改変後8:守護天使シャルロッテ?
ルイーゼ様からシャルの延命措置について聞いたボクとキリカちゃんは早速シャルの元へとやってきた!
だけどシャルはまだ訓練中で、ジュードさんと模擬戦をしているのを見学する事にした…んだけど…?
「さぁ、回復はしました。
次の1戦で今日のお稽古は終了といたします。
故に………本気でかかってきなさい、シャルロッテ!!」
「はいっ!胸を借りますジュード師匠!!」
その会話を最後に2人の姿が見えなくなり、でも剣戟の音だけはその場に激しく響き渡る…!
そして、再び2人が姿を現した時、荒い息で膝を着くシャルと涼しい顔で立っているジュードさんが居た。
「まだまだですねシャルロッテさん♪」
「はぁ……はぁ………やはり師匠には敵いませんね………ふぅ…………
「……えっ!?今の動きなんですか!?」
ボクには何が起こってたのか全く分からなかったよ!!
「んっ。2人はすごい速度で切り結んでいた。
この数秒の間に鍔迫り合いが5回、技のぶつかり合いが3回。
ジュードはシャロンの斬撃を大体避けてたけど気まぐれに鍔迫り合いに持ち込んでる、って位に余裕そうだった。
最後にジュードがシャロンの模造剣を破壊して終了。」
「え、キリカちゃん見えていたんですか…?」
「んっ。『キリカじゃなきゃ見逃しちゃうね!!』
………って、言う機会があったらエルに言ってみて、とこの前ルイーゼが言ってた。」
「さすが獣人、といったところでしょうか……?
それはそれとして、キリカちゃんに変な言葉を仕込むとか何してるんですかね精霊神様!?」
「んっ。『聖女はキリカともあっち向いてホイするべき。』
って言ってみて、とかも前に言われた。」
「精霊神様…………
楽しそうでなによりだけどキリカちゃんに変な事教えるのはやめてもらえませんかねぇ!!
青春の物語とかコッチの物語と一切関係無いし!!
というかその発言大丈夫なの??
「ーありがとうございました!ジュード師匠!!」
「ええ、明日もビシバシ行きますからねシャルロッテ。」
「はい!」
あ、シャルの方は終わったみたいだね。
キリカちゃんがアイテムボックスからタオルを出しながらシャルに駆け寄っていくのでボクは飲み物を出して氷魔術で少しだけ冷やしながらシャルに近寄った。
シャルは当然ボク達には気付いていたから向こうもコッチに歩いてきてる。
「お疲れ様です、シャル。」
「かっこよかった、よ、シャロン。」
「ああ、ありがとうエル、キリカ。」
タオルで汗を拭い、飲み物で一息ついたところでボクはさっき聞いたシャルの延命措置について切り出す。
遠慮とかしてられないし!
けど、ボク達から話を聞いたシャルは全く表情を変えなかった………
呆れとか疑いとかじゃなくて、無関心。
「………そうか。」
「反応が鈍いですね?」
「いや、いくらオレが魔国組を除けば年長者と言ってもまだ26歳だぞ?
実感が無いんだよ。オレだけが先に死んで、キリカとエルだけがこの先何千年も生きていく、なんて壮大な話。」
「………そうですか。」
確かに、言われてみればシャルはボクより年上と言っても26歳。
※キリカちゃんは24歳
人間の平均寿命が60歳前後の世界とは言え、まだ人生の折り返しにすら来ていない。
まぁ、16歳のボクは平均寿命の1/3すら越えてないんだけど。
………と言うかボク、天使になっちゃったから半永久的な寿命になったし、成長も止まったから身体が永遠の16歳になるのかぁ…なんだかなぁ…?
「そもそも、寿命が長かろうとオレやキリカは騎士だ。
戦場で散る事もある。」
「んっ!それは無い!!」
「何故だキリカ?」
「だって、今のキリカ達には、エルが居る!」
「あのなぁ?いくらエルがいまや本物の天使だって言っても死者蘇生は出来ないだろう?
流石に精霊神殿も勇者とはいえ一個人であるオレを態々蘇らせたりはしないだろうしな。」
「あ。前提として2人とも死なせませんよ?」
「………は?」
騎士として戦場で死ぬ覚悟が出来てるのは流石シャル!かっこいい!!
とは思うけどね?前提として今のボクの治癒力なら『死にさえしなければいくらでも治療出来る』んだ。
ゲーム風に言えば戦闘不能程度だとかHPが1だけとかなら治療可能って訳。
確かに死亡した人は治せないけどね。
それと、ルイーゼ様が蘇りの奇跡を使ってくれないってのは当たり。
ルイーゼ様も例え砂の国の半神様相手でも蘇りだけは使わないって言ってたし。
「そもそも私、常時皆さんに〖オートリザレクション〗〖魔法無効空間無視(天使化して使える様になった)〗〖オートマナチャージ〗〖オドブースト〗をかけてるので、瀕死になった瞬間には自動的に完全治癒しますしね!」
「……お前は女神か?」
「(?)天使で聖女ですが…?」
「違うそうじゃない。」
シャルに褒められたというより呆れられてる気がする。
なんて思ってたら私の後ろからルイーゼ様が顔を出した!?
やめて柔らかいいい香りがする尊い!!
「勇者ちゃん、流石に元人間が神族にはなれねぇから安心しなぁ〜?」
「うわっ、いつから居たんだ精霊神殿!?」
「ひでぇ〜なぁ〜人様をゆ〜れ〜扱いかぁ〜?」
「いや、貴女は女神でしょう。」
「素で返すなよ〜まじめかぁ〜?
勇者ちゃんは〜“てんぷれ”って知ってるぅ〜?」
「エルがたまに言ってるなそれ。
確か意味は“定番の展開”の事だろう?」
「それ〜!だからぁ〜!あたしのコレも定番の返しよぉ〜?」
「……………精霊神殿の常識は分からんな。」
「あっはっはっ〜草ぁ〜♪」
「…………エル、翻訳してくれないか?精霊神殿が何を言ってるのか分からない。」
うわぁ〜……真面目な顔で本気で困ってるよねシャル………()
とにかく、旦那様の頼みだし翻訳しましょうねぇ〜
「あのですね、幽霊……所謂ゴースト系モンスターって一般の方が見たら大抵驚くかなにかするかじゃないですか。」
「そうだな。」
「そんなゴースト系モンスターに対する反応みたいだったのでルイーゼ様はあの様な返しをしました。」
「それは何となくわかった。
ただ、てんぷれ、はともかく急に『くさ』とか言われても意味が分からない。」
「………面白いって意味です。」
「……普通に『面白い』じゃ、だめなのか?」
「………………………そこにツッコミ入れられると答えられないのですが!?」
「そうか、つまり特に意味は無い、と。」
「まぁ、そうなんですけど………えーっと、コレ、何に見えます??」
ボクは懐から紙とペンを取り出して『www』と書いてシャルに見せた。
すると、首を傾げたシャルは
『…ダブリューが3つ…?見た目の話なら、草、か?』
と返してきたので
『つまり、そうゆうことです。』
と私は返しました。
「……で、ダブリューはそれぞれが精霊神殿がよく口にする“(笑)”を示していて、それが転じて『面白い』、と?」
「ちなみに3つ並んでるのでこれは正確には『www』と読みます。」
「はぁ……くだらないな?」
「くっ…!!」
シャルの価値観ってたまに前世のおじおば世代並みに固くなるよね!?
まぁそこも硬派って事でシャルの良さなんだろうけど。
なんですかルイーゼ様?『恋は盲目とはよく言ったもんだぁ〜♪』って………そうですか。
もしかして私もシャルに対して崇拝状態になってたりしますのん?
はぁ、『聖女ちゃまのはただの恋煩いですな』?
既に夫婦になってそれなりに経ってるのに??
どうしましたクロウ様?
はぁ…?『はたから見たらただのバカップルだぞ』………ですか。
「シャル。もしかして私って…………
「恋する乙女だな。
実際にエルはまだ16歳、花も恥じらう乙女な年齢だからそうゆう面では〖恋する乙女〗でもおかしくない。
10も歳上なオレと夫婦、なのは祖国でも普通ではあるが、結婚した後も恋する乙女のままなのはバカップル扱いされても仕方ないぞ?」
「…………はずかしぃ。」
「…お前に(恋愛面で)恥じらいがあったのか。」
「酷いですね旦那様!?」
「ともかく、精霊神殿の謎言語に関してはオレからしたら意味不明でくだらないのだが…………
騎士として信仰している闘神様の妻である訳だしな………
「複雑な心境、ですか?」
「…………そうだな、神様であるからして、敬う気持ちはあるのだが……どうも、精霊神殿の普段のすがたが、な?」
「夫であるクロウ様からも戯神扱いされてますけどね、ルイーゼ様。」
「………むにゃ…普段のルイーゼは戯神。間違いない。」
「あ、やっぱり寝てましたかキリカちゃん。」
やけに静かだと思ったらボクの胸に顔を埋めてまたもやちぅちぅしながら寝てた………
って、それをスルー出来るボク、もうキリカちゃんに吸われるの慣れてないかな。
ボク、吸う側じゃないの?
猫吸いならぬ狐吸い的な意味で。
とりあえず狐吸いしとこ。
「すぅぅ………
「んぁぁぁ〜♡」
「急に変態行為に走るなエル。」
「はっ。すみません、つい。」
「だいじょうぶ?もっと吸う??」
「モフります。」
「んぁぁぁ〜♡♡」
「「…………ダメだコイツら。」」
「本日も平穏なりぃ〜♪」
「…………で、結局精霊神殿はなにをしに来たんだ?
話の腰が折れるどころかエルが奇行に走りはじめて消えたんだが??」
シャルの守護天使化計画はまだまだ先の話になりそうです。まる。
シャルロッテが本当に守護天使化するのはまだ先の話…?




