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改変後5:新たなる物語り?

完結済みとは言えひっさびさの更新ですな。

今回はかなり長くなります。

ー【デルタライトニング】!!シャル!!」


「合わせるッ!【テトラアサルト】ッ!!」


『ギャァァァッ!?』


「…ふうっ。やっとこの辺りの魔物は一掃出来ましたね。」


「ああ。それにしても何故こんなにも魔物が?

魔王様は間違いなく正気に戻ったはずなんだが……


「んっ。それはそれとして、キリカ達、ぴんち?」



今、ボク達は3人だけで見知らぬ洞窟…ダンジョン?にて迷っていた………

原因は不明。

目が覚めた時には既にこの洞窟の安全地帯らしき場所 (前世のゲーム知識で推測した) に居たので、食料はアイテムボックスにあるし、

ボクの為の神聖力回復の宝珠(魔王様がもしもの時のお守りに、と支給してくれた)、

シャルの予備の剣と槍、

キリカちゃんの予備の弓矢のストック

はあるから探索してみよう、という事になった。

それにしても唐突だなぁ…最初、夢か精霊神様のイタズラかと思ったくらいだし。


それにしても、意外な能力だけど【天啓】が便利だった。

マッピング済みのマップ(現在地表示付き)が脳内に表示されるから現在地が丸分かりで遭難感が減る。


そしてボクもシャルもキリカちゃんも強いからダンジョン内の魔物は相手にならない。

ヌルゲー…?


コレで転移が使えたr



「やっほ〜♪」


『……………。』



ーいきなりルイーゼ様が目の前に現れた。

あぁうん、そうだね。

精霊神(ルイーゼ)様が居るもんね。

聖職者として神様の突飛な行動にある程度の耐性があるからか、いち早く立ち直れたボクがルイーゼ様に確認した。



「もしかしなくてもお迎えに来てくれました?」


「もっちろ〜ん☆」


「ありがとうございますルイーゼ様。

ところで、失礼を承知で訊きますが。

私達をココに連れてきたのはルイーゼ様ですか?」


「いんや〜ちげぇ〜ぜ〜。

だから迎えにっ!?ー『聖女エルーナよ。』


「…!精霊神様!!」


『此度の事象は闘神バルヴァトーゼによるものです。

本当に、申し訳ありません。』


「そんな…!精霊神様が謝る事ではありません!!」


『それでも、申し訳ありません。エルーナ。』


「精霊神様………ですが貴女様はこうして私達を迎えに来て下さいました。

その事に感謝こそすれ、貴女様を恨みは致しません。」


『ありがとうございます、エルーナ。それでは、わたーうっ!?』


「精霊神様!?」


『う……ぁ………バル…ヴァ…………!!あぁぁっ!?』


「精霊神様!!しっかりしてください!!……そうだ!〖願いを込めし聖者の鍵〗!!」


ボクは聖職者としての本能的(?)に、首に下げていた【鍵】を精霊神様に刺した!

コレは女神様から下賜されたものだ。

※改変10参照


『っ!はぁ…はぁ………エルーナ?今、何を…?』


「え、あの、咄嗟に……


『いえ、責めてる訳ではありません、助かりました。』


「それならば幸いです…。ところで、今精霊神様に何があったのですか?」


『闘神による干渉がありました。

そのせいで私が暴走しかけたのですが………もしかしたら、バルヴァトーゼが邪神化しているのかも、しれませんね。』

(これは1度サフィーア(おかあ)様を呼ぶべきですね。)


「邪神…ですか…。」



ふと頭に過ぎるのはクトゥルフだけど。

元々邪神っていうのは他宗教の神を指す言葉だったはず。


ちなみに、闘神バルヴァトーゼ様は戦いの神。

つまり本来であれば騎士や傭兵、冒険者と言った戦う者達の神様である。


うーん……折角だからもう少し語ろうかな?

こほん。


……主神、ルミエール様の配神は複数柱居ります。

代表的な神様としては

精霊神サフィーア様

闘神バルヴァトーゼ様

豊穣神ホナミ様

知識神パスカル様

冥府神ルナリーゼ様


更に太陽神フレイ様、月神ルナリア様、医神アスレイ様、鍛治神バーニア様、情報神イデアル様、地母神リリアーナ様………数えればキリがありません。

八百万の神、とはよくいったものですね。

ただ………先に挙げた五柱の神々は五大神様でもあります。

そんなバルヴァトーゼ様が、邪神化…?一体何が…??


思考の海に沈んでいた私は、しかし精霊神様の声で現実に戻りました。





「あいや〜、とにかく助かったよエルちゃ〜ん。」


「はい、ところでルイーゼ様。」


「んぅ…?」


「もしかして、ここから脱出出来なくなったのでは?」


「あっはは〜…そんなぁ〜…まさかぁ〜♪」



そう言ったルイーゼ様(冷や汗をかいている)が何時もの様に魔力を高めてー



「…………ま、まま、まさかぁ〜♪

んぅ………オドを集中する……転移っ!!

……………オドを集中!!…………あるぇ〜…??」



しかし、なにもおこりませんでした。



「………ええ、お決まりのパターンですね。」


「こうなるって分かってたの〜?流石転生者〜♪」


「現実ではそんな【フラグ回収】なんて起こって欲しくなかったですけどね!?」


「………なんかごめん。」


「いえ…。」



流石に気まずそうなルイーゼ様。

ですがコレも想定の内……なぜなら。



「原因は分かっています。

恐らくこの鍵でルイーゼ様の暴走を止めた時に魔力の泉にも鍵を掛けたのかと。」


「でも〜あたしゃ次代の、が付くとは言え〜精霊神よ〜?

魔力より遥かに多い神聖力にまで〜鍵かかんのぉ〜?」


「ですが、実際に転移に失敗しましたよね?」


「んぅ………バルヴァトーゼ絶許〜!!」


「ですね。」



とは言え、かの神は今、暴走して邪神堕ちしているので責任は…………いえ、神々の皆様に対して一介の聖女ごときがどうこう言える訳が無いのですが。


と、思考停止していた2人がハッとしたようにビクリとしましたね?



「正気に戻りましたか?シャル、キリカちゃん。」


「あ、ああ。いきなり過ぎて少し意識が飛んでいたようだ。」


「神様、タチ悪い。」


「んぅ…?めんご☆」


「…………何故だろうな?相手は精霊神様なのに、こう、“イラッ”と来たぞ??」


「殴りたい、この笑顔。」


「ダメですよ2人とも!?」



私は、いつも通り飄々としているルイーゼ様に殴り掛かりそうな勢いのシャルとキリカちゃんをなんとかなだめました。

全く………ルイーゼ様も少しは自重していただきたいですね………今の状況、神様であるルイーゼ様や聖女である私と違い、シャルもキリカちゃんも精神的に多少の負荷がかかってる状態ですからね??



「ルイーゼ様、どうかここは私達の和の為に飄々とした態度で振る舞うのはお控えください。」


「んも〜仕方ないにゃ〜?

良いよ〜ん、エルちゃんの頼みだしぃ〜。」


「ありがとうございます、ルイーゼ様。」



いち信徒として深くお辞儀をして感謝の意を示しましょう。

そうでなくとも、精霊神様が直々に同行してくださるこの状況は至上の喜びですし。

そんな私に対して、何故か苦笑いになるルイーゼ様。



「生真面目だにゃ〜?エルちゃんは〜。」

(と言うか、いつも以上に生真面目すぎないかなぁ〜?エルーナも追い詰められてない?大丈夫??)


「…エル。」


「ん?どうしましたキリカちゃん。」


「だいじょぶ…?尻尾モフる??」


「……ありがとうございます。では、少しだけ。」



…と、心配した様子のキリカちゃんが尻尾を差し出してきたので、折角なので少しだけモフりと手を滑らす。

滑らかでモフモフとした魅惑の手触り。

いつもと変わらないそのモフモフに癒された私は、ひと撫でだけして直ぐに手を離しました。



「ありがとうございました、キリカちゃん。」


「……あのエルが、すぐにモフるのを止めた……だと……!?」


「キリカ、ショック。」


「え?」



何故シャルとキリカちゃんは驚いているのでしょうか…?

さぁ、気を取り直して先へ進みましょう。





「ー【スターシュート】。」


グギャァァァァッ!?


「ふぅ……我が神に近寄るな…痴れ者が。

お怪我はありませんか?精霊神様。」


「あいやぁ〜…エルちゃんがムソーすっからなぁんも怪我ないよぉ〜ん?」


「それは良かったです。」


「………エル。」


「どうしましたか?キリカちゃん。」


「なんか、雰囲気、変わった………?」



……………?

いきなり詰め寄ってきたキリカちゃん(可愛い)がよく分からないことを言い出しましたね??

意味が分からなかった私は素直に聞き返す事にしました。



「何を仰っているのかよく分かりませんよキリカちゃん。

私は私。何も変わりはございません。」


「いや、俺から見ても今のお前は変だ。」


「シャル……貴女まで何を言い出すのですか??」



そんなにおかしいですかね?私。

うーん…………



「なら、ルイーゼ様?」


「はぃな?」


「私に何か異常がないかの検査をお願いします。」


「りょ〜。」



ルイーゼ様が敬礼…の様なポーズをして私にサーチ魔法を使いました。

結果は勿論異常無し。

精神異常も見当たりませんでした。

………何か変ですかね??

ルイーゼ様は結果を見てむしろ頭を抱えてしまわれました………



「う〜ん………まぁ、いつかは言わにゃ〜ならんかったしなぁ〜?」


「ルイーゼ様…?」



意を決した、といった様子でルイーゼ様は顔を上げました。

そしてー



『エルーナ、シャルロッテ、キリカ。

覚悟して聞いて欲しいのですが。

エルーナは……エルーナは…………少し前に、具体的にはここに転移させられた時に、無意識にお2人を守る為に神聖力を再び限界まで使用し、神聖力が規定値を満たしてしまった為に天使化、しました。』


「………………え?」



精霊神化したルイーゼ様が、そんな事をおっしゃいました。

あは………は………いやいや、まさか。

私が…………?



「あ、分かりました!何時もの冗談ですよね?

態々精霊神化したフリをしてまでなんて、今回は手が込んでますねルイーゼ様♪」



そう茶化した私に対して、悲痛な面持ちで精霊神様は答えます。



『いえ、冗談などではありません。

貴女は今、魔族の一種である天使族となっています。』


「…………………嘘ですよね?」


『いえ……………事実、です。』


「そんな………



天使化。

天使とは神の御使いであり、そんな天使に成れるのならば聖職者としては誉れではあります、が、それは同時に、神様への絶対服従と自らの意志の()()に他なりません。


そう……“放棄”、では無く“廃棄”、

考える事を“自ら捨てる”のでは無く、

“神々の手により不要物として捨てられる”、と言う事なのです。


それはご親切にも高位聖職者向けの聖典にも懇切丁寧に(しる)されています。


なので天使化が事実であれば、今の私は徐々に自我が消されていっている状態なのでしょう。

しかし………



「なん…で…?」


『キリカ…?』

「キリカちゃん………


「なんで…!!何で、エルなの!?聖女だから!?なら、エル………聖女なんか…今すぐ辞めて…!!

キリカとシャロンのお嫁さんで、居て…!!」



普段の無表情が嘘のようにそう言って泣き叫ぶキリカちゃん。

シャルも抜剣し、ルイーゼ様に向けている。

私は反射的にルイーゼ様を守る様に聖剣を抜剣し、シャルに対峙してしまった。

こんな時でも愛する者の為よりも敬虔なる聖女として神様であるルイーゼ様の為に動いてしまう私は、既に天使化がかなり進んでいるのでしょうか…?


そんな私を見た2人は、悲しそうな顔になる……いや…だ………わ、私は、こんな事の為に、真の聖女になった訳じゃない……!!


私………私は………!!!

あれ…?わた………し………?は……………???



「……何故だ。

何故、反発するのが分かっていてそれをオレ達に素直に教えたんだ?ルイーゼ殿。

貴殿ならエルが完全に自我を無くして貴殿達神々の天使(ドレイ)と成るまで隠し通すことも出来たはずだ。」



そう、そんな事を教えたら、シャルもキリカちゃんも怒る事は分かってたはず。

それにルイーゼ様は精霊神様。

完全に神様サイドだ。

なのに、何故教えてくれたの…?


そんなルイーゼ様は、神々しく厳かな精霊神様としての側面のまま、優しく微笑んだ。



『貴女達の絆が強いからですよ。』


「………貴様………それは皮肉か??」


「っ…!ぁ………ぇ…………?]



あ…れ………?意識が、身体から、切り離される。

というか、()()、今まで何を…?

ちがう………ちがう………ボクはシャルやキリカちゃんの事が好きで、大切で……?

あれ……………?

身体が………動かない………まるで、ボクの身体じゃないみたいだ。

………ちがう。

最初からコレはボクの身体じゃ、無かったじゃないか。


ちがう。


これはボクだ


ちがう。


コレはエルーナ。


ちがう。


ちがう


ちがう


ちがう







ち が ゥ








sideエルーナ

Delete.





side{???}






[ー止まりなさい!シャルロッテ・ベイルフリード!!

我が神に手出しはさせません!!]


「く…エルー…ナ…!!」


「や、やめて…!エル…!シャロン…!!」


[止めませんよ。我が神に対峙するのならば、私は、シャルロッテでもキリカでも斬り捨てます。

私は聖女……だか……ぅぅ………



{いよいよ堪忍袋の緒が切れたらしく、今にも斬りかかってきそうなシャルロッテ。

そんなシャルロッテに対して、[エルーナ]は、流れる様に先手で斬りかかり、鍔迫り合いになる。

そんな[エルーナ]達にオロオロとするキリカ。

そんな一触即発の雰囲気の中、精霊神は再び口を開く。}



『あの……エルーナ?』


[なんでしょうか精霊神様。]


『貴女は天使化の影響を受けないはずでは??』


[え?]

「は?」

「ん…?」



“ピタリ。”



{そんな表現が似合うほどに動きを止める[エルーナ]達。

そんな[エルーナ]達に対して、まさに神様視点だからか冷静な精霊神はさらに続けて言う。}



『貴女は我が主様より褒賞として【鍵】を受け取りましたよね?』


[え、ええ…ここに。]



{ひとまず剣を納めた[エルーナ]は、首から下げている【鍵】を見やすいように掲げた。

それを見た精霊神は首を傾げて続ける。}



『その【鍵】がある限り、貴女が自我を失う事は無いはずですが。』

(とはいえ便宜上そう言っただけで、無くても自我を失いませんけど。異界の魂ですから。

ただそれはまだエルーナがお2人に話していないので私からは言いませんが。)


{聞いた瞬間、へなへなとその場にへたり込む[エルーナ]達。

そして、憤怒の為かいち早く立ち直ったシャルロッテが今度こそ精霊神の胸ぐらを掴んだ。}



「ルイーゼ殿……本当にふざけるなよ…?

貴殿は確かに神様なんだろうが、人を小馬鹿にするのはいい加減にしてくれ。

オレも、キリカも、エルーナの事が本当に、大切なんだ。

一時も離れたくないんだ。

そんなオレとキリカを愚弄するのであればいくら精霊神様と言えどー


[シャルロッテ・ベイルフリード!!]


ーなんだ?エル。」


[我が神に掴みかかるな!下郎が!

それと、私の事はエルーナ様、もしくは聖女様と呼べ下郎!!]


「…………精霊神殿。それじゃあ今のエルはなんなんだ??」


『すみません。』


「謝罪は良い、何が起こっているのか教えてくれ。」


『恐らくですがー



ーーー精霊神説明中ーーー




ーなるほど、な。

闘神ヴァルヴァトーゼ様が暴走してるせいか。」


「それを押さえつけようとしたエルがルイーゼの代わりに暴走してるなんて………ヴァルヴァトーゼ絶許。」


「オレ達騎士にとっては信仰の対象だが………エルに悪影響を与えてるなら倒すか。

いいよな?精霊神殿。」


『ええ、精霊神の名の元に許可します。勇者シャルロッテ様。』


[おや?やっと我が神と和解したの??勇者サマ。]


「………エルはその刺々しい口調、どうにかならないのか?」


[無理ね。

私が敬意を持って接するのは我が神のみ。

我が神がアンタを勇者だと言うから歩み寄りはしてやるけどそれだけよ。]


『…………早くヴァルヴァトーゼを正気に戻さねばなりません。』


「だな。」


「よし、やろう。」


[はぁ……私はアンタ達なんか心底どうでもいいんですけどぉ。

……私は我が神に従うのみです。

では参りましょう、ルイーゼ様♡]


「「…………。」」


『エルーナ…。』


[なんでしょうか?我が神!]


『今の貴女は………ダレですか?』


[はい?私は私。貴女様の敬虔なる信徒、エルーナですよ。

何を仰っているのか分かりませんね?]


『…………貴女は、エルーナ・べイルフリード、ですよね?』


[はい…?あの、何を言い出すのでしょうか、我が神。

いくら我が神と言えど、意味の分からない戯言は許容しかねますよ!?]


『…………そうですか。』


[くすくす♪おかしな我が神ですね?]


「「………………。」」



{はぁ………はてさて、これからいったいどうなるのやら…………と言うかハッピーエンド迎えた後になんでこんな事になってんの!?}

…………あ、今更バッドエンドにはしませんので悪しからず。


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