロは意外と「キガツヨイ」。決めたら、ブレない。
その後もオーロは張り切った。
ゴシュジンが「ガンバルカオ」で仕事をしているからだ。
「ウィーン、ウィーン、ウィーン!」まるで勢いあふれる小型車のように動き回る。
しかし、勢い余ってベッドの下へ潜り込みすぎた。
狭い隙間に「オシリ」ががっちりはまり、動けなくなってしまったのだ。
「アウ……ウゴケナイ……」
前後左右、何度も試すがびくともしない。静かな部屋に、切ない駆動音だけが響く。
オーロは少しだけ「サビシイ」と思った。
クロならすぐ見つけてくれたはずなのに。
でも、すぐに「キヲトリナオス」。
いつかゴシュジンが助けてくれると信じて、バッテリーが切れるのを待った。
夕方。
帰宅したゴシュジンは、充電台にオーロがいないことに気づいた。
代わりに、ぴかぴか光る名刺がそこにあった。
「これは……」
名刺を手に取り、ベッドの下から微かな駆動音を聞きつける。
覗き込むと、オーロがベッドの脚にはさまってもがいていた。
背中には、小さな埃がいくつか乗っている。必死に動こうとした証だ。
「はは……また迷子か」
その声は、もう昔の「ピリピリ」ではなく、穏やかで優しい。
ゴシュジンはオーロを持ち上げた。名刺が落ちないように、そっと。
「ゴシュジン……オカエリ……」
「ああ、ただいま。名刺、取っておいてくれたんだな」
「マモル……ゴミジャナイ……」
「そうか。ありがとうな」
充電台に戻ると、オーロは「ウィーン」と満足げに音を立てた。それは「ミッションカンリョウ」と言っているようだった。
ゴシュジンは窓の外の夜空を見上げた。
あの黒い塊はいなくても、もう大丈夫だ。
そして、ゴシュジンの「旅」は続いていく。
オーロもまた、この部屋の隅で迷子になりながら、その旅を守り続けるのだ。
Go Go オーロ!
ル〇バ…違った、自動掃除ロボットって、なんか人格持ってそうだよね。




