第十一話 忘却呪文《タライ》
蒸し暑い朝日が、カーテンを突き破り、三島を起こそうとする。そして、三島はそれに耐え、再び目を閉じようとするが、目の前の信じられない光景に目を覚ます。
三島の布団の上で仙田が、ゴロゴロと喉を鳴らしながら体を丸め、寝ているのだ。
「ぎゃぁあぁぁーーー!」
「んにゃゃーー!」
思わず三島は、飛び起きその声に驚き、仙田は蒲団が舞いあがると同時にボテッと床に落ちる。
そして、床に落ちた仙田は四つん這いで、三島に向かって「にゃーにゃー」言ってくる。
信じられない光景に、目を擦るとようやく、現状が見えてくる。
床で鳴いているのは、仙田ではなく子猫だ。
そして、子猫の後ろに痛そうに頭を擦る仙田が、浮かび上がってくる。
「ちょっと、いきなり何すんのよ。頭ぶつけちゃったじゃない」
「あぁ・・悪い。俺のビジョンで、仙田が見えた」
「嘘、容器から漏れてたのかな・・・」
「いい年こいて、寝てる間に漏らしてんじゃねーよ」
「ちょっと、変な言い方しないでよ」
「もぅいいから、さっさと容器に戻って、可愛い子猫ちゃん演じてろ」
仙田は、口を尖らせながら、姿を消し、猫がやけににゃーにゃー言ってくる。
そして、この謎の光景を説明するためには、少し、時間を戻らないといけない。
ヤカンが汽笛を鳴らし、仙田が三島に飛びかかってきた後。
三島を押し倒し、タコ殴りにするも、全く効果がない事に気づき、諦めた後の話だ。
この部屋に居候する事になった仙田は、この姿のままで別にいいだろ!と言い張るが、そこだけは、断固譲れなかった三島。
だったら、入れ物探しに行ってくる!そう言って、仙田は外に出て、しばらくすると、知らない女性が三島の部屋にやってきた。
「チェンジ」・・では、なく。仙田だと気づいた三島は、人間は駄目だ!そう言って追い返し、その次にやってきたのが毛がボッサボサの衰弱した子猫だった。
拒否しようとする三島に「私がこの子猫から抜けた途端。この子猫が衰弱で、あんたの部屋の前で死ぬ事になるけどいい?」そう言われ、三島は渋々、それでOKにした。
・・まぁペットNGのアパートでもないし、特に問題はないだろう。
そう思っていた矢先・・先ほどのような信じられない光景が、飛びこんできた訳である・・。
だが、意外とこの猫は面白い。中に仙田が入っているのだが、やはり本能には逆らえないらしい。
遊び半分で買ってきた猫じゃらしを、ヒラつかせると、初めは興味がない。そんな感じで、そっぽを向いているが、懲りずにヒラつかせると、段々と目が追うようになり、最終的には、猫じゃらしを追って、部屋中走り回るようになる。
そして、猫じゃらしをヒラつかせるのを止めると、もっとやって・・・そんな感じの目で訴えかけておきながら、段々と我を取り戻し、仙田が、猫から出てきて「なんて事させんのよ!」なんて、顔を真っ赤にさせながら怒る。
そして、それを見て三島、大爆笑。
そして今、顔に大量の引っ掻き傷を作った三島は、小さな鞄を手に持ちながら、病院へと向かっていた。
「あぁ、そういや、お土産何がいいかな?」
「別にいらないんじゃないの?」
鞄からは「ニャー」と言う小さな言葉の中にかなり内容の濃い副音声が聞こえてくる。
「馬鹿野郎、入院するって言うのはな、ビックイベントみたいな感じなんだよ」
「そうかな・・千尋は、日常的なもんだから、それほど変化はないと思うんだけど〜」
「だからこそ、たまに見舞いにやってくる奴等が、変化を起こさなきゃいけないんだよ」
そう言うと、三島はコンビニへと入った。
「・・・くっそ〜、男だったら持って行くお土産、すぐに決まるんだけどな・・」
「何買うのよ」
「決まってんだろ。エロ本」
「・・・最っ低」
周りから見ると独り言をつぶやく変態に見える三島。そんな事には気づかず店内をウロウロする。
「何を言うか。男ってもんはそう言うもんなの!これは、ある人の話なんだが、ある友人が入院した時、打ち合わせも何にもなしに、全員がバラバラにお土産を買ってきて、全員がまったく同じエロ本を持ってきた事だってあるらしいぞ(作者実体験・・ちなみに買った方の人間です)」
「・・・で?千尋には、何買ってくの?エロ本?」
「冗談、そんなの買う訳ないだろ。・・・何がいいかな?・・」
「果物でいいんじゃないの?」
「在り来たりだろ・・・なんか、俺にしか買えなさそうな物・・」
連絡もなしに、来たのはさすがに駄目だったかな〜なんて思いながら、仙田の病室をノックし中に入り、仙田のベットが置かれる場所へ向かい閉じられたカーテンを開いた。
「お〜っす。久しぶり〜・・・・あれ?」
そこには、仙田と田村がいて、田村は濡れたタオルで仙田の体を拭いてる最中だったらしく、突然の訪問者に固まる二人。
「あ・・・お、お邪・・魔しました」
三島は、錆びついたブリキ人形のごとく、カタカタと震えながら回れ右をし、その場を立ち去ろうとしたが、その前にタライが、三島の後頭部に襲いかかってきた。
そして、タライが三島にクリティカルヒットした後、タライを投げた本人の田村も、仰向けに倒れる三島に襲いかかってきた。
「忘れろーーっ!今見た物、忘れろーー!!」
その場に落ちるタライを拾い、何度も三島の頭を叩きつける。
「いだだだだっ!忘れる!忘れるから!・・あぁもぅ忘れた!何にも見てませんから」
「見てないって言ってる時点で、見た事を覚えてるんだよ!忘れろーー!」
「痛いって!無理だよ、じゃぁなんて言えばいいの!」
「忘れろーー!!」
「考え無しに突然、カーテンを開けてしまい。申し訳ありませんでした・・」
ボロボロになりながら、仙田のベットの下で土下座をして謝る三島。
「いや・・・そんな・・き、気にしてないから・・・三島君・・」
「あの・・それで、これお土産に・・・暇な時にでもどうぞ、読んでください・・」
そう言って、鞄から取り出した本。そして、そのタイトルは
《病院で本当にあった怖い心霊体験》
ジワッと仙田の目には涙が浮かぶ。
そして、田村から強烈なラリアット・・・
「んげっ」
「元ーー!あんたね!カーテンだけでは懲りずに、またこんなもん買ってきやがって!」
「いや、ちょっと・・違うんだ!ウケのつもりで買って来たんだ!でも、まさかこんな事になるとは思ってなくて・・・いでででで、関節入ってる!ギブギブっ」
鞄の中では猫が「だから、そんなの買うのやめろって言ったのに」と小さく呟く。
そんな呟きの声に反応する、田村と仙田。
「えっ?何今の音」
「あぁいや、これは違うんだ」
田村の反応に三島は、とっさに鞄を拾い、誰にも渡す物か!そんな勢いでギュッと抱きしめる。
絞めつけられた猫は、「ちょっと、マジで苦しい!」と叫ぶ。
その声に、二人は鞄の中身が何か、理解する。
「元!あんた、その手をどけろ!」
「三島君、猫が可哀想だよ・・」
三島は、諦め、二人の前に猫を取り出した。
そして、狭い鞄から解放された猫は、三島の前では決して見せなかった愛くるしい表情をし、前足を前に伸ばし、体を伸ばす動作など、愛くるしい動作をして見せた。
「キャー、かわいいーー!何これ〜、元この子飼うの?うっわ、似合わねぇ〜」
「うるせぇな、初めは雑巾みたいにボロボロで可哀想だったんだぞ」
嫌がる仙田(猫)を、無理やり洗面所に連れて行き、腕を散々傷つけられながらも、何とかここまで綺麗にする事が出来た。
そして、しばらくは三島に毛を逆立て警戒する仙田だったが、飯の時間になるとコロッと元に戻りやがった。
・・・そんな捻くれた性格なのに・・今の奴の行動を見て、三島が思ったことは・・
・・・猫鍋ってうまいのかな?
そんな事を三島が考えていると、田村が突然、「クシュン」なんて小さな音で、くしゃみをし始めた。
「あぁ〜ヤバい。私、猫アレルギーだったんだ・・ヘッ・・クシュン!」
目を赤くしながら、田村はそれでも、猫を抱き続けた。
抱かれる仙田(猫)も、しぶきがかかるのか、離れようと田村の腕の中で暴れる。
「おぃおぃ、猫も嫌がってんだろ、そろそろ放してやれ」
「ね・・ねぇ、・・・ヘッ、キショイ!・・名前、なんて言うの」
「名前・・・まだ決めてないな・・」
仙田・・・とは、絶対に言えない。
「なら、千尋と私で・・・あぁあ・・駄目だ・・千尋、パス」
田村は、そう言うと仙田に猫を渡し、部屋から出て行った。
そして、取り残された二人と一匹。
「ねぇ、三島君・・・この猫」
さすが、仙田、気づいたな。そう思って本題に入ろうとする三島。
「ん?・・・あぁ、電話で連絡しようと思ったんだけどさ・・・」
「可愛いね」
「はっ?」
「どこかで拾ったの?」
自分の足の上で体を丸める猫をなでる仙田
「いや、仙田・・・だから」
「伊吹って人、見つかったの?」
「いや・・・だから・・」
「でも、きっと難しいよね・・この街、広いもん」
駄目だ、さっさと話を進めよう。
「仙田、幽霊って信じるか?」
「えっ?なに、突然」
「信じるか、信じないか」
「う・・うん、信じてると・・・思う」
「なら、話は早い。その猫の中に、あいつが入ってる」
「えっ・・・」
猫の後ろに透明な仙田が、「久し振り」なんて片手をあげながら現れ、自分が目の前に現れた仙田は、思わず硬直した。
「あの後、伊吹はすぐに見つかったんだ。それで、ちょっとした事情で今は猫の中に入ってる。・・・それで、一応、お前の答えを聞きたくて、ここに来たんだけど」
「・・・なんで、私の姿?」
「それは、しばらくお前と一緒にいたから一番、具現化しやすいんだってさ」
「私、一番最初に出会った時は、白い煙だった・・」
「まぁそこら辺は、気にするな。それで、答えは決まったか?」
「・・・ごめんなさい、まだ決まってないの」
俯く仙田。そして、答えを無理にでも聞こうとする三島を睨みつけてくる仙田。
「そっか・・・まぁ答えはいつでもいい。いつでも、引き渡すから、こいつ」
「それって、私を厄介払いしたいって訳?」
仙田の上にいる仙田(猫)が、三島にドンドンと近づいてくる。
「い、いや、そうじゃない。ただ、お前も猫にずっとくっついてるのも、嫌かなって思ってさ」
後ずさりを始める、三島をドンドンと追い詰めてく仙田(猫)
「私にとって、人間も猫も差して、違いはないですから、ご心配なく!」
「ま、待て、生傷をこれ以上、増やしたくはない。落ち着いて話し合おうじゃないか・・・あの、そうだ、今日は、帰りにキャットフードでも買おうか」
「何よ!私に猫の食いもんを食わせようって言うの!いい度胸じゃない」
「おま・・・猫も人間も差して変わりない、とか言ってた矢先にそんな事言うのか!」
図星を突かれた猫は、震えだし、「天誅っ!」そう言いながら小さな子猫は、立派な牙を武器に、三島に襲いかかった。
だが、所詮は子猫と人間。猫の首根っこを掴み上げ、暴れる猫を三島は捕らえた。
「放せ!この野郎っ」
そんな副音声とともに、ニャーニャー叫ぶ猫。
「あぁ〜びっくりした。でも、こいつが猫で良かった・・」
そんな光景を見て、小さく笑い始める仙田。
仙田のそんな光景を見て、暴れる猫も暴れなくなり、掴んでいた猫を三島は落としてしまった。
「ごめんなさい・・・つい、面白くって・・」
笑いながら仙田がそんな事を言ってくる。
「いや、謝るなよ。なんか、恥ずかしくなってくるじゃねぇか・・・」
「それじゃ、また来るわ」
あれから、やけに大人しくなった猫を鞄に入れると、三島は手を振る仙田の病室から出た。
そして、廊下には大量の鼻紙を山にし、椅子に座り、鼻を拭く田村がいた。
「あり、もぅ出てきたの」
鼻声の田村が、そんな事を言ってくる。
「はぁ?結構いたと思うけど・・・」
田村は、廊下にかかっている時計を見ると、すでに『い○とも!!』の番組が終了し、『ごきげ○よう』が中盤にさしかかろうかと言うくらいの時間だった。
「それにしても・・・左腕の傷が治りかけてきたと思ったら、今度は猫の引っ掻き傷。可哀想ね」
とても可哀想とは、思っていないような表情で田村が言ってくる。
「男の子には傷が絶えないものさ・・・」
「そりゃ、子供の話でしょ」
「そんな事ないさ・・・いい年こいて、生傷が絶えない人だっているぜ(作者です。この前、何もない道で、一瞬歩き方を忘れて、豪快にこけました)」
「元スポーツマンが、全く運動しなくなるからよ・・・」
「たしかに・・・」
病院を出ると、なぜか田村まで付いてきた。
「お前、仙田の所に行かなくていいのか?」
「うん、時間ないし・・・これから地獄の合宿よ」
そんな事を言いながら、合宿と言う憂鬱と眩しい日差しに押し潰されそうになる田村。
「おぉ、もぅそんな時期か・・・って、部長がそんなんでどうする!シャキっとすれ」
「今は部活じゃないのよ。気を緩めたっていいでしょ。・・・緩めれるのって、あんたと一緒の時ぐらいなんだから・・」
「はぃはぃ、そうですか・・」
「ちょっと、今一般男児なら胸がキュンとなるような、一言言ったつもりだったんだけど・・・」
「はぁ、どこで?」
「何でもない。私、あのバス乗るから」
そう言うと、田村は病院前に停まるバスに乗り込み、窓から顔を出した。
「あんた、試合見に来る?来るなら、公費から出せると思うけど」
「行かねーよ。てか、行けねーよ・・・嫌味か?もしかして、嫌味か」
「もちろん、嫌味です」
ベロをベッと出しながらバスは出発し、三島に排気ガスをかけ、逃げて行った。
「俺もな・・一年前まで、美野と一緒の部活やっててな。・・まぁ色々とあって、俺は辞めたんだけど、まぁその部活って言うのも、小学生の頃から道場で美野の親父さんの所で習ってたから高校でも入った。見たいな感じでさ・・・って、聞いてる?」
アパートまで到着し、まるで独り言を大きな声で出しているように見えるが、実際は小さな鞄に話しかけているつもりだった三島。
「まぁ、うちの高校の合宿が半端なくてさ・・・合宿終了したら、即、全国大会だぜ。実家に帰る時間もなし。休養取る暇もナシ!・・・なぁ頼むから返事してくれよ。淋しいんだけど・・」
鞄に呼びかけると、小さな声で「うるさい・・・」と返ってきた。
ガッツリと落ち込みながら、部屋に入る三島。
「うるさいって・・・そりゃないでしょ・・」
「うるさいっ!」
明らかに様子のおかしい仙田。
「おぃどうした?腹でも下したか?」
そう言いながら鞄から仙田(猫)を取り出す
「・・・・お前、泣いてるの?」
「うるさいな・・・泣いてないもん」
猫を床に置くと、猫の後ろに泣きじゃくる仙田が出てきた。
対応に困る三島。そして、出てきた言葉は
「いや・・・そういうコメントの場合、多少は涙は我慢するもんだと思いますが・・」
なんて言うと、仙田はむせび泣きにレベルアップした。
「なっ・・・なんで、そんっな事、言うかな・・ふっ、普通・・だったらさ・・」
「いや、マニュアル通りって言うのはさ・・ちょっとな」
なんて、言って見せるが、さすがにこれ以上は無理。そんな訳で・・
「な、なんで泣いてるのかな?」
「言う訳っ・・・ないっ・・じゃない!」
予想通りの返答。そして、三島はこいつの異変はどこからあったか思い出し、病室で終盤になるとやけに大人しかった事を思い出す。
「・・・仙田の事か?」
本心を突かれたのか、一瞬こっちを見て、再び俯く仙田。
「仙田が、なにかお前にしたっけか・・・?」
「してない!何もしてないよっ!」
「だったらなんで・・」
「千尋が・・・私をもぅ・・必要としてないのよ・・・」
「・・・はぁ・・」
「千尋は・・体が動くようになって、顔に出して笑ったりするようになった。でも、今は、私がいなくても笑ってる。・・私を必要としていない、私の居場所がない、私、また一人になっちゃう。・・・一人は嫌なの!淋しいの!」
仙田は、横にあるティッシュを一枚取り、鼻を拭いた。
「まぁ、会うは別れの始めって言うからな・・・で、今のお前は一人だって言うのかよ」
「・・・見っ・・見てわかるでしょ・・」
そう言いながら再びティッシュを取ろうとするが、その前に三島が箱ティッシュを取り上げ、仙田に向かって投げた。
ティッシュは、仙田を通り抜け、壁に当たって落ちた。突然の出来事に仙田は驚き、泣くのをやめ、その場に固まった。
「っざけんなよ、てめぇ!一人だったら、受け答えが返って来るのかよ!泣いてる奴に箱ティッシュをブン投げてくる奴がいるのかよっ!何が一人だ!・・勝手に俺の家に上がり込んでおいて、俺が何のために猫じゃらしを買ってきたと思ってる!何のために、煎餅をいつもより多く買ってきてると思ってる!・・・オメーがいるからだ!居場所がないだ〜?勝手なことぬかしてんじゃねーよ!今ここに居るじゃねーかっ!」
三島がすべて吐き出し終えると、再び仙田は泣き始め何故か、三島を突き飛ばした。
バランスを崩し、腰をつく三島の下で、箱ティッシュは見るも無残な形で、後で発見されることとなる。
「バッ・・カじゃないの!私達は敵同士。最終的には殺し合う事になるのよ!」
「でも、今は仲間だ!なにが最終的に〜だ。知ったこっちゃねーよ!俺は矢先のことしか知らん!」
「それに、私はもぅ千尋の体からは離れてる。だから、あんたも私を守る必要はないのよ」
「・・・確かにな・・でも、仙田はまだ答えが出せていない。・・・あいつが、答えを出すまでお前には死なれちゃ困るんだよ。・・・・だから、お前は俺が守る!あぁ、もぅっ!これでいいだろ。とにかく、お前はまだここにいろ!ここがお前の居場所だ!」
自分には似合わないセリフを言った事に、後悔する三島。そして、そんな言葉に涙が止まった仙田。
「・・・・ったく、何かと理由まで付けないと納得しないのか?・・吸血鬼って言うのは・・」
腰を落ち着かせ、仙田に背を向けながらぶつくさと呟く、三島を見て、思わず笑みを溢す仙田は、口を開き何かを呟いた。
「あぁ?何か言ったか」
小さな声に反応し、仙田を振り返るが、そこには仙田の姿はなく子猫が、ニャーと大きな声で鳴くだけだった。
全員が同じ看護師系の本を持って行った時・・・
看護師さんのどん引きした目つきは、今でも忘れられません。




