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第1話

よろしくお願いします。

戦乱の中世。

アンハルト公国のケーテン州に、新しい領主が就任することになった。

ビエンドルフやロイプツィヒの戦いで多大な功績を上げたヨアヒム公爵が、、ケーテン州領主に任命されたのだ。

彼は、戦略に通じ資金も豊富で、キレ者と有名であった。


アンハルト公国は、ハリスト教の信者が多い。

主流は、ハリスト教多数派の正統会であったが、ケーテン州には、ハリスト教分派の贖罪会の拠点があった。

正統会が預言者ハリストを尊敬する宗派であったのに対し、贖罪会はハリストの思想を発展させた生き方を提唱する宗派だった。


そんな贖罪会の人間に、キレ者の領主ヨアヒム公が、責任者に会いたいという話が入った。

贖罪会の創始者ヨハンは、イヤな予感しかしなかった。

そこで、贖罪会のナンバー2であるモニカに代理を務めさせることにした。


彼女はびくびくしながらも、領主と上司の命令に従って、ケーテンの城に入っていった。


広い応接室に通されると、大きな革張りのソファーに腰を下ろす。


ほどなくヨアヒムが入ってくると、彼女は立ち上がって挨拶した。

「ご尊顔を拝謁し、恐悦至極にございます」

彼は怪訝な顔をして彼女見るといった。

「キミはヨハンじゃないな… ヨハンに来るようにいったんだが…」

「私はモニカと申します。ヨハン様はお忙しいので、私が代理で参りました」

逃げたとはいえないので、彼女はこういった。

「大事な話なんだがな… キミに決定権はあるのか?」

「領主様にいわれたことでしたら、ヨハン様も従います」

「うん、それならいい」

テキパキとした口調で、彼は話を進める。

「キミたちの宗派の特徴は?」

「我々の宗派はハリスト教贖罪会と申しまして、ハリスト教とは預言者ハリストの…」

モニカが説明しだすと、ヨアヒムが制止した。

「その辺は知ってる。分派としての特徴だけいってくれ」

「最大の違いは… 武人の方には、少しいいにくいのですが…」

「構わん。いっていい」

「殺人禁止と奴隷保有禁止です」

「ふむ、武人にはウケが悪いが、庶民にはウケるということかな?」

「そうですね…」

「あとは?」

「戒律が少し緩めです。そこもウケやすいところです」

「そうか… うん…」

ヨアヒムは、ゆっくりとうなづいていた。

モニカはその顔がなにを考えているかわからなかった。

「いいだろう。州教として認めよう」

「州教?」

「ああ、ケーテンの州教としてキミたちの贖罪会を庇護しよう」

「正統会ではなく、我々の贖罪会を?」

「ああ、すばらしい教えだと思うからね。ぜひ保護して広めたい」

「ありがとうございます!」

「ケーテン州の5つの主要な町に教会を建てるように。資金はこちらで出すから、すぐに計画を出してくれ」

「かしこまりました」


応接室から出た彼女は天にも昇る気持ちだった。

城に入るときには、思いもしなかったことが起こったのだ。


「これから忙しくなるな…」


でも信者が増えるなら、なんだっていい。

彼女は胸が高鳴るのを感じた。


「新領主、最高ッ!!」


彼女は心の中で叫んだ。

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