16話
聞き間違いなんてなかった・・・マジか・・・お金か・・・
「魔導書ってしらねぇか?」
「ま、魔導書?」
また知らん単語が出てきたぞ・・・
いや厳密には知ってはいるんだが
それがこの世界ではどのような物を指しているのかが分からない。
「あぁ通称魔法店。別名魔法の何でも屋って言うんだが、
そこにはありとあらゆる魔法関連の物が置いてある。
そこにも魔導書があってな、そこで売り買いされてるんだよ
んでその魔導書は、読んで、中身を理解して、詠唱を唱えれば魔法が使えるって訳だ」
なんだその店。本当に何でも屋だな。
しかも詠唱まであるのか・・・一気にファンタジー。一気に厨二に早変わりだな。
「読んで・・・理解・・・詠唱、ですか。
例えば、例えばどんなものがあるんでしょうか」
「あぁー・・・俺も火属性の初級しか知らねぇからこれしか出来ないが」
『火よ、灯れ』
「ファイヤ」
「うぉっ・・・すげぇ・・・すげぇよ!!!魔法だ!!」
「お、おう。そんなに喜んでくれるなんてな、なんか照れるな」
「あったりめぇよ!!魔法だぜ魔法!!すっげー!!」
「ちょ、ちょっと落ち着けって」
おぉすげぇぞ異世界!!
すげぇぞアルカディア!!
俺も魔法使ってみてぇー!!
これはお金を貯めて魔導書を買わねばならぬな。うむ。
1つ目標が出来た!!お金を貯めて魔導書を買って魔法を使う!!!
「って言ってもかなり高価だからな。
金があってもあっても足りねぇって話だ。
魔法使いは貧乏人って言葉が有るくらいだからな。
それにだいたいの魔法使いってのは金を持ってるヤツら、貴族とかが多いらしいし。
だからなのかねぇ、最近の冒険者には魔法使いも居ないって話だな。
まぁ俺も受け売りだがな!!ガハハハ!!!」
ま、まじかーちくせう・・・金持ちめぇ・・・偉やましくなんてないやい!
「おっと、そろそろ門も閉める時間か。
すまんな長話になっちまって、この時間だと宿屋も満室かもな。
しょうがねぇ、うちの仮眠室使わしてやるからよ。
明日ちゃんとギルド行くんだぞ。
飯は後で他の奴が持ってくるからそれ食えよな。ほら行くぞー」
うぇ!?うぇ!?なんか勝手に話が進み出してる!?
「ちょ、ちょっと待ってくださいよー!」
そんなこんなで俺の一日は詰所の仮眠室で終了する事になった。
トホホ・・・