表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
5/44

改変4:旅立ちの日

あれから数ヵ月後、修行や準備を終えたボク達は旅立ちの日を迎えた。

騎士団員であるシャルとキリカちゃんは旅慣れ、戦闘慣れしているけれど、

城仕えの侍女や病弱なお嬢様だったマリア姉様やトワちゃんは旅も戦闘も初めてだからね。

王都の城壁付近で野宿の練習をしたり、騎士団の訓練場でそれぞれ戦い方の訓練をしたりしたんだ。


そしたらね、トワちゃんが予想以上に優秀で、

なんと旅が始まるまでに攻撃魔法も治癒魔法も上級まで使いこなせる様になったんだ!!

トワちゃん、可愛いだけじゃなくて有能過ぎてステキ♪


勿論、ボクはいっぱい!い〜っぱい褒めたよ!!

照れてはにかむトワちゃんは最高に天使でした!!

愛おしさが限界突破してキスしちゃったけど義姉(仮)だし女の子同士だし問題ないよね!!

…え?シャルとキリカちゃん嫉妬してなぁい?

可愛いなぁもう♡

※その後、3人で明け方まで 身 体 で 話 し 合 い をした。


ーーマリア姉様は暗殺者(アサシン)役割(ロール)を与えられたとは言え、この世界線では闇落ちする原因が無くなった故に優しい心の方が勝っていて、

だからこそ役割と噛み合わず、戦闘能力は“一般人以上新人兵士以下”に留まっている………

暗殺スキルは良心が邪魔をしてほぼ上がらなかったので、

習得出来たスキルは【麻痺毒針(耐性無視)】【睡眠毒針(耐性無視)】【治癒針(応急手当スキル)】【快癒治癒針(殺し特化の暗殺者が習得するのは本来なら不可能に近い聖職者並みの回復スキル)】のみだったんだ。

けれど、隠密系スキルはSランク級まで上がったチグハグさから、“最低限自衛(逃亡と隠遁)は出来る程度”と言える。


そうなると斥候がメインになるのかと思いきや、それはキリカちゃんが出来るし、騎士として侍女に斥候はさせられない、とキリカちゃんが譲らなかったのでマリア姉様は実質的に【勇者パーティーの侍女(非戦闘員)】と言う立ち位置になった。

ただし、先に言っておくとボクたちはこの選択にものすごく助けられる事になる、と明言しておく。



そして、いざ出発!となった時に原作には無かった……いや、原作から改変してしまったからこそ事件が起こった。



「お待ち下さい聖女様…!」


「俺達も連れていってくれ!!」


(……魔術師団長の息子と騎士団長の息子、か。)

「不躾になんでしょうか?貴方達は……


「俺は騎士団長の息子だ!」


「僕は魔術師団長の息子です!」


(…名乗らないのか…ボクもコイツらの名前なんて忘れたけど。)


「騎士団所属のカーネルに、魔術師団所属のヨハンか。

…まさか、職務を放棄してまで追いかけてきたんじゃないだろうな?」


「ぐ…!」

「む…!」


(流石シャル!!2人の名前を知ってるなんてさすシャルだよ!!

あと睨む顔もかっこいい!!好き!!!)



そんなシャルに睨まれた2人は、相手が格上の近衛騎士隊長で更に家も格上な公爵なのもあって怯んだ様子を見せた、けれどスグに威勢を取り戻したみたいだ。



「っ…!いくら近衛騎士隊長様とは言え!

戦闘素人を連れて、しかも女だけの旅は危険だろう!?」


「ええ、ですから僕達も旅に同行したいのです!」


「…だ、そうだが。聖女殿?」


「え?」



そこでボクを尊重してくれるの??

好きぃぃっ♡

と言うか流し目ありがとうございまぁあぁす♡


と、内心萌え狂ってる事をおくびにも出さない様に真面目な顔をしつつ、聖女らしく(おごそ)かっぽく、ボクは口を開く。



「…ありがたい申し出ですが、あくまでも神託にあった仲間はこのメンバーですので問題はございません。

(原作では2人が仲間ではあったけどさ。)

女性だけ、と言っても巡礼の旅でもよくあることにございますし。

(実際、シスターとバトルシスターのみの巡礼の旅なんて“これもまた修行”として普通に行われている。)

何より、近衛騎士隊長様と近衛騎士副隊長様、更にこの私、聖女エルーナがおりますのでご心配無く。

(なんならトワちゃんも戦えるしマリア姉様は完全隠密が出来るから2人は足でまといどころか過剰戦力だし。)

お気持ちだけ受け取っておきますね?」


意訳:百合の園に男は要らん、帰れ。


言いたい事は一言だけだったけど懇切丁寧に噛み砕いて説明してやった。

が、2人は納得しなかった様だ。



「しかし聖女様…!貴女の様な美しい女性を、この者達だけで守りきれるのですか!?

そこの侍女と平民まで居るのに!!」


「そうだぞ聖女様!絶対俺達男手も必要だ!!

平民のガキに加えてそこの侍女なんて戦闘はからっきしの足でまといじゃねぇか!!

魔王討伐の旅は遊びじゃねぇんだ!

戦力は多い方が良いに決まってる!!」


「そうですよ!いっそ、その侍女と平民を僕達と入れ替えた方が良いです!!

子供のお守りをしながらだなんて非効率です!!」


「「っ…!」」


「は?」

「なんだと?」

「…。」



魔術師(笑)と騎士(笑)の言葉に、萎縮したマリア姉様とトワちゃんを見た瞬間、

つい素の言葉が出たボクと、眉をぴくりと動かし半眼になるシャル、無言で魔術師(笑)睨みつけるキリカちゃん。

もう魔術師(笑)と騎士(笑)でいいよね??

百合の園に入ろうとする男は、排除する。

と言うか、マリア姉様とトワちゃんが要らないだって…?

そうかそうかぁ………よほど、命が惜しくないと見た。


ボクは満面の無表情(アルカイックスマイル)になり魔術師(笑)と騎士(笑)に詰め寄った。



「………貴方達は何を言っているんですかね?

マリア姉様とトワちゃんを…“私の家族”を…バカにしないでいただけます?

では、貴方に私達の身の回りの世話が出来ると?

買い出しや炊事洗濯を旅先で出来ると??

…マリア姉様なら、出来ます。

実際、訓練では1番サバイバルスキルが高かったのが姉様です。

マリア姉様は上位の【時空アイテムボックス】スキル持ちで、大量の家具を持ち歩いているので。

野宿でも家と変わらぬ料理を作り、いつもの様に衣服を洗い、常と変わらぬ寝床を整え、私達に癒しを提供する事が出来ます。」


「エルちゃん…


「トワちゃんは私が直々に聖魔法を教えましたし、魔術の才もずば抜けています。

魔術の威力や精度は言わずもがな、

流石に癒しの力は本職の私に劣りますが、代わりに私より強固な結界が張れるほどです。」


「エルお姉ちゃん…


「それが、貴方達に出来るとー

「エル。」

ーシャル?」


「あとはオレが。」


「…うん♡」



と、シャルがボクの肩に手を置いてそう言ってきたので脇に避けてシャルを前に出した。

すると、シャルは後ろ姿でも分かる程の怒気を発していた。

かっこいい…♡



「さて。

ヨハン、カーネル。

キミ達はマリア嬢やトワ嬢を侍女や平民だとバカにしていたが、2人とも 伯 爵 令 嬢 だと気付いていたのか?」


「は?」

「なんですって??」


「しかも、マリア嬢は本来なら【女王陛下付きの侍女】の1人で、だからこそ聖教会からの賓客である【聖女エルーナ様】に貸し出されていた。

トワ嬢に至っては魔術師の役割(ロール)であるヨハンより上の役割(ロール)である【賢者】だ。

お前達()()()がバカにしていい方達では無い。」


「「っ…!」」



えっ?

マリア姉様ってそんなに高位の侍女だったの!?

そんな侍女様を徒に陥れた原作エルーナってホントにクズでバカ過ぎる………!!


それはそれとして、シャルにそう説教された2人は肩を震わせて俯いてしまった。

………うん、これ、見当違いな逆恨みフラグかな??

ならばへし折るよ当然。

と、意気込んでいたら今度はキリカちゃんがボクの肩に手を置き、無言で首を横に振るとボクの前に出た…?

キリカちゃんも凛々しくてステキ…♡

流石ボクとシャルの嫁!!

そのキリカちゃんは更にシャルの前にも出ると満面の無表情(ジト目)のままに2人へ話しかけた。



「……お前達に。キリカが誰か。分かる?」


「…あ?」


「なんですか今度は……汚らしいケモノですか。」


「「は?」」



あんまりな言い草にボクとシャルから怒気のこもった声が出る。

あー、コイツら獣人排他主義でもあったのか。

ほ〜ん…?

1 回 粛 清 さ れ る か い ????

が、そんな反応に対しても無反応(元々の気質もあるかもだけど)のまま、キリカちゃんは更に続けた。



「…そう。分から。ないの。哀れね。」


(あ、ここで無表情以外の顔するんだ?)



ワザとなのか、体を斜めに向けたからボクからも表情が見えたから分かるけれど、

所謂バカにした顔になってるキリカちゃん。

ジト目と相まってキマってる!好き!!結婚して!!

あ、もうボク達の嫁だった。



「キリカは。獣人同盟国の盟主。キリル・ナイトグレイ。…の妹。

友好の証として。陛下付きの。騎士である。近衛騎士隊に。入隊した。更に。キリカは。実力で。副隊長なった。

お前達。に。合わせた。爵位的に。言えば。公爵。と。同じ。」


「言っておくが獣人の盟主は実力で決まる。

その妹であるキリカは見下されない様に、兄の弱点とならぬ様に、それ相応の努力を重ねてきた。」


「んっ。そんな。盟主の妹。で。ある。キリカ。も。強い。

そんな。キリカも。マリアを。見付けられなかった。

つまり。マリアは。本物の。隠密のプロ。

お前達に。それが。出来る?」(チラッ)


「…!」



あれ…?今度はキリカちゃんの流し目だぁ〜♡

と思ったらマリア姉様が消えた…?

何故今隠密スキルを…?



「だからどうしたってんだ!?

コソコソ隠れる事しか出来ねぇって事じゃねーうっ!?」


「えっ…?」



そして、キリカちゃんに対して怒鳴り散らす騎士(笑)(バカ)が突然倒れた…?

ってもしかして…!



「カーネルさん!?一体何が!?ケモノ!あなたが何かしたのですか!?うっ…!?」



更に魔術師(笑)も倒れた…!

そして、倒れた2人に近付いて無表情に見下ろすキリカちゃん。

可愛い。後ろからギュッてしていい?

と言うかこの2人、地面に突っ伏してるし見えてないだろうからいっか!

ぎゅ〜っ♡ついでになでなで〜♪


「んっ……。エル。今は。やめて。」


「あ、ごめんなさい。」


「…後で。尻尾。触らせてあげる。」


「ありがとうございまぁす♡」


「エル可愛い。今すぐ。モフっても…ンンっ。

………………違う。キリカじゃ。ない。分からなかった。でしょ?」


「なに…を……


「やったの。は。マリア。」


「…えっと、これでよろしかったのですよね?キリカ様。」


「んっ。上出来。マリア。」


「馬鹿…な…侍女……ごときが………


「ごとき、だと?カーネル、お前はまだそんな嘗めた事を言うのか。

繰り返すが、家柄としても格上のマリア嬢を、お前がバカにするんじゃない、学習しない奴だな。

いくら親が騎士団長だろうとお前自身は一介の騎士だろ?

特に、お前の家は実力主義で代々続く騎士爵(一代貴族)の家だ。

つまり、貴族なのはお前の親だけであり、ただの息子であるお前の方こそ平民なんだが。

それは理解しているのか??」



おおぅ……キリカちゃん、落ちかけたけど持ち直したね。

シャルとマリア姉様はあえてスルーしてるっぽい。

トワちゃんだけは苦笑い(可愛い)をしてるけど。

ともかく、まだ現実を理解出来ていない様子の騎士(笑)に対して、シャルは呆れた様な声をかけていた。

うん。マリア姉様は攻撃力が無いだけでサポーターとしては1級所か特級品だと思う。

そもそも、耐性を貫通して付与する状態異常効果はチートだしね。

原作ではその上で躊躇なく敵の首を掻っ切ってたし…………


…………ちなみに、原作エルーナは2週目の世界でマリア姉様に毒を盛られてもがき苦しみ、その上でキリカちゃんに手、足、腹、と急所を外して射抜かれ、最期はシャルにジワジワと指先から切り刻まれながらショックで息絶えた。

死体は魔王様が肉団子にして魔獣に食べさせてたな…………(グロ描写をマイルドに表現してコレなのが原作)


うん、自業自得だからざまぁとしか思わないけど。

今のボクはシャルやキリカちゃんの嫁だしマリア姉様やトワちゃんとは義姉妹(仮)だしそんな事にはならないだろうけど………


とにかく、格下だと思い込んでいた相手にあっさり戦闘不能にされたんだし、心は折れただろうか?



「…………………あの。」


「ん?どうしたエル。」


「エル…?」


「やっぱり私がトドメを刺す必要がありそうです。」



だってまだこの2人、納得してない雰囲気と言うか顔真っ赤にして怒りと羞恥で震えてるって感じだし。


だからボクは2人を魔力で転がして仰向けにさせた後、満面の無表情(アルカイックスマイル)でハッキリ言ってやる事にした。



「最初に、遠回しに言って貴方達に反論の隙を与えた私が悪かったのでハッキリ言いましょう。

私が共に行きたいのはここに居るシャル、キリカちゃん、マリア姉様、トワちゃんの4人だけなのです。

後、私は既婚者で…シャル(とキリカちゃん)の嫁ですので、欲望にギラついた男は要りません。

帰ってくださいな♪」



まぁ、正確には現時点では婚約者であって既婚者では無いしキリカちゃんとも将来的には夫婦になるのだけれど、重婚(ハーレム)可なら俺達も、だとか思われたら面倒だからそうゆう事にしておこう。


と言うニュアンスも伝わっているのか、キリカちゃんはあえて何も言わないでいてくれた。

………うん、尻尾でもっふんもっふん叩いてきてはいるけど。


とりあえず、体は麻痺していても表情(かお)は動かせるからしっかり絶望顔したのを確認して満足したボクは2人から離れた………あれ?なんか悪女みたいだなボク。

だけど2人とは初対面のハズだしなぁ……?

この世界線における“元々のエルーナ”の記憶にも無いし。


と、考えていたらシャルが2人を見下ろして怒気を含む声色でホントのトドメとなる言葉を放った。



「ところで、お前達は上官である騎士団長や魔術師団長にちゃんと許可を貰ってからここに来たのか?

この時間ならまだ訓練中だよな?」


「うっ…!」

「ぐっ…!」


「ハァ…その様子だと無断で抜け出してきたんだな。

…〖通達魔法〗

『近衛騎士隊長、ベイルフリードより、騎士団長殿、魔術師団長殿へ通達。

貴公らの部下、各1名ずつが無断外出しているのを発見したので私が捕獲した。

捕獲した者の名は、騎士団所属のカーネル、魔術師団所属のヨハンだ。以上。』」



それからすぐに来た迎えの人達に2人は連れていかれたのだった………


注訳を入れておくと

タチの悪い事にこの騎士(笑)と魔術師(笑)はバカなだけで善意でやってる為エルーナに対する嫌悪感はありません。

この様に抜け道(?)的な感じもある為、エルーナの神聖力による悪人探知は万能でもありません。


(注訳の追記:2023/10/8)


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ