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改変2:聖女(の身体)は人たらし

さてと、お忙しい国王陛下との謁見は夜みたいだし部屋で休んでおこう。


それにしても豪華な部屋。

聖女だからって特別待遇だなぁ…………

使用人まで付いてるしさ。


あ、ちなみにこの使用人さんは聖女(笑)が寝てる間は控え室に居たから乗っ取りには気付いてない。

と言うかあの聖女(笑)、使用人の前でも善良な聖女のフリをしてたから違和感を感じられなくて良かった。



「聖女様、お茶をお持ちしました。」


「ありがとうございますマリアさん。」


「いえ、コレが私の務めですので…


「それでもありがとうございます、こちらをどうぞ。」


「キャラメル…ですか?ありがとうございます聖女様。」



ボクは給仕が終わったマリアさんの手にキャラメルを乗せた。


マリアさんは茶褐色のゆるふわロングヘアで、新緑のようなミントグリーンの瞳をした優しげな美人さんだ。

……母性の象徴も中々なものをお持ちで。


こほん…そうそう、マリアさんにあげたこのキャラメル、なんか聖女(笑)が持ち歩いていた特別製みたいでさ。

1粒食べたら疲れがふっとぶんだ。

……しかもコレ、意外な事に聖女(笑)のお手製。

だからその記憶を取り込んだボクも作れたりする。

と言ってもありふれた材料で簡単に作れるみたいだし神聖力を込めて作ってるだけなんだけど。

って言ったら失礼かなぁ……


それはそれとして。



「マリアさん、私は聖女と言っても大した者では無いのでもっと気軽に接してくださって構いませんよ?」


「いえ…ですが……


「大丈夫です。私は一介の聖職者…敬われる程の者では無いのです。キャラメル、もう1つどうぞ。」


「聖女様…いえ、ではエルーナさん、とお呼びしますね?

敬語口調なのはクセなのでご容赦を。」


「はい♪仲良くしましょうねマリアさん!」


「……………女神様ですか?」



あれ?アルカイックスマイルを浮かべたらマリアさんも顔が真っ赤に……もしや(ボク)に惚れた…と言うよりこれは信仰…かな?

まさかこの身体、天然の人たらしの才能持ってた?

※中の人は鈍感属性でも勘違い属性でも無い


原作だとクズだったから真の力が発揮されなかっただけで。

あ、そう言えばこの侍女さん。確か病気がちな妹さんが居たはず………ならこの事を伝えておかないと。



「そうそう、貴女に差し上げたキャラメルには私の神聖力が沢山込めてありますので、疲労回復の他、万病にも効きますよ。

もしその様な方が身内に居るようであればミルクと一緒に温めて溶かして飲ませてあげてくださいね?」


「えっ…?」


「貴女にも神の御加護があらんことを。

マリアさん。」


「っ…!エルーナさん…!!」


「あらら?もぅ…あまんぼさんですか?」



感極まったのかマリアさんが抱きついてきた……シャルと同じかそれ以上の双丘をお持ちだから柔らかいねぇ…?(現実逃避)



「それより私が甘えたいですね。

そんな時、貴女に甘えさせてもらって、良いですか?」


「は、はい!エルーナ様なら何時でも!!」


「ふふっ♪様だなんていりませんよ。

むしろ私の事はエル、と気軽に…いえ、妹の様に【エルちゃん】とでも呼んで下さいなマリアお姉様♡」


「っ…!はいっ!エルちゃん!!」


「んふふ♪」



マリアさんが私を膝の上に乗せて頭を撫でてくれる……あ、これ気持ちいい…………

この身体は小さい方なのもあって頭に双丘が当たってるのも良い。

なんなのこの身体。

聖女(笑)は余程間違った道を進み続けてたって事じゃないか。

【情けは人の為ならず】とは言うけれど、この身体の場合、倍以上になって返ってくるらしい。

反面、【因果応報】の力も強いみたいだから、悪行をした分もキッチリ返ってくるんだろうね。

倍以上になって。

だから、聖女(笑)は最期には…………………




























ほら、貴女の妹さん、ご病気なのでしょう?このキャラメルを食べさせてあげなさい。


これは…?


万病に効く様に私が作りました。下手な薬より効くはずですよ。


っ…!ありがとうございます聖女様!!


うふふ♪

(まぁ、嘘だけどね!中身は媚薬……病気で弱っているだろう人が発情したらどうなるのかたのしみだわぁ〜♪)


~翌日~


っ!聖女様!!!


あら?何かしら侍女さん。


あ、あ、貴女のくれたキャラメルを妹に食べさせたら!!


食べさせたら?


一時元気になったと思ったら朝には死んでしまいました!どうゆう事ですか!?


あっははははははは!!!なるほどぉ!♪そうなるのね!!

実験に付き合ってくれてありがとう♪


なっ!?実験…?実験ですって…!?そんな事のために!!私の妹は…!!


あははははは!!アタシの言葉を鵜呑みにして妹に与えたのはアンタじゃないの!!

八つ当たりはやめて欲しいわね!

衛兵!コイツをつまみだして!


はっ。


なっ!?離しなさい!!聖女エルーナ!!私は!あんたを絶対に許さなー


あはは♪許さない?誰に向かって言ってるのかしらねあの女。

さぁて………王子様にこの媚薬入りキャラメルを食べさせて既成事実を作っちゃお♡

待っててねアタシの王子様ぁ~♡









ああ。コレはボクがこいつの身体を奪わなかった場合の未来だ。

そう、コイツは、あんなに妹想いで優しいお姉様であるマリアさんを…!!!

だから、ボクはマリア()()を、()()()()()を助けるんだ…!!

本物の万能薬(エリクサー)キャラメルで!!









































「エルちゃん、起きて下さい。そろそろ時間ですよ。」



あれ…?いつの間にか寝てた?



「んぅ…おはよぉ……マリア姉様………


「っ…!可愛い過ぎ……ふぅ……支度を手伝わせて頂きます。」


「うん、ごめんね…お願いマリア姉様……


「……………………。」



ん?どうしたのかなマリア姉様。

固まっちゃって。

あ。



「マリア姉様、今日はこの支度が終わったら家に帰ってあげてね?

トワちゃん、待ってるでしょ?本当ならさっき帰してあげたかったんだけど…ごめんね?」

↑まだ若干寝ぼけてるので敬語が抜けてる+しれっと会ったことも無い妹の名前を言ってる事に気付いてない


「エルちゃんは天使様ですね?」


「??」



さて、支度も終わり、急いで(ボクが脚力バフをかけたから本当に超速で)帰ったマリア姉様を見送ったボクは国王陛下への謁見の場へ向かうため、道案内を頼もうと騎士様を探そうとしたらシャルが迎えに来てくれたよ!

やっぱりイケ女ン!好き!!付き合って!!

あ、もう付き合ってた。

道すがら、何故侍女が居ないのか聞かれたからありのままを話したらシャルは呆れつつも優しい顔をしてくれた………好きぃ♡



「まったく、キミは本当に根っからの聖女様、なんだな?」


「うふふ♪マリア姉様は私の侍女さんになってくれた方なので優しくしたかっただけです。

いわば私のわがままです♪」


「そんな可愛らしい我儘は我儘とは言わないぞエル。」


「そうですか?」


「そうだよ。」



そんな雑談をしながら謁見の間に到着したボクをシャルが優しくエスコートしながら広間へと足を踏み入れた。

ボクは礼儀としてシャルにエスコートされながらうつむき加減に歩き、止まった所で跪いて左胸に右手をあてて頭を垂れ、臣下の礼をとった。

話は騎士であるシャルがするはずだから、聖女とは言え部外者のボクは陛下の許可があるまでこの姿勢で黙っていよう。



「エリザベート国王陛下、聖女様をお連れしました。」

※この国は今代は女王陛下である


「うむ、ご苦労だったベイルフリード卿。」


「はっ。

私めはこのまま聖女様のお側に控えさせていただきます。」


「うむ、こちらこそ頼む。」


「承知しました陛下。」


「…して、発言を許可する故、(おもて)を上げよ聖女エルーナよ。」


「はい、陛下。」



ちなみに、原作のエルーナはこの場面で堂々と(つら)を上げて入室して礼もせず勝手に話し始めた。

口調こそ敬語だったけど敬う気ゼロって態度だったよなあの聖女(笑)。


ボクはそんな事をしない。

そもそも、王子(笑)と違って陛下は本当に尊敬出来る人格者だった。

………………それだけに、クズな王子(笑)や聖女(笑)は気に食わず、魔王討伐の旅が終わったあと、周りを魅了して操った聖女(笑)(エルーナ)が陛下を毒殺したんだ。

本当に、クズ。


っとそれより神託についてだ。

って………あれ………?聖女であるボクの頭の中には神託の文言があるんだけれど、内容が変わってる…………?

なんで………?なんで…………彼女達が…………!?そんな………!!

ボクが、おかしな行動をしてしまったから………??



「どうしたのだ、聖女エルーナよ。」


「っ…!」



仕方ない………隠し立てするのはよろしくないし、

思考が鈍くなってきたからここは【神呼吸】だね。

ごめん………ボクのせいで貴女達の運命が変わってしまったかもしれないけど。



「すぅ……っ。

……はぁ………っ。

すぅ…ふぅぅぅ…………………っはっ!!」


「…失礼します陛下、発言をお許し下さい。」


「うむ、()いぞベイルフリード卿。」


「はっ。

恐らく聖女様は極度に緊張なさっていたご様子。

今、聖職者独自の呼吸法、“神呼吸”にて精神を整えたようです。

また、その効果により聖女様は一部の感情が抑制される為、少々無作法になる部分もある事を予めご了承ください。」


「あい分かった。

忠言、感謝するぞベイルフリード卿。

で、あれば聖女エルーナの多少の無礼は許そう。」


「はっ。ありがとうございます陛下。」


「うむ。

…して、落ち着いたか聖女エルーナよ。」


「はい、陛下。

大変お見苦しい姿を晒し、申し訳ございませんでした。」


「良い。それでは話を聞こう。」


「はい、陛下。

此度、ボクがここへ参りましたのはこの国に勇者となるお方、並びにその仲間となるべくお方の神託を授かったからです。」


「ふむ。続けよ。」


「はい。

その者の名をここに告げさせて頂きます。

先ず、今代の【剣の勇者】に選ばれた方はボクの隣におります近衛騎士隊長のシャル…【シャルロッテ・ベイルフリード】公爵様でございます。」


※シャルロッテは近衛騎士隊長な為、この時点で爵位を継いでいる

つまり原作でも【この国唯一の公爵にして勇者】を私利私欲で処刑した、という事。クズ過ぎない??



「なんとっ!?」


「そのお仲間として近衛騎士副隊長の【キリカ・ナイトグレイ】侯爵令嬢様が【弓聖】として、

そしてボクに付けてくれた侍女のマリア姉様…【マリア・ピュアライト】伯爵令嬢様が【暗殺者(暗器使い)】、

更にその妹【トワ・ピュアライト】伯爵令嬢が【賢者】として選ばれました。」



ちなみに【賢者】は【聖女】と同じく聖なる力と魔の力、両方の魔法を扱える者の中でも聖職者では無い者か聖職者でも男性(そちらは聖賢者とも呼ばれる)のことを指すんだ。

ちなみにここでの【魔の力】とはいわゆる攻撃魔法の事だよ。

でも、聖なる力は高位聖職者にその実力をみとめられて祝福を受けないと使える様にならないんだ。


ゲーム風に言えば実績解除、かな?


でも、神託に示される程ならその【トワちゃん】は素養も勉学も充分、という事。

もしかしたら、病弱故の本の虫かもしれない……


それにしても、マリア姉様は暗器使いだったのか…それなら何で原作だと簡単に騙されてたんだろ…?

病弱な妹に対する焦りとかあったのかな………

そう言えば、現実でも簡単に万能薬(エリクサー)キャラメルに喜んでたもんなぁ……

まぁ、現実で渡したのは本物の万能薬(エリクサー)だけどさ。


“マリアさん”は騙されて妹さんを亡くした後で復讐心から暗殺者になったんだもんなぁ。

元々素養はあるって事か。

それとも、今日も暗器を隠してた…?



「…神託はそれだけなのか?聖女エルーナよ。」


「はい、ボクを含めたこの5名で魔王討伐の旅へ出よ、との事でした。」



けど、残り2人は本来なら騎士団長の息子と魔術師団長の息子だったはず。

原作だとその2人も聖女(笑)にコロッと騙されてシャルを処刑するのにも加担してたから神託を授かったからと言って端から連れてくつもりは無かったけれど。

ちなみに、このメンバーの中では現実でも原作でもシャルが年長者でリーダーだね。


シャルは近衛騎士隊長をしていただけあって指揮能力も高いし、リーダーとしても妥当だと思う。

まぁ、息子2人は女がリーダーとかやってらんねぇとか何とか悪態ついてたけどね。クズ過ぎないかな。

能力の善し悪しに男女は関係ないよね??

そもそも、国王陛下自体が女性である女性君主国でなぜそんな不敬な考え方が出来るんだろうか。


シャルは生まれが公爵家だったから近衛騎士隊長になれた訳じゃない。

特に近衛騎士隊は王族の身辺警護をするエリート集団、つまり完全実力主義の世界だ。

その隊長をしていたシャルが勇者として能力不足な訳が無い。


まぁ、身辺警護と魔物討伐じゃあ勝手が違う、のかもしれないけど。

それだって原作では乗り越えていたし、鍛錬は欠かさなかった。

復讐者となった2週目だってそうだ。

だから、ボクは………



「陛下、僭越ながらシャルの事はボクが支えます。

ボクは恋人であるシャルの事を愛していますので。」


「エル!?」


「ほぅ…?」


「あっ!へ、陛下!これはですね!?あの…っ!

っ…!エル!?陛下の御前で変な事を言わないで下さい!」


「変?これは必要な事だよ。」


「あぁもう!!羞恥心ゼロはやりにくいな!?

陛下!申し訳ございません!!

コレも神呼吸による感情抑制のせいですので!?」


「ははは!よいよい!!それよりも面白い事になっておるからな!

ははは…あの堅物のベイルフリード卿に恋人、それも最近我が国でも見掛けられる様になった同性の者とは…しかも、あの冷徹卿がワシの前で取り乱すとはな…ふははっ!!」


「陛下ぁぁぁ………


「はははははっ!良いぞ良いぞベイルフリード卿よ!そなたが率先して同性の恋人を持てば他の者も堂々とし易かろうて!良くやったぞ!!

国王としても一人の人間としてもそなたらを祝福しよう!!」


「…ありがたき幸せでございます陛下。」


「……?」





何故かグダグダになった感じで謁見は終了したのだった。

※なお、後で正気に戻ったボクは羞恥心やら後悔やらで悶え苦しんだ事をここに記しておく。

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