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改変3:マリア姉様とトワちゃん/おきつねもふもふにっこにこ

「ぐすっ…姉様ぁぁ…ボクは…ボクはなんてダメな聖女なんだぁぁ………ひっく………ぐしゅ……



謁見の翌日、客室で目を覚ましたボクは傍に控えていたマリア姉様の胸で泣いていた。

(どうやらボクのお世話の為に朝から来ていたらしい。)

何故かって?昨日のやらかしのせいだよ!!

(効果時間中にそのまま寝たらしいね!)

神呼吸って便利なだけの呼吸法じゃないね!!

これからは極力使用を控えよう………

あぁぁあ!!!恥ずかしいイィっ!!?



「大丈夫ですよエルちゃん、ベイルフリード卿はそれくらいではエルちゃんを見限ったりしません。

国王陛下も心が広いお方なのでお咎めも無かったでしょう?」


「うぅ………


「さぁさ!それより今日は妹も連れてきたんですよ!

エルちゃんがくれたキャラメルのお陰で元気いっぱいなんです♪」


「えっ…?」



優しくボクの頭を撫でてくれるマリア姉様に存分に甘えて何とか気持ちが上向いてきた所で、マリア姉様は空気を変えるためにもわざとらしく元気な声を上げる。

気を使わせてごめんね?ありがとう、姉様。

そして、姉様が手のひらで指した方を向くと、そこには天使ちゃんが居た。




「あの…あなたがわたしを助けてくれた聖女さま…ですか…?」


「………………………見られてたの…?恥ずかしぃ…。」




そこには、マリア姉様と同じく茶褐色の髪色をしていてミントグリーンの瞳をした可愛らしいショートヘアの女の子が立っていた…

マリア姉様みたく使用人の服を着てるのがむしろ可愛い。

と言うか、可愛い。 可 愛 い 。



「マリア姉様、天使ちゃんに醜態を見られて私は恥ずかしいです。ちょっと聖堂で創世の女神さまに懺悔のお祈りをしてきていいですか?」


「エルちゃん、大丈夫ですよ。

この子は私の妹のトワちゃんです。

それと、天使様はエルちゃんの方ですから。」


「あははまさかぁ~…目の前の天使ちゃんに比べたら私なんて石ころですよぉ〜♪」


「はわわっ!?わたしが天使さまだなんて!?

あのっ!あなたの方が天使さまです!!」


「そうですか?それでは私達、お仲間ですね天使ちゃん♪」


「うんっ♪」


「あらあら、もう仲良くなったのですね♪」



表情がコロコロと変わるトワちゃん、可愛すぎないかな???

うん。抱きしめちゃお。



「ぎゅ〜っ♪」


「きゃあ〜♪」


「あらあら♪」



そうやってじゃれ合うボク達を、マリア姉様が優しい顔で見守っている。

………そうか、そんな未来に、ボクは変えられたんだ。



「はぁ…天使ちゃ…ううん、トワちゃん可愛い…私、やっぱりピュアライト家の子になるぅ………


「えっ!?それじゃあ聖女さまもわたしのお姉ちゃんになってくれるの!?」


「なります、今日からわたしも私も貴女の姉です!!

エルお姉ちゃんと呼んでください!!」


「うん!エルお姉ちゃん♪

やったぁぁ〜♪聖女さまがお姉ちゃんだぁ〜♡」


「あの、トワちゃん!エルちゃん!?」


「大丈夫ですよマリア姉様!」


「あ、冗談ですか?」


「私は聖女です!

正規の手順で戸籍を変えて私をピュアライト家の養子という事にするくらい朝飯前です!!」


「冗談じゃありませんでした!?

お待ちなさいエルちゃん!?」


「大丈夫ですよ!

私は聖女なのでこれはピュアライト伯爵家にとって栄誉な事になるはずです!!」


「エルちゃぁぁぁん!?」


「「だめ…?マリア姉様(お姉ちゃん)……。」」


「かわっ…ぐっ!ダメです!いくら聖女様であるエルちゃん様でもそんなに簡単に戸籍を弄らないで下さい!!」


「そんなぁ!!」



コンコン


『シャルロッテだ。入るぞ。』


「っ!こほん、どうぞ。ベイルフリード卿。」



くっ!かくなる上はボクが2人を引き取って娘にしよう!!そうしよう!!

と、脳内で暴走していたら扉を開けて誰か入ってきた…?



「全く、朝から騒がしいなエルは。」


「えっ…?シャルっ!!?いつの間に!?」



推しに恥ずかしい姿を見られて穴があったら入りたいんだけど!?



「私がベイルフリード卿を部屋に入れました。」


「えっ!?何してんのマリア姉様!!」


「貴女が暴走しているからですが?」


「急にCOOL!?」



と言うかマリア姉様の目が冷たい!!

まるで原作の【復讐者マリア】みたいだ!!



「あはは♪楽しいねエルお姉ちゃん♪」


「…ふふっ♪そうだね!」


「まったく……可愛い“妹”には敵いませんね。」



だけどトワちゃんが笑いかけたらマリア姉様もやれやれと言った雰囲気で優しく微笑んでくれた…

ほっ…嫌われた訳じゃなくて良かった……

そんなボクらの様子を見ていたシャルは呆れた様な苦笑いだ。

なんで?



「なんだ、昨日の今日でもうピュアライト伯爵令嬢姉妹と仲良くなったのか?」


「なんなら2人とは義理の姉妹になりましたけど?」


「まだ予定ですよねエルちゃん。」


「でもわたし、エルお姉ちゃん大好きになっちゃった♪」


「……トワ嬢に至っては今日初めて会ったんじゃないのか?」


「うん?そうだけど。」


「…………お前、他人(ひと)と仲良くなるの早過ぎないか??」

(しかも、心根が優しかったり善人である人物ほど彼女に惹かれる傾向にある。

陛下や周りに居た臣下の方々の中で高潔な方々だってあの1回の対談でエルの事を気に入っていた。)


「あはは〜♪」


(この屈託のない笑顔にやられるのだろうか…?

ただ、その割には()()()()()()()()()()()()()()のは何故なんだ…?)


「…ん?どうしたのですかシャルさま。」


「いや、何でもないさ。

それより、今日から【勇者パーティ】の結成と鍛錬だろう?

キリカとの顔合わせもあるし早く支度をして来てくれないか?

……いくらオレも女とは言え、()()姿()は無防備過ぎるし他の男共には目に毒だからな。」


「へ…?

…………いやぁぁぁぁっ!?」



まだ寝間着だった!?

ちょっ!なら尚更なんでマリア姉様はシャルを招き入れたの!?



「全く、朝からトワちゃんとじゃれあってるからですよエルちゃん。」


「マリア姉様って意外と厳しい所あったの!?」



見た目とか言動が天然癒し系お姉様みたいなのに!!



「意外とは失敬ですねエルちゃん。

私はトワちゃんの母親代わりもしてきたのですよ?」


「なるほど、それで母性が…


「エル、無意識か知らんがマリア嬢に抱き着くな。」


「へ?」


「大きい赤ちゃんですねエルちゃん。」


頭なでなでしないで姉様、蕩けちゃう。


「エルお姉ちゃん可愛い♡」


やめてトワちゃん、幼い女の子に慈愛に満ちた目を向けられる16歳児とかいやだぁ……


「……………………ぴえん。」


この身体の素直さんめぇ…(泣)

またシャルに情けない姿見られちゃったよぅ……

こんなのじゃ愛想つかされー



「オレには甘えてくれないのか?」


「えっ?」


「姉も良いけど恋人にも頼ってくれよ?

昨日からとは言え、な。」


「しゅきぃ………♡」



もう本当になんなんだろこのイケ女ン。

微笑む顔までイケ女ン!!

好き!!



「シャルぅ~♡」


「ははっ。

本当に抱き着くな、着替えろエル。」


「つめたい!?」


「良いから着替えろ、聖女。」



ひぇっ!?

はい着替えますごめんなさい!?

まだ裏切られたりした事ないのに凄みがあるよシャル!?









……乙女のハート(偽)はズタボロになったけど、何とか着替え終わってシャルの案内でマリア姉様やトワちゃんと共に4人で近衛騎士隊の詰所に向かっていた。



「…あぅぅ………


「結構メンタルが弱い…と言うか引きずるよな、エルは。」


「ん…流石にアレは引きずるかと。

荒療治のつもりでしたがやり過ぎましたし。」


「いや、だがアレは用事があるのに支度もせずにダラダラとしていたエルが悪いと思うぞ。」


「グサッ。」


「自分で言っちゃうんだお姉ちゃん…」


「実は懲りてないなお前。」



いやいや、最愛の推しにして恋人であるシャルに正論で叩かれるのは結構こたえるよ?

なんならその最愛の人に恥ずかしい姿見られちゃったからかなり精神的ダメージは大きいよ??



「そんな事ないです、乙女的には事案です。」


「だからと言って神呼吸はするなよ?」


「ぐはっ…


「女の子が出してはいけない声が出ましたね?エルちゃん。」


「うぅ……アレはもう、本当に追い詰められてどうしようもなくなった時しかしません。」


「ああ、そうしろ。

神呼吸をした後のお前は手に負えない………


「本当に申し訳ありません、シャル。」



とにかく、詰所には到着したので扉を開くと…?



「…ん。待ってた。シャロン。」


「待たせてすまないな、キリカ。」


「……………ん。悪いのはその女。シャロンは悪くない。」


「………。」



そこには、コーヒーを片手に満面の無表情をした小麦色のモフモフ狐っ娘がおりました。可愛い。

と言うかジト目がすごぉい…キミはジト目が得意なフレ…ごほん。

現実逃避してる場合じゃないや。

挨拶しなきゃ!



「はじめましてキリカさん。しっぽをモフらせてください♡」


「は…?」

「は?」

「え?」


「欲望ダダ漏れですねエルちゃん。」


「お姉ちゃん…」



はいやらかしたー!?

初手でやらかしちゃいました!!

だってしょうがないでしょ!?

モッフモフの狐尻尾だよ!?

こんなの…こんなの…!!



「もうダメモフる。」


「へ…?あっ、ちょっと…?

あふん…ふぁ…


「わしゃわしゃ〜♪モフモフ〜♪」


「ふぁ…ぁ…♪なに…このっ…ひと………てくにしゃ…んぅ♪ふぁぅぅ〜♡」


「………………………はっ!?何してんだエルっ!!」


「はぁ…このモフモフ、気持ちいいよぅ…♪

すんすん…良い匂い〜…お日様の香りがするぅ〜♪」


「あぅ…………


「完全に浸ってますねエルちゃん。」


「キリカお姉さんも気持ちよさそう♪」


「きゅぅぅん…♡」


「キリカが見たことも無い顔に!?

と言うか止めろエル!?」


「もふん!もふっふっ!!」


「言語が崩壊してる…だと…!?」


「……キリカ。決めた。この人キリカの嫁にする。」


「待てキリカ!この人はオレの嫁(?)だ!」


「大丈夫。シャロンは。キリカの旦那様。」


「しまったぁぁあ!?獣人は重婚(ハーレム)が普通だったァァァ!!」


「もふん♪もふもっふん!!」


「ん。婚姻成立。」


「は!?今ので!?」


「キリカの尻尾。触っていいのは。嫁か。旦那だけ。この娘。は。キリカの尻尾を。触った。匂い。嗅いだ。

これ。求婚行為。キリカ。コレを受け入れた。

この娘。も。受け入れた。

だから。この娘は。キリカの嫁。」


「は!?本当に何してんだこの聖女様!?」


ぽんっ☆


「は…?エルから尻尾が生えたァァァ!?」


「あ。」


「どうしたキリカ!?」


「この娘。聖術の。応用で。擬似尻尾。作った。多分。無意識。」


「………………………………エル??」


「……シャル、こうゆうの嫌い…?」


ぽんっ☆


「耳も生えたな。」


「こやぁん…?」


「………………よし、嫁にするか。」


「ん。エルは。キリカ達の嫁。決まり。逃がさない。絶対。」


「逃げる気ないから安心して♡」


「やった。」


「なんだかなぁ…?」



会って数分で嫁が増えました。まる。

本当になんなんだろこの身体?

↑ほぼお前のせいだろ!by.シャルロッテ



で。どうしてこうなった??



「えーっと、それでは私から今回の【勇者パーティー結成】についてご説明させていただきます。」

↑しどろもどろな聖女エルーナ


「きゅぅん…♪」

↑エルーナの右腕に抱き着いてるキリカ(嬉しそうに揺れる尻尾がエルーナの背中にモフモフと当たる)

「……。」

↑エルーナの左腕を掴んでいるシャルロッテ


「「によによ」」

↑ニヤつくピュアライト姉妹


「〜っ!」



本当にどうしてこうなった!?

やめてご褒美過ぎる!!



「と、とにかく!!

神託により選ばれた勇者パーティーメンバーはここに居る5人となります!

目的は魔王討伐…と言っても、便宜上そう言っているだけで必ずしも倒す必要はありません。

説得が出来ればその方が良いです。

何故なら今回の件、魔国の王様である魔王様の暴走、らしいので。

追加で言えば現魔王様の娘様、魔姫様からの救難と受け取ってもらって頂いた方が正しいかと。」



そうなんだよ。

魔王討伐、とは言うけれど。

そもそもこの世界の【魔王様】って本来は調停者としての意味合いが強いんだよね。

ただ、稀に魔力溜りの浄化が間に合わず、魔王様が暴走しちゃったりするからそれを鎮めよう、というのが話の大元。


だから原作で魔王様や魔王様の娘を殺したのはやり過ぎと言うか……魔界の資源を欲したクズ聖女……原作エルーナ共の独断専行なんだよね。

魔王討伐の旅の真の目的も明かさずだったから、最初からシャル達を騙していた訳だし。

で、いざその悪逆非道がバレたら全部勇者であるシャルのせいにして処刑したって訳。

クズ聖女からクズ女王へとなった原作エルーナがね。


だからボクは()()()()()()()()

そもそも、助けを求めて勇者の派遣を聖女に頼んだのに、その聖女に両親も自分も殺されるとは思わなかったよね、魔姫様………

魔姫様も魔王妃様も死後に宝石の様な綺麗な魔石になるからそのままクズ聖女の飾りにされちゃったし………


そんなボクの説明を聞き終えた4人は、それぞれやる気に満ちた顔をした。



「なるほど、魔国の救援か。騎士の本領だな。」


「ん。魔姫様。助ける。」


「やりがいのある仕事ですね。やりましょう!!」


「わたし達で魔国を救うんだね!がんばろー♪」


「ふふっ…♪ええ!やりましょう!!」



最悪な結末なんてこの手で変えてやるんだ…!





















『ーセイクリッドバインド。』


『グァアッッ!ウグゥ………!エルーナァァァアッ!!!』


『ハッ!汚いケモノ風情がこの私に楯突くなんて、愚かね!』


『グッ…!ユ゛ルザナイ…!シャロンを、殺したアンタを…!陛下を殺したアンタをォォォッ!!殺してやる!!お前を殺スンダァァッ!!!』


『あはははははッ!!やってみなさいよ!!無様に這い蹲るケモノがッ!!

ホラホラァ~♪シャイニングスピアッ!』


『アガァァァァッ!!?』


『あははっ♪汚ったない叫び声!!流石ケモノねぇ〜?

反逆者、堕ちた騎士キリカさん?』


『ダマ…レ…!お前…は…お前……だけは…!!』


『あははははは!!いい気味ねぇ~?そう言えば、あのいけ好かないシャル何とかって騎士もそんな顔をしてそうやって私に無様な【処刑】、されてたっけ♡』


『グフッ……カハッ…………ゴ…………ロ゛…………ズ……………………………


『あらぁ〜?もう終わり?案外呆気ないわねぇ……衛兵、このゴミを処分しておきなさい。

あとその汚れた床の掃除もね?』


『ハッ。』


『………あっそうだ、待ちなさい。

そのゴミは城門前に見せしめとして放置なさいな♪

この私に逆らった愚か者の末路を愚民共に見せつけるのです♡』


『ハッ。そのように致します陛下。』


『それと、愚かなケモノ風情が私に逆らったので今日から我が国に居る穢れた獣人は皆殺し、とのおふれを出して獣人を見つけ次第問答無用で殺すようにね?

神の代行者である聖女である私に逆らった罰です♡』


『承知しました陛下。』


『よろしくね?

……あははっ!あはははははははっ!!』




あぁ、これは、最悪最低な女王になったエルーナの悪行の記録だ。

ボクは………ボクは…………!!!!




「っ!!!」


「んっ。エル、どうかした…?」


「あ………キリカちゃん………キリカちゃん…!!」


「やん…♡エル。甘えん、ぼ…?」


「好き……好きだよキリカちゃん………ボクはキミを失いたくないんだ………好き………大好き……………


「…………怖い、夢でも見た?

よしよし……尻尾で撫でよう、ね?」


「もふもふ…♡」



大丈夫。

ボクはちゃんとキリカちゃんの味方だ。

ボクはキリカちゃんの嫁で、シャルの嫁だ。

2人は、ボクが死なせやしない………

聖女エルーナ(このボク)〗は2人の味方(よめ)で在り続けるんだ…………


質問があったので補完説明を。


聖女エルーナの『善人に好かれやすく悪人に嫌われやすい体質』について。

真の聖女となった今のエルーナの身体からは神聖魔力(以下、神聖力)が溢れ出ています。

この魔力、文字通り神聖な気に満ちているので

【善人には癒しを、悪人には苦しみを与える】

魔力を常に放出している状態となります。

その為、聖女エルーナは善人たらしで悪人からは嫌われる聖女となっております。


(補足追加:2023/10/8)

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― 新着の感想 ―
[良い点] 優しい心を持った人間は、エルーナの聖女の体だけでなく、彼女の優しい心にもひかれるんですね。 [気になる点] シャルロッテがいっていた「悪意ある人間には嫌われやすい」とはどういうことでしょう…
[良い点] ご返事ありがとうございます。 やっぱり本当にTS百合ですね。 しかも勇者意外にもお姉様と妹など色んな美少女といい関係になっていますね。百合ハーレムですか。素晴らしい! キャラと世界観設…
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