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改変1:聖女の身体を乗っ取れ!

さっそく王城内に侵入したボクは聖女(笑)を探し始めた。

幸いにも小説には挿絵もあり姿についても言及されていたから聖女(笑)を探すのは難しくない。

なにより今のボクは霊体だ。

聖職者とか霊感持ちでない限り誰にも見つからないし触れもしない。

が、相手は聖女だ。

当然霊感もあるだろうし除霊能力も高いと見た方がいいだろう。

とは言え、ボクは悪霊では無いただの霊魂だし、そこら辺はどうなんだろ?

………まぁ、そもそもが追加の人生(?)だ。

もしも除霊されたらそれまで、だね。



(おっ?)



しばらく城内を探索していると、目的の聖女(笑)が寝ているのを発見した。

うん、小説での記述的に居るとは思ってたけど本当に城に居たよ。

しかも昼間から惰眠を貪ってるし。

なんなんだこの聖女(笑)。

ま、寝てるなら都合が良い。

さっそく憑依して身体を奪ってやる。



何となく感覚で分かってるんだけど、元々身体に居る魂を消滅させる方法ってのもあるんだよね。

具体的には憑依して記憶を同調させてから鏡に向かって『お前は誰だ?』と言えば良い。


さぁ、憑依だ!!



「っ!?…?zzZ」



うんうん、女神様が憑依無効を貫通出来るようにしてくれたし相手が寝てたからあっさり身体に入れたね!

と言うか、起きないのかこの聖女(笑)。


よし、記憶を同調させて…と……ん?

意外だ。

腐っても聖職者だからか生娘ではあるらしい。

城自体も今日からだったみたいだし長旅の疲れから寝ていただけみたいだ。ちょっとレッテル貼り過ぎてたかも……


てか王子(笑)、自分の側近、近衛騎士でもある女騎士に惚れてるくせにこの聖女(笑)に一目惚れとか意志薄弱過ぎやしないか?

はぁ…まぁ、見た目は神秘的な白銀の髪に蒼い瞳をした清楚系………なビッチだし?

貴族令嬢には居ない天真爛漫(まぁ偽だけど)な所に惹かれたんだろうけど………

正直コイツ、(原作では)色んな男に色目を使ってるしそこら辺の貴族令嬢同等だぞ……いや、この世界の貴族令嬢的には権謀術数、化かし合いや有力な未婚男性の誘惑が常だから失礼かもしれないけど。

本当に天真爛漫だったら生き残れない厳しい世界だし、貴族令嬢の世界は。

まぁ良いや、宿主が寝てた分、体の支配権を奪うのは楽だったし。

さて、身体を起こして………



『……へ?』


『あ、起きたかな?クソビッチ。』


『え…!?あ、アンタ誰よ!?て言うかどうやってアタシの中に入ってきたのよこの悪霊ッ!!』


『あはは〜酷いなぁ~?ボクは至って善良な霊魂だよ?少なくともキミよりはね、クソビッチ。』


『はぁぁ!?誰がビッチよ!!アタシが好きなのは王子様だけよ!!』


『……権力と見た目だけでしょ?あの王子(笑)、ボンクラだし。』


『むきぃぃ〜!!何よ生意気ねアンタ!!』



さてと、身体を鏡の前に立たせてっ、と。



『んぅ…?それよりさ、()()()()()()?()


『は?』


()()()()()()?()って訊いてるんだよ。

ボクはエルーナ、年齢は16歳、この国の聖女として本日よりこの城に招かれた者、神聖なる力の扱いに長けた今代の聖女だ。そんなボクの身体に居るアンタは誰だい?』


『はぁ!?何訳の分からない…事…を…?

あれ……?アタシは……?アタシ………は………ダ…レ…?』


『ねぇ、この身体から消えてよ?

この身体はボクのものだ、一体キミは誰なのさ、誰なんだよ??』


『ちが…う…!アタシは…!アタシが…!!』


『早く消えてよ、ボクの身体から出ていってくれないかな?』


『アタ………シ………………あ…た…し…は…………………………………………



…………うん、消えたね。

よし、これでこの身体はボクのモノだ。

今からボクがエルーナだ。

ボクなら女騎士さん…シャルロッテさんの味方で居られる!

幸いにもまだ魔王討伐の旅には出ていないしシャルロッテさんとは直接的な接触もない。


王子(笑)の動向は気になるけど、旅にはついてこないし、ボクがシャルロッテさんを守れば良い…。

出来れば、シャルロッテさんにもボクを好きになってもらいたいけれどそればかりはボクの努力次第、だね。

小説の世界に転移した、と言ってもこれはもうボクにとっての現実だ。

強制力で悪役にされる事があるかは分からないけれど、最初から最後までシャルロッテさんの味方として行動して彼女と仲良くなりたい………


……え?なら聖女の身体を乗っ取って良心は痛まいのかって?

ははは…………

悪 人 に か け る 情 け や 良 心 は 無 い よ ?


本来のエルーナはシャルロッテさんやその親友のキリカちゃんに冤罪をかけて惨たらしく嬲り殺す様な奴なんだぞ?

更にその後はあの王子(笑)と結婚して王妃(屑)になってからは更にやりたい放題だったみたいだしね。

原作では、キリカちゃんものちに1周目の世界の記憶が蘇ってシャルロッテさんにそう教えてくれたんだ。

だから早々に消えてくれた方が世の中の為ってもんだよ………


うーん…と言うか、キリカちゃんも可愛いし良い子だから仲良くしたいなぁ………

1周目の世界で、屑な国王と王妃に命懸けで逆らって冤罪で処刑された様な正義感の強い子だしね。



「……そうだ、騎士団の詰所に行こう。」



今なら近衛騎士隊もそこで訓練してるはず…

シャルロッテさんやキリカちゃんに会えるかもしれない……

それに、この城へ来た本来の目的でもある神託を授けなきゃだしね。



(と言う訳で詰所まで来てみたんだけれど………)



シャルロッテさんやキリカちゃんは何処に…?


たしか、シャルロッテさんはこの国では珍しい黒髪のポニーテールに雪のような銀灰色の瞳をしているキリッとした顔立ちの凛とした女騎士さん


キリカちゃんは小麦色のショートヘアに蒼と翠のオッドアイをした可愛らしい狐っ娘な騎士ちゃんだったはず。



「ん…見つからないなぁ……」


「ん…?

君、こんな所へ上級シスターが訪れるなんて、どうしたのかな?

捜し物か探し人かい?」



しばらくキョロキョロとしていると、後ろから声をかけられた…?



「えっ…?あ…シャルロッテさま!!」



声をかけてきたのは正しく探し人のシャルロッテさん…いや、シャルロッテさまだった!!

これは幸運!!と言うか本物のシャルロッテさま物凄くイケ女ン!!神!!

けれどいきなり名前を呼ばれたシャルロッテさまは怪訝な顔をする…しまった…流石に怪しかったかな……?

けどもう勢いで押し切るしかないね!!

なにより推しに出逢えた興奮で止まれない!!



「………?っ!?貴女は聖女エルーナ様ではありませんか!!」


「はいっ!貴女にずっと、ずーーっとお会いしたかったんですシャルロッテさま!!」



あれ?ボクの顔を見た瞬間、対応が変わった?

と言うかシャルロッテさまはボクを知ってる……よねそりゃあ!!

この身体、一応聖女だから祭典とかに当然来てるし!!

そうだよ!この世界では偶像(アイドル)的有名人だったね“聖女エルーナの身体”は!!


シャルロッテさまの方もそんなアイドルに出会えて興奮したのか、深呼吸して気持ちを落ち着けたみたいだ。



「〜っ!…………ふぅ。

まさかここで逢えるとは思いませんでした。

貴女様の様な可憐な方にその様に思っていただけていたのは光栄ですね。」


「はぅ…やっぱり本物はもっとかっこいい…好きぃ………………



流石おっぱいの付いたイケメン……!

惚れてまう!

抱いて!!



「ところで、聖女様が態々私に会いに来たということは何か用があるのでしょうか?

それとも、ただ会いに来ることが目的だったのですか?」


「あっ…あっ……あにょ…!」



あ、ダメだ。

推しに出逢えた嬉しさやら興奮やら尊さやらで頭が回らない。



「…大丈夫では無さそう…ですね?」


「ひゃぁぁ〜!?」



おでこ!!おでこがコツンって!!

顔が近い!顔面国宝!!美の暴力!!



「………可愛い悲鳴ですね。清廉潔白な聖女様には刺激が強過ぎましたか?」


「は…はひ……けど………そんなシャルロッテさま好きぃ…大好きぃぃ……


「………。とりあえず私に会いに来てくれた、ということはよく分かりました。」


「はひぃ………あにょ……ふぇ……あぅあ…………

すぅ……っ。

……はぁ………っ。

すぅ…ふぅぅぅ…………………っはっ!!

………よし。」



神呼吸(※)で気持ちを落ち着けて…と。

よし、コレで大丈夫。


※聖職者が習うメンタルリセットをする為の特殊な呼吸法の事であり誤字では無い



「醜態を晒し、申し訳ございませんでした。

近衛騎士隊長シャルロッテ・ベイルフリードさま。

ボクは、貴女さまに神託を届けに参りました、聖教会所属、聖女のエルーナと申します。」


「ええ、よく存じております。

先程は知らなかったとは言え無礼な態度を取り申し訳ありませんでした。」


「いえ、ボクは貴女さまの事を愛しておりますのでお気になさらず。

むしろご褒美です。ありがとうございました。」


「……せ、聖女様…?」


「はい、なんでしょうか我が愛しの騎士、シャルロッテさま。」


「それは私への意趣返しなのでしょうか…?」



ボクが心のままにアルカイックスマイルになって返したら、シャルロッテさまの顔が赤い。

珍しい光景だね。

普段と違い、凛々しさより可愛さが際立つ珍しい表情だ。

更にボクはそのまま、心のままに言葉を紡ぐ。


挿絵(By みてみん)





「いえ、ただの本心です。ボクは貴女の事を愛しておりますので。

生涯の伴侶にしたい程に心からお慕いしております、シャルロッテさま。」


「……メンタルリセットで羞恥心やら何やらもフラット(0)状態になっているらしいですね…まったく、神呼吸も考え物です………とは言え、聖女様の様な清廉潔白な方から真っ直ぐな好意を向けられるのは光栄です。

……それに、運命や一目惚れ、というものを信じてみるのも一興かもしれないですね。」

(オレからは縁遠い、遠くからお見掛けするだけだった高嶺の花だと思っていた聖女エルーナ様。

そんな彼女の口から、オレへの愛を紡がれたのが運命ならば………)


「はい…?」



あれ…?シャルロッテさま、なんでボクの前に跪いたの…?

そのシャルロッテさまは真剣な顔になり、ボクの手をとって宣言するように、それでいて乞う様に言葉を紡ぐ。



「ー私、シャルロッテ・ベイルフリードは聖女エルーナ様に求愛いたします。

どうか、この私めの伴侶となる事を前提にお付き合い頂けないでしょうか?」

「はい勿論ですよろしくお願いしますシャルロッテさま。」



うんなんかよく分からんが推しに告られたから秒で返すよ?

はいよろこんでー!

※現在メンタルリセット中につき思考停止中



「……メンタルリセット中の本来ならウブであろう聖女様にこんな不意打ちな告白、申し訳ないですね。」


「いえ、嬉しいですよシャルロッテさま。

本当にありがとうございます。

ボクは今、凄く幸せです、ギュッと抱きしめて差し上げたいです。

というか抱きしめます。はい、ぎゅーっ…………



あ、シャルロッテさま今は鎧を着ていない平服だからか柔らかい。

鍛え抜かれた身体のしっかりさもあるけど豊かな双丘は柔らかい。

訓練上りでシャワーを浴びてきた所なのか、ほんのり石けんの香りがする。

なんだろ、癒される。

そんなボクの蕩けた顔(※)を見たからか、ちょっと複雑そうな顔になるシャルロッテさま。


※但し神呼吸の効果で無表情である、雰囲気が蕩けている、が正しい



「…うん、神呼吸の効果で嘘も付けないでしょうし本心なのは分かっているのですが、なにぶん声色まで平坦になっているから感情が本物か分からなくなりそうですね……


「大丈夫ですボクは本当に心から喜んでおりますシャルロッテさま。

どうぞボクの事はエルお呼びください。

あともっと気軽な、普段の口調で結構ですシャルロッテさま。」



もう恋人同士なんだから愛称で呼んで欲しいな。



「うっ…そんな目で見ないで下さ…くれ…分かりまし……分かったよエル。

一人称が“ボク”なのも可愛いよ、エル。」


「ありがとうございますシャルロッテさま。」


「是非私……いや、オレの事もシャル、と呼んでくれ。」


「嬉しいですシャルさま。」


「オレに対して敬称も敬語も要らないよ。

そもそも、立場的には聖女であるエルの方が本来ならば上だからな。」


「でもボクは貴女を下に見るつもりはないから。

ありがとう、シャル。これからよろしくね。」


「フフっ…ああ、宜しく、エル。」



なんかしらんが会ってすぐに恋人になったんだがこれなんて恋愛RTA?

もしや、エルーナの本来のポテンシャルなのかこれが。

聖女(笑)が本気出したら凛とした騎士様も速攻で落とせるのか?

あるいはシャル自体が百合気質だったのかもしれない。一目惚れって言ってたし。

本来なら恋愛に興味が無いタイプなだけにそんなシャルの一目惚れは大切で重い。

それだけにボクに一目惚れしてくれたのはこの上ない幸福なんだよね。

エルーナの身体バンザイ。この身体が無駄に清楚系美少女で良かった。


……………………あれ?なんか忘れてる気がする。まぁいっか。



「じゃあ、また会おうねシャル。

今度はボクの部屋に来て欲しいな。

場所は城内の賓客用の階、南の角部屋だよ。」


「ああ…………………………いや待てエル。

キミはオレに用事があったのでは無いか?」


「………あ、ごめん忘れてた。」


「神呼吸のせいとは言えいきなり気安くなり過ぎなんだが?」


「ごめんね?」


「いや、気にするな。オレとエルの仲だろう?」



シャルってば優しい〜!好き!!



「それに、敬語は要らないと言ったのはオレだからな。

それより、要件は?」


「あ、そうだね。

シャルが今代の勇者に選ばれたんだ。

だから、魔王討伐の旅に出てもらいたくって。」


「……重大案件じゃないか!!?」


「うん。だからシャルについて行く為にも聖女のボクが直接伝えに来たのさ。」


「なら何故忘れー

「シャルに会えて尊過ぎたからだよ。」

ー食い気味だな?」


「ごめんね?」


「いや、まぁ好意100%なのは分かるから許すが。」


「心広くてイケ女ン、好き。結婚しよう。」


「本当に遠慮が無いな!?」


「好きだから仕方ないでしょ旦那(シャル)さま。」


「今不穏な空気を感じたんだが!?」


「ん…?」



まぁとにかく、コレで今度こそ神託は伝えれたし………



「あ、そう言えばこの神託、ボクが今日城に着いたばかりなのもあって、1番に伝えたかった当人であるシャルにしか伝えてないから情報規制はよろしくね?」


「そうか、そう言うことなら承知した。」


「ん…?」


「共に魔王を倒そう、エル。」



そう言ってまたボクの前に跪いて手を取り、手の甲にキスを落とすシャル。

イケ女ンなだけにその姿がハマりすぎ。



「…………好きぃ…♡」


「ははっ。それではまた後でなエル。」


「うん。あ、次はキリカちゃんも一緒に遊びに来てね?あの子も神託で示された勇者の仲間なんだ。」


「副隊長のキリカが?

………近衛騎士隊からばかりそんなに抜けるのか…?」


「う…ん…?あ。」



神呼吸の効果が切れた。

って…ちょっとまって何してんのボク!?



「はわわわわわ…………わ、私!シャルロッテさまになんてご無礼を!?」


「…神呼吸の効果が切れたか。」


「あぅぅ………すぅ………


「神呼吸はもういいぞ?

早くオレに慣れてくれると嬉しいな。」


「…ご、ごごご…ごめ…ん…なひゃぃ………


「………………………ではまたな、エル。」



ん?今の間は何かな??

あ、耳が赤い。

照れてるのかな……



と、とにかく!

なんかよく分かんないけど最大級に上手く行き過ぎたね!?

現実の方がちょろいのはどうなんだ、とは思うけど………もしや、その分キリカちゃんが厳しかったりするのかな…?


とりあえず部屋に戻ろう………


ボクはその場を後にし、自分の部屋へ帰った……












































「…あの人…キリカの幼馴染み(シャロン)に何を…?それに、勇者、って。」



すぐ側の茂みに、小麦色の髪の女の子が居た事に気付かずに。

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[良い点] 百合ボクっ娘、いいですね! [気になる点] 主人公の前世は男ですか?
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