第十七話 仙田の大冒険2
電車を乗り継ぎ、着いた場所は大きなビルが立ち並ぶ、大きな街だった。
そして、二人は街中をブラブラと歩き、その途中で見かけたオシャレな店に入り、何やら楽しそうに会話しながら、三時のおやつタイムを楽しむ。
「・・・あの・・お客様?・・ご注文の方はお決まりになりましたか?」
二人にばれないよう、後をつけてきた仙田は、少し離れた席に座り、体を隠すように新聞を開きながら座っていたが、店員にばれて、注文を聞かれ、かなり焦る。
「へっ?・・・あっ、えっと、あっと・・その・・・こ、こ、これを・・あのこれをお願いします。」
分厚いメニュー表を開き、とっさに定食を指さす仙田。
「申し訳ございません。こちらのメニューは、ランチタイムの物でございまして、現在ご注文できるのは、そちらのページの物でございます。」
少々苦笑いしながら、店員はメニューを手慣れた感じでページをめくり、注文できるページを「こちらになります」そう言って開いた。
「えっと・・・そ、それじゃ・・・こ、この・・わ、ワッフルを下さい」
店員は、メモを取り、ようやく終わった、そう思い、ホッと胸を撫で下ろす仙田にさらに話を始める。
「シロップは何になさいますか?」
「えっ?し、シロップ?」
「えぇっと、イチゴ、ブルーベリー、バナナ、チョコや生クリーム・・・その他にもございますが・・」
慣れない店に焦っていた仙田は、完全に舞い上がってしまった。
「ぜ、全部で!・・・」
「かしこまりました。少々お待ち下さい」
店員は営業スマイルを残して立ち去り、メニューを手に持ったままガチガチに固まってしまった仙田は、後で運ばれてくる地獄絵図のようなワッフルを目にして、食欲が失われる事になる。
仲睦まじく歩く二人を、先ほど食べたワッフルのあまりの酷さに鼻を啜り、泣きながら後を追う仙田。
「ふぇぇえっ・・・えっえっぇ・・・おいしくなかった・・・もっとあっさりした味が良かった・・ぇっぇえん・・・」
その光景を見て首をかしげる周りの人。
『コラッ泣くな!みっともない』
「えぇっぇっ、・・・だって・・・だって・・」
心の中で胸やけを起こしながらも励まそうとする声が聞こえてくる。
『大体、列車の中でだってそうよ。無理してずっと立ってるんだもん。』
列車での移動中の事。三島達の近くに空席があると言うのに、「そこに座ったら美野達にばれるかもしれない」そう言って、少々離れた場所で、上の吊革には届かないため、出口付近の手すりに、このまま手すりと融合してしまうんじゃないか?と言うくらいギュッとしがみ付き、しがみ付いているのにもかかわらず、人波に流され、何度、電車から放り出された事やら・・・
「だって・・・人ごみが怖かったんだもん・・・ふぇっ・・慣れてないんだもん・・」
いつもなら田村が横にいて、どんなに男性に声をかけられようが、オドオドする仙田を庇うように、その男性達をことごとく追い返していた。
『・・・わかった。じゃぁしばらく、私と交換しようか?』
「うん・・・交換しよ・・・」
泣きながら独り言を言っていた少女は、「交換しよ」そう言うと鼻を啜るのを止め、不思議そうに見てくる周りの人たちを威嚇するような目つきで追い返し、少し離れてしまった二人の後を追いかけた。
日も落ち始め、空が赤く染まる頃、「そろそろ行きますか・・」聴力がかなり良い仙田の耳にそんな三島の言葉が入ってきた。
「そろそろ行く・・・」
田村も「うん、そうだね」なんていい返す。
『ねぇ、どうなってるの』
心の中で仙田が仙田に問いかけてくる。
「ん〜、わからないけど、そろそろ行くって言ってたから、おそらくそろそろかと・・・」
『そろそろって・・・駄目だよ。そんな事!・・絶対に描写しきれないから・・っていうか出来ないから』
「それなら、大丈夫よ。きっとそこら辺は、飛ばすと思うから・・・」
『だとしても駄目っ!二人がそんな関係とか・・・私は絶対に認めません!』
「うん、確かに。それは絶対に阻止しなくては」
二人?のそんな気持ちとは裏腹に、もう一方の二人は、大きなビルが立ち並ぶ場所から離れるように移動をし始める。
「どこに行くのかしら?もぅ○○○からはかけ離れた場所にいるけど・・・」
『いや、ちょっと、私の体でそんな言葉、言わないでください』
遂に日は完全に落ち、街灯が明るく道を照らすが、二人の進む道にはその街灯すら数少なくなっていった。
山道に入っていき、街灯が少なくなり始めると、段々おびえ始める仙田。
『ねぇ?どうかしたの』
「ヒィっ!」
心配になって問いかけてきた質問にも驚き、声を洩らす始末。
「ちょっと!驚かさないでよ・・・びび、びっくりしたじゃない」
『?』
首をかしげる内なる仙田。そして外にいる仙田は、草むらで何やら物音がたった事に歩道から飛び退く。
『・・・・ねぇ、もしかして』
「ちちち、違いますぅ!ちょ、ちょっと、躓いただけよ」
そうは言いながらも、目は周りを警戒し、キョロキョロと動き回る。
「そ、それにしても、・・こ、こんな、山の中に一体何の用なのかな〜?」
なるべく違う事を考えようと、棒読みの言葉を言いながら、二人の後をつける仙田だが、二人が霊園に入って行くのを見て、その場に腰をついた。
「・・・もぅ、無理・・」
『えっ?なんで、早くおっかけないと!』
「いや・・・もうこれ以上は奥に進めない・・」
首を横に振りながら、力無く応える仙田。
『・・・幽霊のくせに・・』
「違います。私はドラキュラです!」
『死者の魂、食べるくせに・・・』
「違うもん!実際は、あれは食事じゃないもん!人間が呼吸するのと同じよ!私は知らず知らずに魂を食べてるだけだもん!・・そりゃ、意識をすれば、一応、しばらく我慢は出来るけど、呼吸を止める事が出来ないのと同じ、無意識で食べちゃうの!」
『なのに、怖いの?』
「違うもん!怖くなんかないもん!」
ムキになり地面についた重い腰をなんとか持ち上げ、入口に向かおうとするが、2,3歩歩くとまた腰を落としてしまった。
『・・・ねぇ、変わってあげようか?』
「嫌!絶対に嫌!だって、変わったら千尋、この墓地に入ってくんでしょ!」
『二人の事、気にならないの?』
「・・・気になる。」
『じゃぁ交換しよ。私が入るから、目を閉じてればいいんだよ』
仙田の目には再び、涙が浮かび始める。
「・・こ、怖がらせたりしない?」
『しない、しない』
「じ、じゃぁ・・・交換する。・・・千尋、絶対に怖がらせたりしたら、ヤだからね!」
仙田はそう言うと、溜まっていた涙は一気に枯れ、あれほど重たかったはずの腰を軽々と持ち上げ、二人の後を追っていった。
「あれ・・・?どこ行っちゃったんだろう・・」
完全に二人を見失った仙田は、広い霊園を、見渡しながらフラフラと歩いていた。
だれ一人いない。そして、周りにあるのは墓石のみ。360度見渡してもあるのは墓石のみ。
さすがに仙田も、暑いからかいた汗以外に、冷たい汗が頬を伝っていくのを感じる。
「美野〜・・・三島く〜ん・・・」
小さなもの音には、過剰な反応を見せないが、心の中はそうはいかなかった。
『ヒャっ!ねぇ、千尋、今の音、何?ねぇ、千尋。ねぇ返事してよ』
そんな心の叫びにいちいち反応していられるほど、仙田も余裕はなかった。
とにかく、二人を探さねば。自分がパニくってしまう。
そう思うと、歩いていたはずの足は段々と早くなり、最終的には足は遅いが遅いなりに頑張って走っていた。
走ると心の中で叫んでいた声は、より一層大きくなりすでに言葉にならないような声を発している。
綺麗に並んだ墓。左右に目をやりながら二人の姿はなくあるのは墓のみ。
「やっぱり、入るんじゃなかったかも・・・」
そう呟き、諦めて霊園から出ようと考えたその時、二人の姿を仙田の眼は捕らえた。
「・・見つけた」
二人は、一つの墓地に向かって手を合わせている。
「何してるんだろう・・・・何でこんな時間に?」
腕時計は、すでに8時を回っていた。
そして、二人は手を合わせ終えると、前にある墓に向かって何やら話し掛けているようにも見える。
「・・・こいつまた、じゅんゅぅしょうでさ・・・・でも・・元だって・・・」
音を拾おうと聴覚を研ぎ澄ますが、二人の声は、途切れ途切れにしか聞こえてこない。
「ん〜、聞こえない・・・」
仙田は、もう少し近づこうかと考えるが、その前にある重大な事が起き、それどころではなくなってしまう。
その出来事とは、仙田の持つ小さなハンドバックの中で、ここから出せと暴れる子猫でもなく。心の中で二人の状況を聞きたがる仙田でもない。
突然、ベルが鳴り始めたのだ。それも、小さな音ではなく、いきなり大きな音で・・・
「うそ・・・」
このままだと、あと少しもしないうちに向こうに呼び出されてしまう。
なんとか、三島にそれを伝えようと考えるが、携帯を病院に忘れてきてしまったらしい。ポケットをどんなに探しても、携帯は出てこなかった。
そして、そうしている内にもベルの音は大きくなっていく。
「どうしよぅ・・」
そんな事を言っていられる状況ではなかった。仙田は、隠れていた場所から飛び出し、二人のいる場所へと駆け出し、大きく息を吸い込み渾身の力を込めて声を出す。
「三島く!・・・・」
その声に反応をした三島と田村。
そして、声のあった方向を見るがそこには何もいなかった。
「今の声、・・・ねぇ、元?」
田村は、今の聞き覚えのある声を誰か尋ねようと三島が立ってる場所に振り替えるが、そこには三島の姿はなかった。
「えっ?・・・元・・?」
「マジかよ・・・」
三島は、地面に描かれている田村の姿を見て、唖然とする。
「・・・なんで今日あるって、教えてくれなかったんだ」
目の前で、怯える仙田に問いかける。
「しょ、しょうがないじゃない!・・・私、私だって知らなかったんだから。突然、呼び出しのベルが鳴ったのよ」
挙動不審な仙田。その姿を見て「幽霊のくせに・・」溜息混じりにそう呟く三島。
「幽霊じゃないもん!ドラキュラだもん!」
そんな事を怯えながら言う仙田に、三島は嫌な笑みを浮かべた。
「お前、俺のとっておきの怖い話を聞かせてやろうか・・・」
「そんな事言いだしたら、マジで殺す!」
「・・なら、やめときます」
残念そうに肩を落とす三島。そして、突然三島の携帯が鳴りだし、その音に「ヒィッ!」と声を漏らす仙田。
三島は、携帯を取り出し画面に表示される《田村》と言う文字に驚く。
「あれ?通じてる・・・」
「・・・出ない方がいよ」
仙田の言葉を無視して、三島は急ぎ通話ボタンを押した。
「もしもし、美野?」
三島は、田村からの応答を待つが、一向に返事が返ってくる事はなかった。
「美野?・・・おぃ、美野!」
「無駄よ。向こうと時間系列が違うんだから」
仙田は、そんな事を言いながら三島に近づいてくる。
「どういう事だ?」
「向こうとは、進む時間のスピードが違うのよ。こっちの方がかなり速いの」
「言っている意味がわからん。」
「こっちの世界で起きた事が、向こうでも起きるって事は理解してるでしょ?・・でも、それは私達が、向こうの世界に戻った後の事。」
三島は、地下鉄での出来事や、山火事の事を思い出し首を縦に振る。
「つまり、ここは向こうの世界の時間より、一歩先を行ってるの。未来の世界って言えばいいのかな?・・だから、この会話も向こうの世界では、たった一秒にも満たない。電話でどんなに、向こうと連絡を取ろうとしても、向こうには多分、ノイズにしか聞こえない。床に描かれてる美野ちゃんの絵だけど、実際は絵じゃないわ。本当は動いてるの。すっごくゆっくりだけどね。一歩足を動かすのに多分こっちの世界じゃ、一年ぐらいかかるんじゃないかしら」
「なるほど」
簡単に理解をする三島。そして、その事に慣れてきた仙田。
「・・・で、今かなりヤバい状況だって事は理解してるのかな?」
「はぁ?なんで・・・敵でも近くにいるのか?」
周りを見渡すが、敵と思われる生物は見当たらない。
「わからないの?ここの世界と向こうの世界は、共存してるのよ。ここで壊れた物は向こうでも必ず壊れる。・・・・それは、人だって例外じゃないわ。」
その言葉を理解し、地面に描かれる田村を見る。田村は、不安な表情で片手に携帯を持ち、誰かと通話をしようとしている。
三島は、未だに通話中の携帯を再び耳に持ってくる。
「美野!早くここから離れろ!・・聞こえてんだろ!美野」
「ちょっと無駄だって言ってるでしょ!」
「うるせぇ!黙ってろ!・・おぃ美野!」
携帯に向かって怒鳴り散らす三島。そして、その行為を止めようともせず、仙田はある一定の方向に目をやる。
仙田の目線の先からは、地面を金属物で引っ掻くような音と規則的な足音がこっちに近づいて来ていた。
「おぃ、美野!返事しろ・・・みっ・・」
不気味な音が近づいてくる事に気づき、携帯を閉じる三島。
不気味な音は、三島達に近づいてくるとその姿も薄っすらと見え始めていた。
黒いフードを頭から体全体を隠すように被り、ダラリと下がった方腕の先には、自分の体には不釣り合いな大きさの鎌を地面を引きずりながらこっちへと歩いて来ていた。
「・・・千尋の体を借りて戦うのも久しぶりね。」
そんな事を言いながら、仙田はどこからともなく、刀を取り出した。
「くそっ、こんな場所でそんな風に登場してんじゃねぇよ。オバケと勘違いしちまうだろ・・おぃ、仙田。なるべく早く終わらせるぞ。今回ばかしは、冗談抜きだ」
「当たり前よ。私だって、自分のせいで千尋の友達が死ぬのなんて絶対に、ごめんだわ」
鞘から刀を抜くと仙田は、素早く敵に向って走り出し、すれ違う際に刀で敵を切った。
黒いコートは、腰のあたりから綺麗に切れて、地面にコートの一部が落ちる。
「・・なんだ。終わりか?」
あっけない終焉を不思議に思い、気を張ったままそう呟く三島。
そして、疑問は仙田も同じだった。敵を切った刀に目をやるが、その刀には敵の血も何もついてはいなかった。
「終わってない!切った感触がないの!」
敵は、大きな鎌を体の横に持って来て、三島に向かって大きく振った。
「おわっ!」
三島は、素早くしゃがみ頭の上を鎌が通り過ぎる感触に一気に鳥肌が立った。
敵の一振りで、横にあった墓石が、斜めに切られズズズっと音を立てながらスライドし、豪快な音を立てながら、墓石の上の部分が地面に落ちた。
「こんにゃろ・・」
大きな鎌のせいでバランスを崩す敵の下に潜り込み、両足を蹴り払おうとするが、敵の足に当たる感触はなく、三島の蹴りは空を切った。
そして、敵の足を見て、三島は眉をひそめる。
三島は敵から距離を取り、そこに仙田も合流する。
「なんなの一体?刀が透き通ったわよ・・」
「俺もだ。足に蹴り入れたつもりなんだけど、蹴った感触がない。しかも、あいつの足・・・一体どうやって立ってるんだ?」
「何?どういう事?」
「筋肉がついてない。骨だけだ」
「は?」
「いいから見てろ」
理解に悩む仙田。そして、三島は敵に向かって走り出し、振り降ろしてくる鎌を避けて、敵のフードの頭の部分を掴み、引き上げた。
そして、フードの下から出てきた敵の顔を見て仙田は一瞬、気を失いそうになるが、何とか堪えた。
「何よそれ・・・」
敵を見ながら仙田はそう呟く。そして、その仙田の目の先に立っている敵、その姿はコートを身にまとった骸骨だった。
「最悪でしょ。攻撃が効かなくて、あの見た目って・・・どうやって倒せってんだよ」
敵をはさんで向こう側で放心状態の仙田を見ながら、三島はそう呟く。
そして、敵はフードを再び戻す事なく、二人をキョロキョロと見定めていた。
「おぃ!仙田。これ何!」
「わわ、私が知る訳ないでしょ!・・どうやって倒すのよ。これ!」
「伊吹は?あいつなら知ってるんじゃねぇの?」
「駄目!この近くにはいないわ」
「最悪だ・・あの野郎・・本当に重要な時いないんだから・・」
骸骨は、二人を見定め、仙田を目標に定めたらしく、仙田に向かってゆっくりと近づいて行った。
「イヤーー!来ないで、来ないで!あの、えぇっと・・・な、ナンマイダー!違うかな?南無阿弥陀仏?」
パニくる仙田は、両手を合わせ何やら念仏を唱えているが、骸骨には全くの効果なし。
「馬鹿、仙田!こっちに来い!そっちには美野がいる」
仙田が、足もとを見るとそこには美野が描かれていあった。
がくがくと震えた仙田の足は動く事が出来ず、震える両手で仙田は刀を構えた。
「仙田ぁ!動け!」
三島は必死に叫ぶが、その声も今の仙田には届いていなかった。
仙田は、近づいてくる骸骨に向かって突進して行き、刀を骸骨に向かって何度も振り回す。
だが、その刀は、コートを切るだけで、骸骨には全く当たってはいなかった。
「嘘でしょ・・」
力無く仙田はそう呟きながら、諦めずに刀を必死に振るう。その必死さは、骸骨が鎌を振り上げているのに気付かないほどだった。
骸骨の動作に気づいた時には、振り降ろされている時で、仙田はキュッときつく目を閉じる。
「当たれー!この野郎!」
三島は、振り降ろされる鎌に向かって蹴りを入れ、軌道をずらし、鎌は仙田を切り刻むことなく地面に突き刺さった。
放心状態の仙田を抱え、骸骨の第二撃目を飛び込むように回避し、仙田を抱えたまま地面に倒れた。
「いってぇ・・・」
「元!大丈夫」
「ん・・・かなり痛い・・でもそんなに出血はしてないかな・・」
三島は、太ももの辺りを手でさすり、手についた血を見ながらそう呟く。
「ごめん。元、私のせいで・・・」
「うるせぇ、俺が勝手に行動しただけだ。お前のせいじゃない」
抱えていた仙田を離し、三島はその場に腰をつく。
「でも・・・」
「とにかく、俺の太ももを犠牲にしてわかった事は、あの鎌には触れれるって事だ。」
三島が指さす方向では、骸骨が、鎌を振り回し、周りにある墓石をいくつもなぎ倒していた。
「そして、意外とこの墓石が邪魔で、あいつは思うように大鎌を動かせていない。だから・・」
続きを言おうとする三島は、骸骨が次に切り倒そうとしている墓石を目にして「それは駄目だ!」そう叫びながら、鎌の攻撃範囲へと入っていく。
三島は、墓石の前に立ち、横から飛んでくる鎌を体で抑えた。
柄の部分を脇腹で抑えるが、骸骨の攻撃はかなり力強く、アバラがきしむ音が、体を伝って聞こえてくる。
「う゛・・」
三島は、その衝撃に絞り出されたような声で、呻き声をあげる。
「元!何してるの!」
あまりの衝撃に意識が揺らぐ三島。そして、鎌の柄に手を置いて立つのがやっとだった。
そして骸骨は、このチャンスを逃す訳がない。鎌を一気に引き戻し、中にいる三島を真っ二つにしようと鎌は三島の背中を襲ってくる。




