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IF4:旅の始まり

………あの後、旅支度を終えたボク達は冒険者ギルドへ行って冒険者としての復帰申請をして改めて旅支度を確認してから出発した。

ちなみに、アレコレやっている間に聖女共は出発してるからかち合うことは無い。

そもそもボク達の目的地は獣人連合国だから反対方向だしね。


〖回想終了〗


あ~…うん、そんな感じでボクはエリザとキリカの3人で旅を始めたんだった……



「んっ…ローナ、手が止まってる、よ?」



おっと…思い返していたらキリカの耳をいじる手が止まってた。

催促されたボクは再びキリカの耳をいじる。



「あ、ごめんね?はい、くりくり〜♡」


「んぁぁ~♪」


「お前らは相変わらず仲が良過ぎるくらい仲がいいな………コレが(つがい)のクセに今の今まで結婚しとらんかったんだから謎だ。」


「んっ。ローナは何故かキリカとの結婚を拒んでた。

女同士でも番だって本能で分かるのに。」


「それは………ごめんね?

ボク、番って異性でなるものだと思ってたし、きっと幼馴染みの友情をキリカが勘違いしてるだけだって思ってて…



だけど、あの聖女モドキに殺されかけて、その時にすっごく後悔したから、さ。



「でも今はもう迷ってないよ、ボクはキリカのお嫁さんになるって、そう決めたから。」


「んっ!ローナはキリカの妻。誰にも渡さない。」


「……全く、私は見ていてヤキモキしていたがな。

私の夫もな。」


「その節はご迷惑をおかけしました………


いぞ、気にするな。

結果的にはお前達が無事に結ばれて私もライも安心したからな。」



そう言って微笑むエリザは可愛いし、本当に良い人だよなぁ………そんなエリザの事を聖女モドキは殺そうと画策してるらしい、だから今回キリカの里帰りに便乗して王国から逃げ出して獣人連合国に亡命紛いな旅に赴いた訳だけど。

………そういえば、聖女モドキと言えば、アレの目的は魔王討伐…だっけ??

というか、魔王ってなんだったっけ…??

って、それこそ女王をしてたエリザに聞けばいいじゃん。



「ところでエリザ。」


(ライ、離れてまだそんなに経ってはいないが、既に私はお前に会いたいぞ………。)

「………む?なんだローナ。」


「確認したい事があるんだけど、あの聖女達が討伐しようとしてる【魔王】って、確か世界の調停者で最強の魔族の事だよね?」


「……は?何を言ってるのだお前は。

【魔王】は確かに存在するが、それは魔国である【コキュートス】の王がそう呼ばれているだけだ。」


「んっ。魔王様は城にいる方のエリザと同じくただの為政者。」


「うむ。ついでに言えば“悪者としての最強の魔族が魔王”は教会が魔国の資源欲しさに恐怖心と敵愾心を煽る為に造った御伽噺(おとぎばなし)だぞ。

今代の魔王であるフェリカ殿も戦闘能力は低く、為政者としては未熟だが()い子だしな。」


「んっ。フェリカ様もエリザみたいに、獣人好きだからキリカ達連合国民も信用してる。」


「うむ。あの子も大概モフモフ好きだからな。側近に狐獣人が居る位にな。」


「宰相が狐獣人の夫婦。

狐獣人(キリカ)の妻であるローナなら狐獣人に偏見は無いと思うけど、宰相夫婦は清廉潔白。」


「それに、“調停者”、としての意味合いならば、各国の王族がそれに当たるからそうゆう意味では魔王殿もそうとも言えるが……。

急にどうしたのだローナ。

……むしろ、お前本当にローナか?

仕草や口調、性格は変わらないが、なんと言うか、思想や記憶に齟齬(そご)がある様に見えるな。」



しまった…!迂闊過ぎたか!?

エリザが訝しげな目でボクを見てくる。

けど、間にキリカが入ってくれた。



「んっ。エリザ、ローナは1回死んでる。

奇跡が起こって蘇ったから、もしかしたら魂が一時的に神界に居たのかもしれない。」


「なんで分かるの!?」


「むふん。妻の事ならなんでも分かる。」



確かにボクは女神様と対面していた…ような気がするからあそこは神界…?と言える。

会話の内容が殆ど思い出せないし、アレが現実の事だったのか怪しいけど………

にしてもキリカはなんで分かるんだよ!?


あ、ちなみにボクとキリカはあの後陛下 (のドッペルゲンガー)に認可されて正式に夫婦になった。


そして、名目上は親戚であるエリザの専属護衛と名誉侍女(一応故人扱いなので)、という役職まで与えられた。

エリザってばぐう聖過ぎない??


って話が逸れた!!

こほん……とりあえずエリザはそれで納得してくれたらしい。



「なるほどな。教会の奴等が言ってた神とやらは実在するのか。

ならば私は、何故あんな極悪人の奴らを放置しているのか問い詰めたいがな。」


「あはははは………



多分この世界を管理する神様が下っ端だからって言ってた気がします。

なんて言え…る…なぁ………?

エリザもキリカも信者とか教会関係者とかじゃないし。

まぁこうなりゃ隠す事じゃないと言うかキリカにはバレるし言っちゃおう。



「ボク、女神様に直接会った(気がする)んだけど、下っ端らしいよ?」


「はぁ…?」


「ふーん……でも、ローナを蘇らせてくれた事には感謝する。

ありがと女神様。」


「そうだな。私からも感謝を。我が友を返してくれてありがとう、女神ルミエール様……。」


『貴女を送り込んだだけなのに信仰を得られてびっくりしてますよ私。

あ、ちなみに私、ルミエール様本人ではありません。その配下です。』



えっ!?2人が感謝の祈りを捧げたら女神様の困惑した様な声が聞こえたんだけど!?

アレって現実だったの!?

とびっくりしてうっかり口を滑らせてしまった。



「………なんか今、女神様の声が聞こえた気がする。」


「は?何を言ってるんだローナよ。

お前もしや聖女か??」


「えっ!?それは無いと思うけど……


「エリザ、いくらなんでもあのクズと同列扱いはローナに失礼。」


「あ、いや、すまん。そうだな。」



キリカ、ガチギレ。

無表情なままだけど目が笑ってないし怒ってますオーラが凄いの。



「さて、それより魔王の話だったな?」


「んっ。ローナ、知識にズレが起きてる。

神界で何を聞いたのか知らないけど。」


「あー……うん、ごめん。教えてエリザ…?」

(※無意識に困り顔上目遣い)


「っ…!あざといなお前。」


「相手がエリザじゃ無かったら許さなかった。」


「え!?」



なんで二人共鼻を押さえてるんだろ……?

とにかく、この世界での魔王様について教えてもらおう。



「いや、しかしな、教えると言ってもさっき言った事が全てだな。

魔王は私達他の国々と同じく世襲制だ。

まぁ、どの国も共通で、きょうだいが居る場合はより優秀な者が王となるが。」


「んっ。この国が女王政なのは、何故か女性王族に優秀な者が産まれやすいから。」


「まぁな。現に今代も息子はバカだが娘は優秀だし。

……私の夫であるラインハルトは優秀な王配なのに何故か息子はバカなんだよな。

……私の愚弟も大概だったし。」


「んっ。これはもはや呪い。

エリザの弟、既にやらかして処刑されてる。」



あ、うん、思い出した。

そう言えばあの色欲バカ、婚約破棄騒動で優秀な侯爵家子女を言われのない罪で国外追放しようとしたのをキッカケに、妻にすると宣言してた男爵令嬢を介して帝国の犯罪組織に王国軍やエリザの情報を流して多額の利益を得ていたのが明るみになったとか。

目的はエリザの暗殺と王位簒奪(さんだつ)

まぁ、ボクが返り討ちにしたんだけど。


ちなみに。その男爵令嬢は帝国の者だったらしく、帝国側で裁かれて処刑されたらしい。

あちらはあちらでエリザの弟経由で王国の犯罪組織に帝国軍の巡回予定やルートの情報を売ってたとかで、皇帝夫妻直々に裁いたとか。


………うん、そうだった。

ボクあの色欲バカに襲われたな。

睡眠針で返り討ちにして即エリザに報告したけど。

全く。ボクの胸を触っていいのはキリカだけだ。

まぁ…一歩譲ってエリザになら、親友だしいいけど。

エリザは普通に恋愛対象は男性……と言うか夫であるラインハルト様だけだし、イタズラで揉んでくる程度だし。



「まぁとにかく、だ。

魔王とは私達と変わらぬただの王。

魔族だって私達と変わらぬ、普通に生活しているだけの者達だ。

確かに見た目が大きく異なる者も居るし、空を飛ぶ者、溶岩で泳ぐ者、水中で暮らす者も居る。」


「んっ。キリカ達狐族みたいに、妖術を使う人達も居る。

けど、それはキリカ達獣人や、エルフやドワーフみたいな亜人だって同じ。」


「そうだな。教会だけだろう。

人族以外は全てケモノか魔物だとか、聖魔法以外は邪法だとか抜かす馬鹿共は。」


「んっ。エリザをバカにする訳じゃないけど、キリカ達獣人族から言わせれば人族は猿族の劣化版。

魔術も妖術も精霊魔法も……他の魔法形態だって同じ。

ただ、聖魔法は光属性に特化してて見た目が派手で綺麗なだけ。

光属性魔術の方がストイックで余程便利。」


「そうだな。火、水、土、風、氷、雷、闇……光属性以外の属性でも回復魔術は行使可能だし、光属性だって元は同じ魔術なのを、発動時に派手な見た目とキラキラとした光を付与して“神の奇跡”と称して【神聖魔法】とか【聖魔法】とか呼んどるだけだし。」


「んっ。キリカ、聖魔法とかキライ。

ただの光属性魔術、の扱いで良い。

光属性魔術師の肩身が狭くなるし。」



うわぁ……嫌われてるなぁ……教会と聖魔法………やっぱりキリカを勇者パーティーから引き離せて良かった。


※実の所上位神の狙いは主人公(ローナ)がエルーナに憑依した後総スカンを食らわせる事だったりするので憑依に失敗した時点で既に計画は破綻してる事をローナは知る(よし)もない。


……?

キリカはなんでボクを見てるの?



「キリカ、聖魔法はキライだけどローナの光属性魔術は好き。

ローナは光属性と闇属性のダブルだから普段は意識して闇属性しか使わないみたいだけど。」


「………そうだね。」



まぁ実際、闇属性の方が暗殺者向きだしね。

光属性は基本的には【光化学迷彩ステルスベール】しか使わないなぁ………

回復魔術だってそのステルスからの闇属性の【ヒーリングシャドウ】&【スリーピングヒール】で充分だし。

※傷口を影で止血する術と睡眠回復魔術


そもそもあの光属性の【ヒール】って水属性の【ヒーリングウォーター】より不便……

キラキラ光ってて“治してる感”はあるけど、ヒーリングウォーターなら飲むだけなのを幹部に手をかざして時間をかけて傷口を塞ぐだけだから戦闘中には使えない。

しかも、ヒーリングウォーターと違って病気には効かない。


だから戦闘中は大抵、予めヒーリングウォーターで生成して瓶詰めにしておいた水を飲むか、

風属性の【ヒールウインド】の風を浴びるか、だし。

だから光属性の治癒は3番目なのが現実なんだ。

それでもボクは闇属性のスリーピングヒールを使うけどね。

スリーピングヒールは1度眠らないといけない代わりに体のあらゆる異常を治癒出来るから。



「でも、なんでキリカはボクが光属性を使うのが好きなの?」


「ローナがキラキラするのは良いから。」


「嫁フィルターかぁぁぁ………………



好きなひとの行動なら何でも好きっていうアレだね。

キリカは溺愛系種族の狐族だし………

………?何故か頭がチリリと傷んだ。


狐族はハーレムOKな淫らな側面もある、だって……?

は?何この情報。ボク以外の嫁や旦那なんて許さないよ?


ボク達狼族は一生の内1人だけしか愛さない執着愛の種族だからね。

キリカが浮気したら閉じ込めて洗脳&調教をしてでも2人きりになるぞ、ボクは。


もちろんボクがエリザに向けてるのは敬愛や親愛、つまりLIKEの愛だ。

キリカのエリザに対する懐き様もLIKEだと分かってるから許容してる。

キリカのLoveはボクだけのものだ。

ボクのLoveもキリカだけのもの。


………ん?

そう言えばボク、なんでキリカの求婚をはぐらかしてたんだろ。

……誰だか思い出せないけど、キリカには他に運命の相手が居るから諦めなきゃ、とからしくない事を考えてた、気がする。


まぁ良いか。



「キリカ、ボク以外のヤツを嫁にしようとか思わないでよ?」

「え、いきなり何言ってるの。

キリカは昔からローナ一筋でしょ。」


「返しが速いしゅき…♡」


「んっ。キリカも好き。」


「…………おーい、ライー。バカップルが()って目に毒だー。

昔みたいにどっかにらんかー?

たら私の傍に来てくれんかなぁー。」



あ、ごめん。

事情(腹心の部下が傍に居ないと不安&王国内がきな臭い)があるとは言え大好きな旦那から離れてるエリザには酷だった。

…………あれ?でも、確か、ラインハルト様って………………。



「……なんてな、アイツがいる訳なー

「僕を呼んだかい?我が愛しの妻エリザベートよ。」

ーいか………って、は?

あ、え??

いやまてまてまて!?

なんでお前が居るんだ!!ライッ!!」


「やだなぁ。君が僕を呼んだんじゃないか、エリザちゃん?」


「ぬわぁぁぁぁぁっ!?」



あー、やっぱり。

ラインハルト様って人族な割に執着心強い系(ボクと同類)だから………

ドッペルゲンガーのエリザベート陛下を即偽物と見破って娘とドッペルゲンガー陛下に仕事任せ、早々に城を発ったパターンでしょコレ。

あるいは最初からこうなる(エリザが寂しがる)事を知っててストーカーしていて、呼ばれるのを今まで待ってた説まである。

実績 (?)のあるラインハルト様ならやりかねない。


何せこのラインハルト様、冒険者時代のエリザ公認←(!?)のストーカーだし。

優男系イケメンなのに。金髪碧眼なキラキラ王子様な見た目してるのに。

と言うか本当に帝国の第3皇子なんだけどねラインハルト様。


エリザはエリザでそんなラインハルト様の事が大好きなのに素直になれなくてこじれにこじれて紆余曲折を経て結ばれた夫婦なんだよなぁ………


興味がなければ読み飛ばして良いけど、詳しく言えば政略結婚なんだけどね、相手が大好きなラインハルト様だとは知らなかったからエリザが何度も婚約破棄にしようとしたのをラインハルト様がのらりくらりと躱しつつ、

ただの冒険者、ライとしてエリザが冒険でピンチになる度にお助けしてた結果、エリザがライにベタ惚れしてたって訳。

あ、ちなみにエリザのピンチはマッチポンプじゃなくて本当にやらかしてた方ね。


エリザ、政務は完璧だけど冒険者としては割とポンコツで、大体ボクやキリカ、ラインハルト様扮するライが助けてたらSランクになってたやつだし。


と言うか辞める頃にはエリザの口癖(?)が『助けてくれライーッ!!』だったし。


で、強制的に“帝国の第3皇子”との結婚が決まり、結婚前最後の冒険の時、ライに『ずっとお前が好きだったがもうお別れだ。お前に会えて良かった。』とか悲恋系な雰囲気たっぷりに不意打ちキスをして別れを告げて、いざ式場でラインハルト様=ライに出会って『騙しやがったなライこのクソ野郎!!罰として一生妾の王配となれ!!!』とかなって子供も2人作っちゃいましたとさ。

ちゃんちゃん♪


ちなみにこのラインハルト様、エリザ同様にとても2人も子供が居るお父さんには見えない若顔のイケメンである。

見た目は20代前半に見える。

白馬とか似合いそう。


恋愛対象や異性としては妻であるエリザにしか興味が無いのが分かってるから、ボクもキリカも信用してる数少ない帝国人男性である。

なお、彼の母国である帝国と、ボク達の母国である連合国の仲が良好なのは主にラインハルト様のおかげ。と言っておく。


理由?そんなのエリザの治める王国の為に決まってるでしょ。エリザ至上主義のラインハルト様だし。



「ここからは僕……いや、俺も一緒に行くぜエリザ!!」



あ、ちなみに金髪碧眼キラキラ優男系皇子なラインハルト様、【冒険者ライ】モードの時はやんちゃ系イケメンに変貌する。

むしろそっちが素だ。

そしてそんなライが大好きなエリザは………



「あ…ぐ………うぅ〜!!勝手にしろ!放蕩皇子が!!」


「ふはっwww懐かしい呼び名だなそれは!」


「っ!ふんっ!!」



照れ隠しに悪態をついて笑顔でカウンターされて顔を真っ赤にして、てれりこしちゃうエリザ………あぁもう!これだからエリザってば可愛いんだよなぁ〜!主だけど!主で親友だけどっ!!



「エリザ可愛い。」

「キリカに同意。」

「右に同じ。最高だな俺の妻!」


「〜っ!!良いから行くぞお前らッ!!」


「りょーかいだよエリザ。」


「んっ。行こう。」


「ふふふ…相変わらず可愛いなぁ〜俺の妻は♪」



なんかわちゃわちゃしてきたなぁ………?


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