改変10:旅の終わりの夢に見たもの
…………何も無い空間?
もしかして、最初に死んで、転移する時に来た、あそこかな?
『お疲れ様でした、ーーさん。』
あ……………女神…様…?
『はい。女神ルミエールです。
あんな最低の条件で転移して、申し訳程度のチート、とも呼べない様なスキル1つで、魔王様を救い、歴史の転換点となる方々をも救う、なんて偉業を成し遂げるとは思いませんでしたよ。』
あはは、まぁ、コレが物語ならラスボスをやってた人の身体を使ってたからね。
………凡人のボクでも、役に立てたかな?
『ご謙遜を。先程も言いましたが、貴女は偉業を成し遂げたのですよ?
前世の“貴方”は、もしかしたら凡人だったのかも知れませんが。
今は違うでしょう、【聖女エルーナ】。』
そう?
ボクが聖女で良いの?
『アナタで無ければダメですよ。
今はアナタが聖女エルーナなのですから。』
あはは……けど、ボクはもう“おしまい”、なんでしょ?
『…?何か勘違いなさっているようですが、貴女は死んではいませんよ??』
え。
『え?』
どうゆうこと??死んだから、役目を終えたから、ここに呼ばれたんじゃないの…?
『いえ、ただ単に偉業を成し遂げた英雄なので褒賞を与える為にお呼びしただけですが!?なんだか申し訳ありません!?』
え。
『ちなみに現実の貴女は今、愛する夫…妻…?ええと、パートナーの方の膝枕と尻尾布団で寝ています!!勝手に死なないで下さい!!』
えー…………………
何その幸せ空間………………………
『こほん。とにかく、褒賞をお渡ししますね?
寝ているだけとは言え、倒れてから丸1日経過していますから。』
!?
『貴女はそれほど魔力も神聖力も消費しているのですよ。
……その様子だと無意識でしょうけれど、貴女はあの戦いで普段以上の力の消費をしていたのですよ?
あの魔王様にデバフを掛けれる程に、精根尽き果てて休眠状態になる程に、ね。』
そっか………
おかしいとは思ったんだ。
最強の魔族だから魔王。
なのにそんな彼に、しかも魔力暴走中の魔王様にデバフがキマるとかありえないもん。
『…ともかく、褒賞です。こちらをどうぞ。』
…コレは?鍵…みたいだけど。
『はい、鍵です。御守りにどうぞ。』
なんの意味が…?
女神様がくれるのなら、ただの鍵じゃないんでしょう??
『そうですねぇ…?いざという時に武器になります。』
まさかの〈ピー〉ブレイド!?
『あ、いえ、魔法補助の杖、の様な感じですね。』
あぁ、話題の薩mー
『それ以上は禁則事項ですぅぅっ!?』
……あ、うん…?
とりあえず、ありがとう…?
『あ、デザインが鍵なのは仕様です。
付加価値として【解錠スキル付き】なので。』
なるほど、ますます〈ピー〉ブレイドだねこれ。
でも鍵型のデザインって好きだから嬉しいな♪
『気に入っていただけて何よりです。では、引き続き良き聖女ライフを。』
うん、ありがとう女神様♪
『………私の事はお気軽にルル様とでもお呼びくださいな♪』
微妙な譲歩だなぁ…?(苦笑)
うん、ありがとう、ルル様!
『はい♪』
あ………また…………………意…識…………が……う………………す………れ……………………………
『クソォォッッ!!許さないぞクズ聖女がァァァッ!!!』
『あははははは!!何を言ってらっしゃるのかしら戦犯騎士風情が!!!
貴方が魔王様を殺したと言うのに!私利私欲で!!』
『それは貴様だろうがクズ聖女!!!』
『シャロンを。解放しろ…!エルーナ…!!』
『うふっ♪嫌です♡(アタシの代わりに死ね、目障りな女騎士…!)』
『っ…く!!皆!!騙されるな!!魔王様を殺害して!!オレに罪を擦り付けたのはコイツだ!!』
『黙れ犯罪者が!!』
『さっさと死ね!!』
『お前みたいな公爵なんか要らねー!!』
『死ねー!』
『死ねー!』
『死ねぇぇーッ!!』
『…………………なんだよ…何なんだよ………オレは、こんな奴等なんかの為に………あは…アハハハハ………なんの為に、戦ってきたんだオレは………
『シャロン…?』
『………………すまないなぁ、キリカ………オレなんかが幼馴染みだったばかりに…………
『違う!シャロンは悪くないっ…!』
『…………でも、お前だけは生きろ、キリカ。』
『…!シャロン…それは…!!』
『…………姫様が殺される直前にくれた、転移石だ。オレは、もう、いい。お前が使うんだ、キリカ………
『っ!?させるものですkー
『転移石よ!キリカを逃がせ!!』
『まってシャロー
『……生きろ、キリカ……。』
『はぁぁ…?つまらないことしてんじゃないわよ!!ホンット!最期まで嫌味な騎士ねアンタは!!』
『ハッ。言ってろクズ。ザマァミロ!』
『っ!!執行者!!』
『はっ、ここに。』
『予定変更です。この者の首をギロチン等で一瞬で終わらせるなんて生温い。
フランベルジュを持って嬲り殺しにしなさい!!
腸を引きずり出し!カラスの餌にしてその首を晒しなさい!!
女王の名の元に許可します!!』
『承知しました。』
『オレは、無様な姿を見せたとしても!!
心までは折られない!!
最期まで貴様を怨み!呪ってやる!!!』
『………殺れ!!』
『はっ。』
『グッ…!ははっ!そんなものか!?痛くも痒くもないな!!』
『〜っ!!執行者!!八つ裂きにしなさい!私が死なない程度に治癒します!!コイツを苦しませろ!!』
『『わぁぁぁぁ!!』』
『ほぉらどうかしら!!民衆共はお前が解体される様を楽しんでいますよ!!』
『アハハハハ!!だからどうした!?このオレが敬愛する陛下も!!尊敬出来る魔王様も!!最期は苦しんだんだ!!!オレだって耐えてやるさぁぁぁ!!!アーッハッハッハッハ!!!!』
『コイツ…!既に狂って居ますね…?ですが宜しい、ならばお望み通り嬲り殺しにしてあげましょう…!執行者!手足を切り刻め!!』
『はっ。』
『おーおー!手足が無くなってくなぁ?で、どうしたってんだ?最早オレに戦う理由なし!!
手足なぞ死にゆくオレに必要ないな!!
アハハハハ!!!』
『ぐぅぅ…!!執行者ぁあ!!生温い!!顔を刻め!!胸を削ぎ落とせ!!無惨に!!無慈悲に!!惨めな姿に変えてしまェェェッ!!』
『良いぞ良いぞ聖女王様ぁぁ!!』
『その戦犯をもっと壊せぇぇぇ!!』
『ハッ………くだらない………クダラナイなお前ら………心底クダラナイ。』
『~~~っ!!何なのよアンタッ!!なんでそんなに不敵に笑ってるのよ!?』
『知らんのか?オレは勇者だ。痛みなぞ、とっくに凌駕している。』
(ま、本当はこの石のお陰で死んだまま動いているから痛みを感じ無いだけなんだがな。
既に、オレは魔王戦の時に死んでいる。
既にオレは、フェリカ姫がくれた魔石の魔力で動いているだけの人形だ。
故に、心が凍り付いているらしい。)
『さぁもっと切り刻めよクズ!!
オレは!一向に心は折れないぞ!?』
(卑怯だろうがどうでもいい。
既にオレは死人だ。
騎士の誇りもさっき死んだ。
陛下も亡き今、もう繋ぎ止めるものは何も無い。
……………キリカには、申し訳ないが、死人のオレが何時までもそばに居ちゃいけない。だから……
『~~~~~!!ウッットオシイ!!もういい!興醒めだわ。』
『ハッ。穢れた聖剣だな?貴様の心の様だ。クズ聖女のエルーナサマ?』
『黙れ戦犯。死ね。』
『幼稚だな…………
『………チッ。最期まで気に食わない騎士だったわね。シャルロッテ・ベイルフリード…!!』
あぁ、コレは、クズなボクがシャルを処刑した場面だ。
けど、真の聖女であるボクはそんな事をしないよ。
だって、今のボクにとってのシャルは、大好きで大切な旦那様なんだから…♪
…………んぅ…?」
「おっ、目が覚めたか?エル。
ルイーゼ殿から聞いてはいたが、本当に丸一日寝ていたな?」
「あ…シャルだぁ…♡」
「おう。お前のシャルロッテだ。
おはよう、エルーナ。
愛しいオレの妻。」
「………あれ?
もう私、エルーナ・ベイルフリード、でしたっけ?くすくすっ…♪」
「ははっ!何を今更!!
遅かれ早かれそうなるだろう?なぁ、オレの嫁。」
「当然ですよ。」
「………エル。」
「キリカちゃんもおはようございます♪」
「んっ。エルは、キリカの奥さんでも、あるよ?」
「もちろんですよキリカちゃん!可愛いですねぇ〜♪
なでなで〜♪」
「んゅぅ〜♡」
あぁ、幸せだなぁ〜………
ボクは、これからもこの世界で生きていく。
大好きで大切な、皆と共に。
あははっ♪ざまぁみろ!!原作エルーナ!!
ボクはエルーナの身体で幸せになって見せたぞ!!
クズなお前には出来なかったことだ!!
こんなにも簡単に幸せになれたのにそれを捨てた馬鹿なエルーナ。
そんなお前はもう居ない。
ボクが!!エルーナだ!!ボクが!【エルーナ・ベイルフリード】だ!!
終わり
これにて完結!!(短いなおい!)
ここから先は一応本編に入れたかった話しと言うか、構想だけで終わったキャラクターを入れていきたい(願望)です。




