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IF3:陛下とキリカとボク

隠密スキルにより誰にも気付かれずにキリカと陛下の会談場所へと到ちゃー



「んっ…?ローナ、早いね?」


「え、なんで分かるのさキリカ!?

ボクまだ隠密中なんだけど!?」


挿絵(By みてみん)



ーくしたはずなのに!!

部屋に入った途端にキリカに気付かれた!?

会談中、密室にならない様に半開きになっていた扉を、音を立てずに入ったのに!!

こっわ!?キリカが味方じゃなかったら怖すぎる!!

心底味方…と言うか妻で良かった!!



「来たか、ローナ。」


「あ……取り乱してしまい申し訳ありません陛下…!」



なぁんて。

内心で心臓バックバクだったボクに、陛下がそのご尊顔を向けてきた………

元々隠密を終える所だったし、キリカに看破された時点で隠密を止めてたから今は普通に分かるからね。

その陛下はカラカラと笑い、気にするなと手を振ってくれた。

見た目がクール系の美人なのに中身や仕草は気さくで話しやすいのが陛下の魅力なんだよねぇー。



い。

普段は鉄面皮なお前も、(つがい)の前では年相応で安心するからな!」


「ありがとうございます陛下……



って、TU GA I …?

ツガイ、って、あのつがい??

獣人における夫婦概念のつがい!?

Why?

え。

ボクと、キリカが…?


………まぁ。


当然だよね!!ボクとキリカは相思相愛なんだし♡

あ、陛下の御前なのにしっぽがブンブン揺れちゃうんだけど!!


けど、それを見た陛下は愉快そうに笑った。

聖人過ぎない??



「ははは!お前の尻尾は素直だな!!嬉しそうに振りおって!!」


「……お恥ずかしい所を。」


いぞ!!

妾は気にはせぬ!むしろ部下に愛する者が居るのを嬉しく思うぞ?」


「ありがとうございます陛下。」


「さて、では話を戻すとしようか?」


「んっ。よろしく、エリザ。」



あ、ちなみにキリカが陛下に対して敬語じゃないのは、陛下が気さくなのもあるけどキリカの立場が獣人連合国の姫だから、そして今は非公式な会談なのもあるからだ。

立場的には他国のNo.2…王妹が友好の証として同盟国の長の護衛をしている、と言った所かな。

なので立場的には同等だし、そうでなくても2人は友達だからね。


まぁ、敢えて偽悪的に言うなら『守ってやってるんだから多少の無礼は許せ』といったところだけど………

エリザベート女王陛下が寛容的なお人じゃなかったら不敬罪とか言われそうな態度だね。


それはともかく、話の続きとやらだね!



「さて。お前が勇者パーティーを抜ける、という話だったな。

それに関してはあっさり通った。」


「そっ。やっぱりね。」

「えっ!?何故ですか陛下!」



ボクとキリカは反対の反応を示した。

けど、すぐに理由は思い当たった………

何故ならキリカは………



「……もしかして、キリカが()()()()()ですか?」


「ああそうだ。

携帯念話器により妾からその話を出した所、勇者シャルル以下3名から『所詮ケモノには聖女様の崇高な思想は理解出来ないのだろう』と言われてな。

…全く、獣人族をはじめ、亜人と呼ばれる者達もまた、我が国の民だと言うに嘆かわしい。」



そう言ってやれやれといった様子でこめかみを押さえた陛下は、続いて怒りの表情で続けた。

その瞳は片方が紫色になり、幾何学模様が浮かんでいる……ボクとキリカだけが知る陛下の能力、【読心の魔眼】だ。



「聖女は聖女で表向きの理由では『パーティーの和を乱す者は要りません』との事だったが………本心では『ケモノ臭いガキが自ら辞退してくれて良かったわ』などと思っておった…!!

ふざけおってあの偽聖女がっ!!」


「へ、陛下!?

仮にも聖女であるあの方への誹謗中傷は不味いです!!」


「安心せいローナ、今の妾の発言は他者からは『ふざけおってあの【ピー】が!!』にしか聞こえん。」


「んっ。流石エリザ。」


「いえ、あの、余計に危ないですよ陛下!?」


「気にするなローナ。

教会の狸共は教会は治外法権だと抜かすが、実際はあらゆる国から総スカン、いや総敵対を食らっとるだけだからな!!

いざとなれば連合国だけでなく帝国も公国も妾達の味方をしてくれるぞ!!」



そう言って陛下はドヤ顔してるけど……

え、まって?

この世界の教会ってクズ聖女以外は清廉潔白な正義の組織じゃなかったっけ??

あれ?この世界…?って…なに…??

だめだ……()()()記憶が所々おかしくなっていて訳が分からない…!!

とりあえず落ち着こう。


混乱するボクだけど見た目は無表情だからか、陛下は気にせず、更に続けた。



「そもそも、女王である妾から『キリカは連れていかないでくれ』と頼んだのにあの言い草は解せぬ。」


「んっ。エリザの近衛騎士で隣国の王妹であるキリカをなんだと思ってるの?あの聖女モドキ。

獣人連合国は元々エリザの味方だけど、今回の件で教会は益々嫌われる、ね。」


「本当にアホだな、あ奴ら。」


「んっ。特にあの3人…主君であるエリザをバカにしてる。

アレに傾倒するとか、見た目しか見てないんじゃないかな?」


「だとしても妾の方が彼奴あやつより見た目も中身も美しくないか?

キリカにローナよ。」



一見ナルシスト発言だけど陛下は普段そんな事は言わないからきっと冗談なんだろう。

けど敢えて乗っかるか。



「ふふっ…そうですね、陛下程見た目も中身も美しく清廉潔白な一国の主はそうそういらっしゃらないかと♪」


「んっ。エリザが見た目も中身も綺麗なのは当たり前。」


「〜っ!?

ふぅ……冗談のつもりだったのだが…まさかの褒め殺しで恥ずかしいぞ…?」


「ふふっ…申し訳ありません♪」

「え?今の冗談なの??」


「……え?」

「んっ…?」

「なんとっ!?」



……と思ったらキリカは真面目に返してるんだけど!?

てか陛下が椅子に座ってたのにズッコケたんだけど!?

お茶目さんだなぁ!?

ボクが侍女として陛下を抱き起こすと、椅子に座りなおした陛下はキリカに向かって苦笑いを浮かべた。



「いやキリカお前、妾をナルシストだとでも思っとるのか?」


「何を言ってるのエリザ。

キリカはエリザをナルシストだとは思ってない。

ただの事実確認だと思った。」


「………っ。…………っ!!

キリカお前なぁ!?そうゆう所だぞ!?」



あららー……顔を真っ赤にして悶えちゃって……乙女かな??

いや、乙女だね、見た目年齢 (18歳)的にはまだ。

いや、実際は子供が(18歳の王子と16歳の姫の)2人居るんだけどさ、なんだろうねこの美魔女さんめ!

リアル永遠の18歳をしてる2児の母ってファンタジィ過ぎるわぁ〜………

子供2人と並んでても3人きょうだいにしか見えないし。



「「あ、陛下 (エリザ)可愛い。」」


「お前らなぁぁぁぁっ!?」



おっと、思わず本音が。

両手で顔を覆って悶え始める陛下が本当に可愛いなぁ〜…

そんな陛下は悶えるのを止めると、おもむろに立ち上がった。



「決めた。やはり妾はお前らと共に行くとしよう。」


「え、あの、一国の主が何言ってるんですか?

流石に冗談が過ぎますよ陛下?」



が、陛下はニヤリと笑うと(可愛い)、指パッチンをした。

すると…?



『喚んだか?妾よ。』


「おう、喚んだぞ妾よ。」


「えっ………陛下が2人……?

もしや、【ドッペルゲンガー】の秘術ですか??」



……陛下が2人に増えた。

けど、ボクはソレを知っている。

何故なら、キリカの兄や陛下に教えたボクも当然使えるからだ。



『そうだぞローナ。

妾はもしお前らが獣人連合国に帰ったり、妾の側から離れる様な自体が起こった場合に備えて生み出された存在だ。』


「うむ。

以降、そっちの妾が女王職を引き継ぐ。

まぁ、そっちも妾だから何も変わらんがな。」


「え、それ大丈夫なんですか??」


「問題ない。狩りがしたい兄さんもよく使ってる。

兄さんの場合は手を加えて事務仕事大好きなドッペルにしてるけど。」


『妾の場合は、ローナとキリカに対する想いを切り捨てた妾だな。』


「そうじゃないと2人が居ない寂しさに狂いそうだからな、妾。」


「そこまで!?」


「それにな、ローナ。

今の王国内はどうにもきな臭い。

教会の狸共がなにか仕掛けてるかもしれん。

ゆえに妾は1度王国を離れようと思っていたから丁度良い機会だ。」



え、原作にそんな設定無かったよね!?

と言うか教会腐ってない!?

この世界色々と狂いすぎだよ!!


は??この世界?原作??……また()()()()()()()()

うーん……なんか、気持ち悪い、()()()()()()()()()()()()()()だ。


………まぁいいや、ともかく、ドッペルゲンガーなら質量を持った分身だし、“魔力切れで消滅”とかもしないシロモノだから大丈夫ではあるけど。

ちなみに、血は影そのものの様に真っ黒だから、斬られたりしたらバレてしまうのでボクが死んだ(っぽい)時は使わなかった。

後でキリカに怒られそう。


だからまぁ、その事を考えたら、ボクが生きていたとしても主が死んだ後も稼働しているドッペルゲンガーって事になるかもね~。

まぁ、どの道あのクズに出くわすのは勘弁だから死んだ事にしたままのがいいかな。



『ともかく、城や夫と子供達の事はこの妾が何とかするから、妾の本体を頼んだぞ、ローナ、キリカ。』


「よろしくな。たった今より、妾は【女王・エリザベート】では無く、【ただの冒険者エリザ】だ。」


「んっ…!伝説の冒険者、【魔眼の射手】の再誕…!」


「その二つ名は恥ずかしいから普通にエリザと呼べキリカ。

ローナ、お前もな?これより妾…いや、私はただのエリザだ。

お前達夫婦の親友の、な?」



え、まって。

ローナの記憶によれば、陛下…いや、エリザは女王になる前はこっそり冒険者しててその階級はSランクだったって記憶があるんだけど!?

何してたのエリザ!?

って……ス ナ イ パ ー だ よ!!

読心の魔眼で相手の位置や弱点を看破して遠距離から銃殺してた人だよ!!!!

びゅーてぃふぉー……


いやまって、ボクもSランクなんだけど!?

まってまって!ボクは【牙狼崩月】とか呼ばれてたの!?

はっっずいわ!!!

なにその二つ名ッ!!意味わかんないって!!

とりあえずそんな二つ名要らないから無視だよ無視!!


という訳でボクとへい…エリザも旅支度を始めたのだった。

まぁ。ボクは死亡扱いだったから常に隠密しながらだったけど。


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