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銀月の島と緋月の村――異なる月がかかる二つの世界

銀月の島と緋月の村――異なる月がかかる二つの世界

作者:藍 游
 二つの異なる世界――〈銀月の島〉と〈緋月の村〉。銀月は巡るが、緋月は巡らない。ある春の夜、二つの月が重なった。一千年ぶりの稀な月蝕だ。すべての異変はここから始まった。天月仙門の最高異能者銀麗月カイは、山を下り、異能がもたらす災いを防ごうとする。カギは、古代ルナ神聖石盤に刻まれた文様。手がかりを求めて、カイはアカデメイアへ。アカデメイアでは、ラウ財団が支援するルナ大祭典の準備が進められていた。最大の呼び物は、天才音楽家九鬼彪吾が手がけるルナ・ミュージカル。財団総帥のラウ伯爵は、筆頭秘書レオンを大祭典の実質的責任者に命じ、彪吾の担当とする。〈天月の少年〉を忘れられない彪吾は、冷淡な美青年レオンに少年の面影を見て胸を高鳴らせる。銀麗月カイと雲龍九孤族リトにも十歳の出会いがあったが、カイは記憶を封印している。
 アカデメイアの落ちこぼれ校〈蓮華〉には、四人の十五歳が集まっていた。それぞれ大事な何かを失っている。風子は記憶をなくし、天才科学者アイリは片方の手足を失った。リクは表情を失い、悪ガキの美少年オロは識字障害。ウル舎村の若君シュウは生まれながらに病がち。双子の兄リョウは重い障害をもち、五歳で自ら成長を止めた。欠損も障害も病気もじつは異能の裏返し――〈蓮華〉古代文化同好会の十五歳チームはいずれも最高レベルの異能者だが、本人たちに自覚はなく、まったく無防備――きわめて危険だ! 
 〈緋月の村〉に由来する異能は、人を救う力にもなれば、命を奪う凶器にもなる。異能の発揮は重い代償を伴う。本人の命に関わるだけでなく、暴発すれば、二つの世界の均衡がくずれて世界が崩壊する。銀麗月カイは、雲龍九孤族宗主ばあちゃん、〈蓮華〉教師サキやその弟リトと協力し、櫻館にて子どもたちを守ろうとする。しかし、危険さを知らぬまま、十五歳チームはゲーム感覚で古代ルナ神殿の謎を解き明かしていく。リーダーは〈異能の媒介者〉風子。十五歳チームはモフモフたちを連れてシャンラのルナ遺跡見学に出向いたり、ウル舎村古城へ行ったりと大奮闘――ルナ神殿のレリーフ文様が月光を受けると変化することに気づく。やがて、レオンの出生の秘密と潜在的異能も明らかになる。一行に立ちはだかるのは、〈緋月の村〉の秘宝を狙う秘密結社〈天明会〉と天志教団。
 これは、信頼と友情の物語。十五歳チームと周りの大人たちとの絆の強さが試される。
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