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ⅩⅢー1 雨を読む少女

■夏休み

 〈蓮華〉も夏季休暇に入った。七月後半から八月と九月にかけて二ヶ月半の長い休暇だ。

――学校に行けなくなるなんて。

 シュウにはとても寂しかった。ルルと数学競争もできないし、風子と古文書談義もできない。楽しいランチタイムもない。古代文化同好会もしばらくお休みだという。キュロスによれば、風子とアイリは、毎日朝晩、リクの家近くまでモモの散歩に出かけるらしい。リトは〈ムーサ〉のアルバイトに精を出し、ルルはミュージカルの稽古に忙しい。自分だけ置いてけぼりを食っているみたいだ。


 シュウは考えた。あのクラスメートたちが一番喜ぶのは何か。だれもほとんど物欲がない。プレゼントしても捨て置かれるだけだ。豪華旅行に誘ったところで、生活費に追われているリトも、暮らしが厳しいルルもそっぽを向くだろう。考えあぐねていたが、あるときふと気がついた。アイリとルルが一番喜んだのは、ランチ弁当だ!

――そうだ、キュロス手作りのランチに招こう。できれば、毎日だ!


 さっそくキュロスに相談してみた。キュロスも「推し」のルルたちに会えないのを寂しがっていた。だから、大乗り気だ。いろんな料理にチャレンジしたいと意気込んでいる。よし、決まりだ。週末は舎村の兄さんの許にもどるから、平日五日間の日替わりランチ!


 シュウはキュロスとともに、風子とアイリが暮らす〈蓮華〉寮を訪ねた。もちろん、キュロス特製のランチボックスをお土産に。

 昼時の寮は静かだった。キュロスに気づいたのか、モモが駆けてきた。モモはキュロスが大好きだ。もちろん、モモのランチもある。風子がぼんやりとした顔で出てきた。ちょっと痩せたようだ。奥では、アイリがカップラーメンをすすっていた。


 キュロスが手にしたいつものランチボックスを見たとたん、アイリの目が輝いた。モモに負けず、突進してくる。

「ランチか?」とアイリが大声で聞く。

「はい」というキュロスの答えを聞くまでもなく、アイリは、キュロスからランチボックスをひったくるようにして、蓋を開けた。

「うわああ、ごちそうだ!」

 風子がうれしそうに叫んだ。

 すでに、アイリはフライドチキンをほおばっている。アイリは肉食系だ。風子も特製サンドを手にした。フランスパンにたっぷりのレタスとトマトとスライスしたゆで卵が入っている。風子の大好物なのだ。

「おいしい!」

 二人がむしゃぶりつくようにランチを食べるのを、キュロスはうれしそうに見ていた。瞬く間にランチボックスは空になった。温かいポタージュスープもすぐに飲み干された。キュロスはデザート用に果物を切りそろえた別のボックスを出した。スイカ、ブドウ、ナシの盛り合わせ。夏の味覚もあっという間になくなった。


 風子もアイリもやっと落ち着いたようだ。

 夏休みに入り、キュロスのランチを食べなくなってから、二人は三食ともパンとカップラーメンばかり食べて過ごしていたとか。風子はさすがにラーメンを食べると胸焼けするようになり、パンにも飽きて、空腹状態で過ごしていたとのこと。ドッグフードばかりだったモモは、ゆでた豚肉とサツマイモをもらって皿をなめ回している。

 シュウは二人の品のない食べっぷりに驚いたが、キュロスがニコニコしているのを見ると、こんなものなのかもしれない。

 シュウは、二人に平日のランチタイムを提案した。もちろん、ルルもリクも一緒だ。キキもモモも。アイリも風子も即答した。OK!


 問題は場所だった。シュウは当然のように自分のマンションにみなを招こうと考えていた。しかし、これにはアイリが渋った。シュウが住んでいる例の超高級マンションは眺望だけはやたら良かったが、ほかはどうも落ち着かなかった。

 アイリは提案した。

「ここならいいよ」

「ここ? ここって?」

「この寮。この部屋はもと食事室だから、テーブルは大きいし、キッチンも大きい。キュロスはどう思う?」

 キュロスはキッチンに入って、あちこちを点検した。

「大丈夫です。設備はそれなりに整っていますから、十分料理はできますよ」

「よし。決まりだ! 風子、いいかい?」

「うん!」


 翌日から、〈蓮華〉寮で平日のランチタイムが始まった。キュロスにあわせてシュウも早めに寮に入り、アイリや風子と何やら楽しそうに話している。ランチタイムには、ルルもリクも合流する。時々、リトもやってきた。

 キュロスは、アイリと風子のために夕食も整えてから、一時過ぎにシュウとともに去って行く……つもりだったが、リクが夕方のモモの散歩まで滞在するため、シュウも居残ることが多くなった。結局、夕方まで〈蓮華〉寮で過ごすことになったのである。

 ランチ後は、風子とリクとシュウは〈蓮華〉図書館へ、アイリは自分の研究所へ、ルルは稽古に向かう。残されたモモとキキの面倒をキュロスが見る。図書館の廊下でシュウの護衛の役目も果たしつつ、キュロスはキキとモモの相手をして過ごした。夏の〈蓮華〉に生徒はだれもいない。教員がちらほら交代で出勤している。広い図書館は、風子とリクとシュウの専用の書斎のようになっていた。


 いまは「落ちこぼれ学校」と不名誉な評判だが、〈蓮華〉は、もとはシャンラ王族が設立した由緒ある女子大学だ。図書館の書籍は非常に充実している。手続きをすれば、古い貴重書も読むことができた。専任の司書を雇うお金がないので、以前は寮母を兼ねた教師ファン・マイが司書をしていたが、いまは同じく司書資格をもつサキがいつもカウンターに座っていた。職員室よりも快適で居心地はいい。サキは自分の仕事をして、エアコンが効く書斎代わりに過ごしている。自宅の光熱費が浮く。

 図書館の仕事を放り投げて、サキが寮でランチに参加というわけにはいかない。キュロスはサキ用の弁当を用意して運ぶようになった。いつの間にか、夏休みの図書館は古代文化同好会の部室のようになっていた。そして、時々、ルルの稽古をみんなで見に行くのだ。


 だが、八月半ばには、いつものように古城に行かねばならない。その準備もあって、舎村長から帰還命令が下った。シュウは祖母の命令には背けない。ランチ会は二週間で頓挫した。

 風子とアイリの食事の苦境を聞いたツネさんは、二人を櫻館で世話したいと彪吾に申し出た。彪吾は喜んで承諾した。こうして、風子とアイリは週末だけでなく、平日も櫻館に滞在するようになった。


■救出作戦

――「閉ざされた園」は、ウル舎村古領と関わる可能性が高い。

 レオンが導き出した結論に、カイが青ざめ、カムイが頭を抱えた。その他の面々は、意味が分からず、ポカンとしている。レオンの説明によると、およそ次の通りだった。


 ウル舎村古領は、大河の真ん中に太古に地殻変動で周囲から隆起した場所で、せり上がった台地は風化でむき出しになった岩に支えられている。その上には人の手で堅固な擁壁が築かれ、台地のふもとは対岸へと橋があるが、異変があると橋の途中が河に沈んで通行は遮断される。

 古領一帯は〈聖なる丘〉と呼ばれ、舎村の先祖であるウル大帝国第一柱の墳墓が集中する聖地でもあった。ウル大帝国は「大地の女神ウル」を奉じるウル教を発展させ、各地にウル神殿を建てた。しかし、第一柱の守護神は、女神ウルと父神「月の天帝ルナ」の二神とされ、ウル古領にはルナ神を祀る神殿が存在する。古来、シャンラもカトマールもこの奇妙な一角にだけは手を出せず、二千年近く飛び地として舎村によって厳重に管理されてきた。むろん、どこかの学術調査が入ったことはない。そんな場所に誰が入れようか。


「舎村か……」

 レオンもカイもリトもサキも、それぞれの事情でシュウが舎村の若君であることに気づいている。だからと言って、本人が隠している以上、その事実を明るみに出すわけにはいかない。

 突然、風子が叫んだ。

「シュウに頼もうよ!」

 みながギョッとして風子を見た。


「な……なんで、シュウに?」

 リトがおそるおそる風子に訊ねた。

「だって、シュウはウル古文字が得意だよ。祖先の文字だって言ってたもん。ウル族を祖先にもつのは、舎村じゃないの?」

 いや、そうだ。確かにそうだ。だけど、ちょっと違うような……。

「風子、おまえ、舎村が何か知ってる?」と、リトが尋ねた。

「うーん、ウル族の子孫が住む村のこと?」

 そうだ、これも間違っていない。間違っていないが、答えにはなっていない。

「ウル舎村の城郭都市には普通入れないことも知ってるか? ましてや、舎村古領は聖地だぞ」


 風子が目をクリクリさせた。

「どうして? シュウがこっちに来てるのに?」

 うん、その通りだ。でも、逆はない。

 風子は無邪気に続ける。我ながらいい考えだと思っているようだ。

「だから、シュウに頼んで、案内してもらおうよ」

「あ……案内してもらうって。風子、おまえな、そんな簡単に……」

 うろたえるリトの横で、カムイがもっと頭を抱えていた。

――コイツはまったくわかっとらん!

 舎村の聖地だぞ。舎村長のエファが許すはずがない。あのひ弱なシュウがエファに逆らえるものか。それに、下手にシュウを引き入れたら、こっちの情報がエファにバレバレになってしまうじゃないか。天月と舎村の因縁を知らないのか!? ――と、怒鳴ろうとして、すんでのところでカムイはやめた。天月と舎村の関係など、コイツらは知るはずもない。


「いい考えかもしれません」とレオンが言った。カムイがのけぞる。

「あの〈聖なる丘〉は、確かに聖地ですが、舎村長一族の居城もあり、儀式のときだけでなく、避暑にも使われています。賓客を招くこともあります。去年、わたしもラウ伯爵とともにその城に招かれました。ルナ大祭典の打ち合わせに関して、舎村長がじきじきにお招きくださったのです」


――ひょええええ。

 カムイの口からなんとも言えない声が漏れた。四百年生きてきて、あの〈聖なる丘〉に招かれたよそ者など見たことがない。エファは、今度のルナ大祭典に並々ならぬ関心と意気込みを持っているようだ。

 レオンが続けた。

「ルナ大祭典では、舎村がもつルナ古王国に由来する楽器が出展される予定です。ある意味では、ルナ大祭典は、ルナの末裔を名乗る王家や国が互いのルーツの正統性を競い合う場になりそうです」

 彪吾が尋ねた。

「その楽器を見たの?」

「はい、見せていただきました。ルナ古王国に由来するそうですが、ウル大神殿で最高の楽師が月の天帝ルナと大地の女神に捧げる音楽を奏でていた楽器と伝わるそうです。琵琶のような楽器でした。非常に美しい楽器で、あしらわれていた文様の意匠は、シャンラ王家の秘宝として出展された琴に似ているように思います。ただ、舎村長によると、だれも音は出せないとのことでした」


 みんなの輪から少し離れて座っていたマロの眉がピクリと動いた。ミグルの神琴と神琵琶はつがいをなす。あの動乱で琵琶は失われたと伝わっていたが、まさか、舎村の手に落ちていたのか……。音が出ないとすれば、まことの神琵琶か、その一部かもしれない。


 風子が、また無邪気に言った。

「アイリなら弾けるかも」

 彪吾が怪訝そうな顔をする。

「マリおばさんのお家にはいっぱい古い楽器があるんだけど、だれも音を出せない楽器をアイリは弾けたんだよ。おばさんがビックリしてた」


 マロがまた眉をピクリと動かした。音が出ない楽器には、何らかの封印がかけられている可能性がある。いったいどんな楽器だ? アイリはなぜ音を出せた?

 彪吾が何かを期待しているような眼を向ける。あわててアイリが否定した。

「いや、弾けるんじゃない。音が出ただけだ」


 レオンは、しばらく考えていたが、やがて意を決したように、風子たちを見回して言った。

「風子さんたちは、シュウくんのクラスメートです。シュウくんが学校の友だち数人を招きたいと強く言えば、可能性はゼロではないと思います」

 彪吾がふむふむと頷く。

「けれども、大人はついていけないでしょう。警戒されるでしょうから」とレオンが言うと、「カムイがカラスの姿で見守ります」とカイが応じた。こうして、風子、アイリ、リク、ルルの4人が行くことに決まった。もちろん、アイリとルルが手放さないモモとキキも一緒だ。

 風子はワクワクしながら思った。

――シュウは、ランチ会がなくなって、ずいぶんがっかりしてたもんね。本当は櫻館に来たかったみたい。でも、おばあさんと一緒に舎村古領とやらに避暑を兼ねて墓参りに行かなくちゃなんないらしくて、ここにはこれなかった。こっちから古領に行きたいと言ったら、きっと大喜びして案内してくれるよ。シュウと舎村長とやらの関係は知らないけど、リトのおばあちゃんとスラさんのためだもん。がんばらなくっちゃ。


 その日の午後から、作戦会議がはじまった。レオンが覚えている範囲で森と城の情報を整理する。いつもどんなときも、レオンは頼りになる。またもや、彪吾がレオンにうっとりと見とれている。すぐにでも抱きつきたそうだが、未成年の手前、我慢しているのだろう。きっと部屋に戻ったらキス三昧だろうなと思い、リトは物欲しそうにカイを見た。なぜかカイと目が合ってリトがビックリすると、カイはさりげなく目をそらした。

 翌日、カイがさらなる情報をもたらした。天月の古書にあった図面だ。舎村古領の神殿の見取り図だという。


――これはスゴい! 

 レオンの記憶とカイの図面を組み合わせ、そのデータをアイリがパソコンで3Dデータに変換した。

――おおおっ!

 見事にイメージが浮かび上がる。


 カムイが絶叫した。

「こ、こいつァ、あの湖の神殿ですぜ!」

 みんなが驚いて、画像を見つめた。

「湖で見たヤツより、こっちのほうが倍くらい大きそうでやすが」と、カムイが付け加える。

 レオンとカイは、それぞれ予想があたったことを内心喜んだ。この古図は、天月の滝の禁書室から持ち出したものだ。舎村の歴史を記した禁書の一つだ。

 カイは言った。

「〈聖なる丘〉のウル神殿があの湖の神殿と同じなら、この入り口からお二人を救い出せますか?」

 レオンが頷いた。

「おそらくそうでしょう。ただ……」

 言いよどみながら、レオンが美しい顔を翳らせた。

「逆もありえます。ここから入った者もまた「閉ざされた園」に囚われるおそれがあります」


 みなが沈黙した。子どもたちをそんな危険に晒すわけにはいかない。

 沈黙をやぶったのは風子だった。

「大丈夫! やるっきゃない。こっちにはアイリもいるし、ルルもリクもいるから、大丈夫!」

 みなが風子を見た。

「シュウもキュロスさんもわたしたちの仲間だよ」

 アイリが続けた。

「あたしは気にしない。入った以上、出られるはずだし、モモの嗅覚はスゴいから」

 面食らってカムイが尋ねた。

「なんで、このチビイヌの嗅覚なんだ?」

 リトが代わって答えた。

「モモなら、ばあちゃんの匂いもたどれるし、入り口にモモの毛でも残しておけば、自分の毛の匂いをたどって入り口をも探し当てることができるってことさ」

 リトは、モモが苦手だけれど、モモの能力はきちんと認めている。

「うん!」と、風子がうれしそうに頷いて、つけ加えた。

「ルルが歌を聞かせたら、みんな喜ぶよ」

 だれもがそりゃそうだと納得顔で頷いた。ルル(オロ)はひそかに考えた。

(いざというときは時を止めればいい)


 風子がつけ加えた。

「それに、リクは雨を読めるよ!」

「雨を読む?」

 カイがいぶかしげに尋ねた。

「はい! リクは天気を予測できるんです。百発百中。リクが雨だといったら、どんなに晴れてても雨が降っちゃう。逆も同じ。神殿に行くときは、見つからないように雨に紛れた方がいいでしょ? だから、リクが雨が降ると言った日に決行すればいい!」

 めずらしくリクが口を開いた。

「ううん。いつもじゃない。当たるのは風子といるときだけ……」

 カイが思わず目を見開いた。

「そうだ、そうだ、大丈夫だ!」

 風子はリクやアイリやルルとキャピキャピとはしゃいでいる。風子もリクも、いま、自分たちが言ったことの意味をわかっていないようだ。


 雨を読むのは、普通の者でも訓練すればできる。だが、雨を呼んだり、雨を追い払ったりするのは、相当高度な異能だ。しかも、それは、地上最高の異能一族である〈月の一族〉の力を引き継ぐ香華族に伝わるとされる。リクの行動は、単に予測なのか、それとも、雨を支配しているのか。いまはどちらともつかないが、見極める必要がありそうだ。もしリクが異能を持っているとすれば、もしや、リクの母は香華族と関わるのだろうか? 


■風子の周り

 もう一つ、気づいたことがある。

 リクの力は、風子といるときだけ発揮できるという。風子は異能を引き出し、しかも、それをコントロールする力をもっているのかもしれない。そういえば、いつかシュウが言っていた。風子といると、悪夢を見ても頭痛がしないのだと。


 カイは改めて子どもたちを見回した。

 アイリもルルも、ここにはいないシュウも並外れた天才だ。そしてリクは異能者の可能性がある。その中で風子だけが平凡だ。古文書を読む才能に秀でるとは言え、それは幼少期からの特別な訓練によるものであって、天才型の才能とは言えない。しかし、この集団をつなぎ止めているのは、風子だ。一番平凡に見える風子が、周囲から浮く孤高の子どもたちの中心にいて、「天下の変わり者」と揶揄される者たちがまるで普通の子どものように、はしゃぎ、笑いあっている。

 リクも気にかかる。いつも無表情で目立たないリクだが、風子はリクを気に入って、いつもそばにいようとする。リクはそれにも無反応だが、雨を支配する異能があるとすれば、だれかがその異能を封印して、風子が無意識に一時的に封印を解除している可能性がある。では、だれが異能を封印したのか?


 リクは、岬の上病院の救急医碧海恭介の一人娘だ。母はリクを産んで一年後に亡くなったという。恭介は世界的な脳外科医だが、異能者ではなかろう。アオミ父子のそばにいて、異能に気づき、それを封印できる者――恭介は、大学病院をやめてから、病院を転々とした。リクが産まれた頃には、四国の無医村地区で在村医をしていたはず。そのときも、今も、リクの傍にいるのは――虚空だ。

 虚空は、恭介の父方の叔父で、放浪癖があり、若い時から世界各地の民間医療や呪術を見て回ったという。そのときに、さまざまな異能の伝説を聞き、異能を封印する術を学んだとしても不思議ではない。しかも、虚空はあの九尾の狐と遠縁にあたるとか。


 風子の周りにいつのまにか異能者が集まってきている。レオンも、そして自分までも。これは、果たして偶然なのか?

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