IF END:その後の顛末
あれから、聖女を倒した事で聖教会の悪事も明るみに出て、
エリザのアルカディア王国とライ様の故郷であるフェンリル帝国、そしてボク達の祖国、エスター獣人連合国は
聖教会所属の聖女がエスター獣人連合国に襲撃を仕掛けた報復、との名目で聖教会を潰しに掛かった。
それは物量もあってあっさり成され、この世界から聖教会は駆逐された。
女神信仰自体は否定してないから組織としての聖教会の駆逐、だね。
それから予め保護していた、枢機卿の中でも真面目でマトモな人達を改めて枢機卿に据えて教会を再出発させたのだった。
なお、教皇に関しては一先ずラミネス公国の聖姫様を据える、との事。
あの国の王族は全員半人半神で、姫様は聖女でもあるそうなので妥当だそうな。
勿論ラミネスの聖姫様の性格が善良で、権力欲の無い平和主義者であることは確認している。
下手な事はしないはずだ。
そも、魔王様の配下である悪魔聖女様が監視してるし。
……してるのかな??聖姫様(天然ゆるふわ系)と悪魔聖女様(天然ぽわぽわ系)って親友同士なんだけど………。
むしろあの二人の天然発言に対する周りのフォローが大変そうな気がしてきたぞぅ…!よし、考えるのを止めよう!!
エリザは身の回りの危険が一掃された事により、女王として復帰した。
それに対して胸を撫で下ろしたのはフェンリル帝国の皇帝陛下だ。
何せ、ドッペルゲンガーのエリザが殺された事で、エリザLoveなライ様を念願叶って婿に出していたフェンリル帝国第三兵団の団長(ライ様が元々団長だった)がブチ切れたから、アルカディア王国騎士団からの協力要請を受けてここぞとばかりに過剰戦力(基本脳筋な第三兵団の精鋭部隊)で出兵したのはここだけの話。
アルカディア王国兵同等、もしくはそれ以上に殺る気に満ち溢れたフェンリル帝国兵達が全力で聖教会を潰しにかかったのは見ものだった。
その後本物エリザが出てきた事でフェンリル帝国兵団が感涙していた事の報告を聞いた皇帝陛下は微妙な顔をしていたけど。
そのフェンリル帝国は今回の事は貸し1つだ、とは言ってきたけど、皇帝陛下本人は呆れた様な苦笑いで言っていたから多分、皇帝としてそう言わざるを得ないからそう言っただけな気がする。
…………アルカディア王国は今回の件で騎士団からの裏切り者が出てしまった事が明るみになり、少し荒れた。
なんなら荒れすぎて疑心暗鬼となり、フェンリル帝国の第三兵団とアスター連合国からの獣人傭兵団・狼部隊が一時的に介入する事態にまで発展してしまった。
王国騎士団の面子丸潰れである。
それに対してはエリザからの指示であるとのお触れは出したけど、それでも不満は積もった部分はある。
そこはこれからの課題だね。
ちなみに、第1王子に関しては聖女に傾倒し過ぎとの事で廃嫡し、新聖教会行きにされた。
王国軍の一部を旧聖教会の兵にしたのもソイツだったからね。
そんな感じでアルカディア王国はまだ不安定ではあるけれど、同盟国の帝国とボク達連合国がついているから多分、大丈夫だとは思う。
エリザの事もライ様が帝国の第三皇子として、キリカとボクが連合国の姫とその従者として、支えていくから。
「……んぅ。まとめとしてはこんな所、かな?」
「ローナ。」
「ん?どうしたのキリカ。」
「報告書、終わった?」
「うん。女神様への報告書は終わったよ。」
うーん……曲りなりにも、聖女の魔力を取り込んだからか、1度死んだ、らしい?事が関係しているのか、あれからボクに『今回の顛末に関する報告書を上げなさい。』ってお告げがあった。
気のせいかと思って無視してたら新教皇様からボク宛に『女神様より貴女へ報告書を作成せよとのお告げが来ました、あと貴女にもお告げは聞こえるはずです、幻聴ではありません。』って手紙が来たんだよね……面倒だなぁ………まぁ、ボクだって賢狼の端くれ、報告書位は書ける。
ただ………
「ローナ、また、考え事?
キリカを無視しないで。」
「あ、ごめん。」
「んっ。許さない。罰としてキリカをナデナデして。」
「りょーかい。」
「んっ♪」
妻がかまってちゃん過ぎて中々進まなかった。
女神様からも呆れた様に『はぁ………(やはりこの世界線でもキリカさんはキリカさんですね)……マイペースで良いです。』ってお告げがあったくらいだけどさ。
途中がノイズがまざってて『マイペースで良い』位しか聞こえなかったけど。
「……それにしても。なんで半神ですらないボクが突然聖女的なモノに選ばれたんだろう。」
「んぁ………ぁ………んゅ………♪」
報告書を書いていたらふと思った小さなギモン。
ボクはあの日までも、今だって特に女神信仰なんてしていない。
別に『神様なんか居ない』、とか、『神様なんか要らない』、とかまでは言わないけれど、『神様?ふーん…』な一般的な無関心者、と言った所なんだよね。
なのに何故か聖女との接点が出来た(聖女に痛めつけられたとも言う)辺りから女神様との接点も出来た。
「きゅんっ♡きゅんっっ♡」
「……まぁ、いっか別に。特に困らないし。」
これで不利益を被るなら不信心者になっていたかもだけどさ。
「んっ…ちゅっ……ぺろぺろ………
「はみゅっ…♡んふぅ〜……♡」
ボクはこれからも、キリカを愛して、エリザやライ様を侍女兼、護衛兼、親友として支えながら生きていく。
この先の未来にはきっと、キリカとの仔も増えていく。
そんな幸せな未来を夢想しながら、ボクは今日もキリカを愛でていくのであった。
「きゅぅぅ〜んっ♡」
「ふふっ…♪キリカ可愛いっ♡」
「ルミエール様。これが今回の分史世界での結果となります。」
「あらあら〜?相も変わらずあの子が憑依しないエルーナって本当にクズになりますねぇ〜?
しかも、今回の謎の襲撃からの死は意味不ですぅ〜。草生える〜☆」
「ルミエール様??サフィーア様やルイーゼ様に染まりすぎてませんか??」
「はっ!!すみません!?」
「全く、私の本体がそれでいいのでしょうか…………
「めんごめんご☆」
「殴りますよ私!?
むしろ理知的な部分を私に渡し過ぎてませんかねぇっ!?」
「え?私に渡し過ぎって、もしかしてギャグですか??」
「……。」(無言で殴る)
「いったぁぁぁいっ!?なにするんですか私っ!!私のくせにっ!!」
「はぁ………ともかく、どうしますか??
この分史世界。」
「ん〜……平行世界に格上して続行♡引き続き管理よろ私♪」
「…………私を主人格にしますよ??」
「いやぁ〜ん♡」
「はぁ………気を抜きすぎと言うか、調子に乗らないでくださいよ、私。
あの『真の聖女エルーナ』が大成したお陰で正史世界が飛躍的に発展したから、
『1000年前の世界を再現してそこにエルーナから切り出した魂に、エルーナの前世、【瑞樹の記憶】のバックアップをコピーペーストして別人の体に植え付ける実験』
なんて事を繰り返して別の発展をする更なる世界線を作ろうだなんて、滅茶苦茶なんですよ。今まで何度も失敗してきたじゃないですか。」
「あはは♪ちょっと欲張りになっちゃったのよ、私。
下級神だった時は散々煮え湯を飲まされてきたのに、【聖女エルーナ】を生み出す事に成功して神格が上がったらアッサリ優遇される様になるなんて、ふざけんなっ☆って感じじゃないですかぁ〜。
そもそも私の世界自体、“大いなる世界”のコピペなんですよぅ??」
「知ってますよ、私のことなんですから。」
はぁ………全く。
私の事ながら、慎ましやかだったあの頃と比べたら大分神様キメてますね。
………もしや、だからこそ私を生み出した…??
いえ、まさか、ね。
ともかく、私はこれからも貴女を見守っていますからね?
どうか、その人生に幸多からん事を、ローナさん。
【終わり】
ここまで読んでくださった方、本当にありがとうございます。
相も変わらず趣味全開の拙い文章&不定期スロー更新でしたが、楽しんでいただけたなら幸いです。
また何かしらの続きやらが浮かんだら更新するかも知れません。
では、また別の作品、もしくはこの続きにて。
2024/7/3
音無なの




