その6 さびしすぎてレズ風俗に行きましたレポ
さびしすぎてレズ風俗に行きましたレポ(永田カビ、イースト・プレス、2016年)
ページをめくるたび、切々とした語りを読むたび、共感に胸をわし掴みにされました。
当世風のキャッチーなタイトルと、パステルピンクを基調とした可愛らしい表紙。そこに描かれているのは、ちょっと(というかかなり)間が抜けてそうで、あか抜けてなくて、捨てられて雨に打たれて弱りきって今にも死にそうな鳩が豆鉄砲を食らったような目でこちらを見ている、まっ裸の女の子。
彼女こそ、このレポの書き手であり、お話の主人公であり、さびしすぎてレズ風俗に行った永田カビさんご本人なのでした。
本書は、レポといっても活字本ではなく、元々はpixivで連載されていたものを単行本化した漫画です。
あらすじは、大学を半年で退学した女性が、鬱と摂食障害に苛まれながら、自分が本当にやりたいこと、ほしいもの、行きたい場所、あたたかい居場所を求めて四苦八苦するというもの。
そして10年にも及ぶ懊悩の果てに、〝誰かと付き合った経験も性的な経験もついでに社会人経験もないまま28歳になった私〟は、『レズビアン風俗に行く』という最終(?)手段に打って出ます。
作中にはなかなかハードなエピソードも含まれますが、ゼリービーンズみたいにぷにぷにした絵柄と、回想形式の進行のおかげで、さほど陰鬱さは感じません。むしろちょこちょこ笑えます。くすくす、と微笑ましい気持ちになって次のページに進みます。するといきなり涙腺ぞうきん絞りにされます。心の玄関ピンポンダッシュされます。まったく油断なりません。
自らの心と身体を大事にするということ。
誰かと繋がりを持つということ。
そのほか、人が生きていくためにどうしても必要な、あれやこれや。
そういったことを、素直な視点で、一つ一つ取り上げていきます。
自分が幸せになりたいのか、不幸せになりたいのか、時々、私はわからなくなります。
しかし、この本を読み終えて、自分自身に「どっちなんだ」と問いかけると、即座に答えが返ってきました。
私は幸せになりたい。100パーセント。この身体の隅から隅まで幸せでいっぱいになりたい。
何かを肯定する力を分けてもらえる――そんな素敵なレポートでした。