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IF1:返り討ち

今回は既に終わった話の別ルート……

という訳で改めてプロローグのあらすじ。


災害で死亡した主人公は、女神様のお願いで別世界に魂だけの転移をしました。


女神様曰く、弱小神なので転生枠などのリソースが貰えなかったから魂だけでの転移、しかも、“チートは一切無し”、なんだそうな。

それでも良ければ、と聞かれ、それを受け入れて転移をした主人公。


そこは、主人公が生前読んでいた復讐モノ小説の1周目。

まだ復讐者では無い女騎士、シャルロッテを救うべく、主人公は行動開始したのでした。



……そう、今回、【憑依無効を貫通する力は無い】本当の無チート状態なんです。

はてさて、どうなるのやら。

女神様の力で王城内に転移したボクは聖女(笑)を探し始めた。


幸いにも小説には挿絵もあり姿についても言及されていたから聖女(笑)を探すのは難しくない。

なにより今のボクは霊体だ。

聖職者とか霊感持ちでない限り誰にも見つからないし触れもしない。


が、相手は仮にも聖女だ。中身はクズだとしても。

当然霊感もあるだろうし除霊能力も高いと見た方がいいだろう。

とは言え、ボクは悪霊では無いただの霊魂だし、そこら辺はどうなんだろ?

………まぁ、そもそもが追加の人生(?)だ。

もしも除霊されたらそれまで、だね。



(おっ?)



しばらく城内を探索していると、目的の聖女(笑)が寝ているのを発見した。


うん、小説での記述的に居るとは思ってたけど本当に城に居たよ。

しかも昼間から惰眠を貪ってるし。

なんなんだこの聖女(笑)。

ま、寝てるなら都合が良い。

さっそく憑依して身体を奪ってやる。



『ーっ!?』



が、やはり腐っても聖女だからか、何かの力に阻まれて憑依する事は出来なかった……

やはり、リソースが無いからと本当にただの憑依能力程度しか貰えなかったからかな………



「んん……?」


(あ、マズイ…!)



エルーナが起きる…!

ボクは諦めて尻尾を巻いて逃げるしか無かった………

あのエルーナじゃ、見つかったら即除霊だろう。

別にそれならそれで良いとは言え、好き好んで除霊されたい訳じゃないし。













最優先目標だったエルーナの身体強奪に失敗したボクは、とぼとぼと城内を浮遊していた…………

はぁ………女神様、やっぱりただの霊魂にはなぁんにもやれる事がないよ………

何にも触れない、誰にも気付かれない。

だったらボクに何ができるってのさ…………


まぁ、そうやって腐ってても本当に何も出来ないし、とにかく何かやらないと………!


気を取り直して城内を探索していると、前世…と言うか生前?の最推しだった女騎士さん……シャルロッテさんを見つけた!!


どうやら鍛錬後らしく、シャワーを浴びてきた帰りみたい……

うわぁ………色っぽい……確かこの時点で24歳。

大人の色香ってやつかなぁ…?


そんなシャルロッテさんに惹かれて後を付いていくと………ゲッ!エルーナだ!!

何でここに居るのさ!?


ボクは咄嗟に逃げだー



「ディバインジャッジメント!!」


『ぎゃぁぁぁぁっ!?』


「ん…?」


「除霊完了ですね!」



ーせなかった………うぅ…だめだ………意識が薄れていく…………最期に聞いたのは、エルーナの勝ち誇った様な耳障りな声だった……………















「貴女…は…エルーナ様ですか!?」


「あら?うふふ…そうですわ♪

私はエルーナ、教会から派遣されてきた聖女ですわ!!

よろしくね騎士様?」


「は、はい!お会い出来て光栄です!!」

















結局、ボクはエルーナに瞬殺…既に死人だから瞬殺は間違ってるかもだけど…をされて天界にトンボ帰りしてしまった…………



「え、あの、お早いおかえりですね…?」



どうやら(神様なのに)事務仕事をしていたらしい女神様は、書類から顔を上げるとメガネをかけている(可愛い)キョトンとした顔で首を傾げた。

あざとかわいいですよ女神様。

それはともかく………



「当たり前だよ女神様……ボクはただの霊魂なんだから、聖女(笑)相手にも勝てやしない…………もうやだ…これなんの罰ゲームなの?チートなしのただの霊魂で転移って………


「しかし、それでも良いと言ったのはあなたですよ?」


「うーん………まぁ、そりゃそうなんだけどさぁ………それに、1回失敗した位で諦めたらだめかもだけど、でも、何度転移してもエルーナや聖職者に見つかったら除霊されるだけだし……


「そうですか……まぁ、無理強いをするとあなたの魂にヒビが入り、悪霊に堕ちる危険がありますからね。

やる気が削がれたのであれば、諦めていただいても構いませんよ?

………まぁ、その場合、私は剪定世界の神として上位神に消されますし、この世界は破棄(せんてい)してしまいますが。」


「…完全消滅したくなければあがけと?」


「いえ、重ねて言いますが下手をするとあなたが悪霊化するのでご無理はなさらず。

それに、あなたは消えませんよ?

ただ地球世界の輪廻転生の輪に戻されるだけですのでご安心を♪」


「………。」



なんで……?

なんで、この女神様は笑っているの??

自分は消されるかもしれないと分かっているのに………



「と、お思いでしょうが、私は所詮、上位神の方々の暇潰しに造られた世界の造られた神なので。

ほら、人間の皆様も、飽きた物語や、つまらない物語は捨て置くでしょう?」


「……神様スケールの考え方だから?」


「有り体に言えばそうなります。

私は端末。私を造った神の1部に還るだけですからね。」


「……そっか。」



これは、議論を重ねるだけ無駄な話、かなぁ………

それがなんだか切ないけれど、本人はなんとも思って無さそうだし……これ以上は野暮か。


なら、アプローチを変えてみる……?



「ねえ女神様。」


「ハイなんでしょう人間さん。」


「ボクの魂を圧縮して、小さい命……妖精とかにしたりって出来る…?」


「えっ…?………ふむふむ、そんな事、考えませんでしたね。それは本来、転生枠なので。」


「追加能力なしでも厳しい?」


「はい、私には地球世界から来た方へのこの世界への転生の権利はありませんので。

それをするのであれば、既に死した精霊や妖精、といった存在にあなたを入れる程度、でしょうか?

この方法であれば直近で死んだ方への憑依であれば………あ、ちょうど今誰かが亡くなりましたね。」



神様スケール!!!

死を軽く扱いすぎぃ!!



「えっと、亡くなられた方は………【トワ・ピュアライト】様、ですね。」


「…………ピュアライト?」



え、それって……



「あ。ハイ。お察しの通り、マリア・ピュアライトの妹ですね。

運命通り媚薬の摂取による身体への負担で心臓発作を起こして亡くなりました。」



………。

トワか。

けど、その場合マリアは復讐者になる所かあのクズを崇拝しそうなんだよなぁ………

いくらボクがあのクズを拒絶してもマリアに叱られそうだし……

『恩人の方に対して無礼ですよトワ!』

とか嫌な展開だ。

トワやマリアには申し訳ないけど、そもそもトワの身体を使っても中身はボクだ。

原作のトワは物語には一切登場しないから演技も出来ないし、そもそも知っていて演技をするにしてもトワをよく知るマリアに看破されて破綻する未来しか見えない。

なんならあのクズ聖女に悪霊として浄化されるかもね。


「そうですかぁ……ワガママですね?」


「そう………だね。うん。」


「ならやはり手はありません。

地球世界へお帰り下さい。

私の都合に巻き込み、申し訳ありませんでした、人間さん。」


「……………。」



本当に、これでいいのかな?

まぁ。復讐と言っても、ただこの物語を見ていただけのボクに、そこまでの熱量がある訳じゃないしね…………



「あ、また死にました。今度は獣人の方ですね、この世界の聖女がケモノ嫌いなので徒に嬲り殺しにされたみたいです。」


は?


「ちなみに名前はローナ。狼獣人のメイドで、マリアの同僚、キリカ・ナイトグレイの親友、ですね。」


は??


「あ。ちなみに、都合のいい事に性格はほぼあなた、と言うか、この世界におけるあなたの立ち位置ですね。」


は????


「ご都合主義?いえいえ、これも運命ですね。元々、ローナもこの日死ぬ運命でした。

()()をご存知でしょう?」



いや、ローナに関しては名前すら出なかった端役だよ!?

と言うかあのキリカちゃんの親友なのになんで名前すら出なかったの!?



「あー……作中でキリカがそれを知る事はありませんでしたから。」


「でも親友から突然連絡が来なくなったらー


「この後すぐに魔王討伐の旅に出たからですよ?

メンバーは、全員手練、トワが死に、ローナが殺されたその日に旅立っているからキリカは知る由もなく、帰ってきて直ぐにシャルロッテは処刑、キリカはシャルロッテに逃がされて逃亡生活。

親友とは言え、ローナについて知りえなかった、知る暇がなかった。」


「こじつけかな??」


「どうとでもお取りください。」


「…………はぁ…………で?ボクにローナになれと??」


「それもまたご自由に。

地球世界へお帰りならそれはそれで良しです。」


「つめたくない??」


「………………申し訳ありません。

今の私は所詮、端末なので。

私は神に造られし人形の様なモノですから。心や感情のキビ、といったモノが分からないのです。」


「…………………これもまた、平行線。か。」


「ですね、それはそうと、死体の鮮度が下がる程に魂の定着が厳しくなりますよ、決断はお早く。

それともここはまだ悩む事にして別の死体を待ちますか??

ローナの死体は……【マリアの同僚でキリカの親友である狼獣人の美少女の身体】は今しか手に入りませんよ??」


「言い方エグない??」



ちなみに、姿が表示されたけど確かに美少女な犬…もとい、狼獣人のメイドっぽい。


挿絵(By みてみん)



「恐縮です。」


「褒めてない褒めてない。」


「そうですか。それはともかく、ローナに成ります?成りません??

成り代わりするなら今だけですよぉ〜??」


「煽りよる。」


「あ、ちなみにあと40秒で決めてください。」


「タイムリミット短っ!?え、そんなに早く!?てか40秒ってあんた何処ぞの盗賊一家の女リーダーだよ!?」


「突っ込むヒマあります??」


「ああもう!分かった!!分かったよ!!

ローナに成り代わってでもあの世界に再降臨してやるよっ!ちくしょー!!?」


「はい♡承りましたー!!」


「いい笑顔だなぁ!?女神様!!」


「あ、ちなみにローナさん、()()()()ですよ♪」


「は?」


「では、良き狼メイドライフを。」


「は???」











side:女神


「ふぅ………やれやれ、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()ですからね。

神々の暇潰しに付き合わされるとは…なんとも数奇な運命ですね?瑞樹さん…?」



上位神の暇潰し、一度ハッピーエンドを迎えたあの世界を、もっと改悪してみた場合の世界線。



ローナ…さっきは。

アレコレ理由付けをしましたけど、彼女、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()なんですよねぇ…………

しかも、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()状態からのスタート。

真の聖女エルーナに成るはずだった人物…瑞樹さんは別人の身体に入り、

シャルロッテは悪女エルーナの信奉者でしかも……ですし、

キリカの性格や地位や実力も原作や正史世界とは違います、

正史世界で魔王様を鎮めたトワはこの世界線では既に死亡し、

その影響で神託は変わらず、マリアが旅に同行しないので話にはもう絡まないこの世界線。

そんな神々の気まぐれ。どう転ぶのか見ものですよ、ルミエール様?

まぁ、所詮私はルミエール様の端末。


本来の世界線には居なかったローナがどう物語を動かすのか………見届けるのみです。

という訳で、1度ハッピーエンドを迎えたはずのお話。

別ルートの開幕です。

こちらはギャグノリ控えめビターテイストで進む予定………ではありますので悪しからず。

一応。予定では。はい。

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